99ADVENTURE   作:リカル

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『牙』の名を持ちながら牙になれず


『明け』というモンを知らぬまま


ただただ遠吠えを上げていた自分は


どうしょうもなく   負け犬でしかなかった。







番外編・牙無きモンの牙

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!

みつけたぞ!、きょーだい!」

「うん!?」

 

サイケモンだった頃の自分が、重なり合った鉄屑やら何やらの中から強引に引き摺りだしたのは

全身が紫色の硬い毛に覆われた幼年期デジモン

 

 

一番下の『きょーだい』であるドドモンだ。

 

 

「にーちゃんヤッベー!

なー?、シロガブー?」

「ああ!、クロガブのいうとおりだー!」

「かくれんぼー!、にーちゃんがおにだとすーぐみつかっちゃうんだなー!」

「・・・・・・・・・ボク、かくれんぼなんてしてないんけど?」

「?、そうだったのか?」

「うん、そうだよ

だから、さっさと離してくれない?」

「ならさ、これからいっしょにあそぼう!

なにしてあそぶ?」

「「ボールあそびー!!」」

「かけこっこー!、なんだなー!」

「みんなおちつけ、まずはドドモンにき 」

 

 

「だから、僕は遊びに来たんじゃないッ」

 

 

「あ!?、ドドモン!」

 

自分の手から無理矢理離れた丸っこい体がゴミの間をすり抜けるようにピョンピョン跳び跳ねていった

 

 

・・・・・・・・・んだけど

 

 

「(なんであいつはなれないんだ?)」

 

 

結局また、物影に隠れて自分や白ガブ、黒ガブ、ラブラモン、バグモン達5体を見ていたんだ

 

 

今ならわかるよ、兄弟

 

 

お前はずっとそうやって

 

 

いつ現れるかわからないレイド帝国の連中から

 

 

自分達を守ろうとしてくれてたんだよな

 

 

・・・・・・・・・ごめんな

 

 

お前にとって一番上の『にーちゃん』なのに

 

 

お前の気持ちに全然気づいてやれなくて。

 

 

ドドモンの・・・いや、その時はもうドルモンになってたな

ドルモンが本当はどんなデジモンなのかとーちゃん・・・じゃなかった

反抗組織『明けの遠吠え』の長から聞かされたのは、自分達5体が成熟期になった頃。

その辺りからレイド帝国の監視が厳しくなって

ウラル大陸の各地で隠していた肉畑が次々と見つかって、自分達より上の兄弟が減っていく中

 

 

「ハイ☆ハーイ☆みぃんなぁ☆

 

 

オジサンが肉持ってきたよー☆

 

 

さぁさ☆食べて☆食べて☆食べちゃってぇ☆」

 

 

傷だらけで笑いながら現れた始祖様は

 

 

正直、かなり怖かったけど

 

 

折れかけていた長の心を繋ぎ止めてくれたのは

 

 

あのヘタクソな作り笑いだったんだ。

 

 

だからこそ

 

 

泥にまみれて泣きじゃくるシーサモンから

 

 

貴方がレイド帝国に囚えられたと聞いた時

 

 

自分は形振り構わずキテンの街に駆け付けた

 

 

・・・・・・・・・最も、駆け付けた時には無駄足で

 

 

ならば、せめて追っ手の数を減らそうと

 

 

決して敵わない相手に戦いを挑んで

 

 

 

負けた。

 

 

 

思えば   自分は   いつだって

 

 

 

 

「「「「リーダー起きろぉ・・・!」」」」

「ッ!?」

「シュウッ、しぶとい」

 

意識が現実に引き戻されるや否やファングモンは跳躍し、真横から振るわれた一撃を躱す。

 

「(こ、こは・・・マルスモンの?

自分は一体何を、して?)」

「う、うぇーっ」

「やっべ、おおごえだしたら」

「き、もち、わりぃ」

「!、みんなどうし、ぐぁっ!!?

