☆海上航行中デッカードラモン号、甲板
「うーーーんっ、うーーーん?、むむ・・・」
「華恋ちゃーーーん!、そろそろ降りて来てーーー!」
「ほんま、煙となんちゃらは高い所がお好きどすなぁ」
「風が強くなってるデスぅ!、もうすぐ嵐が来るんデスぅ!、危ないデスぅ!、早く見張り台しまうデスぅううう!」
「アア?、なんでわかんだァ?」
「風の動きと空模様についてだけはそいつの読みは当てになると思うよ
うん!、それだけは!、ね・・・!」
「ドルモンってさぁ、なーんかブイモンへの当たりがやけに強くね?
それと、自分のパートナーばななに丸投げしてていいのか?」
「うん?、なら君は何をしているのかな?」「「・・・・・・・・・はぁーーーーーー」」
甲板上で双葉とドルモンは溜め息をぶつけ合う。
「純那ちゃん、お水飲める?
・・・・・・・・・そっか、今は難しいんだね
・・・・・・・・・ううん、気にしないで
しょうがないよ、まさか地形が変わってたなんて誰も思ってなかったんだから」
〔「す、すまんのぅジュンナさんも竜の始祖様も
ワシがウラルに渡った時はギリギリ犬かきでどうにかなる距離だったんじゃが・・・」〕
想定された以上、あるいは到達出来るかが不安になる船旅を強いられすっかりグロッキーな自分達のパートナーを思えばさもありなん。
「アッハッハァ☆、体を得てから炎のは水が大のニガテだからね!
まさか、純那ちゃんまでそのレベルだったとは思わなかったけど、実はあの子も火属性?」
「そんな事より早くカレンを降ろすデスぅ!
嵐が来てからじゃ遅いデスぅ!、デッカードラモン号が沈んだらどうする気デスぅ!?」
「毎日ああしてひかり殿とやらを探してよく飽きないで御座るな
最も、拙者には全くもって関係ないのだが」
「・・・・・・・・・私の時より酷いのかも」
「あああーーーーーー!!!!!!」
「うおっ!?、なんだよ急にデカい声出して
まさか、マジで神楽見つけたのか!?」
「ぬぅぅ!?」
「え、本当に!?」
「ばななちゃん!
それに、純那ちゃんとフレイモンも・・・
大丈夫?、なのかな?」
「だい、じょうぶよっちゅじゃきさん!
ふなよいとかじゃ、ないから!」
「みじゅさえ、しかいにいれなければ!
もんだいは、ない!」
「うん?、ここ見渡す限り海しかないよ?」
「なんでもいいからはイヒャイイヒャイ!」
「あんさんはちょお黙っとき
華恋はーーーん?、何が見えたーーーん?」
「みんなーーー!、たいへんたいへーーーん!
あっちに海賊船が居るーーー!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ!?』
「!、ドルモン!!」
「うん」
純那は水への恐怖を一時的に封じ、ドルモンから受け取った双眼鏡で華恋が望遠鏡で見据える先を覗いた。
「2本のマストに横帆を備えた帆船、確かブリッグだったかしら?
そして何より、旗と帆にはドクロのマーク!
一般的にイメージされる海賊船そのままね!
くっ、こんな状況じゃなければ貴重な体験を素直に喜べるのにッ・・・・・・・・・いえ、海賊なんだもの海上に現れるのは至極当然の事
とにかくワーお爺さん!、あの船から離れましょう!
今から進路を変更さえすれば鉢合わせにはならないわ!」
「そ、そうだな!
無用な争いは可能な限り避けなければ!」
〔「わかっておる!
わかっておるんじゃが、のぅっ」〕
「なんかーーー!
どんどん近づいて来てるよーーー!」
〔「あちらさん、センサーの反応から見ても明らかにこちらを狙っておるぞい!」〕
「ま、まだ敵と決まったワケじゃないわ!」
「ソ、ソウダナー!」
「炎の、君気配でわかってんだろ?
ってか、そんな目立つ印つけて堂々としてる時点でレイド帝国の傘下なのは丸わかりじゃね?」
「「 」」
「あああーーー!!!、大砲撃ってきたーーー!!!
わわわぁーーーーーー!!?」
「!、華恋殿!!」
砲弾が見張り台を掠めるとそこにある神機から赤い粒子が降り注ぎ、リュウダモンはギンリュウモンへと進化。
空中を軽やかに飛び回り、飛び交う砲弾を鎧で弾き砕いていった。
「無事で御座るか!?」
「うん!、さっすがリュー君!
ぐっどぐっど、だよ!」
「ぬぬん?!
こ、これぐらいはパートナーとして当然の事ッ」
「おい!、華恋!
今飛べんのそいつしか居ないから大砲の方なんとかしてくれ!」
「え?、ヴリトラモンとかドルガモンは・・・・・・・・・あ」
「「イ"イ"イ"ーーー!!?」」
「じゅ、純那ちゃん落ち着いて!
