前日譚『聖騎士会合』
それはまだ強大なる侵略者の存在すら確認出来ていなかった頃の話・・・。
「さて、今回の議題についてだが 」
「シェイドモンみたいな邪悪なデジモンを産み出したニンゲンをどう滅ぼすかだろ?
勿論、僕が直接人間界に行って根絶やしにしてやるさ!!」
円卓に集いし聖騎士達の進行役を務める軍師に黄金は声高に過激な思想をぶつける。
「黄金よ、根絶やしにしてどうする?
奴等が世界樹の栄養源である事に変わりはない
故に、私達の手で美しく管理してやらねば」
「友の言う通りだ!、大義は此方にある!
大体、何を迷う必要があるというのだ!?
このような話し合いをする暇があるなら!
即刻、実行に移すべきだ!!」
王騎は薔薇を掲げながら優雅に告げれば、盟友たる飛竜が卓を叩きながら力強く同調。
「待って下さい!、御三方!
確かに、師匠・・・・・・・・・いえ!、神威殿の好敵手たる百獣番長が体を張らねば撃退する事も儘ならなかったシェイドモンの所業は到底許せるモンではありません!
その原因がニンゲンにあるのだとしても、己らが人間界に攻め入るというのは
やはり!、間違っています!!」
「フン、若造が随分とデカイ口が叩けるようになったじゃねェか」
すると、最近聖騎士に任命されたばかりの救世が強硬派達の意見をきっぱりと否定し、その師匠たる神威は口の端をつり上げた。
〔「「だが、昨今
人間界から流入されるデータに負の感情が多く含まれているのは紛れもない事実・・・
何かしらの手を打たねばそう遠くない未来
この世界はニンゲン共の悪意によって滅ぼされるやもしれないのではないかな?」」〕
「竜帝殿が抱く危機感については己も理解しています!
しかし!、皆さんはお忘れではありませんか!?
かつて、この世界を外来の驚異たる七大魔王から救ったのは救世主たるニンゲンである事を!!」
一身上の都合で卓に着けず、回線を介して厳かに意見を述べる竜帝にもこの若輩モンは一切怯まない。
「そんなカビすら生えない大昔の話を得意気に語ってんじゃないよ!!、新参モンが!!
アル!、君だってそう思うよね?」
「・・・・・・・・・俺は」
「おやおや?、アルフォースブイドラモンよ
いつもの威勢はどうしたのデアルか?
うぬがそんな体たらくだから成熟期如きをおめおめ取り逃がし、無法モンなんぞに尻拭いをされたのデアル」
「ッ」
「クカカ!、やはりうぬのような痴れモンに最速の称号は荷が重いと見える!
どれ、ワガハイがありがたく頂戴してやるのデアル」
黄金の隣で沈黙を保っていた最速を六足はここぞとばかりに糾弾。
「!!、うっるさいよ六足!!!
アルがお前みたいな馬なんかに聖騎士最速の名を渡すモンか!!」
「
今ワガハイを馬と呼んだデアルかッッッ!?
このクソガキは!!!」
「うるさいうるさいうるさいウッルサイ!!
僕は!、僕はガキじゃない!!!」
「や、やめろお前らぁー!!
ここでの戦闘行為は禁止していると何度言えばわかる!?」
「おいおい、俺ん所のガキ連中以下かよ
付き合ってらんねェわ・・・」
「って、待て神威!、ガンクゥモン!!
まだ会議の途中だぞ!?」
「俺の言いたい事はどっかの若造に全部取られたんでな、後は勝手にやってくれェい」
「だからとて!、途中で退席するなぁー!
真紅!、矛盾!
お前達も黙ってないで何か言ぇーい!!」
「生憎とこのデュークモンは戦場で敵を刺すしか能がない故に・・・」
「私達はただ世界樹の意思に従うのみ」
「いや!、それはそうなんだが!
肝心の神託がまるで降りないから、こうして聖騎士同士意見交換の場をだなぁー・・・!
だから!、やめろ!、黄金!、六足!
他のモンも見てないで止めろぉー!
ええい!、奴に至ってはまたも席が空白!!
とっとと連れてこい!、白騎士ぃー!」
円卓に軍師の叫びが木霊する中
「「またここに居たのか?、アルファモン」」
「・・・・・・・・・」
そこから大分離れた場所で白と黒の騎士が対峙していた。
「「どうだった?、下界の様子は?」」
「別に変わりはなかったよ、うん」
「「そうか、それは良かった
しかし、全員参加が義務付けられた会議に参加しないのはやはり関心しないな・・・」」
「他の聖騎士と馴れ合うつもりはない
忘れるな、オメガモン」
「「!」」
「このアルファモンが君達12体の
ううん、世界樹の抑止力だという事をな」
「「・・・・・・・・・忘れてはいないさ
でも、そんな君だからこそ
私は君の友でありたいと願っている」」
「戯れ言を !?」
首元に突きつけていた聖剣が左手と一体化している剣に弾かれるのと同時に両者は大きく飛び退く。
「「私達の選択が間違っていたその時は
君が必ず止めてくれる
そう信じられるからこそ、私はこの剣を迷いなく振るえるんだ」」
「・・・・・・・・・まず、間違えるなよッ、うん」
「「それは、出来ない
君と違って、私達聖騎士や神々は世界樹の決定には逆らおうとする意思すら認められないのだから
そして、今
私達は過った方向に進み始めているのかもしれない・・・」」
「ニンゲンだったっけ?、揃いも揃ってそんな見た事もないモンに振り回されるなよ」
「「なら、君はどう思っているんだ?」」
「わからないからこそ知らなければならない
だからもし、見かける機会でもあれば
まずは遠方から観察して情報収集を 」
「「・・・・・・・・・く、くくくっ!!」」
「うん?、何がそんなに可笑しい?」
「「い、いや!、そんな事を言って!
