TIGHTROPE~Good luck with this worst encounter.   作:信濃 一路

11 / 16
Episode 11 君が為に Vol.Ⅲ

 

 □□□萩野(はぎの)利三(りぞう)という男

 

「で、奴は何て言っているんだ? 当然、確かめたんだろうな」

 

 上昇していくエレベーターの中。ハミルトンの一件を一通り説明した後、ぎゅっと拳を握り締めて俯く榊。それに面倒くさそうな一瞥を加えながら、志生は尋ねた。

 

(そんな言い方しなくてもいいのに)エリアはチラと志生の横顔を見て苦笑する。

 

 志生は真剣な時ほど、殊更興味がないような、いい加減な態度を取る事が多い。彼にとって義妹的な存在である優奈への普段の接し方はその典型だろう。それは彼の過去に起因するのかもしれない。(単に臆病なのよ――)と心の何処かで知った様な事をいう()()がいたが、エリアは無視することにした。()()を調子づかせたら面倒が増えるだけだ――

 

「駄目だ……全く連絡がつかねえんだ。通信も電話も、小隊端末も反応がない。こんな事、初めてなんだ。だから――」

()()()()()には行ってみたのかよ?」

 

 言い訳をするかのように答える榊。こんな覇気のない彼女を見るのは、エリアは初めてだった。ハミルトンが帰国する。突然の事態に、榊が動転しているのは間違いなかった。そんな榊に容赦なく詰問する志生。先程とは違い、目は笑っていない。

 

「……女が一人で男の家を訪ねるなんて、そんな()()()()()()、出来る訳無いだろ――」

 

 当然とばかりに、吐き捨てる榊。

 

「ったく、いつの時代の武家の娘だよ。何処かの()()も見習って欲しいモンだぜ」

 

 ヤレヤレと肩を竦め、ちらと此方を見やる志生。エリアは思わず視線を逸らした。……わたしはターナと二人でだから。問題ない。多分。

 

「まあ、お前の場合は仕方ないか。()()()()()()って所だろうし、奴にも事情がある筈だ。だから此処に来たんだろ?」

「……()()()に直接会って話をするには、此処しかないんだ。アイツの送還を撤回するには――」

 

 榊は苦々し気に呟く。(あの人?)

 

「――エリア、お前の助けが必要なんだ」

 

 榊はそう言ってエリアの手を取ると深く頭を下げた。志生と榊の顔を交互に見詰めながら困惑するエリア。志生は既に全て判っている様な素振りで、意味深に笑っていた。

 

「あ、あの……それってどういう事なんですか? わたし、何をしたら……」

「鷹月、今夜のパーティーの主催は誰だ?」

 

 怪訝に首を傾げるエリアに、諭す様に志生は尋ねる。

 

「萩野利三議員ですけど……」

 

 それが如何したの? 戸惑いながらエリアは答えた。萩野議員は政権与党最大派閥の若手議員を率いる、五十二歳の有力政治家だ。政権中枢に近い位置に居る議員としては比較的若く、気鋭の政治家として知られている。多弁ではないが重みのある爽やかな演説は人気が高く、政治に興味の薄いエリアも好感を持っていた。

 

「萩野は所謂()()()で軍との繋がりも深い。シンパが軍部に何人も居るって話だ。だからハミルトンの今回の急な送還について、何か知っているのは確実だろう」 

 

 それを聞いてエリアは思い出したように緊張を覚える。萩原議員には気を付けるよう以前から眞喜志指令に忠告されていた。彼は神聖同盟と繋がっている可能性が高い、と。それとは別に、

 

「でも、そんな偉い人に簡単に会えるかしら……アポも取ってないんだし――」

 

 拭いきれない不安に小声で呟くエリア。それを聞いて志生と榊は呆れた様に顔を見合わせる。

 

「あのなエリア……いい加減、自分の立場に慣れろよ」

「アンタが会えない奴なんて、少なくとも表で生きている人間には居ないぜ。()()っていうのはそういうモノなんだよ。今夜の主賓だって実質的にはアンタなんだぜ、()()()()()()?」

 

 ああ、そうだった。エリアは鷹月の名の重さを今更乍ら実感し、溜息を吐いた。

 

「萩野議員は主催者として一足先に会場入りしている筈だ。頼む、エリア。顔を貸してくれ!」

 

 縋る様な眼差しを向ける榊。ハミルトンの事で一杯一杯なのだろう。その真直ぐな感情に、微かな羨望を懐き、エリアは再び溜息を吐く。そしてコクンと頷くのだった――

 

 

 壮行会の会場はまだ準備中で、ホテルのスタッフが忙し気に働いていた。途中、何回か警備員とは思えない屈強な男達に呼び止められはしたものの、鷹月の名と顔を確認すると呆気なく三人を奥へと通してくれた。エリアはホッと安堵すると同時に、改めて会場内を見渡してみた。