掠っただけだから!、沈んだりしないわ!」
「見ての通りだ・・・」
「うん・・・」
「わ、わかった!、お願いリュー君!!」
「ま、任されよッ」
「華恋ちゃん!、これ!」
見張り台からパートナーに飛び移れば、甲板からまひるがPossibility of Pubertyを投げ渡してくれる。
「みんなの分も持ってきたよ☆、ほぼマヒルチャンがね!
んで、オジサンが唯一運べた弓なんだけど
使える?」
「だだいひょうっい"やぁあああっ!?」
「あああたたた!、あたったぁ!?」
「ダメダコリャー☆」
「ストラビモン!、2人で遊ばない!」
「ハイハイ☆、っと!」
「《メタルキャノン!》」
注意されながら緑の幕に潜り込み、ヴォルフモンへと進化。
ドルモンと共に《リヒト・クーゲル》でデッカードラモン号に迫る砲弾を迎撃していった。
ゴポポ・・・・・・・・・
甲板上で舞台少女とそのパートナーが奮闘する最中、海中から迫る複数の影。
「「「《バブルボム》」」」
『!!?』
〔「機関部!、何があった!?」〕
〔「お、さ!
敵襲、です!、シーサモンが、負傷!
浸水箇所ッ、複数!
現在、ドーベルモン、が敵、封じ込め!
ガルルモン、グルルモン、急遽、溶接中!
そして、自分はッ
頑張って、動力回してまーーーす!!!」〕
〔「くっ!、いかん!
お前さんだけでは通常航行もままならん!
何より、これ以上艦底にダメージを受ければデッカードラモン号は・・・!」〕
「お爺さん、それ以上は言わないで
大丈夫、もう近づけさせないから
ね?、ライアモン」
「ケッ!」
「純那ちゃん一緒に中に入ろ?、ここに居てもみんなに迷惑かけちゃうだけだもの」
「な、ななぁ・・・」
「す、すまない!、オレも!」
「うん、下のワンちゃん達のお手伝いをお願いしちゃいます♪
じゃあ、みんな」
「うん!、こっちは任せて!」
「うちの船に土足で踏み入った不届き者の始末は頼みますえ」
「はーい」
顔が真っ青な純那とフレイモンを引き連れてななは艦内へ。
「《サンダーオブキング!》オラァ!!」
『ギャアアアアアア!!?』
直後、海中から忍び寄ってきたダイバー・デプスモン達をタテガミからの電流が襲う。
〔「始祖様!、件の船から倒した分と同じ数の敵が出てきていますぞ!」〕
「今回は無限湧きかー、元絶たなきゃダメな
奴だけど・・・・・・・・・ハテハテフムム」
「だったら乗り込むっきゃねーだろ!?
白兵戦だ!」
「せやね、今度はうちらがあちらさんにお邪魔する番どす」
「ふぇええええええ!?、でも!、だって!
ふぇええええええん!、ボッチーーー!」
「諦めろ、そしてその呼び方やめろ青瓢箪ッ
それに、この状態で嵐に巻き込まれてみなよ
君、確実に海の藻屑になるね、うん」
「何してるデス!、とっととあの船沈めて
ここから離れるんデスぅうううううう!!」
「わかった!、わかったから!
えっと私と双葉ちゃんと香子ちゃんとブイモン
それから」
「か、華恋殿
流石の拙者も、今言った以上を乗せて飛ぶのはその、難しいのだが・・・?」
「じゃ☆、オジサンとマヒルチャンはお留守番!
ここは任せて先に行け!、なんつって☆」
「もぉっ!、こんな時までふざけないの
しかも本当は真面目に考えて言ってるのに・・・」
「うん、こいつはそういう奴だよ
ギンリュウモン、ボクも残る
なるべく早くに片をつけて欲しい」
「任されよ!」
舞台少女3人とブイモンを乗せギンリュウモンは砲弾飛び交う海上を滑るように飛んでいく。
「キャプテン!、前方より敵影を確認!」
「数は?」
「1!、ですが背中にニンゲンが3!
ちっこいのが1!」
「そんだけ重りがあっちゃ避けれまいて
一斉掃射だ!、撃ち落とせーーー!」
『アイアイサー!!!』
すると、海賊船からの射線が集中。
「ッ・・・・・・・・・左、デス」
「ぬん?」
「リューはん、とにかく言う通り飛んで!」
「あ、あいわかった!」
ブイモンの呟き通りに飛べば迫り来る砲弾の雨が
スリ抜けていった。
「次、斜め上、デス」
「ブイモンすごい!、すごいよー!
ドルモンが言ってた通り!」
「あ、あの程度の砲撃!
拙者の鎧ならばどうという事は!」
「ドルモンから早く済ませろって言われたろ?
一々受け止めてたらその分時間を食っちまう
そしたらその分、星見とフレイモンが・・・」
「「「「ああー」」」」
☆デッカードラモン号、機関部
「グ!?、ギ!」
「これで全部?」
「は、はい!
助かりましたナナさん!」
「気にしないで
純那ちゃん、そっちは 」
「「イ"イイイイイーーーーーーッ!!!」」
「オオオゥン!?、どっちもヤッベ!