 

 

(そう、だった・・・!、思い出した!)」

 

 

酒精を多く含んだ空気に包まれた神々のコロシアム。

その中心ではファングモン以外の4体が酩酊状態に陥いり、力なく横たわっていた。

 

「シュウッ、あのまま場外に叩きつけられていれば楽になれたというのに

これだからケダモンという奴は気にいらん」

 

『明けの遠吠え』のメンバーを見下し、嫌悪感に満ちた言葉を吐き捨てるのは

 

 

十二の神が一柱、蛇姫ミネルヴァモンの狂信者

 

 

八首持つ魔竜・オロチモン。

 

 

「いい加減諦めろ、お前らがやっているのは無駄な足掻きでしかない」

「無駄、だと?」

「ああ、そうだ

あんなババアの加齢臭なんぞに惑わされるような駄犬如きに率いられた下界の有象無象が

 

 

至高なる神ミネルヴァモンたんを信奉する

 

 

私共に勝てる筈がなかろう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・タンってなんだ?」

「至高なる神にのみ許された称号だ、覚えておけ」

 

 

※個モンの感想です。

 

 

「とにかく、もう気は済んだろう?

大人しくあの飛行艇をセイレーンモン達に引き渡せ

アレは翼も無く、手もロクに使えんお前らが我がモン顔で乗り回して良い代物ではない」

「断る・・・!!

それに、まだ、勝負はついていないッ」

「シュウウウ、そんな酔いが回った顔で吠えた所で戯言にしか聞こえんな

大体、お前らの役割はもう終わったろう?

あの飛行艇にこだわる必要がどこにある?

それとも、まだ栄誉が欲しいと?

 

 

どこぞのババアの右腕のように・・・!!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

「アイツもそうだった!!

 

 

アイツもそうやって自分の欲を満たす為だけに

 

 

故郷を!、仲間を!、戦火で無くし!

 

 

それでも懸命に生きようとしていた!

 

 

小さく!、愛らしい!、見守るべき生命達を!

 

 

この私共の目の前で踏みにじった餓狼ッ

 

 

死神のォ!!!、風ェ・・・!!!

 

 

あのような非道かつ卑劣極まり無い行いをした奴も!、その指示を下したババアも!

私共は決して許さんッッッ!!!」

「・・・・・・・・・だから、気に、入らないのか?

ババモンを、再び、ロゼモンにさせた長や

長に従う、自分達、が」

「ああそうだ!!

大局的に見れば奴の行動は間違いなくデジタルワールドを救う為に必要だったのだろうがな

 

 

だからとて

 

 

その過程で流れた小さなモン達の涙を・・・!

 

 

蔑ろにして良い理由にはならんのだッ!!」

 

 

「「「「「・・・・・・・・・ッ」」」」」

 

 

酒精の霧越しに向けられる怒りの眼差し。

 

 

「シューーーゥ、下界にてディアナモン姉様の助力となったことにはセイレーンモン達共々感謝している

だがな、『明けの遠吠え』よ

お前らの戦いはもう終わった

今後のデジタルワールドの運行は、その役割を担う神々や信者に任せればいい

だからもう、弱い癖して出しゃばるな

不相応な行いでお前らが消えでもしたら・・・

私共は、大恩ある御方らに顔向けが出来ん」

「お、ん?」

「シュウッ、会ったこともないのに恩を感じるのはおかしいか?」

「いや、マグナモン達みたいに、ならないのは、よかった、と思って」

「・・・・・・・・・ああ、そうゆうことか」

「そ、れに、気にいらないと、言いながら

あんた、自分達を必要以上に、痛めつけて、ない」

「そう、なん、だなー・・・!」

「見た目程悪モンじゃ、ない、な

なぁ?、ガルル?」

「ああ!、グルルの、言う通り、だ!」

「シュウッ、長く話過ぎたようだな」

 

そこに込められた真意を知って、獣達は再び八首の魔竜と対峙する。

 

「《アメノムラクモ》」

「《石敢当!!!》」

「ガルル!」「わかってる!」

「シュウッ?、《酒ブレス》により目も鼻もロクに利かんというのに何故そこまで動ける?」

「その通り、目は完全に潰されているッ

だが!」

「ゴミ捨て場育ちを舐めてくれるな!

酒の臭いがどれだけ立ち込めていようが自分達ならば嗅ぎ分けられる!《ブラストコフィン!》」

「《グラオ・レルム》ォォォオオオゥン!!」

「ッ、そこまでするのは何の為だ?