そのニンゲンが困っていたらッ
きっと君は助けるんだろうなと思ってな」」
「な!、何を言っているんだよ白騎士!?
このボクが、得体の知れない未知の存在なんて助ける訳がないだろ!
うん!、そんな未来は絶対に訪れない!!」
「「はははははは!!
まぁ、そういう事にしておこうか」」
「・・・・・・・・・ったく、もうっ!
って
また竜帝が大気圏外に飛ぼうとしているな」
「「どうやら思った以上に会議が紛糾しているらしい・・・」」
「うん、そうみたいだ
でも、だからって《ペンドラゴンズグローリー》やら《ドラゴニックインパクト》で全員纏めて吹っ飛ばすのは止めて欲しいよ」
「「この前、月光の神からそういった旨の抗議メールが大量に届いたそうだが・・・案外その神と君は気が合うのかもしれないな」」
「それこそ有り得ないよ、うん!」
竜帝を止めるべく、始まりの名を持つ黒騎士は裏地が青の白いマントを翻して飛翔。
すると、その隣に終焉の名を持つ白騎士が裏地が赤の白いマントをはためかせて並ぶ。
「「いくら君でもエグザモンの相手は骨が折れるんじゃないか?」」
「うん、そうだね
だけど、あんなの放置出来るかよ」
「「ならば、私も手伝おう」」
「ーーー・・・・・・・・・ッ
オメガモン、何度も言うが決して忘れるな!
例え君がどれだけボクを友と呼ぼうが!
道を違えたその時は、必ずボクがこの手で
君を討つ!」
「「ああ、その時はお互いに全力を尽くそう
己の誇りと正義を賭けて」」
☆世界樹核へと繋がるゲート内
「いやぁ☆炎のとフタバチャンのお陰で助かったねぇん☆
まっかぁさぁ☆黄金殿からセキュリティシステムの権限乗っ取っちゃうなんて☆
オジサン☆ビックリ☆仰天☆」
「でも、そのせいで双葉ちゃん倒れちゃったんじゃ・・・」
紫炎に彩られた黄金の空間を雄大に飛ぶのは巨大な体躯を誇る武者竜。
その背中で光狼の融合剣士が軽薄に笑う一方、パートナーは対称的な暗い表情を浮かべていた。
「ワタクシの信者達を呼びつけてデッカードラモン号に運ばせてある、何の心配もいらないのデシテ」
「ありがとう、ディアナモン
お陰でオレは心置き無くみんなの力になれる」
「ふふっ、神の力を取り戻してからのあなたは本当に頼もしい」
「なぁなぁ、ウサギはん
うちまだドボカゲにやられた所痛いからもう1本ジュース・・・・・・・・・やなくて、お薬飲んでもええ?」
「カオルコー、ケレスモンの神実って中毒性あるからいっぺんに沢山飲むのは止めた方が良いジャン」
「Quoi!?、ちょっとあんた達!
そういう事はもっと早くに言いなさいよ!」
「これだからお高く止まった連中は嫌なんデ
ふぇ!?、コラ!、だから!
飲んじゃダメ!、デスぅうううううう!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ドルグレモン?、ドルグレモン!!」
「駄目で御座る華恋、御主の声はまるで耳に入っていない様子」
「無理も、ない
だって、これから倒さなくちゃいけないのは
この子の」
「ねぇ!、バンチョーレオモン!!
本当に!、本当にドルモンの大切な友達を助けられないの!?」
「無理だっつってんだろうがァアアア!!
レイド帝国のデータの書き換えはなァ・・・
テメェの時とはワケが違うんだからなァ
闘争の奴だって、中身が別に転生していたからどうにかなったモンだァ
割り切れナナァ、今までそうだったろ?」
「でも!、でもぉ・・・!!」
「いいの、なな」
「純那ちゃんッ」
「この子だって、こうなる覚悟はあった筈
でしょ?」
「・・・・・・・・・うん
神々だって支配下に置かれたんだ
あいつがそうならない保証なんてどこにもない
あの帝国が、聖騎士最強の白騎士を!
手駒にしない理由が!!、ない!!」
オウリュウモンと並んで飛ぶドルグレモンが血を吐くような叫びを上げる中
「みんな、もうすぐゲートを抜ける
どうか気をつけてくれ」
フレイモンが静かに回廊の終わりを告げた。
『!!?』
「想定内!、だがッ
実際に見るとやはり堪えるのデシテ!!」
ゲートを抜けた9人と8体が目の当たりにしたのは
透明なクリスタルで構成された広大な空間
が
濁った紫による侵食の真っ只中にある光景。
「でぃ!、ディアナモーーーン!!?
これ!、これ本当に間に合うジャン!?」
「アホめ、間に合うかではない!
何としてでも間に合わせるのデシテ!!
まずは神威と合流する!、最速!!」
「言われるまでもない!、デス!!」
「どひっ!?・・・・・・・・・え?、あら?、何で?