ガルル!、コレマジヤッベくね!?」
「無駄口叩かず伏せとけグルル!、でないと」
「グエッ?!、ア"ヅ!」
「「シーサモーーーン!?」」
入り込んだ水を炎で蒸発させ、その隙に機関部に空いた穴に投げつけた鉄板を射抜いて固定しているのだが・・・どっちも何かもう色々イッパイイッパイ。
「「ハァッハァッハァッ・・・!!!」」
「ふ、2人共お疲れ様
これでもう安心 」
ピューーー・・・
「あ」
「「アアアアアアアアア!!!???」」
☆海賊船付近の海上
ザァアアアァアアアァアアアッッッ!!!
「ちょおっ!?、ほんまに嵐来よった!?」
「だからブイ何度も言ったデスぅううう!」
「それでもここまでとは思わねぇよ!」
「何が来ようが関係ない!
レイド帝国に与する海賊共!、御覚悟!!」
「ま、待って!
リュー君すとっぷすとっ 」
「《パイレーツパニッシャー》」
「んぬ!!?」
「「「うわぁあああ!?」」」
「ふええええええ!?
・・・・・・・・・ぇ"?」
突如発生した豪雨と強風。
どこからともなく放たれた弾丸はソレらを容易く引き裂き、鎧竜を穿って背中に乗っていた3人と1体を落とす
『ガチガチガチガチガチガチ!!』
青い鮫のようなデジモンが群がる海へと。
「 」
「ガッ!?」「チン!」「チイ?!」
すると、海面スレスレで桃色の幕が展開され
それを突き破って現れた白目の蒼竜が舞台少女達を引っ掴み、鮫達を踏み台にして海賊船まで駆け抜けた。
「ぶ、ブイはん ありが」
「
!、!?、!!、ふぇええええええん!?
いつのまにか囲まれてるデスぅうううううう!!?
ブイはもうおしまイヒャイイヒャイ!?、イヒャイエフゥウウウ!」
「だから!、それは後にしとけ香子!
にしても、まさか全員船長とか
言わない、よな・・・?」
『その通り!、船長は我々だ!』
「ええええええ!?
い、いくらなんでも多すぎだよぉ!」
雨が叩きつけられ風が吹きつける甲板上には
右手がフック状のカギヅメ、左手がキャノン砲をした自称船長なデジモンが沢山。
「ならば!、全て倒すだけで御座る!
《徹甲刃!!》」
「ぐわぁ!」
「!?、ギンリュウモン!、やり過ぎだ!
今の槍、船底までいったぞ!?」
「この船さえ沈めてしまえばデッカードラモン号は安泰!、一石二鳥で御座ろう!?」
「はぁあああっ!?、それだとうちらはどないなるん!?」
「海にウヨウヨしてるのに食べられちゃうデスぅううう!!、もっとよく考えなきゃダメデスぅううう!!」
「ぬ!、そ、それは・・・」
「リュー君上!」
「「「「ヨーホーーーッ!」」」」
甲板に気を取られていたギンリュウモンをマスト上から飛び掛かってきた海賊達が襲う。
「ぬあああ!?
こ、こんなモノ!、ぬぐぅっ!」
『ガチガチガチガチガチガチ!!!』
フックに引っ掻けられていた鉄網にがんじがらめにされた挙げ句、海に引き摺り込まれた鎧竜に群がる鮫。
「リューーーくーーーん!!?」
「んもぅ!、しゃーないなー
ブイはん、はよ助けたり」
「そんな!、ヒマ!、ないッ!、デス!
大体!、今のは!、あいつの!、ジゴー!、ジトク!、デスぅううう!!」
「・・・・・・・・・言われてみれば確かに」
「だな、あいつの鎧ならそう簡単にやられなさそうだし」
「えええ!!、わわわ!?
ううっ、リュー君ごめんねぇ
後で絶対!、絶対助けるからーーー!」
雨風に晒され、大きく揺れる甲板上にてブイドラモンが肉弾戦で暴れ回り
その隙を狙おうとした海賊は薙刀、ハルバート、サーベルの餌食となっていった。
「流石ウラルを制したお尋ねモン共、一筋縄とはいかねえか」
『キャプテン!』
「あ、やっぱちゃんとした船長居たな!」
「そう、その通り!
この海賊船の船長キャプテンフックモンだ!
《パイレーツパニッシャー!》」
「!、今のって
さっきリュー君を撃ったの、あなた?」
「だったらどうする?、ニンゲン!」
「・・・・・・・・・!」
「ハーッハー!、どうしたどうした?
足元がフラついてるぜぇえええい!?」
「「華恋/はんッ!」」
他の海賊とは一線を画すキャプテンフックモンの漸撃と銃撃のコンビネーションに華恋は次第に押されていく。
「「「「ヨーホーーーッ!」」」」
更に、パートナーと同じように頭上から鉄網が。
「「「「ヨホ?」」」」
だが、網には何もかかっていない。
その下にあるのは、丸く斬り取られた甲板だけ。
「か、カレンどこ行ったデスぅ!?」
「どこって、そりゃ船ん中だろ?」
「華恋はんにしては頭使いましたなぁ」
「・・・・・・・・・ニンゲンってどうしてそんなに感覚鈍いんデス?」
「「は?」」
「ハーッハー!、そっちの青いモンの言う通り!