救われた恩返しか?、それともやはり栄誉か?」

 

 

「「「「「どれでもない!!!」」」」」

 

 

「シュウ!?」

 

連携で格上の必殺技を受け流し、体勢が崩れた瞬間に5体揃って一斉攻撃。

 

「オロチモン!、言葉の端々は変だけど・・・

あんたは悪いモンじゃないし、間違ってもない

 

 

実際、自分はどうしょうもなく負け犬だからな」

 

 

自嘲気味に笑うファングモンの脳裏に

 

 

キテンの街や海での戦い

 

 

そして、命を懸けて放った必殺技が炸裂

 

 

するより早く、オタカラが自分で窮地を脱し

 

 

助けたかったのに助けられた 情けない光景

 

 

他にも様々な『負け』が過る。

 

 

「さっき、あんたは助力と言ってくれたが

正直、『明けの遠吠え』の中で力になれたのは長やシーサモンぐらいだ」

「り、リーダー?」

「そうですね」「「だな」」

「みんなまで!?」

「だがな、それでも自分達は諦められん

 

 

皆さんの舞台を、キラめきを!

 

 

間近で、胸を張って見ることを!!」

 

 

「・・・・・・・・・だから

 

 

ソレが不相応だと言っているッッ!!!」

 

 

己の弱さがわかっていながら吠える痩せ狼に

魔竜は苛立った様子で八首の歯を鳴らすと

 

 

「《酒ブレス   炎界!!!》」

 

 

口内で火花を起こし、酒精に引火させながら

 

 

全力で放った。

 

 

「今のデジタルワールドで、成熟期の群れなんざがあんなモン乗り回せばどうなるか・・・!

お前らとてわかっているだろうに!」

 

 

ただでさえ、《酒ブレス》が充満していたコロシアムは一瞬で火の海と化し獣達の姿が見えなくなる。

 

 

「ならば、進化するまでのこと」

「シュウ!?」

 

 

故にオロチモンはソレへの反応が遅れた。

 

 

「パートナーでも、神でも、番長でも、信者でも

 

 

聖騎士でもなくたって、自分達はデジモンだ

 

 

掴んでみせるさ   なりたい自分を!!」

 

 

四角錐の結界で兄弟達を囲い

 

 

手を、拳を握り   翼を広げる

 

 

細身で犬科の頭部持つ神人型デジモン

 

 

ファングモンが進化した、アヌビモンに。

 

 

「《アメミットォオオーーーーー!!!》」

「《アメノ・・・!、ムラクモ・・・!》」

 

 

遠吠えと共に展開された

 

 

デジ文字の魔方陣より地獄の魔獣が召喚。

 

 

尾の刃を振るう八首の魔竜へと襲いかかる。

 

 

「「「「「アォォォオオオン!!!」」」」」

「シューーーゥゥウウヴァ!!!??」

 

 

 

「そこまでデシテ」

 

 

 

必殺技同士が激しくぶつかる最中

 

 

割り込んできたのは、冷たい声と氷矢の雨。

 

 

「で、ディアナモン!?、何を!!?」

「よく見ろ、既に勝敗は決している」

「「「「「・・・・・・・・・あ!!」」」」」

 

半眼で獣達を見据える月光神の指摘通り、《アロー・オブ・アルテミス》により造られた壁の真後ろにある魔竜の体躯は観客席に埋もれていた。

 

『お、オロチモンッ』

「これで、納得したか・・・?」

『ーーーーーー!』

「少なくとも、私共は『明けの遠吠え』を認めた

いや、コレでは認めざるおえん、な」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

未だ起き上がれないオロチモンの周囲を飛び交うセイレーンモン達の視線には未だ迷いがあった。

 

「弱きは罪、強さこそが絶対

それがワタクシ達デジモンの性

この理は世界が丸ごと再生産されても変わらん」

『ディアナモンさま・・・』

「その理の元、『明けの遠吠え』は力を示した

故に、次は貴様らの番デシテ

何、飛空艇なんぞに頼らずとも成すべき事は山程あるからな

 

 

精々、使い潰して舞台の肥やしにしてくれる!

