モスティマさんといっしょ!!!   作:にゃんこぱん

26 / 30
危機契約、やってきましたね……。
バグパイプ三十連で当たりました。嬉しい……


男たちと話す話 2

「ツモ、九蓮宝燈……役満だ」

「おいおいマジかよ、オメェイカサマしやがったな?」

「やってねえよ……。だが不吉だ、今日に限ってなんだって……」

「……? どういう意味だ?」

「九連宝燈は、アガると早死にするっていう迷信があるからな。いやアルク、マジで気をつけた方がいいぜ」

 

麻雀だ。メンバーは次の通り。ニェン、ヤトウ、ノイルホーン、俺。

 

「ああ、昨日のアレかぁ? くく、ありゃ酷かったなぁ、久々に大笑いしちまったよアタシ」

「ニェン……。お前、何か知ってんのか? 俺が覚えてる限り、お前居なかったよな」

「酒のあるところにアタシもいる。そういうことさ」

「酒カスのニートが……。一体何があったってんだ?」

「あの堕天使がオメェを部屋まで運んでったのさ。だがオメェはまた戻ってきてゲロ吐いて床で寝てなあ。オメェが水くれっていうから、アタシは親切にウォッカを飲ませてやった」

「人間のクズがこの野郎……」

 

ニェンは悪びれもしない。こいつぶっ殺そうかな。

 

「そういやオメェ、ベロベロで何か叫んでたなぁ。なんだっけか──ヤンデレはもう嫌だ、とか理性が足りない、とか。その後もっかい堕天使が来てな、オメェを抱えてどっか行っちまってからはアタシも知らねえ」

「明らかに終わっているのではないか?」

「だな、やっちまってるぜそれ」

「じゃあなんでエクシアが寝てたんだよッ!? なんでだ、一体何があったってんだよぉッ!」

「人ってのは何百年経っても変わらねえな。酒で人生狂うヤツなんぞ幾らでもいるってことさ。両手に花は男の甲斐性、ちゃんと責任取ってやれよ。チー」

「……まだ、可能性はゼロじゃねえ。終わってねえはず……、そうだ、フロストリーフはどうだったんだ。あいつが居たなら止めていたはずだッ」

「アタシが飲ませて潰しといてやったぞ、感謝しろ」

「お前マジでロクな死に方しねぇぞ、地獄で悔いろ。ポン」

「すまない、ロンだ」

「あーマジかよ、三筒だったか……」

「えーっと、ザンクだな。……もう全部不吉だ」

 

三千九百点。通称ザンク、斬苦……? 俺はそうやって死ぬのか?

 

「ラップランドが関わってないのが、せめてもの救いだな……」

「何を言っている、さっきラップランドがアルクを探していたぞ。ずいぶん楽しそうな笑顔だったが」

「あああ終わった……死ぬんだぁ……」

 

食堂へ行くのが怖い。万が一誰かと遭遇してしまった時の想像がしたくない。

 

スポットは言った。今日一日を生き残れば後はなんとかなるって。それを信じよう。

 

「てかよ、お前ら仕事ないの? 暇なの?」

「こうやって麻雀してる時点で暇だよ。今日は非番だ」

「アタシはいっつも非番だけどな」

「そいつが毎度毎度、私が仕事している時に麻雀の誘いをしてくるの、なんとかして欲しいんだが」

「はぁ──……助けろ」

「オメェがダブル……いや、トリプル役満アガったら考えてやってもいいな」

「聞いたことねえわクソが。どんなだよ」

「天保四暗刻大三元とかじゃね? ロマンしかねえな」

「出来るか、死ね」

 

ロドスに麻雀部屋があることは、あんまり知られていない。というかニェンが勝手に作った。バレたら怒られるだろうが……その分、この場所を知るヤツは少ねえ。ここなら見つかりにくいという算段もあった。

 

「……てかよ、実際マジでどうすりゃいいんだ」

「全部オメェが撒いたタネだろ? 自分で刈り取るのが、責任ってもんだろうよ」

「……マジか。はぁ──……」

「何が不満なんだよ? いいじゃねえか、どいつもこいつもいいヤツだろ? それにツラもいい、なんの問題があるってんだよ」

「そりゃ、可愛いのは認めるが……。ラップランドなんかひでえぞ? サイコパスだからな」

「戦場とオメェの前だけだろうが。殺される前に手ェ打った方がいいんじゃねーの」

「実際このままなあなあじゃ済まねえだろ? アルク、どうにかした方がいいのは確かだぜ」

「……どうにかして煙に巻きたい。なんならそのまま逃げたい」

「死んだ方がいいな」

「死んだ方がいんじゃね?」

「死んだ方がいいぜ」

「クソがっ! お前らはあいつらのことを知らねえからそんなことが言えんだよっ! ポン!」

「悪ィ、それロンだ」

「またかよッ!」

 