この船は我々帝国により、内部は部下共の生産プラントになっている!
倒したその瞬間から湧いて出るんだ、今頃あのニンゲン食い尽くされてるだろうよ!」
「「はぁあああっ!!?」」
「そんなんいくらなんでもインチキ過ぎとちゃいます!?」
「華恋!、華恋!、聞こえるか!?、返事しろ!
くそ!、ダメだ何も聞こえねぇ!」
「おいおい、そっちの心配ばっかでいいのか?
海の上で自分達の船を忘れちゃあ御仕舞いよ」
「「「!!?」」」
キャプテンフックモンの嘲笑と共に海賊船から一斉に砲撃が放たれる。
「よし!、大体コツが掴めてきた!」
「・・・・・・・・・ねぇ、君のパートナー
大砲打ち返して別の玉にぶつけ始めたんだけど?
あの棒何製かな?、ううん?」
「隠士殿、あの棒については深く考えるのはやめておいた方がいいと思うんだ
少なくとも、オジサンは考えるのをやめた」
「オラァアアア!!!
トカゲ野郎共何チンタラやってんだァ!?」
〔「お爺さん!、今怪我した子以外みんなで回してるの!、これなら逃げられるんじゃない!?」〕
〔「速度はあちらさんの方が断然上じゃ!、振り払えん!」〕
〔「ッ!!?、純那ちゃん!!
そんな!、ダメ!
ちゃんと息をして!、ねぇ!?」〕
強風、荒波、砲火、水爆と苛烈な攻撃に晒され続けるデッカードラモン号
と、1人と1体の限界が近い。
「や、やっぱりレイド帝国を倒すなんてムリだったんデスぅうううううう!!」
「そう!、その通り!
なぁ、青いモン
そこのニンゲン2体を差し出せば
お前の命だけは助けて おっとっと!」
「か、カオルコ・・・フタバ・・・」
俯くブイドラモンの前に並ぶは舞台少女の背中。
「はぁーあ、なーんでうちのパートナーがあんな泣き虫で弱虫なんやろ?」
「あたしはピッタリだって思うけどなー
実際、先にブイドラモンが弱音吐かなきゃ香子だって今頃泣き言言ってたろうし」
「な!、そ、そんなわけありまへんえ!
いい加減な事言わんと、はよあのインチキ船長倒さな!」
「ま、そういう事にしといてやる・・・よ!」
「はっ!」
「こ、こいつら・・・!」
降り注ぐ雨を弾きながら甲板上でキラめく
水仙花とDeterminater。
2本の長物による連携をキャプテンフックモンは左手の錨と右手の長銃で捌いていった。
『キャプテン!』
「・・・・・・・・・ッ、させない!、デス!」
「んなっ!?、何故!」
「お前はもう諦めた筈!?」
「道が造られたから!、デス!
《ハンマーパンチ!》」
幼馴染みコンビに活路を見出だしたブイドラモンは再び戦意を取り戻し、露払いに勤しむ。
「・・・・・・・・・ほんま手のかかる子やわー」
「ああ、誰かさんにそっくりだ」
「双葉はん?」
「なんだよ?」
「我々相手に余裕を見せると痛い目を見るぞ?《レイジギガアンカー!》」
「「それは」」
「!!?」
「こっちの!」
突っ込んできた錨に絡みつくハルバートの柄
。
キャプテンフックモンの勢いを利用した双葉の投げ技は体格差も悪天候も不安定な足場も物ともしない。
「台詞!!」
「ガッッッ!"」
空中を漂う船長目掛け、跳躍した香子が放つ
優美さと豪胆さを兼ね備えた一閃。
断末魔の叫びと共にキャプテンフックモンは胴体から真っ二つにされ、削除されるのであった。
「ふっふ~ん♪
双葉はん、今のちゃあんと見たん?
大将首取って、しかもこない荒れた海で揺れる船の縁に華麗に着地!
あかん、うちあの牛若丸も越えたかもしれん
!
でも、それも当然の話やなぁ
何せこの花柳香子は歴史に名を残す舞台少女やさかい♪」
「わかったわかった!、とりあえず危ないからさっさと降りろって!」
パ ァ ア ン !
「( あれ?)」
ブイドラモンは全てが終わったと思っていた。
船長を討ち、じゃれ合う香子と双葉を見て。
なのに、何故だろう?。
「(肩が、熱い・・・?
それに、なんデス?、コレ)」
周囲の景色が白と黒のみと化して
雨粒の一粒一粒がハッキリ見える程に遅い。
「(あ、ブイの前にキャプテンフックモンが居るデス
さっきカオルコが削除したのにどうしてデス?
しかも、右足から煙出てるデス
・・・・・・・・・もしかして、ブイ
撃たれた?
