突発短編集:アリス・ギア・アイギス 作:Ente
いつもの練習後、着替えやらその他を終えて帰り支度をしていると椎奈さんに呼び止められた。
「旅行、ですか?」
「はい。成子坂の隊長さんから頂いた旅行券があるんですけど、せっかくならと思いまして。こういう所で休ませないと、君はあんまり休みませんからねっ」
ちなみに既に家族全員の旅行にも行った後らしい。それでも2枚余ったのか…。
「これでも最近は割と休み取ってますけど…」
「学校や練習の後にバイトを入れてる、って聞きましたけどいつお休みしてるんですか?」
「それを言われると言い返せません」
どこから掴んだんですかその情報。
…ただ、急に旅行と言われても急に予定は空けられないんだけど。
すると、椎奈さんが口を開いた。
「ところで、来週の土曜日から3連休を利用して合宿をする予定でしたね?」
「え?…えぇ、確かにその日程で合宿をするって聞いてますから予定空けてますけど…」
先月中旬、来月中に合宿をするから都合のいい日を教えてくれ、と師範代からメールが届いた。
幸いバイトのシフトが決まる前だったので、祝日を含めた3連休を希望したのだが、何故今その話を?
…あ、なんか妙な予感が。
「騙したようで悪いんですけど、実は、その日程に合宿なんて予定して無いんです。
合宿って言っておけば、君は予定を入れませんからねっ」
「マジですか」
そういう事だったのか。
確かに合宿の間はバイトのシフト入れてないけどさぁ。
来週にあると思っていた合宿の予定が無くなる以上、週末は完全にフリーだ。
こうなると、日程を理由に断る事は出来ない。
その後もなんとか断わろうとしたが、結局断れず。
「それじゃあ土曜日、いつもの時間に道場集合ですっ。
これをお渡ししておきますね」
そう言いながら、椎奈さんに薄い冊子を渡された。
表紙を見てみると、『旅行のしおり』と書かれている。
…いつから計画したんだこれ。
パラパラ、と数ページめくってみると遠足のそれに似た持ち物リストや日程などが細かく書かれていた。
「君のご両親から、君が学校行事をあまり楽しめてなかったっていうお話を聞いていたので、修学旅行に似せておきました。
…これが楽しい思い出として君の中に残れば良いんですけど」
…確かに、今までの遠足やら修学旅行ではロクな思い出ないけど、そんな気遣いまでしなくても。
一瞬そう思ったが、ここまで入念に計画した以上楽しむのが最大の感謝になるだろう。
そう思い、椎奈さんにお礼を言って俺は道場を出た。
…ナデちゃんとコロちゃん両方で旅行ネタというネタ被り。
汎用性高いからついつい頼ってしまう旅行ネタ。
明日は特に思いつかなければナデちゃんの方の続きになるかな…?