 

 フロアを駆けまわる様に準備を進めているスタッフの大半は、年端も行かない子供たちだった。それを指揮するのは流石に場慣れした給仕たちだったが、重そうなカートを押し、テーブルを整えているのは、明らかに小学生と思われる子供たちだ。その中の一人の女の子が、前をよく見ないで走っていたのか志生の大きな背中にぶつかって転んだ。

 

「ご、ごめんなさい……」お尻を摩りつつも慌てて謝ろうとする女の子だが、志生の巨躯を見上げて声を詰まらせる。そんな女の子を片手で軽々と引き起こし、志生は二ッと笑うと「今度は気を付けてな」と優しく頭を撫ぜた。仄かに頬を赤らめつつ走り去る女の子。その先に居る年若い給仕の女性が志生にペコリと頭を下げていた。

 

「……あの子達は?」

「ありゃ大陸からの難民の子供だな。お仕事中って訳だ」

 

 眉を顰め、批難気味に尋ねるエリア。それに対し事も無げに志生は答える。お道化た何時もの眼差しが消えていた。

 

「あんな小さな子を働かせるなんて。萩野さんは有力な議員でしょう? こんな事が――」

「そりゃ、勿論、児童就労は違法行為さ。けれど、それを可能とする戦時特別法案を成立させたのが、このパーティーの主催である()()()()なのさ。従来通りこういう所で働けないように取り締まる事も出来る。その場合アイツらはもっと酷い目に遭うか……最悪死ぬ事になっちまうだろうな」

 

 志生に代わって、皮肉めいた口調で榊が答えた。

 

「……どういう事なんですか?」

「難民の連中はデザイアやそれに乗じた有象無象から逃れて、身一つで日本にやって来たんだ。親が居て、それが働けるならいいが、難民の大人の大半は地獄に心を置いてきちまってる。政府も生活保障はしているが、二十年も戦争を続けている以上、日々増え続ける難民全体に十分な支援なんて出来っこない。親のなけなしの金が尽きれば、待っているのは最低の選択肢――」

「最低の……」

「――児童売春、人身・臓器売買、非合法組織の捨て駒。困窮した子供の行き着く先は、大体碌なもんじゃない。それよりはマシな選択肢を()()()は用意しているって事だよ」

 

 そういうものなの? 納得できない思いを抱えながらエリアは押し黙った。けれど何事も綺麗な最善手のみを選べる訳ではない。時にはギリギリの、綱渡りのような手段を限界まで行使してでも人を救う……それも政治というモノなのかもしれない。

 

 それにしても――茶化した風に“閣下”呼ばわりしつつ、“あの人”と語る時の、榊のぶっきら棒な口調から感じられる仄かな温かみ。複雑な感情の漣が、時折揺れる視線から伺える。

 

(そういえば魅悠宇ちゃんから祥子さんの実家は陽ヶ崎流の道場だって聞いたけど――)

 

 確か萩野議員も同じ陽ヶ崎流の使い手で多くの門下生を抱えているという。加えて榊の難民政策について語る際の怜悧な洞察力。ウィッグを付けただけだというのに付け焼刃の自分より遥かに様になって見えるドレス姿。

 

「もしかして、祥子さんは萩野議員の……」

 

 思わず零れた言葉に、前を歩く榊の歩みが判り易く止まった。ククッと笑いを噛み殺す志生。

 

「頼み事をするなら隠し事は無しにしとけよ、()()()()さん?」

「……その名で呼ぶんじゃねぇよ。すまん、エリア。隠すわけじゃなかったんだが――」

 

 そう言って榊はそっけなく事情を説明した。昔から父親とは折り合いが悪かった事、兄の後を追うべく橘花に入った事で勘当同然になっているという事、父とハミルトンとの事を。

 

(なるほどね……)エリアは微笑むと榊を見やった。プイ、と視線を逸らす榊。(祥子さんの榊って苗字、元トップエースの“榊”泰吾大尉と同じだものね……そういえば郁乃ちゃんが大尉の大ファンだったっけ)懐かしい友人の追憶と同時に、エリアは改めてCR小隊が特殊な集団であることを思い知るのだった――

 

 

「ここだな……」先を歩く榊は、会場から少し離れた部屋のドアの前で足を止める。

 

 萩野議員の控室は屈強な体躯の警備員が警護していた。恐らくは萩野議員の門下生である陽ヶ崎流の使い手達だろう。年齢的に見てサーキット保持者ではなさそうだが、彼らが相当の手練れであることは素人であるエリアにも容易に判った。

 

「鷹月エリアと申します。祖父宗平の名代として参りました。萩野議員に御目通り願いたく――」

 

「少々お待ちください」男の一人がそう言って室内へと消える。

 

「鷹月、後は任せた。……榊も健闘を祈るぜ」

 

 それを見て志生は肩を竦めるとフロアの方へ戻って行った。状況的に二人に危害が加わる可能性は低い。それに榊は萩野議員と話をする為に来たのだから、あからさまな護衛役は逆効果だ――志生はそう判断したのだろう。

 

(……もう……)それは理解しつつもエリアは思わず頬を膨らませる。

 

 志生の歩いて行く先。そこには難民の子供たちに指示をしていた先程の給仕の女性が手を振って立っていた。やや浅黒い肌、赤みがかった金髪。そしてどこか艶のある表情。親し気に二言三言話すと、二人は廊下の奥へ歩み去ってゆく。(な、何なのよ、あの人!!)