だから、肩がこんなに熱いんデス?)」
スローモーションな世界の中でブイドラモンは普段の泣き虫はどこへやら、他人事のように自身の負傷を認識していた。
「(あ、弾が肩を突き破っていくデス
少し熱いのが引いたデス
あれ?、じゃあこの弾
これからどこへ行くんデス?)」
やけに重く感じる頭をノロノロと動かし弾の行方を目で追えば
雨粒にぶつかりながら
空気に軌跡を残しながら
ゆっくり、ゆっくりと迫っていく
船縁で得意気に笑う花柳香子へと。
「(!、~~~~~~!!
なんで!、なんで!、なんでだ!?
なんでだよ!!?、なんでこんな!!)」
ブイドラモンは必死に声を上げようとするが
口が開く動作そのものが緩慢で
声が音にならない。
その間に弾丸は香子に迫って、迫って
やがて、到達する
上掛けを止める、金のボタンへと。
「(どうして!?、ブイは、ブイは!!)」
香子の表情がきょとんとしていくのがわかる
双葉が叫んで動いているのがわかる
わかっているのに。
「(遅い!!!、遅い!!!、遅い!!!
フタバは届いてる!、届いたんだ!
届いてるのに、なんでブイは!!!
届かない!!?)」
次第に海へと傾いていく香子の体
彼女を抱き留めるも、共に落ちていく双葉
色を無くした世界で何故かこの2人だけは
鮮明に見えた。
見えたからこそわかる
ブイドラモンと視線がぶつかり合った時
香子の目は如実に語っていた
「あんたはんほんま鈍臭いなぁ
チンタラせんと、はよ助けてや」
と。
「だ れ が 遅いって!!?」
あらゆる感情が荒々しい衝動に上書きされた
その瞬間、世界に色が戻る。
「・・・ッ・・・・・・・・・」
「くそ!」
『ガチガチガチガチガチガチ!!』
間一髪、砕けたボタンを握り上掛けが落ちるのだけは防げたが、それだけだ。
鮫が群がる海に2人揃って落ちるのを止められない
そう、彼女達だけならば。
「最早誰にも止められない」
ブイドラモンの体から吹き上がる桃色の粒子。
「遥か彼方にある高み!
蒼穹へと繋がる勝者への道は!」
再生産された0と1の幕の下で蒼い幻竜の体躯がより逞しさを増し
背中には大翼が広がる。
『ガチン?!』
「「・・・・・・・・・ぇ?」」
ソレは一瞬にして投げ出された少女達を奪い取り
海賊船のメインマストを越えた荒天まで昇ると
「ブイドラモン進化、エアロブイドラモン!
こうなったブイの前には、もう何者も立たせない
つ、つもり、デスぅううう!」
高らかに、ちょっと情けなく名乗るのであった。
「エアロ、ブイドラモン?
ハハッ、お前ほんとに進化しやがった!」
「フタバ、そのままカオルコを頼むデス」
「へ?、うおっ!?」
「おっとっと!、今度は避けたられたカハッ!?」
「《マグナムクラッシュ!》デス!」
香子と双葉を抱えながらエアロブイドラモンは甲板からの《パイレーツパニッシャー》を難なく避け、キャプテンフックモンを瞬殺。
「《レッグリボルバー!》」
直後、フックモンの内の1体が姿を変え
新たなキャプテンフックモンとなる。
「船長は我々って、そういう意味かよ!?」
「そう!、その通り!
そして!、この通り!」
『ヨーホーー!!』
更に船内から倒された分だけフックモンが補充
「この船がある限り、我々は無敵だ!」
「なら、やっぱり沈めるしかないデス」
「待てよエアロブイドラモン!
あたしらは良いとして、華恋が!」
「その心配はー!、ノンノン!、だよ!!」
『「「「!?」」」』
そこから愛城華恋、再び参上!
「か、れ・・・ど、の!
ッ《ぼぅじぃんはぁあああ!!》」
『ガチチン?!』
すると、今まで鮫達にいたぶられていた鎧竜が鉄網をブチ破って脱出!!。
「はぁっ!、はぁっ!
敵の本丸の真っ只中を!、たった独りよくぞ無事で・・・!」
「うん!、だって
ひかりちゃんとスタァライトするまで
私は、負けない!」
「!、・・・・・・・・・そうで、御座るか
ーーーーーー!!!《徹甲刃!》《徹甲刃!》《徹甲刃!》
《てっこうじぃぃぃん!!!》」
「ハッハー!、無駄だ無駄ぁ!
そんな貧弱な槍なんざ、幾ら撃ち込んでもこの船はビクとも 」
ミシッ! ミシミシミシィ!
「しな、い?」
ギンリュウモンが連発した槍は甲板を通り抜け
船内に華恋が残したキラめきの残滓を纏い
帝国が起こした歪みを貫いていった。
「キャ!、キャプテン!?」
「うろたえるんじゃねぇ!
船は放棄だ!、ティロモン!!」
『ガッチィ!』
「華恋殿早く乗るで御座る」
「うん!、ありがとリュー君♪」
「・・・・・・・・・」
沈みだした船から海賊達は海へと飛び込み
舞台少女はパートナーに乗って空に飛び上がる。
「船はなくとも我々は戦い続ける!
