人類滅亡3秒前   作:あたらんて

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近未来終末モノです。


1秒前

 

 唐突だが、この星(地球)は終わっている。

 

 

 遡ること数年。

 2020年という何だか縁起の良さそうな年に、クソッタレな宇宙人共がこの星へやって来た。

 

 宇宙人来訪なんて歴史的出来事に当然人類は大騒ぎ。

 世界中からトップレベルの学者や芸術家や格闘家などを集め、アメリカ大統領を代表として初の星間的会談に臨んだ。

 

 世間は科学技術の多大な発展が見込めるやら何やらで浮かれまくっていたが、まあ、結果は予想通りで。

 

 あなたは猿と対等な立場で交易を行おうと思いますか?って話だ。

 

 

『誠に勝手ながら、あなた方を奴隷とさせて頂くことになりました』

 

 それが二度目の会談において宇宙人が翻訳機器を用いて発した第一声である。

 宇宙人たちが出した結論は、地球を植民地として支配することだった。

 

 まあでも、今思えばその支配を受け入れてりゃここまで酷い状況にはなんなかったのかもしれない。

 

 宇宙人たちの結論に激怒した各国首脳陣は徹底抗戦を決意。

 地球軍なんて安直な名前の軍隊を結成し、3日で壊滅させられた。

 

 そのまま哀れにも人類は宇宙人によって支配されるかと思われた…が。

 

 どうも地球って星は案外ファンタジーな所だったらしい。

 戦争の余波によって地底人なんてのだったり神様だったり吸血鬼とか人狼とかのいわゆる妖怪なんてのまでもが目覚めてしまう。

 更には宇宙人の侵略に対抗するために各国は非道な研究にも手を出して、何を考えたのか感染した者をゾンビにするウイルスなんてのまで作り出しやがった。リアルバ○オハザードの始まりだ。

 

 

 そんなこんなで色々あった結果が今の地球である。

 宇宙人たちは謎の勢力による予想外のダメージに慌てて援軍を要請し、更に攻撃を激化。

 対する地球の勢力もお互いに協力する気なんて更々なく、地球を舞台にした傍迷惑なバトルロワイヤルの開始である。

 

 今や人類の総人口は憶測ではかつての100分の1にまで落ち込んだ。

 どう考えても人類は詰みである。例え奇跡が起こって宇宙人が自分たちの星に帰ってくれた所で、理外の力を有する神々に戦車を片手で引き裂く地底人。

 吸血鬼とか不死身の怪物もいれば、数億のゾンビの大軍が街を闊歩している。

 

 化物のフルコースだ。人類に勝ち目は無い。このまま絶滅する様を指を咥えて眺めているしか無いのだが…。

 

 どうも、諦めの悪い連中もいるもので。

 

 

「huhiuadn?」

「ひっ、や、やめて…お願いします、殺さないで…!」

 

 荒廃した街。

 そこで長い白髪を持つ女の子が宇宙人の兵士に追われている。

 宇宙人の外見は個体によって大きく異なるが、こいつは割とよくいるタイプの一つでクラゲと昆虫を上手くミックスして人型にしたみたいな形をしている。

 

 食糧でも探してか、それとも地底人に追われてか。

 人類が最後の避難場所として作り上げた地下シェルターの外に彼女がいる理由としてはそんな所だろう。

 たまたま外に出た時に宇宙人と出会ってしまった自身の不幸を嘆くべきだ。

 

 一方宇宙人の兵士は明らかに油断している。まあ辺りに自分たちを殺し得る種族の反応が無いのだからさもありなんと言ったところか。

 

 しかしその油断はこの状況においては命取りだ。俺は腰から光線銃を抜く。

 これは地底人の襲撃によって壊滅した宇宙人の部隊から奪った優れものだ。下級兵士くらいならきちんと急所を貫けば絶命まで持っていける。

 

 ヤツらの急所は頭部の中心から20cm程右下。

 呼吸を整え、今にも少女へ襲い掛からんとする敵を目掛けて引き金を引くと共に、実弾銃を遥かに超える速度で光線が敵の急所を貫く。

 

「juzdkep……jcsukida!?」

 

 決まった。急所を貫かれて倒れ伏す宇宙人に、僅かな満足感を覚える。

 そして突然の出来事に唖然としている女の子の所へ駆け寄り、手を取って走り出す。

 

「よし、逃げるぞ!」

「え…?」

「早く! すぐに増援がやって来るぞ!」

「あ、は、はい!」

 

 宇宙人ってのは多少ちょっかいをかけても人類だったら大した脅威も無いとしてそんなに遠くまでは追って来ない。

 増援がやって来る前にこの街を離れられたらこっちの勝ちだ。

 

「俺が住んでるシェルターに向かうぞ。とりあえず自己紹介だ。俺は赤池(あかいけ) (れん)。よろしくな!」

「は、はい! 私は白石(しらいし) 紅葉(もみじ)って言います!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて東京都と呼ばれ、日本で最も栄えていた都市。

 その南部にある廃墟群の一つにて俺は先程助け出した女の子、白石ちゃんを連れて歩いていた。

 

「えーと、駅から200m西だったから…」

「あ、あの、赤池、さん」

「ん? どうした」

「その…さっきも宇宙人を倒したり、何か地上を歩きなれてる感じだったり…一体、赤池さんって何者なんですか?」

「あー、『レジスタンス』って知ってるか?」

「!」

 

 その言葉に白石ちゃんは驚いた顔をする。レジスタンスって実は有名だったりするんだろうか。

 安直な名前だから嫌いなんだが。

 

「まーその説明もしてやりたいんだが…いつまでも地上にいたら化物共の襲撃が怖くっておちおち話もしてらんねえ」

 

 ようやく目的のものを見つける。

 辺りの荒廃した街に紛れたスピーカー。メンバーのみが知っているインターホンだ。

 

「赤池だ。帰還途中で民間人を一人保護した」

『合言葉は?』

化物(クソッタレ)共に鉄の地獄を」

『OK、入りな』

 

 そのやり取りの数秒の後。ぷしゅう、という気の抜けた音と共に地下シェルターへと続く地下階段への扉が開く。

 

「入りな、白石ちゃん。ココが『レジスタンス』のアジト。無理とわかっても諦められねえ、どうしようも無い連中の集まる場所だ」

 

 

 これは、どうしようも無く絶望しかない世界に必死で抗うお話である。

 

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