感情に引っ張られて麻雀が雑になってきている。落ち着け……。缶コーヒーを飲んで一息付く。落ち着いた。

 

「エクシアと、フロストリーフはいいんだ、まだ……」

「何がだ?」

「なんつーか、マトモ寄りだから……。殺されはしないだろうってタカを括ってる。でもモスティマとラップランドはマジでヤバい、殺される……ッ」

「モスティマ……あいつがか? イメージつかねえな」

「あいつはやるつったらやるんだよッ! なんつーかな、こんなこと言うと俺がクズ野郎みたいで嫌なんだが──」

「もうクズ野郎だ、安心しろ」

「モスティマは大分俺に依存してんだよ! いいか、想像よりやべえぞ!?」

「依存〜? とてもそうは見えねえぞ」

「あいつ、最近マジでヤバいんだよ! ハイライトがよく消えんだよ、マジで怖いんだって! 特にエクシアが居る時はヤバい、この前なんて時闢きの白き鍵(スキル3)撃ってきたんだぞ!? 俺が何をしたってんだよぉッ!」

「あれだろ、嫉妬じゃねえか。可愛いもんだろ」

「違う、あれは嫉妬とかそういう普通の感情じゃねえ、もっと恐ろしくて──うわあああああああ!」

「錯乱してんな。こいつ大丈夫か?」

「……悪い、最近ちょっと不安定なんだわ。落ち着いた……悪かったな、最近理性ねえんだ」

 

睡眠時間が不安定で、ちょっと精神が安定しない。それ以上に日々が落ち着かない。安定した日々がないと、結構不安に飲み込まれる。俺は学んだ。理性回復剤が欲しい……。

 

「……俺は、昨日何をした? 何が……なんで……?」

「すげえ顔してんな」

 

扉が開いた。俺は反射的にそちらを見て──安堵した。違った、良かった……。

 

「お、おったおった。ニェン、ヴァルカンが呼んどったでー」

「あん? ヴァルカン……あー、そういやそうだったっけな。試作品作ってもらってたんだった。悪ぃ、あたしはここで一抜けだ」

「マジか。三人戦すっか?」

「ウチも入れてーな。ちょうど暇やねん」

「ちょうど埋まったな」

 

クロワッサンがニェンの席に座った。

 

「お前麻雀出来んの?」

「ウチが何年龍門におったと思っとんねん。百戦錬磨やで?」

「風の噂で、賭け麻雀で捕まったと聞いたことがあるが、本当か?」

「……ええやろ別に、人が自分の金で何しようが。カツカツやったんや、しゃーないやろ」

「で、勝ったのか?」

「大負けや。あれのせいでウチ、その月すっからかんやったんやからな」

「言っとくがここで賭けなんてしねえからな」

「やらんって。……あ、でも──ええこと思いついた。アルクはん、昨日は酷かったらしいなぁ」

「……なんだよ」

「覚えとるか怪しいんやって? ウチが、昨日のこと隅から隅まで教えたろか?」

「なんでお前が知ってんだよ……」

「エクシアはんから聞いたんや」

「……どうしろって?」

 

クロワッサンはニッコリ笑った。

 

「やから、それ賭けてやろうや。そーやな──アルクはんは負けたら奢ってや。それでどうや」

「奢るっつってもな。何をだ?」

「今夜な、うち含め数人で飲もうっちゅー話があんねん。そこ全部奢ってくれへんか?」

「俺が負けたら、な。ま……そう簡単に負けてやらねえぞ?」

「おい待て、俺とヤトウは関係ねえぞ?」

「まあそっちの二人はなんも無しでええやろ。点数高い方が勝ち、それでええな?」

「きっちり全部教えてもらうぜ。ああ、最初に確認しときたいが……エクシアってこの麻雀部屋知らねえよな?」

「知らへんよ」

「安心したぜ。じゃ──やるか」

 

勝負の結果。

 

ボロ負けした。

 

……なんで? そこは勝つ流れだろ?