全てはレイド帝国の為に!」
『『『レイド帝国の為に!』』』
『ガチチチ!』
一際大柄なティロモンの上でキャプテンフックモンが号令を出せば、同じように海賊を乗せた鮫とダイバーの大群が泳ぎ出す
デッカードラモン号を目指して。
「・・・・・・・・・ブイ、はんっ」
「!、香子お前もう話せるのか!?」
「お陰様、で」
「それでブイに何の用デス?」
「あんさん、折角進化したのにあんま活躍しとらんなー」
「きみとフタバを助けたのにデス?」
「そんなんは当たり前の事どす!
うちのパートナーならもっと上目指して貰わな困りますわ!
せやからあんたはん、この嵐の海の演目をきっちり締めてや」
「あー、えっと悪いなエアロブイドラモン
今のは、その、あれだ
香子なりにお前を励ましてるつもりで・・・」
「無理にフォローしなくても大丈夫デスよフタバ
それに、言われなくても最初からそのつもり」
「ぬ!?」「わわわっ!」
「デス!!!」
エアロブイドラモンはギンリュウモンに香子と双葉を押し付けると
『今』の自分が出せる最大速度で飛翔した。
「!、潜れ!!」
『ヨーホーー!』
『ガチチチ!』
その接近を察知したキャプテンフックモンの命令に一糸乱れぬ動きで従うティロモンとデプスモン。
「・・・・・・・・・」
「(ハッハー!、息が続かないと思って待ち構えてるんだろうが無駄だ無駄ぁ!
我々は海中での活動も想定されている!
さっきのお返しにこのままお前らの船の土手っ腹に風穴を開けてやらぁあああ!!!)」
自分達の周囲を高速で旋回し続けるエアロブイドラモンを海賊達が海中で嘲笑っていると
「《Vウィングブレード!》」
前方をV字状の超高熱エネルギーが通り抜け
真下から凄まじい水蒸気爆発が巻き起こる。
『『『ぅぁぁぁあ~~~!!?』』』
『カチカチカチ~~~ン!!?』
海から弾き飛ばされた海賊を待っていたのは
高速旋回により発生していた竜巻。
それによってキャプテンフックモン達は
より高く、高く舞い上がっていく。
「《ドラゴン」
そう、エアロブイドラモンのテリトリーにだ。
「イ ン パ ル ス ! ! !》」
全ての海賊達は海に戻る事はなく
ドラゴンの形状をした衝撃波に穿たれていく。
「(・・・・・・・・・相変わらず汚ねぇなレイド帝国)」
海面に1つだけ浮かぶデジタマを拾う幻翼竜の顔に普段の気弱で情けない様子はなく
この嵐にも負けない荒々しい気性が露になっていた。
「すっげぇ!、すげえよエアロブイドラモン!
な?、香子」
「ま、まぁ、うちのパートナーやったら・・・これぐらいはして貰わんと」
「あーーー!、ねぇねぇみんな!
海賊船が沈んだ所、何かバチバチしてる!」
「ッ!、あれはゲート、デス!?」
「ぬ!?、まさかあの海賊達自体がレギオン群島への鍵だったので御座るか!?」
アォォォーーーン! アォォォーーーン!
カフッ カフカフ・・・!
「デッカードラモン号!、無事だったんだな!
フレイモンはどうかわかんねーけど・・・」
「じゅんじゅんも大丈夫かなー?、とにかく戻ろリュー君」
「ブイはんも遅れたらあかんよ」
「誰に向かって言ってんだ、デス?」
何はともあれ、舞台少女達を乗せたギンリュウモンとエアロブイドラモンはボロボロなデッカードラモン号の甲板に着艦。
「ふえええええ・・・
つ、つかれたデスぅうううううう・・・」
「ブイモン、色々戻っちゃったねー」
「華恋ちゃん、お疲れ様!
早く中に入ろ?、風邪引いちゃったら大変だよ」
「髪も衣装もビシャビシャやぁ!
うちはようお風呂入りたーい!」
「後でな
それで、爺さん
本当にあの穴の向こうが目的地なのか?」
〔「ああ!、間違いないぞい!
あそこから故郷の気配を感じるんじゃ!」〕
「ワー爺・・・」
「今は感傷に浸ってる場合じゃないよ
アレ、いつまで存在するかわからないんだから」
〔「!、申し訳ありません始祖様・・・ッ
皆の衆!、早く艦内に!
これよりデッカードラモン号はゲート内に突入する!」〕
伝声官越しに聞こえるワー爺の声は固い。
「華恋ちゃん!、双葉ちゃん!、香子ちゃん!
よかったぁ!、3人共無事で、本当にッ」
「ばななもな
で、委員長とフレイモンはどうなった?」
「あ、えっと、その・・・
色々あって疲れちゃったみたいだから
今は休んでるよ、あははっ」
「り、リーダー・・・
持ってきたおいらが言うのもなんだけど・・・
ナナさん、ジュンナさんに鎮静剤使うの全然躊躇わなかったんだな・・・」
「さ、流石の判断能力だった!