前よりずっと早いのに全然揺れへんの!?」
アルフォースブイドラモンは香子を肩車させたまま神速を発動、天高く伸びるクリスタルを掻い潜り縦横無尽に飛翔する。
「!、居たデス!、ガンクゥモン!!」
「おいッ、おいッ、同窓会かってェんだ!?
まーた、懐かしい顔が出てきやがってェ!」
「新たな障害を確認、情報照合・・・
最速の聖騎士、アルフォースブイドラモン
Gyruuuuuuuuuーーーーーー!!!」
「排除、スル」「全テ、ハ、我々、レイド
帝国、ノ、為二」」
「ーーーーーー!!
どっちが、ドルはんの友達か、知らんけど
どっちも、ドボカゲよりずっと、アカンわ」
壁に力無く寄りかかる白いマントを羽織り、高下駄を履いた人型デジモンを追い詰めていたのは
黒い魔鎧に身を包み槍と盾で武装する暗黒騎士
その下半身は煉獄の化身が如き凶悪な風体の紅き邪竜の胸に埋め込まれていた。
もう一方のかつて白騎士だったモノもまた
かつての面影は、ない。
鎧もマントも武器も真っ黒に染め上げられて
体の各所は包帯のような何かで無理矢理繋ぎ止められており
左手の竜の頭部、右手の獣の頭部に備わる
目玉が
不規則に蠢いている・・・。
「《ジュデッカプリズン》/《メギドフレイム》」
「!?《テンセグレートシールドォ!!》」
かつての同胞達の変わり果てた姿に呆けていたアルフォースブイドラモンは傷ついたガンクゥモンの前に瞬時に移動し、Vブレスレットからシールドを形成。
「ぅ"ぇぇぇええええええ"!!?
か、カオルコーーーーーー!!!
さっきの!、薬!、早く!、そいつに!」
「わ、わかっとる、けど・・・!
なんや、きゅーに、ちからぬけてぇ~!?」
「当!、然!、デスぅうううううう!!
ブイ!、今!、『アルフォース』!!、全開!、なんだからぁああああああ!!!」
「おめェら仲良いなー、おい」
万物を腐敗させる暗黒波動と
万物を灰塵と化す煉獄火炎を
《テンセグレートシールド》は同時に受け止めながら超高速再生を続け、どうにかこうにか凌いでいた。
「「《グレイ!」「ソード・・・!》」
「「・・・・・・・・・ふぇええええええ!?」」
「って、おい!
こいつは流石にやべェか!?、ぐっ!!」
「オラァアアアアアア!!!」
「ジャーーーーーーン!!!」
竜の頭部から生える剣が振るわれる寸前、白騎士の成れの果てに左右から殴りかかるのは筋骨隆々な2体。
「おいおい!、今度はおめェかよ・・・!?」
「ケッ!、まァだ生きてやがったかァ!?
総大将!、ガンクゥモン!!」
「バンチョーレオモン何かすっげー嬉しそうジャン?
あ!、でもウチも嬉しい!
やっとマトモな聖騎士に会えたジャン!」
「「うるせぇ/うるさいデスぅ!!」」
「百獣、番長」「闘争、神
排除!!」」
「Gyruuuuuuuuuーーーーーー!!!」
「って、呑気に話しとる場合ちゃうやん!」
更なる敵の登場により邪竜と一体化した暗黒騎士が技を中断して急接近すれば
「《黄鎧!!》」
「Gy!?、未確認の障害を、確認!
情報照合・・・・・・・・・!、イリーガル!?」
「デカブツ同士、仲良くやろうではないか!
聖騎士だったモンよ!、御覚悟!!」
「Gyruuuuuuuuu・・・!《デモンズ/ヘル」
「「やらせないッ!」」
かつてデュークモンと呼ばれていたソレをオウリュウモンと華恋、ひかりで強引に引き離した。
「「ゼェ!、ゼェ!、ゼェ!」」
「貴様らは休め!、ついでに神威の治療を!
白騎士は、ワタクシ達が相手するデシテ!」
「・・・・・・・・・しろ、きし、ですか?
アレが?」
「随分と、帝国に弄ばれたみたい、ね」
「~~~~~~ッッッ!!!」
「酷い!!、ひどすぎる!、よぉ!!」
「同情するならさ、早く消してやろう・・・!
それだけが今の白騎士殿にとっての救いだ」
オメガモンだった筈のデジモンの変わり果てた姿に、99期生達が衝撃を受ける中
「《ブラッディタワァーーー!!!》」
「ゃぁぁあーーーーーー!!!」
「じゅ、ジュンナ?」
「テメェが団体行動乱してどうすんだァ!?」
「・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
独断専行で突っ込んでいったのは
超巨大獣竜とその頭上に立つパートナー。
「「接近スル完全体、障害ニ値セズ」」
「 う? ん? 」
「「《ダブルトレント》」」
すると、左手の竜の口から炎が
右手の獣の口から氷が交互に放たれ
左右の拳を振り切る『ついで』に蹴散らされる。
「アッチチ!、サッムーーー!
って!、どっちジャン!?」
「どっちも同じだァーーー!
ナナァ!!、ジュンナとドルグレモンはどうしたァアアア!?」
「わ、わからない!、わからないの!!