 

「いやー、弱いなあアルクはん。弱すぎや」

「今日はいつもにも増してひでえな。危険牌が見えねえのか?」

「俺今日ダメだぁ……」

「まあでも、今日の財布確保やな。たんとお金下ろしとき、全部使ったるからな」

「ああ……。マジか……」

「いやー、景気のええ日や。今日は飲みたい放題やな。サイコーや」

「まあ教えてやってもいいんじゃねえか? このままじゃこいつ死ぬかもしれねえんだ」

「んー。まあ、それもそうやな。奢ってもらう身やし、教えたるわ。あんな、昨日アルクはんえらい飲んどったらしいやん? でな、なんやエクシアはんにこう言ったらしいんやわ。”助けてくれ”ゆーてな。エクシアはんはなんぞ、自分が眠るまで見守っとったんやと」

「……訳が分からん。もう訳が分からん。なんでそれでああなんだよ……」

「そら一つしかないやろ。そんなん聞くんは男としてアカンって」

「待てよ……それは最後のラインなんだよ。そのラインを超えたらやべえんだ、それだけは……」

「ええやん、据え膳食わぬはなんとやらっちゅーヤツやん」

「……いや、出してないはずだ。俺は……手ぇなんか、出してねえ……。どんだけ酔っ払っても、それだけは……」

「意気地なしやなぁ。ええやん、やったれや」

「人ごとだと思いやがって……ッ」

 

クロワッサンは対岸の火事を眺めていた。俺のことだ。笑ってやがる。

 

「あ、一つ大事なこと言い忘れとったわ。あんな、自分エクシアはんに助けて、ゆーたやん? ほんでな、エクシアはん──ほな代わりに明日一日付き合ってって頼んだらしいんやわ」

「……」

「でな? アルクはんオッケーやゆったんやってな」

「カン。ツモ、嶺上開花。満貫、四千点オール。すまない」

「あり得ねえ……」

 

どっちに向けた言葉だったのか。

 

俺たちはヤトウに四千点支払った。また最下位だ。

 

「そうか、それでスポットのヤツ……。確かに今日はまずい、なんつーか……ほとぼりが収まるまで、余計な刺激は避けるべきだ……。エクシアには悪いが、俺の命の方が大事だし──」

「まあ──早いとこ結論出さなアカンで。エクシアはんがかわいそうや」

「あのな、言っとくが……俺はちゃんと口に出して言ってんだぜ。悪い、俺はお前とはそういう関係になれねえって。そしたらどうなったと思う?」

「どうなったんだ?」

「実弾入りのマシンガン突きつけられたよ。笑顔でな──”逃さないし、逃げられないよ?”ってよ……そん時の俺の気持ち、分かるか?」

「……悪い、ロン。……跳満だ。マジですまねえ」

「ああ、ちょうどこんな感じの気持ちだ。なんつーか……ドライブしてたら真横から追突されたみたいな、そんな感じの」

 

俺は一万八千点ノイルホーンに支払った。点数がマイナスになってこの試合は終了。さっきから最下位しか取ってない。

 

この先の未来を暗示しているようで怖かった。マイナスになるまで点数を剥ぎ取られて、それから──。

 

それから、それから……。俺は……。

 

「俺……どうなるのかな。これから先、どうなるんだろうな」

「強く生きろ」

「流石に同情する」

「頑張ってぇな。見とる分にはおもろいから、どんどん続けてくれてええよ」

「クソダサ肉シャツ守銭奴が……」

「お、そんなこと言ってええの? 今夜の支払い額倍にしてもええんか?」

「……。俺も好きに飲むからな」

「今日ぐらいは控えた方がええんちゃう? ジュースかノンアルにしといた方がええで? いや、これはウチ、ホンマにそう思うで?」

「今の俺から酒を奪ったら、一体何が残るってんだ……」

「アカン、ヤケになってはるがな……」

「アルクお前、明日は任務あっただろ? 昨日みたいな飲み方はやめといた方がいいぜ」

「分かってるよ、それぐらいは弁えてる……。いやマジで、マジだって。だけど……酒が飲みたい。忘れたい……」

 

どうしようもない悪癖だった。俺は酒に強いが弱い。

 

本当に、どうしようもない悪い癖だ。またフラグかよ……。

 