実際あのままではどちらも危うかったのだし」
「でもさでもさ!、シーサモンが救急箱持ってきた途端奪い取っててあの子ヤッベくね?
なぁ?、ガルル」
「無駄口叩いてる暇があるなら足動かせ!
グルル!」
「しかし、辿り着くまでにこんなにも損害を受けてこの先大丈夫なのでしょうか?」
「ドーベルモンの不安は最もだ
それでも自分達は長と舞台少女の皆さんを信じて足を動かし続けるしかないんだ
デジタルワールドに本当の明けが戻るまでは」
☆デッカードラモン号、操縦席
「ワー爺、ついにだね」
「ええ、漸くこの日が来ました」
ハンドルを握る黒毛の老人狼に語りかけるのは紫の獣のみ。
「(・・・・・・・・・本当なら、君はあの日仲間と共に果てる事が本望だったのに『あいつ』が無理な願いを押しつけたせいでずっとしなくてもいい苦労を )」
「ドルモンや
ワシはウラルでの日々、結構楽しかったぞい♪」
「!」
「機械弄りも裏工作もやってみると案外上手くいってのぅ
眠れる才能が開花した感じじゃったわい!
それに今も、ワシはこんなにも沢山の仲間に恵まれておるんじゃ
だから、皆の衆の期待には応えんと!」
「うん、そうだね・・・『明けの遠吠え』も舞台少女達もそのパートナーもワー爺を頼りにしてるよ
も、勿論ボクもッ」
「フォッフォッフォッ!、嬉しいのぅ
これはまだまだ現役で頑張らんとなぁ!!」
大きな足でアクセルを踏み込めばデッカードラモン号は加速。
海の真ん中に出現したゲートへの侵入を果たす。
「わーーー!?、SF映画みたいに周りの景色がグニャングニャンになったよ!」
「実際ワープみたいなモンだからね☆
・・・・・・・・・ただ、あの所々出来てる亀裂っぽいのに触ったら最期ダークエリアに送られて転生さえ許されないレベルで完全消去されっからそのつもりでいて」
「す、ストラビモン!
そういうのはもっと早くに教えてよ!」
「だが!、帝国の本拠地たるレギオン群島はこの先にしか無いで御座る!」
「それに、他の3人もきっと・・・!」
「クロ子と天堂はまぁ大丈夫だろ、問題は」
「まひるはんがおらんとなんも出来ん神楽はんが心配どすなぁ」
「まるでカオルコみたイヒャイイヒャイイヒャイエフゥ!」
窓の向こうに見える異空間に舞台少女達とそのパートナーが各々の反応を見せる最中
「「うぅっ・・・ううう・・・・・・・・・」」
・・・・・・・・・純那は自分のベッドで、フレイモンは通路の片隅に寝かしつけれていた。
〔「皆の衆、これよりゲートを抜ける!
各々衝撃に備えるんじゃ!」〕
「しょ、衝撃に備えるゆうても!
シートベルトも何もないやーーーん!」
「文句言う前にどっか掴まってろ!
生憎あたしはフレイモンで手一杯だ!」
「レオル、モン?」
「アア"ン?、どこにしがみつこうがァ
オレサマの勝手だろうがァ!?」
「とかなんとか言いつつ、ジュンナチャンをガッチリ固定してるボウヤでしたとさ☆」
ギシッ ギシギシギシギシギシギシ!!!
「ふええっ?!、ふえええええん!!?」
「ど、どうしよう!
途中でデッカードラモン号が壊れちゃったら
私達ッ」
「まひるちゃん大丈夫、だいじょーぶ、だよ!
だって、舞台少女は舞台に生かされてる!
だから、きっと!」
〔「抜けたぞぉぉぉおおおい!!!」〕
『 !、ーーー~~~!?!?』
老人狼の咆哮と共に艦内を襲ったのは
内臓が浮き上がるような感覚
後、息も出来ない程の衝撃
後、足元がガリガリ削れるような激しい振動。
そう、ゲートを抜けたデッカードラモン号は
空中に投げ出された挙げ句
地上へと落とされたのである。
「ぁぃったあああ~~~!」
「ぬ、ぬぅん・・・!」
落下時のショックで気絶していた華恋とリュウダモンがヨロめきながら起き上がれば
「み、んな・・・・・・ぶじ?」
「まずは!、テメェの、心配してなァニンゲン!!」
「・・・・・・・・・ごめんね、それからありがとう」
「ケッ!」
「!、何!?、どういう状況!?
なんで私のベッドにレオルモンッ!?」
「い、一体何があったんだ!?、フタバ!」
「おー、ようやくおめざめかー」
「いいごみぶんどす、なぁ!」
「デスぅ~~~」
「アッハッハァ☆、全員ダイジョバナイナイ!ってカンジ?」
「もうなにいってるかわからないよぉ」
とりあえず、他の舞台少女もデジモンもいつも通り。
「み、みなのしゅ~!」
「お、お爺ちゃん!?」
「退化でもしたので御座るか!?」
「ううん、そうじゃないよ
腰打って立てなくなっただけ
一応、薬草は貼っておいたからその内回復する・・・・・・・・・筈だよ、うん」
「わ、ワシの事は良いんじゃ!