あっという間に、とんで、てぇ!!」
「チッ!、とっとと行って来なァ!!」
「ごめん、なさい!、ありがとう!!」
「ナナ、オレも一緒に行こう」
「・・・・・・・・・炎の」
「光の、ここは任せた
必ず切り抜けてくれよ、先に進む為に
「(バレてる、か)
オッケ☆オッケ☆任せてチョンマゲ☆《リヒトアングリフ!》」
「《アロー!、オブ!、アルテミス!》」
「「《ガルル」「キャノン!》」
『ううぁあああ!!?』
次いで行われる砲撃戦においても、この黒に染め上げられた白騎士は圧倒的な実力を見せつける。
「くっそ!、飛べんの君ら神々だけだけど」
「無理ジャン!、だってウチら飛ぶってより
浮かぶ!、だし!!
こんなに上からバンバン撃たれてたら落とされるだけジャン!」
「ならば、飛べるモンを増やすだけデシテ
《クレセントハーケン・・・!」〕
「これは!」
「例の戯曲?、だけど!
このタイミングであんなのを相手に天堂真矢を独演させてもッ」
「そ、そうだよ!
いくら天堂さんでも独りじゃ!」
〔「独りではない、今宵の主演は貴様らだ!
戯曲、改編! Stars the Moonlit!!》」〕
三日月の鎌がクリスタルに沈むのと同時に世界樹核の一区画が
月が大きく映る湖と星が瞬く夜空へと一変。
「う
うひゃあーーーーーー!?
と、飛んでるぅーーーーーー!!?」
〔「貴様ら舞台少女はスタァ!
星に宙を行けぬ道理はない!、デシテ!
さぁ!、最強の聖騎士に貴様らのキラめき!
存分に魅せつけろ!!」〕
「え?、あれ?、それじゃあ 」
ドボン! ドッボーーーン!
「や、やっぱりーーー!
ベオウルフモーーーン!、バンチョーレオモーーーン!」
「しゃあ!、これで勝負になるジャン!、クロ公!!」
「自分で浮かべるだけって言ったのに
今の私に勝つ気なの?、Nounours!」
「あったり前ジャン!!
バッチャンにわからせねーといけないんだかんな!!、ウチがお前に勝つってよ!!」
「「!?」」
戯曲による役柄の補正により舞台少女達に飛行能力が付与された途端にマルスモンの闘志が燃え上がり、両手足から炎を吹き出しながら空中殺法を繰り出す
「ふふふっ、相変わらず熱烈な事で・・・」
「あら?、羨ましいの?
良ければいつでもあなたのパートナーと交換してあげる!」
「!」「!!」」
「お断り!、します!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!
絶対!、絶対の絶対に!!、絶対勝つ!!」
「ッ、私だって負けないよ!」
と、それに追随して
剣劇とバトントワリングが冴え渡った。
「か、間一髪やったわぁ~
危うくうち濡れる所やったやん・・・」
「ここ!、舞台少女!、飛べる!、デスぅ!、ブイに乗る必要どこにあるデスぅうう!?」
「はてさて~?、あの高下駄の偉丈夫はどこへ行ったのやら~?」
「無視!?、無視されたデスぅううう!」
「《ちゃ ぶ 台 返し ! ! !》」
「「ん?、ひゃぁ~~~~~~ん!!?」」
一方、夜空を飛んでいた最速の聖騎士は何の前ぶれもなく下から飛来してきた
クロンデジゾイド製の巨大なちゃぶ台により
物理的な意味で星になったとさ・・・。
「ぷはぁ!、傷に染みやがるぜェ!、おい」
「あ、ははっ
流石神威殿、情報に違わぬ豪放さ・・・」
「ケッ!」
湖に沈んでいた3体はアルフォースブイドラモンと香子がぶっ飛ばされたとは知らぬまま水面へと落下してきたソレに這い上がる。
「おい、ところで、薬ってのは、まだか?
俺、今ので、もう・・・」
「月光チャンがあの状態だから
アレ今持ってるのカオルコチャンなんだけど」
「最速の奴もヒラヒラニンゲンもどこ行きやがったァ?」
「ねェなら、仕方ねェ、わ
俺は、ここで、休ませて貰うぜ・・・ェ・・・・・・」
「・・・・・・・・・アァ、そうしときなァ
テメェに何かあったらァあの三ガキがうるせぇからなァ」
「百獣番長
そーゆー顔さぁ、意識ある内に見せたら?
ってか、まずバナナチャンに見せたら?」
「うっるせぇぞ!、オヤジ!」
「あはは!、はははっ・・・・・・・・・君がそう呼んでくれるのオレ、結構好きだったなぁ」
「アァン?」
「《リヒトアングリフ!!》かっ飛ばせ!、マヒル!!」
「!、うん!!」
「威力!?」「増大!?」」
「余所見は!」「禁物!」「ジャン!!」
パートナーの援護射撃をLove Judgementで打ち返せば白騎士だった存在の防御が崩れた
次の瞬間、無防備になった華奢な腰に
Etincelle de FierteとOdette the Marvericks
更には、燃え盛る拳打が炸裂。
「「!!!」」
「損傷、甚大」「再生機構、不具合、発生」
「「各障害、警戒レベル最大値突破
完全削除 執行、開始」」
「!!、オヤジ!!」
「《ツヴァイッ、ハンダーーー!!》」
3つの頭部に備わる6つの目が発する怪しい光に脅威を感じた百獣番長は亜高速で振るわれる双刃剣に乗り、かっ飛んだ。
「テメェらァ邪魔だァアアアアアア!!!」
「「「「な!?」」」」
「「《グレイソード》」」
〔「ぐぎ!?、ぐぎゃあああぁああ!!」〕
直後、術者である月光の神ごと
舞台装置を蹂躙し尽くしたのは
漆黒の炎が燃え滾る竜の剣。
「「ぁ~~~あ~~~ああぁ~~~!?」」
一方、戯曲の範囲外では
・・・・・・・・・何とも情けない悲鳴が響いていた。
「シエル、あれって」
「ええ、間違いないわ」
「どうするの?」
「決まってんじゃないの!、ブラン!