 

「なんだ、気になるのか?」

「……知りません」

 

 二人の消えた廊下の先へ向けていた視線を慌てて控室のドアに戻すエリア。榊はそれを見てプッと吹き出すと、思わせぶりな口調でエリアの耳元に囁く。

 

「エリア……お前、桂城に惚れてるだろ?」

「――――な……な、な……何を言ってるんですか、祥子さんは――!!」

 

 忽ちエリアの顔が瞬間湯沸かし器のように火照り、耳たぶまで朱く染まった。

 

「わたしにとって志生さんは命の恩人です。とても……とても感謝しています。けど、それ以上でもそれ以下でもありませんっ!! ……ていうか、第一、志生さんには優奈さんがいます。わたしが……そんなの、絶対、ありえませんから!!」

 

 此処に来る直前、レアに指摘された事もあってか、フロアに響き渡る様な剣幕でそれを否定するエリア。その様を呆気に取られた表情で榊が、護衛の男が……そして部屋から戻った男が石像のようになって凝視していた。

 

「あ、あの……萩野議員からお通しするようにと――」やっとの思いでそれを口にし、相棒と顔を見合わせる男。榊はバツが悪そうに彼等へ視線で謝罪すると、

 

「それじゃ中に入らせてもらうぜ?」そう言って硬直するエリアの手を取り、扉を開く。

 

「まったく賑やかな事だ……」

 

 部屋の中から寂のある男の声が聞こえた。「……お父様」それに射竦められたかの様に入り口で硬直する榊。エリアは視線を声の方へ向ける。騒いだことが怪我の功名になったのか、不思議と緊張は感じなかった。部屋に比して質素な造りの机の向こうに五十代前半の初老の男が座っていた。

 

「お初に御目にかかります、萩野議員。わたしは――」

「不調法な私でもその位は存知ておりますよ。沙耶様の忘れ形見、鷹月エリア嬢。政財界ではこのひと月というもの、貴女の噂で持切りなのですから。貴女の出自に対してだけではありませんぞ? その見目麗しさ……夜会に忽然と顕れた白百合……とね。実の所、貴女様にお会いするために今宵も数多の紳士淑女が参られておる次第でして――」

「お上手です事……」

「ただ……意外ですな。噂を聞く限りではエリア殿の事を嫋やかな深窓の令嬢かと予測していたのですが、中々どうして()()な方の様ですな。これならば()()()()と学友として、今後とも良くして下さりそうだ――」

 

 初老の男――萩野は後ろで縮こまっている榊の方をちらりと見やって肩眉を上げる。背中越しに悔し気な舌打ちが聞こえた。先手を取られた……先程の失態にエリアは臍を噛むが、同時に驚くほどの冷徹さで萩野利三という男を観察していた。

 

(この人が主戦派の表向きのリーダー……なのね)五十二歳という年の割に枯寂な印象。その髪は既にエリアの祖父である宗平のように白髪となっている。しかしその相貌に宿る覇気は武道を究めた者に相応しい圧をエリアに与えてくる。上背はさほど高くは無いが引締まった体躯。厳めしくも整った顔立ちはメディア受けがよく、選挙戦では大きな武器となっていると聞く。若かりし頃は嘸かし妙齢の女性の注目を集めた事だろう。そして辺りを震わせるような声量でないにも関わらず、不思議と心を捉える艶と寂のある声音――

 

「で、鷹月の姫が、私に何用でしょうかな……もしや何かご不興を買う様な事でも? 確かに此度は主賓としてお招き出来ず、何かと至らぬ饗応となっておる事でしょう。恐懼に堪えません……」

 

 慇懃な口調で謝罪する萩野。しかしエリアは頭を下げる彼の口許が微かな愉悦を湛えているのを見逃さなかった。明らかに面白がっている。背後で憮然とする榊の姿に。

 

「わかっている癖に、いちいち厭味なんだよ、親父は――」堪えきれずに声を上げる榊。

 

「――わかっている、とはどういう意味かな、()()()君? おお、そうだ。折角合格した名門の星華(せいか)学院から、勝手に橘花(きつか)に編入したと聞くが、それで何か得られたものはあったかね」