 

 

その日が来るのを覚悟しておけ信者達よ!」

 

 

『!!、御心のッ、ままにぃい~~~♪♪』

 

 

しかし、ソレも自分達が信ずる神からの神託により無事解消されたのであった。

 

「ふぁんぐもォウ!!、フォゥンッッ!!」

「お、長!?」

「わ、ワシ!、ワシはァ!、もうんじんばぃでぇえーーー!!」

「・・・・・・・・・ごめん、とーちゃん」

「リーダーヤッベー!

なー!?、ガルル?」

「ああ!、グルルの言う通りだ!」

「まさか、完全体を飛び越して究極体になるとは」

「すっごいんだなー!」

 

一方、アヌビモン達の元へはツナギ姿の老人狼

鎧の無いクーレスガルルモンのワー爺が顔をグシャグシャにしながら駆け寄ってくる。

 

「こうなることも想定内でしたか?」

「いいや

だが、期待はしていたのデシテ」

「相変わらず貴方、辛うじて乗り越えられるであろう試練しか与えないんですね」

「それが神というモンだろう?」

「ハッ!!、そこらの究極体と変わんないクセして神名乗んなっちゅーの!」

「「・・・・・・・・・」」

 

ディアナモンとメディウムの会話に乱入してきたのは、8本もの腕を持つ鍛治の神。

 

「ウルカヌスモン、貴様を呼んだ覚えはないのだが?」

「ディアナモン、声をかけてはいけません

有事の際所か危機が去った後ですら神としての勤めを放棄している自称神なタコが湯で上がります」

「ああ、すまん、ついうっかり」

「自称神はそっちだっちゅーーーの!!

究極体成り立ての技なんかにあんな無駄矢放っちゃって!

アポロモンならあんなん一発で十分だったちゅーの!」

「だろうな」

「このタコは何をそんな当たり前のことをそんな偉そうに言えるのでしょうか?

ああ、すいません

貴方頭の中までタコでしたね、私もついうっかりしていました」

「んがっ!!?

もういい!、余興は終わりだっちゅーの!

おい!、下界の下等種族共

今度はこの 」

 

 

「おい!、ディアナモン!

お前ら何楽しそうなことやってんジャン!?」

 

 

「ーーーーーーーーー!!??」

 

 

そこにこのコロシアムの支配神登場!。

 

 

「おま!!、このアホ!!、ソレ!!

俺の武器とその材料!!

だから盗るなっちゅーーーの!!」

「ん?、ウルカヌスモン

ウチとここでやるつもりジャン?」

「ッ!!

ディアナモン!、お前ぇーーー!」

「これこそ想定内でしたね、ディアナモン」

「ソーデシテー」

「くっそ!、覚えてろっちゅーーーの!」

「?、???」

 

三下感満載な台詞と共に自身のサーバーへと逃げ帰るウルカヌスモンにマルスモンは大量の資材を抱えながら首を傾げ

 

「はぁー、例のデジコアを狙っていると思ったら案の定だったのデシテ」

「アレならば引きこもったまま飲んだくれているアレの方がマシですね

最も、アレはアレで問題ですが」

「こうなるなるなら    に奴の頭も

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・、??」

 

 

 

「どうかしましたか?、ディアナモン」

「あ、いや、何でもない、デシテ」

 

 

「ファングモン?、お前ファングモンジャン!?

進化したジャン!?、それも一気に究極体!

すっげ!!、すっげ!!、すっげぇ!!」

 

 

た後、アヌビモンの姿を見つけるや否や

全部投げ散らかしてすっ飛んでいった。

 

「しゃあっ!、ちょうどいいからウチと勝負するジャン!」

「え?、ええ!、望む所!

でも、その前に

 

 

・・・・・・・・・!、《ピラミッドパワー!》」

「うん!?」

 

 

『うん゙んっ!!?』

「貴様にも報せた覚えはないのだが・・・?」

 

 

毛むくじゃらな手が何かを掴んでみせる動作をすれば、コロシアム上空に四角錘の結界が発生。

 

 

空間の狭間に隠れ、ずっと自分を見守っていた

 

 

孤高の隠士/一番下の『きょーだい』を捕らえ

 

 

強引に引き摺り降ろす。

 

 

「見つけたぞ!、兄弟!」

「・・・・・・・・・うん、見つかっちゃったね

後、ここでマルスモンと勝負なんかしたら強制的に信者にされるから場所移した方が良いよ

 

 

 

          にーちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

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