こうすんのよーーーーーー!!」
「え?、えーーー!?」
「ほら、ブランちゃんも」
「シエルおねーちゃんまで!?、ま、まってよーーー!!」
クルクル回りながら飛んでいるソレを狙い、天高くそびえるクリスタルから黒と水色と白の頭巾が飛び込む。
「あ!、あいつ!、あの頑固モン!
よくも!、やりやがったな!、デスぅ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「カオルコーーー!、無言はやめるデスぅ!
逆に怖いデ カオルコ?」
「そのまま飛びなさい、最速さん」
「じゃないと、このニンゲンが蜂の巣になるよ」
「え、えーっと、ごめんなさい!
でも、わたしたち、おとーさんを!」
「
(緊急速報!
ブイの肩でハイジャック事件発生!、デス!)」
空中で体制を立て直したアルフォースブイドラモンの肩に無許可で乗り上げ
香子の首筋にナイフを突きつけるのは
シスタモン・シエル
香子の背中に銃口を2つも突きつけるのは
シスタモン・ノワール、シエルとは双子の間柄
そして、2体の後ろから謝っているのは
シスタモン・ブラン、シエルとノワールの妹。
3体共ガンクゥモンの弟子である。
「こ、コラ!、きみ達!、そういうのは!
フタバが居る時にやれ、デス」
「はぁ~~~?、何ワケわ へ」
「!、ブランちゃん!!」
「きゃーーー!?」
突然の理不尽な要求に対し
最速の聖騎士が行ったのは神速の急降下。
「ふ ふ ふ ふ ふ ふ・・・・・・・・・♪」
「「「ひん!?」」」
「じゃないと、そいつは
大人しく人質役なんて絶対やらない、デス」
空中に投げ出された3体
を見下しながら、香子は微笑みを浮かべると
パートナーが巻き起こした旋風を桜色のソウルとキラめきを用いて踏み締めて・・・
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュゥンッ!!!
刃が戻ったばっかりな薙刀による『舞』をすっごく良く見えるように披露してあげた。
「よっと、はっと、ほっと、デスぅ」
「「「 」」」
「なぁーなぁー、頭巾はんたちぃ?
さっきなぁーうち頭グワングワンしててぇん
よぉー聞こえなかったんよぉー
今度はちゃあんと聞いたげるから
もういっぺん言うてみ?、なぁ?」
「ひ!、ひぃ!、ぃゃぁあッ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ・・・・・・・・・!!!」
「うぇえーーーーーーん!!」
「(またまた緊急速報!
ブイの肩で調教完了!、デスぅううう!)」
舞台少女の放つオーラに圧倒されたのかシスタモン達は体の震えが止まらない。
「はぁーーー・・・
あんたはんやろ?、あの時
おとーさんたすけてぇって言うてはったん」
「グス!、は、はい!、そうです!
わたしです!、カオルコさま!」
「ほなら、もっとちゃんとした頼み方ってもんがあるやんか・・・・・・・・・まぁ、ええ
今からあんたはんらにもうちの為に働いて貰いますえ、返事は?」
「「「はい!!!、もちろんです!!!、カオルコさま!!!」」」
「・・・・・・・・・ブイ、ツッコまないデスよ?」
「ええから、はよあの下駄ん所戻ってや
結局、この薬渡せへんかったし」
「それは!、まさかケレスモンの!?」
「し、知ってんの!?、シエル!」
「ええ!、それを飲めばお父様の怪我だってすぐに治るわ!
そんな貴重なモンを何の躊躇いもなく与えてくださるなんて!
カオルコ様はとても寛大で慈悲深い御方なのですね!!」
「ふっふっふぅん♪、もっとうちを誉めまくってもええんよ?」
「だから!、ブイ!、ツッコまないデスよ!、絶対に!!」
自分の肩で踏ん反り返るパートナーに最速の聖騎士が声を荒げていると・・・
「ぬ"ぁああああああ"ああ"あ"!!??」
「!?、リューはん!!」
「な、何あのドラゴン!?」
「エグザモンとおんなじくらいおっきい!」
「ブイの今の仲間!、デス!
カレン!、ヒカリ!、無事デスぅうう!?」
「私達は!、何とか平気だけど!」
「リュー君!、しっかりして!!」
「案、ずるな華恋!
腐ったのは・・・燃えたのは・・・鎧だけ、で、御座る!」
「Gyruuuuuuuuu・・・!」
豪奢な和風鎧の大半が腐敗し、灰塵と化したオウリュウモンの規格外な巨体が見えた。
「真紅の聖騎士、デュークモン!
俺らん中でオメガモンと並んで騎士の中の騎士だったお前が!、なんつーザマだよ!?」
「・・・・・・・・・ハー、くん
ハーくんも、ああなっちゃったの?
わたし、そんなの!、やだよぉ」
「え?」
「心配すんな、デス
あいつならきっと無事だと思う、デスぅ」
「そうよ、このタイミングで戦力を出し惜しみする理由がないもの
だからきっと、ううん絶対!
あの子は奴等の手には堕ちていないわ!」
「あたしらが信じてやんないで!
誰があいつを信じてやんのよ!?、ブラン!」
「でも!、なら、どうしてハーくん!