「ちゅーかお腹減ったなぁ。そろそろお昼ちゃうんか? 食べ行かへん?」

「だな、食堂行くか?」

「……俺は行かない。ノイルホーン、なんかカロリーメイトかなんか買ってきてくれねえか」

「まあいいけどよ。一日中ここに篭るつもりか?」

「なんやつまらんなぁ。せや──モスティマはんあたりに教えたろかな。アルクはん、ここおるって」

「お前……俺よりよっぽど悪魔向いてるわ。種族変わるか?」

「ええなあ、そっちのツノの方がカッコええわ。変えよーや」

「アホか。……いや、冗談だよな?」

「せっかくこんなおもろい状況なんや、一緒に食堂行かへんか? 奢ったるで、特別や」

「脅しか?」

「せやで? 来ぉへんのやったら──どーするか迷うなぁ。モスティマはんかエクシアはんか……フロストリーフはんでもええかなぁ。ラップランドはんに教えたら……どーなるやろ。試してみよか」

「クソが……。行く、行く。分かったよ……。ノイルホーン、盾になってくれ」

「悪ぃ、だから鬼にだって怖えもんはあるんだよ」

 

ビクビクしながら俺はロドスの食堂へ行った。

 

……一人で来るよりかは、マシだったかもしれない。

 

クロワッサンは本当に奢ってくれた。四人で席に着く。俺はなるべく見つかりにくい所に座った。入り口に背中を向ければ、いきなりバレることはないはず。気休めだ──。

 

ロドスには大勢のオペレーターやスタッフがいる。今だって食堂にはかなりの人数がいる。パッと見て俺がいるって分かるようなもんじゃない。

 

「まあ全員囲ってまえばええやん。ハーレムなんか男の夢やろ?」

「囲われてんのは俺だよ。包囲網だ」

「同情の余地はあんのかないのか、判断に迷う所だな」

「ないだろう。話を聞くに、ずるずる引き伸ばしてきたアルクが悪いのではないか」

「やっぱそうなる〜? いやさ、だってさぁ──愚痴なんだが、俺の人生大体シリアスだった訳よ。だからなんつーか、あいつらとの縁もシリアスな訳よ。──だから、めちゃくちゃ重い」

「お、本性現しおったな」

「考えても見ろ、フロストリーフのヤツ、再会してから一ヶ月毎日俺にべったりだったからな。おはようからおやすみまでずっとだ。寝てる間もべったりだ。おまけに時々寂しそうな顔するから口出せねえ……」

「ええやん、可愛いなぁ。ウチにもしてほしいわ」

「代わりたいんなら代わってやるよ。寝てる時、ずっと一人分の体重が上に乗ってんだ。意外とキツいぜ、それにあいつ、結構体デカくなっててさぁ……」

「よぉそれで手ぇ出さへんかったな。逆に尊敬するわ」

「だろ? 俺の中ではガキなんだって。だがまあ、体は随分成長してたのは驚いたけどな」

「ムラッとせえへんの?」

 

クロワッサンが興味深そうに聞いてきた。

 

「しない訳ねえだろ。大体さあ、あいつマジで無防備通り越して攻撃的だっての。だが俺から手ぇなんか出せる訳ねえ。ガキだガキ、五年後に出直してこいって話だ──」

「……あっ」

「おい……」

「あいつ酒入るとブロック数ゼロになんのかな。全力で抱きついて離そうとしねえのよ。なんつーか、めっちゃ犬に懐かれてる飼い主みたいな感覚になっちまってさ──」

「そうなのか。じゃあもっと私と一緒にいるべきじゃないか? 飼い主なら責任を取るべきだろう」

「あのなあ、一応お前ロドスにいんのならちゃんとやることやってから──……え?」

「楽しそうだな、アルク。──私といる時より楽しそうに見える」

「……スゥ──────。よぉフロストリーフ。どうした?」

「なんでアルクの部屋に、エクシアがほぼ裸で寝ていたんだ。答えろアルク」

「……。…………。………………」

 

ノイルホーンが小声で呟いた。

 

「なんか寒くねえか?」

「アーツだろう」

「ひえーっ、こんな冷えるんか。可愛い顔して恐ろしいなぁ」

 

他人事って羨ましいな。

 

本当に──。

 

「なあ、答えてくれ。どうしてだ」

「……俺が聞きたい」

「なんだと?」

「俺が聞きたい。……なんでなんだろうな。どこで間違えたんだ? 俺は──どこで、」

「なら、一つ解決法がある。私に任せておけ」

「……どうする気だ?」

「決まっている。私がアルクとずっと一緒にいれば、その問題は解決する」

「なんで……?」

「? なんでって、変なことを聞くな。私はアルクの相棒だ、ならそれで解決だろう?」

 