それより、外を!」
『外?』
四足歩行のワー爺とドルモンに先導され
6人と5体が降り立ったのは
レイド帝国の支配を現す紫に濁った空と
そこに浮かぶ双つの光球の下で
鈍った明かりに照される灰色の大地。
「ど、どうなってるのアレ!?
火山に氷山、それからジャングルに
あ、あっちは砂漠!?、環境も気候も滅茶苦茶じゃない!」
「まるで、別々の舞台の背景を無理矢理繋げたみたい・・・」
「ナナさんの言う通り
ワシの故郷、はじまりの街があった島
その周辺に存在した島々をバラバラにし
強引に組み合わせのがレギオン群島ッ!、ガルルルルルル!!!」
「じ、爺さん?」
「ふえええ・・・!」
「顔怖!
は、歯ぁ見せ過ぎとちゃいます?」
「無理もない!
故郷をこんな、玩具のように弄ばれては!」
「ワー君」
「ガルルルゥウウウ!、わかっています始祖様!
わかっているの、ですが!」
♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪!
『!』
異常な風景に舞台少女達が圧倒されていると
彼女らの手首からあのメロディが流れだした。
「今度はなになにー!?」
「静かにしなさいバッ華恋!
・・・・・・・・・はじまりの、まち?
!、そこって確かワーお爺さんの」
「フォーーーゥ、どうやら取り乱してる場合ではなさそうじゃのう
すぐにでもデッカードラモン号を修理せねば」
「お爺ちゃん、そんな無理しなくても」
「心配いらないってマヒルチャン!
この子はそんなヤワじゃない・・・」
「ワー爺様!、急ぐで御座 ぬぁ!?」
「だからって無茶ブリはダメよぉダメダメ☆」
☆応急修理中デッカードラモン号、甲板上
「むぅううう」「・・・・・・・・・」
修繕作業が終わるまで自由行動となったのだが香子は何やらご立腹な様子。
「やっぱり納得いかへん!
なんでうちのお風呂が最後になるん!?
今回一番活躍したんはうちなんやから一番風呂入ってもええんとちゃいます?」
「・・・・・・・・・」
「大体ルーレットで決めるとかおかしいやろ!
レヴュー禁止はまぁ、しゃあないとして
せめてじゃんけんにして欲しいわ!、じゃんけん!」
「・・・・・・・・・」
「ーーーーーーッ、いい加減何か言うたらどうどす!?」
「ん」
「なんなんその手?」
「御褒美、デス」
「はぁー?」
「あー!、やっぱり忘れてるデスぅ!
ブイが飛べたら御褒美くれるって約束したデスぅうううううう!!」
「はて、うちそない約束しましたっけ?」
「ふ、ふん!
そんなことだろうと思ってた!、デスぅ!
それに!、カオルコの御褒美なんて!
どうせ対した事ないに決まってる、デス!」
「・・・・・・・・・へぇ」
「え?」
だだっ広い武骨な甲板の上、淀んだ紫空を背景に
「よぉ見とき」
レヴュー衣装をゆらりと揺らし
膝を曲げ、しゃなりしゃなりと歩きだす
「!」
ただ、それだけの動作なのに
何故か、ブイモンは目が離せない。
「千華流、跡取り 花柳香子」
砂の入り雑じった風の中
ひらり、はらりと揺蕩う指
ふわりと広がる髪
その一本一本にいたるまで
感じられる細やかな意識
だというのに、彼女の仕草はどこまでも自然
「その舞は」
音楽もない野外で
独りで使うには広すぎる場所
嫌悪感しか沸かない濁った紫の空の下
そんな事は関係ないとばかりに
「高くつきますえ?」
彼女はこの場を自分だけの舞台に塗り替えていく
「って!、双葉はん!?
い、いつからそこにいたん!?」
「あ・・・」
「風呂空いたから呼びにきた、けど
その、邪魔して、ごめん・・・」
だがそれは、罰の悪そうな顔をした双葉の登場により淡く消え去ったのであった。
「別に、誰も邪魔やなんて思うてまへん」
「だってお前、今の本気 」
「お風呂頂いてきますわ」
「お、おい!」
双葉を押し退け、艦内へと駆ける香子。
「・・・・・・・・・」
「どうだった?、あいつの舞」
「 飛んでた、デス」
「え?」
「ズルいデスよ
羽根もないのにブイより自由に飛ぶなんて」
「そっか
へへっ♪」
※海賊船
動力はチート改造デジモン1体とコスパが良いのに帆船とは思えない航行速度
遠距離からでも正確に狙い撃つ艦砲射撃
船長、船員、水爆要員、機雷要員は無限湧き
後、実は自己再生能力持ちという正攻法じゃまず攻略不能なクソゲーになるのに攻略しないと海域が脱出出来ないという罠
ただし、やっぱり舞台少女のキラめきには弱いので内部に華恋が乗り込んだ時点でヌルゲーとなりました