おとーさんがあぶないのに、たすけにきてくれないの!?」
「うちらじゃあかんの?」
「!、ち、ちが」
「なーんて、言うまでもないわなぁ
会いたい相手が、助けに来てくれた方が嬉しいんは当たり前の事どす
なぁ? 双葉、はん」
「「「!、カオルコ様・・・!」」」
「フタバは生きてるデスぅううううう!!」
香子とシスタモン三姉妹を乗せたアルフォースブイドラモンはデュークモンだった存在の眼前に一瞬で移動。
「Gyruuuuuuuuu!、最速!!」
「オウリュウモン!、デカい方は任せたッ
デスぅううううう!!」
「まか、されよ!《永世・・・!」
「ひかりちゃんお願い!」「ええ!」
「Gy!?」
鎧龍左大刃と鎧龍右大刃が同時に煌めけばBlossomBrightから伸びるワイヤーが邪竜の口に巻きつき技を封じる。
「《ジュデッカプリズン!》《デモンズディザスター!》」
「カオルコ!!」「しゃーないなぁ!!
ほら!、あんたはんらも!!」
「「「はい!!!」」」
暗黒騎士の盾と槍から順次放たれる必殺技を
『アルフォース』全開の《テンセグレートシールド》で防ぎながら最速の聖騎士は同胞だったソレの懐へ。
「竜! 王! 刃!!》」
「やぁあああーーー!!」
「《アルフォース!、セイバー!》」
「はっ!!」
「「《グランドシスタークルス!!》」」
「《白詰一文字切りッ》」
竜にはオウリュウモンと華恋
騎士にはアルフォースブイドラモンと香子
渾身の斬撃が同時にクリーンヒット
更にはノワールとブランの合体攻撃が炸裂
ダメ押しとばかりにシエルが刀を一閃させ
脆くなった装甲を狙い、首を切り飛ばした。
「Gyruuuuuuuuuuuuuuuuu!!!!!!」
「「「「ぇ」」」」
「!?、香子ちゃんッッッ!!!」
宙を舞う兜は、一瞬で邪竜の頭部へと変貌。
聖騎士の背に着地したばかりの者達を狙い
牙を剥く。
「くっ!、うぐぅ!
ドル!、グレモン・・・!!
まだ、やれるわよね!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「私達はこんな所でモタモタしてられないッ
あなただって!、オメガモンを!
昔の友達をあのままに出来ないでしょ!?
だから!!、立って!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その頃純那は一撃で空間の隅まで吹っ飛ばされ、力無く横たわるドルグレモンに檄を飛ばしていた。
「・・・・・・・・・無理だよ、今のボクじゃ
完全体じゃ、あいつの眼中にすらないんだ」
「ッ、じゃあ!
あなたはこのままこうしてるつもり!?」
「そんなワケないだろ?
なってやるよ今すぐ究極体に
だからさ、ジュンナ
君の全部をボクによこせ」
「へ?」
呆ける彼女の眼前にて超大型獣竜の
口が大きく開かれる。
パキ バキ・・・! ゴッックン
「じゅんなちゃん?」
ななが、1人と1体の元に辿り着いたのは
そのタイミングだった・・・。
「なにを?、している?、ドルモン?」
「うん?、見てわからない?」
「わからない、わかりたくもない
ジュンナの、自分のパートナーの
神機を食べる理由なんて」
「進化するにはコレが一番手っ取り早い
ジュンナだって早く終わらせたいんだろ?
だから文句なんて言わせないよ、うん」
「ぇ? ぁ? へ? え?」
「純那ちゃん!、純那ちゃん!!
ドルモンッ、あなた!!」
「ナナ、君を助けられたからボクは
あいつも、大丈夫なんじゃないかって
そんな夢物語を見ちゃったんだよ、うん」
「!?」
「でも、結局ソレはボクの都合の良い妄想でしかなかったんだ
現実はそんな甘いモンじゃないってあんなに思い知らされてたのに今更そんなモンにすがるなんて馬鹿だよね、うん
でも、そんな馬鹿なボクは今日限り
今、最も現実的で確実な手段であいつを・・・
誰よりも、世界を守る事に誇りを持っていたオメガモンを冒涜する存在を
この世から消し去ってやるッッッ!!!」
パートナーのレヴュー衣装の袖をズタズタにした怪物が吠えるのと同時に額の宝石・インターフェースによって電脳核自身の創造力が強制的に解き放たれる。
「ドルグレモン進化!、ドルゴラモン!!」
より固く より大きく より鋭く
そして何より、より強い姿となるべく
肉体を構成する0と1を荒々しく流動させれば
電脳核に刻まれているドラゴンの情報が
破壊の権化、究極の敵の化身への進化を誘った。
「うん、うん!、うんッ!!
これだ!、これこそがボクの究極体!!!」
「ド、ドルゴラモン?
だが、君は 」
「アルファモンだった?、それがどうした?
成熟期の時点で前のボクとは違ったんだから
また成れる訳がなかったんだよ、うん」
「!、ドルモン!!
純那ちゃんを置いていくの!?、ねぇ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
フレイモンの疑問も
ななの叫びも
純那の眼差しも
何もかも無視してドルゴラモンは翼を広げ
飛翔する
許されざる存在を消す為に。
〔「ぐ!、ぎ!、ぃぃ"・・・!
貴様、ら、全員無事かーーーーーー!?」〕
「そっ、ち、こそ!
