99ADVENTURE   作:リカル

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華恋達6人が西方ウラル大陸でそれぞれ動き出していた頃、他の3人はというと・・・


トップスタァに並ぶ月 レキスモン跳躍!

☆東方士武大陸・朔ノ山最奥

 

 

「すみません

どなたかいらっしゃいませんか?」

 

 

山中に響くのはよく通る声。

 

「・・・・・・・・・困りましたね、何の反応もないとは」

 

その主である天堂真矢は茅葺き屋根の小さな家の前で立ち尽くす。

 

「(奇妙な空に撮影のセットを思わせる建物

やはり、あのキリンの仕業でしょうか?

配役の説明もなく山の中を延々と歩かされては)

 

思わず、この畑の作物をそのまま食べてしまいそうになりますね」

 

 

ガタタッ! ドタタタタ! カララ・・・

 

 

「・・・・・・・・・、!?」

「!?」

 

思わせ振りな台詞に釣られ僅かに開いた引き戸から見えたのは、薄ピンク色をしたウサギのような生き物。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ソレは真矢を頭の天辺から爪先まで見つめた後、ソロソロと引き戸を

 

「すみません、突然。

ですが、先程言った通り空腹が限界を迎えそうで

何か食べ物を恵んで貰えませんか?」

「んぎゃーーーーーー!!??

押し入り強盗デシテーーーーーー!!!」

 

閉じれない。

 

「お願いします、でないとあなたの仰った行為を今にも実行しそうで・・・」

「このニンゲンは涼しい顔で何恐ろしいコト言ってるんデシテ!?、いいからとっととその足退けるのデシ

 

!」

 

「おっと」

 

泣き叫んでいた生き物の抵抗が突然やみ、勢い余って前のめりにつんのめる・・・フリをして室内への侵入を成功させる真矢。

 

「命が惜しかったら隠れているのデシテ!」

 

直後、入れ換わりで外へ出た生き物がピシャリと引き戸を閉めた。

 

〔「こ、コンゴウ親分っ!

今日は随分と、その、早いお着きデシテ」〕

〔「おおん?、早くってなぁんか都合が悪い事でもおるんけルナモンよぉ?」〕

〔「い、いえいえ!

そんな滅相もないのデシテ!

ただ、ワタクシとしては、その・・・

そう!、いつも御世話になってるコンゴウ親分達には最高の状態で召し上がって欲しいだけデシテ!」〕

〔「そーけ、そーけ

じゃがのぅ、腹ん虫がおめぇん所のうんめぇ野菜を食いてー食いてーと騒いでしょうがないんじゃあ」〕

 

 

バキッ ボリンボリン!

 

 

〔「かぁーっ!、たまらんのぅ!

さぁ、おめぇらも遠慮せんで食え食え!」〕

〔『へい!、親分!!』〕

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

〔「よ、喜んで貰えたなら何よりデシテ」〕

〔「ところでよぉルナモン

子分が森で妙なモン見たっつってなぁ

よくよく話を聞いてみりゃあそいつぁは何と!

ワシがリーフモンだった頃年寄り共から聞いた

 

ニンゲンにそっくりなんじゃが・・・

 

おめぇ何か知っとらんか?」〕

「!」

〔「に、ニンゲンについて知っている事といえば

デジタルワールドに危機が訪れた時それを救う為に現れると言い伝えられているぎゃあっ!?」〕

〔「そーゆー話はしとらんじゃろ?

見たか見とらんかハッキリせいや」〕

〔「み、みてない!、デシぐぎぃいいい!!」〕

〔「悲しいのぅルナモン、おめぇは余所モンじゃが今までずーっと仲良くやっとったと思っとったっのに

 

何で嘘をつくんじゃ?」〕

 

〔「し、らない!

ニンゲンなんて!、みたことない、デシテ!

 

だから!、はやくここから離れた方が・・・

 

いいの、デシテ!」〕

 

「(ああ、成る程 そうゆう事ですか)」

 

引き戸越しに聞こえてくる叫びが自分に向けられている、それを理解した上でこの舞台少女は

 

『!?』

「ぁ・・・?」

 

引き戸を開いた。

 

「な、なにモンじゃおどれはぁ!?」

 

 

「月の輝き 星の愛

 

数多の光、集めて今、あなたの心に届けましょう

 

99期生首席、天堂真矢!

 

今宵、煌めきをあなたに!」

 

 

高らかな口上と共に赤い前掛けを翻し

 

「ぬおう!?」

 

Odette the Marvericksで金の腕を斬りつけ

その中に囚われていたウサギを奪い取った。

 

「な、んで・・・?

どうして、にげなかった、デシテ?」

「逃げる?、何故?