背後のフロストリーフが、椅子に座った俺に絡みつく。冷たい冷気が俺を襲う。

 

俺は正面のクロワッサンに視線で助けを求めた。

 

クロワッサンは目を逸らして口笛を吹いた。戦慄しているようにも見える。

 

……論理が破壊されている。どうしてこうなるまで放っておいたんだ……? 論理回路が壊れている。

 

どうして……。

 

「ま、まあ……落ち着けよ。昼飯、これからだろ? 俺ほら、今……メシ、そうだ……今メシ食ってるからさ……」

 

ついに俺の言語機能まで毒されてきた。

 

「? 見れば分かるが」

「そうだな、見れば分かるな。うん……。……座るか?」

「ああ」

 

俺は隣の席を引いて、フロストリーフが座りやすいようにした。フロストリーフは俺の膝に座った。

 

「うん……。美味いな、悪くない……」

「俺の……なんだけど……?」

「ああ、すまない。ほら、こっちが私のだ。代わりと言ってはなんだが、食べていいぞ」

「え、ああ。うん……。え? ……うん、──?」

「俺たちは今、何を見せられているんだ?」

「これは……アカンなあ、甘く見とったわ。ウチ、藪蛇つついてもうた……?」

「なんとかしてここから脱出しよう。幸い、アルクが引き付けてくれている」

 

三人は小声で話し合っていた。俺を除く三人は視線をかわして、一斉に食事を進めた。

 

「おいおい……? どうした、そんなに急いで食うなよ……。ほら、ヤトウ? お前そんな急ぐキャラか? ノイルホーン、ラーメンは飲みもんじゃねえぞ? クロワッサン、どうしてもう平らげてるんだ?」

「ウチら、急用を思い出したわ! 悪いなぁ、ほな──あとで連絡するわ、ほなな!」

「悪い」

「すまない」

「──。嘘だろ……」

「急用か。では仕方がないな──」

 

終わった。フロストリーフはもう壊れている。

 

どうしようもない。膝に乗っかったガキ一人が、とてつもない重りみたいになって動けない。なんというか、物理的にどうこうじゃなくて……もっと違う。これはなんだろうか?

 

「……食べないのか?」

「え?」

「ほら、私が食べさせてやる。口を開けろ」

「──?」

 

膝に座ったまま器用に振り向いて、フロストリーフは肉炒めを俺の口まで運んだ。あれ……。

 

俺は……?

 

俺はぼんやりと開けた口に肉を放り込まれた。何か本能的な部分で咀嚼して、飲み込んだ。意識が飛びそうだ。

 

「まったく……。仕方がないな、アルクは。私がいないとダメだ。ほら、もっと食うか?」

「あ……? あのさ……。え……? 自分で、食える……から」

「? いや──ダメだろう? アルクは私がいないと──」

「え? ……そう、なのか……? 俺は……」

 

正常な思考が乱されていた。もうどうにかなっちまいそうだ。

 

「そうだ。お前は私がいないとダメなんだ。本当に仕方ないな」

「あのさ、さっきから寒いんだ」

「じゃあ、後で私が温めてやる。私の部屋に行こう。大丈夫、ちゃんと温まる」

「なんで……?」

「全く、さっきからそればかりだ。一体どうした? 調子が悪いのか?」

「そうみたいだ……」

 

完全にペースを握られていた。

 

俺はフロストリーフの雰囲気に呑まれて正常な思考ができなくなっていた。

 

……食堂の喧騒が遠い。

 

「本当に……。昨日、ちゃんと言ってくれたじゃないか。俺はお前がいないとダメなんだって」

「……ああ」

 

そうか。俺は今日死ぬんだな。

 

穏やかに、幸せそうに微笑むフロストリーフを前にして、そう思った。

 

 




・ニェン
今回のMVP
酒クズのニート。人に酒を飲ますのが得意。相当な畜生キャラになってしまった。なんで?(率直な疑問)

・ヤトウ
地味だけどこの人めっちゃ好きです
ロドスでも古株みたいですし、なんか……好き……

・ノイルホーン
今回の被害者

・クロワッサン
準MVP
かわいい
服がえっちい
早く来い

・フロストリーフ
こわれる
こわれた
まさかこんな風になるとは……。書いててびっくりしました

・アルク
主人公。クソ雑魚雀士。
そろそろ死にます

・最近理性ねえんだ
いっつもない

・麻雀
雀魂面白いです。Yostar繋がりがあったり
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。