ディアナモンお前、コレ!
空間そのもの自分にしてっジャン!?
だから、今のモロに食らって 」
〔「ワタクシの事等どうでもいいッ
テンドー!、クロディーヌ!、マヒル!
返事をするのデシテ!!」〕
ソレが向かう先
綻びの見え始めた星空と湖に
水面に映る月光の必死な叫びが木霊する。
「おいおい、あいつおめェ無視してっぞ?」
「いいんだよ、それでなァ・・・」
クロンデジゾイド製の巨大ちゃぶ台の上で隻眼の獅子獣人が大の字に倒れながら眺めるのは
「・・・・・・・・・!」「!、!!」」
「おっと、死角をついたつもりだったのですが」
「その手にある頭は飾りじゃないって訳?」
「なら!、3人一緒に行こう!」
「く、クロ公!、お前ら!?
何GAKU-RANバサバサさせてんジャン!
ズッリィぞ!!、ウチもそれやりたい!!」
〔「マントならば貴様もあるだろう!?」〕
白騎士の成れの果てを四方八方から襲うのは
学生服に似た黒い衣装の切れ端を
闘牛士のように華麗に翻す99期生3人。
〔「そいつの防御力を過信するな!、GAKU-RANが無効化出来るのは物理攻撃のみ!
それとて、先程の必殺技が直撃すればひとたまりもないのデシテ!」〕
「わかっていますから!、兎に角あなたは戯曲の維持に専念して下さい・・・!」
「今私達が飛べなくなったら本当に終わりよ!」
「!、やっぱり2人共すごい
でも、私だってぇ!!」
「おいおい、あいつらおめェのモン
おめェより使いこなしてねェか?」
「いいんだよ、アレでなァ」
技を使う間を与えず、攻防を瞬時に入れ換え目まぐるしく動き回る主席と次席の連携にまひるは全身全霊で食らいつく。
「「・・・・・・・・・各障害データ分析終了」」
「「「!?」」」
〔「!、マルスモンッ!!!」〕
「おう!、うおおおおおお!!!」
だが、それすらもこの白騎士の成れの果てには瞬時に対応されてしまい
獣の口に冷気が集束。
「「《ガルルキャノン》」」
「ジャン!?」
〔「ァぐぅう!!、ぎぃぃいいい!!?」
乱入してきたマルスモンの接近すら読んでいたのか燃え盛る拳を剣で容易く防ぎ
発射の寸前、右手を下に向け
水面に映る月を穿った。
「ルナモン!?、く・・・!!」
「「特殊空間ノ消失ヲ確認
最優先排除対象、ニンゲン、削除!」」
「ウチを無視すんなぁーーーーーー!!!」
「「《ダブルトレント》」」
「うおおおおおお!!、負・け・ね 」
「「《オメガブラスト!!》」」
「 ぇ 」
「マル、ス、モン?
ーーーーーーッッッ、ベアモン!!!」
炎と氷を強引に突破したマルスモンの顔面に
竜と獣の口から放つ衝撃波が零距離で炸裂。
これにより闘争の神の意識が完全に絶たれ
退化しながら、クリスタルの上を何度もバウンドしていく。
「マヒル!!」
「べ、ベオウルフモン・・・!
ルナモンとベアモンが!、どうしよう!?」
「くそ!、マヤチャン!、クロチャン!
月光が持ってる薬飲ませて叩き起こせ!
その間、ここはオレ達で持たせる!!」
「出来るの!?、アレを相手にそんな事!」
「無理でもやるっきゃないんだよ!!!」
「・・・・・・・・・露崎さん、すぐ戻りますので」
「!、うんッ」
「番長!、神威!、まだ動けるか!?」
「ったりまえだァ!!」
「おいおい、世界樹の同格ってだけあんな
デジモン使いが荒いこってェ・・・!」
「「《ガルルキャノン》」」
飛べなくなった舞台少女達が次の行動に移るのを阻止すべく、絶対零度の爆撃が開始。
「ちったぁ休めたか?
出番だぜェエエエ!、ヒヌカムイ!!!」
〔《地神ッ! 神鳴ッ! 神馳ッ!
親父ぃいいいいいいいいいいッ!!!!》〕
空からの砲氷をガンクゥモンの体から浮き出た人型の竜が如き重厚なオーラがひたすらに殴り返し
「《フラッシュ!、バンチョーパンチ!!》
オラァアアア!!」
「《リヒト!、アングリフ!》
《ツヴァイッ・・・ハンダーーー!!!》」
「ええええええい!!」
獅子の拳圧と重火器による一斉掃射に紛れLove Judgementを頭上に掲げたまひるが亜高速でかっ飛ばされた。
「「《グレイソード》」」
すると、まるでそこに現れるのが
予めわかっていたかのように振るわれた
竜の頭から生える炎の剣が
彼女の体躯を真横から両断。
「・・・・・・・・・マヒル?
まぁ、いっか」
この光景にパートナーたる仔人狼の口から溢れたのは、諦め。
「もういいよ、好きなだけ使っちゃって☆」
「オヤジ!、テメェ何を!?」
「お、おいおい!、なんだぁありゃあ!?」
「ア"ァンッ!?」
ガンクゥモンの驚愕の声にひかれ
バンチョーレオモンが残った眼を向ければ
白騎士の背後に緑のキラめきが瞬く。
「電脳空間を流れるデジタルウェイブ
光回線との一体化、か・・・
アレだけの代償を支払うだけの事はある」
ストラビモンの滲む視界に映るパートナーの姿は
「がるるるるるぅうううううう!!!」
「「!?、データ照合・・・・・・・・・
該当0!?、未確認!、アンノウン!」」
最強の聖騎士だったデジモンさえたじろがせ
クリスタルの大地に力ずくで叩き落とす
紺のタテガミと緑の毛並み持つ人狼。
「(なに?、これ?、わたしどうなって?