やっと自分の配役が理解出来たというのに」

「へ?」

「しかし異世界の救世主、ですか。

しかも私自身、この天堂真矢として

ふふふっ、何とも難しい役ですがとても演じがいがありそうですね」

「なぁにゴチャゴチャ言うとるんじゃあ!?

よくもワシの自慢の黄金ボディーを傷モンに!

帝国に売っぱらうってやろうと思っとったが

もうゆるさんっ!

やっちめぇ!、コカブテリモン共!」

『へい!、親分!』

 

「許さない?」

 

殺到してきた青い甲虫達を迎え撃つのは

 

怒濤の連続突き。

 

『ぐわあああっ!』

「なん、じゃっ、う!?」

「それはこちらの台詞なのですが?」

「(こ、このニンゲンっ

 

荒らされた畑の方を見ているデシテ!?)」

 

「ちぃいいっ!

調子に乗るんじゃっなかぁあああ!」

 

Odette the Marvericksを受け止めていた2本の黄金の腕。

その下にある4本の腕が独古のような武器を真矢に向けた。

 

「ろ!《ロップイヤーリップル!!》」

「がぼぼぼ?!、ぶはぁ!

ルナモンっ、おめぇよおおお!」

「~~~~~~ッ!!!」

「おや?、急に震えてどうしましたか?」

「ど!?、どうしててってデシテて!!」

「まさか、今のは私を助ける為にやったと?

だとしたら見当違いも甚だしい

あなたがやった事は舞台に文字通り水を差しただけだというのに」

「んなっ!?」

「だぁああら!、ワシを無視してゴチャつくな言うとるじゃろ!《鉄砲!!》」

 

6本の腕から繰り出される連続張り手

 

「確かあなたは、ルナモン、でしたか?

もしも、あなたが

私と同じステージに立つつもりならば己のやる事

 

やるべき事に自信を

 

いえ、誇りをもって下さい」

 

を、掻い潜って黄金ボディーにOdette the Marvericksを一閃させる真矢。

 

「ほこり?、誇り、デシテ・・・?」

「それが出来ないのなら隅で縮こまっていればいいだけです、あなたが今までそうしてきたように」

「ーーーーーーッッッ!!!

この、こいつ!、さっきから好き勝手!

好き放題が過ぎるのデシテ!

なんなんデシテ!?、何様デシテ貴様ぁ!」

 

彼女の片腕の中、震えてばかりいたウサギ・ルナモンが吠えれば

 

 

「This is 天堂真矢!」

 

 

首席たる舞台少女は己のキラめきを掲げ

気高く、美しく名乗りを上げた。

 

 

「「      !      」」

 

 

        !

        ‎

 

彼女の圧倒的な存在感には相対していたコンゴウ親分も怒りを向けていたルナモンも

 

そして、この世界・デジタルワールドすらも

 

魅入ってしまう。

 

「これは、!?」

 

名乗りの直後、スポットライトのように真矢へと降り注ぐ虹色の天光。

それは彼女の手首に巻き付くと、純白の機体に漆黒の装飾が施された神器と化し

 

0と1で構成された白い粒子を大量に放出する。

 

「こ、れは、このチカラは!

(『かつて』のワタクシの!)」

 

幕のように降りてきたソレの下で

肉体【データ】を変化させていくルナモンの

 

 

「虚無の空 不明な曇天

 

そこに何もなくとも

 

星は、光は、確かに此処にある」

 

 

全身がすらりと伸び、顔の上半分が鉄仮面に覆われる。

 

 

「ルナモン進化、レキスモン

 

今宵の月、それはこのワタクシだけデシテ」

 

 

開かれた幕の下よりグローブが装着された拳を構えるのは、月の神秘を宿した兎獣人・レキスモン。

 

 

「これは!、随分と逞しくなりましたね」

「感心してる暇があるのデシテ?」

 

目を見開く真矢を見下ろし、しなやかな脚部に力を込め跳躍。

 

「グズグズしているなら貴様の出番は最早ないのデシテ」

「んんっ!、おおぅん!?

ルナモンッおめぇいつん間に進化したんじゃあああい!?」

「どこかのニンゲンのせいでつい先程」

「ふふっ!、本当に逞しくなりましたね!

先程までの愛らしい姿も魅力的でしたが

今のあなたも好ましく思えます」

 

呆けていたコンゴウ親分に拳を連打すれば、それに追随してOdette the Marvericksが振るわれる。

 

「ぬぬぬぅん!、ぬおおおおおお!

ワシの、ワシの自慢の!、黄金ボディーがあああどんどん削れてぇ

けず、れて・・・?、ぁ、あああっ!!!」

「デシテ?」

「失礼」

「あ、こいつ!?、ワタクシを踏み台に!!