わからない、わからないけど
たたかわなくっちゃ!)
がるぅううう!、がるるるるるる!」
「データ!、照合・・・」「不可能!?」」
毛むくじゃらな腕から振るわれるメイスによる殴打の威力は先程までの比ではない。
しかも反撃しようにも、剣や銃や炎や氷では『光』を捕らえる事は叶わず一方的に黒い体が削られていく最中に
「《ブレイブ!! メタルッッッ!!》」
究極の敵が出現した。
「「!」」
「きゃん!?、あ、ぅ・・・・・・・・・」
「マヒル!!
お前!、まさか隠士か!?」
「その呼び方はやめろって何度言えばわかるんだ!?
よく見ろ、この姿のどこか孤高の隠士だ!?
どこが聖騎士なんだよ!?、ううんッ!?」
「・・・・・・・・・おい、おい」
かつての友だった存在を今の仲間諸共に蹴散らしドルゴラモンは吠える。
「まひるちゃん!!!
まひるちゃんにまで、こんな、ひどい事ッ」
「バナナチャン!、炎の!
あいつに何が、!、ジュンナチャン!?
その腕はどうしたんだ!?、怪我は!?」
「怪我は、ない、が」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
荒れ狂う獣竜を追ってきたななは謎の変異が消えてぐったりとしたまひるを抱え、彼女の背後ではフレイモンが固く拳を握り
純那は虚ろな表情で頼りなく歩いていた。
「「新タナ障害ヲ確認」」
「うん、そうさ!、お前の敵はこのボクだ!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「うん!?、なん!、なんだよ?
なんだよ!?、なんで反撃しないんだよ!?
とっととやり返せよ!!、戦えよ!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「ーーーーーー!、無視!!、するな!!」
ドルゴラモンが全力で振り回す爪を牙を翼を尾を、見切り躱す『だけ』の元・白騎士。
「ったく、どいつもこいつも何やってんだ?
道を違えたその時は
騎士として、互いに誇りと正義を賭けて戦う
そう誓い合ってたのはおめェら自身だってのに
今やってんのはガキの喧嘩以下じゃねェか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「総大将、ソレ
前のあいつらが言ってたのかァ?」
「ああ、会議の帰りにでかい声で言い合ってたのがよーく聞こえたぜェ」
「だとよ、ジュンナァ
いいのかァ?、あいつをこのまんまにして」
「・・・・・・・・・ッ」
「アレは暗黒進化じゃねぇ
あのまま放っておけばオメガモンだって倒せるかもしれねぇ
だから、オレサマに止める理由はまるでねぇ
でもなァ、ジュンナァ
あいつとテメェにはデカイ借りがあんだァ」
「バンチョー、レオモン・・・それって・・・」
「だから 」
「なら、お願い出来る?
暫くの間、オメガモンの相手を」
「!、純那ちゃん!?」
「アァ、やってやらァ
けどなァ!、あんまりチンタラやってたらァオレサマがあいつをブッ倒すかんなァ!!」
「おいおい!、おめェって奴は生まれ代わっても口がデカイのは変わんねェんのか!?
自慢のGAKU-RANがそのザマだってのによ」
「大丈夫、それならここにありますから
ストラビモン、フレイモン
まひるちゃんをお願い」
「バナナチャン」「ナナ」
「なな・・・」
「ちゃんと見つけてあげてよ?、委員長さん
ひとりぼっちで隠れてる
あなたのパートナーが本当にやりたい事を」
「ええ
必ず掴んで引っ張り出してみせるわ・・・!」
「ふふふ♪」
眼鏡の奥で新たに灯された決意を燃やす純那にななは甘く柔らかい笑みを見せると、まひるの持っていた黒い衣装の切れ端を手にバンチョーレオモンの左側に並んだ。
「・・・・・・・・・ふーーー、はーーー
!!!」
親友がパートナーと共に駆けるのを見届けた後
舞台少女は本能のまま、その手に掴んだ矢を
自身の胸へと勢い良く突き立てる。
「!?、ジュンナ、君!、何やって!!?」
「行ってきなァ!、あいつの舞台に!」
「戻ってくるまでは私達が引き受けるわ!」
「「!」」
「か!、てな、まねするな!
んぅ!?、ぅんんんうううあああ!!??」
すると、ドルゴラモンも同じ箇所を手で抑え
・・・・・・・・・抑えるも、まったく止められず
暴れる獣竜の巨体は水色のキラめきに
呆気なく飲み込まれるのであった。
※《クレセントハーケン 戯曲、改編・Stars the Moonlit》
Odette the Moonlitの改訂版。
月が大きく映る湖と星が瞬く夜空の舞台装置内【限りなく現実に近い幻覚】において舞台少女をスタァ、つまりは星に見立てることで飛行能力を与える。
更にOdette the Moonlit時の真矢程ではないが、キラめきを引き立てる効果もあり対レイド帝国のデジモンとの集団戦においては非常に効果的と言える
・・・・・・・・・が、天堂真矢的には
みんなが一緒にスタァになるのはあんまり好きじゃなかったりする。