待てデシテ!、て、テンドー!!」

 

順次跳び上がり、紫空に並ぶ1人と1体。

 

 

「お、おおおう! おおおおおおっ!!」

 

 

コンゴウ親分は見た。

 

金箔が舞う中、双光を背に舞い降りる

 

 

トップスタァのキラめきを。

 

 

「《ムーンナイトキック!!!》」

「はぁああああああ!!!」

 

同時かつ同じ箇所に炸裂する

真矢のOdette the Marvericksの切っ先とレキスモンの脚。

 

 

バッギィィィン!!!

 

 

「お、おやぶーーーん!?」

「んな馬鹿な!、親分の黄金ボディーに

あんな、あんな大穴がぁ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ハァー、上手くいったのデシテ・・・」

「やはり、土壇場で私の剣を反らしたのはわざとでしたか」

「余所の土地から来たワタクシを受け入れてくれた手前、こんな形で削除するのは寝覚めが悪いのデシテ

(とはいえ、これで戦意を無くさないのなら容赦する気は無いデシテ)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ん?」

 

レキスモンが土手っ腹に空いた穴に狙いを定めコンゴウ親分の動向を探っていると・・・

 

 

 

 

惚れやしたっ

 

あねご、姉御と呼ばせて下せい・・・!」

 

 

『「「      は?」」』

 

今までの尊大な態度を一変させ跪いた

 

 

天堂真矢の足元に。

 

 

「なんつぅキラッキラッした御方なんじゃあ!

あんたに比べればワシの体なんて・・・

屑じゃ!、屑鉄じゃあああ!!」

「お、親分なにを!?」

「ボディーの輝きを保つ為に肉断までしていた親分が!」

「毎日早寝早起きで体操まで心掛けてたきた親分が!」

「毎晩毎晩デジハニーマッサージしてきたおら達の頑張りがぁ!?」

「じゃがしぃ!、姉御の前で頭が高いわ!

控えい!」

『へ、へい!、親分!』

「これは、その

一件落着と思ってよろしいのでしょうか?」

「ソーデシテー・・・・・・・・・あぅっ」

「!、ルナモンに戻れたのですね!?」

 

戦士からぬいぐるみのような姿になった共演者を優しく抱き止め

 

「うふふふ♪」

「な、なんデシテ?」

「いえ、想像以上に素晴らしい毛並みだと思っただけですよ

特に、この辺りが」

「ちょっ!?、どこ触っ!

み、みみはやめるのデシテーーー!!!」

 

撫でくり回す真矢であった。

 

「う、うらやましい!

ワシもワームモンに戻れれば!!」

『(親分・・・

ワームモンに毛は生えてねぇべ・・・)』

 

 

 

 

 

 

 

☆東方士武大陸・竹林

 

 

「「はぁっ!、はぁっ!、はぁっ!」」

 

 

西條クロディーヌは竹を掻き分けながら帽子を被った小熊と共に全力疾走していた。

 

 

『待てやゴラァアアア!!!』

 

 

背後から迫りくる鎧武者の集団から逃れる為に。

 

「(どうしてこんな事になったのかしら

原因は)」

「へっへー!、ここでウチと鬼ごっこして勝てるワケないジャン♪、あっかんべー!」

『こん餓鬼ゃぁあああっ!!!』

「(間違いなくこの子のせいね・・・)」

 

この奇妙な世界で目を覚ましたクロディーヌが最初に遭遇したのが

 

小熊による強奪事件の真っ只中。

 

異常な光景に呆気に取られていた彼女の手首へと飛び込んできたのは乱闘の最中ひび割れた宝箱から漏れだした虹色の輝き。

ソレはオレンジを基調とし黒の装飾がなされた腕時計のような機械となりクロディーヌの手首に固定された。

 

「止まれぇいニンゲン!」

「御館様への献上品を返しやがれぇい!」

「その腕ちょん斬ったらぁあ!」

「お断りよ!

まったく、とんだ災難に巻き込まれちゃったわ」

「同感ジャン!、食いモン運んでると思ったのに箱の中なんも入ってなかったし!」

「・・・・・・・・・」

 

結果、この小熊共々追われる身となってしまったのである。

 

「お、橋見っけ!

あれさえ越えればウチの住処ジャン!」

「!、ちょっと待ちなさい!!」

「待ってて言われて待つ奴が・・・ジャン?!」

 

橋を渡る小熊の足元に突き刺さったのは数本の矢。

 

『・・・・・・・・・』

 

その発生源は向こう岸で弓を構えるゴム兵隊達。

 

「やっべ!、先回りされたジャン!」

「だから待てって言ったでしょ!」

 

クロディーヌが続々と飛来する矢を叩き斬っていると

 

「でぇえええい!」

「追いつかれたジャン!?

このっ!《小熊正拳突きィ!!》」

 

背後から迫る鎧武者を小熊が薙ぎ倒していた。

 

「がはっ!、餓鬼の、癖に・・・!」

「ガキだけど!、ガキじゃねぇジャン!」

「1人倒したぐらいで調子に乗らないッ!」

「「があ"あ"あ"!」」

「!、いっぺんに2体も!?

う、ウチだってそれぐらいやれるジャン!」

「あらそう?、なら私は」

 

おもむろに振るわれるEtincelle de Fierte。

 

『!?!?』

『ぎゃぁぁぁあああ!?』

 

その剣圧が突風を生み

迫る矢が鎧武者やゴム兵隊の方へ飛んでいく。

 

「その間にもっと沢山倒して上げるわNounours」

「!、!?、!!

 

 

ま、負けねぇジャーーーン!!!

 

 

うおおおおおおおおお!!!!」

 

舞台少女の勇猛な活躍に対抗する為かやたらめったら暴れ出す小熊。

 

「・・・・・・・・・子供相手に何をしているかしらね、私

(いくら元凶だからってどこかの誰かさんじゃあるまいし

あんなあからさまな挑発するなんて)

あの子を落ち着かせる前に、自分が冷静に

 

!」

 

それに気を取られていたクロディーヌの足に走る鋭い痛み。

 

「ーーーーーーッッッ!!!」

「んに"ぃ?!」

 

原因である針

を、抜くより早く橋に転がっていた刀を投擲。

竹林に潜んでいた栗みたいな格好をした忍者の脳天を貫いた。

 

「くっ!

(針を抜いても、熱と痛みが消えない?

それどころか、少しずつ広がって・・・っ)

時代劇の、お約束って、奴?

とんだ、失態、ね・・・!」

「どうしたジャン!?、ケガしたのか!?

ウチがなめてやろうか!?」

「結構よ!

それより、あなた、泳げる・・・?」

「ん?、お、おう!

ウチはベアモンだかんな!」

「・・・・・・・・・そう、なら

 

 

Je suis désolé」

 

 

「ぐええええええ!」

 

心配し駆け寄ってきた小熊・ベアモンをクロディーヌは蹴り飛ばした

 

 

「ぷは!、おいお前・・・!?

 

くっそーーー!

 

これで勝ったと思うなジャーーーン!!!」 

 

 

橋の下を流れる川めがけて。

 

 

「くっくっくっ!、愚かだなぁニンゲン!」

「あんな取るに足らんモンの為に自ら犠牲になるとは」

「何か、勘違いしてない?

私は、これ以上あの子にッ

荒らされたくなかっただけ!

 

この西條クロディーヌの、舞台を・・・!!」

 

「こいつ!、まだ動くか!?」

「早るなッ!、毒が回るのを待 ぎゃ!」

「くそぉ!、兎に角囲め!、決して逃がすなぁあああ!!」

 

次から次へと湧いてくる有象無象を斬り捨てる度、体を蝕む熱と痺れが増していく。

 

 

それでも彼女は止まらなかった

 

 

鎧武者が最後の1体になるまでは・・・。

 

 

 

「ぜぇっ!、ぜぇっ!

 

あいつ、名前!、聞こえたジャンッ!

 

コンチクショウ!、覚えたかんなぁ・・・!

 

えっと、サイクロ?、サイコロ?

 

・・・・・・・・・

 

だぁああああああ!!!

 

待ってやがれクロ公ーーーーーー!!!!」 

 

 

 

 

 

 

 

☆東方士武大陸・湖畔

 

「やっと、火を、起こせた・・・!」

 

悪戦苦闘の末、完成した焚き火の前で荒く息をつく神楽ひかり。

その周りに大量の木片やら何やらが散らばっているのは・・・まぁ、御愛嬌である。

 

「後はこれを」

 

ひかりが焚き火の前で掲げたのは

 

『一抱えもある大きなタマゴ』。

 

彼女はソレを轟々と燃える火の上に直接置いた。

 

「よし」

 

とある舞台少女が見たら慌てて止めに入るであろう調理風景だが、当の本人は満足げ。

 

「湖に浮いてたし殻の色がイースターみたいだけど火さえ通せば食べられる、筈」

 

謎の自信を持ってタマゴが焼けるのを今か今かと待ちわびる腹ペコひかりだったのだが・・・

 

 

ピシッ

 

 

「え?」

 

 

ピキピキピキ・・・! パリン!

 

 

「ぷすーーー!!!」

 

「あ」

 

 

彼女が食事にありつけるのはまだまだ先になりそうだ。

 

 

 

 

 

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