 

 そこに居たのに初めて気付いたかのように、萩野は榊を見やって言った。榊、と他人行儀な呼ばわり方だが、その口調にはそこはかとなく温かみも感じられる微妙な距離感。親父、と榊に呼ばれても萩野は特に否定しなかった。それが榊の心を逆撫でしたのか、

 

「利いた風な顔をしてるアンタが思うより、ずっとな。コイツや小隊の皆とは、アンタの引いたレールの上じゃ……星華に行っていたなら絶対に出会えなかっただろうさ」

 

 鮸膠(にべ)も無い口調で啖呵を切る榊。(ウィルさんの事で頼みに来たんじゃ……)実の父をアンタ呼ばわりする榊にエリアは呆然と立ち尽くすしかなかった。それにしても榊があの星華に合格していたとは。橘花も名門ではあるものの、全国レベルの名門である精華学院はそれより一回り難易度が高く、多くの政治家を輩出した鏡都(きょうと)にある星華大学の付属高校だ。萩野は出奔した息子の代わりに榊を後継者にする心算だったのかもしれない。

 

「それは重畳。しかし()はそんな事を報告する為に鷹月の姫の威を借りて此処に来たのかね?」

「だから、さっきから言ってるだろ。韜晦するのは政治向きの相手だけにしろよ!」

 

 慇懃な態度を崩すことなく、質問を質問で返す萩野に募る榊の苛立ち。

 

「直接言葉にせねば伝わらないモノもある。それをする必要がない程に、お前が此処に来た理由は軽いモノなのか、()()?」 

 

 萩野の口調が変化した。柔和な政治家としての声音から厳格な剣士、そして“父親”としての口調に。榊はついとエリアの前に出ると、机を挟んで萩野と対峙した。詰め寄るように顔を近づける。

 

 そして次の瞬間――

 

()()()の馬鹿ぁぁぁぁ――――!!」

 

(ちょ、ちょっと――)エリアが制止する間もなかった。手練れの護衛が身構えるよりも早く、榊の鋭い平手打ちが萩野の頬を襲っていた――

 

 

 □□□過去からの呼び声

 

 

 壮行会の会場から離れた通路の端。開幕を控え、次第に高まる喧騒もこの薄暗い場所には届かない。そんな人気のない場所を、二人組の警備員が歩いていた。二人ともこのホテルの専属の警備員であり、勤務期間も長く練度も高い謂わばプロであった。だがこの日は主催である萩野の護衛が警備の殆どを仕切っている為に彼等はやるべき仕事が無く、およそ人の入り込まないこの場の警備を担当していたのだった。

 

「ふぁぁ……先輩、暇っすねぇ」年下とみられる二十代半ばの青年が、生欠伸を噛み殺しながら年嵩の三十台の男に話しかける。

 

「欠伸はやめろ、勤務中だぞ」弛緩した後輩の態度を苦々しく見やり、年嵩の男が忠告した。

 

「勤務中ったって……陽ヶ崎の連中が警備してるなら不審者の入り込む余地なんて無いでしょ。ウチは電子セキュリティも完璧だし、ドロイドの類ならセンサーが見逃しっこない。俺達、態々こんな所回る意味なんてあるんすかね?」

「どんな優秀な連中だろうと絶対はない。システムも万が一という事がある」

「万が一、ねえ……そういやお偉いさんや金持ちはこれから豪勢な飲み会なんすよね。……チラと見たけど、戦争の壮行会だってのに来るのは戦争とは無関係か戦争で儲けてる連中ばかりじゃないっすか。なんだかな~って感じっすよ――」

「――もう黙っとけ。首が飛ぶぞ?」

 

 日頃の憤懣が溢れ出したかのように愚痴り続ける後輩を持て余し、年嵩の男は冷たく言った。不承不承それに従って口を閉ざす後輩の警備員。と、その時――

 

「おい、何か声がしなかったか?」年嵩の警備員の相貌に緊張が走る。

 

 通路の左右にある機材準備室。その何方かから微かに声――それも若い娘の声が聞こえたのだ。

 

「えっ、空耳じゃないっすか?」明らかに面倒臭げな後輩の声音。それに舌打ちをしつつ年嵩の警備員は左側の扉に手を架け、「何かあったら減給じゃ済まないんだぞ」そう言って右側の部屋を調べるよう後輩へ目配せをする。

 

(はぁ、真面目だよな、先輩は)さっさと部屋へ入った先輩を目で追いつつ、後輩の警備員は溜息を吐く。当然だろう。今日は本来休暇になる筈だったというのに、先輩が余計な事を言ったばかりに碌に仕事も無いのに出勤する羽目になったのだから。

 

(ま、仕方ないか。お仕事、お仕事――)愚図っていても先輩の雷が落ちるだけだ。再び溜息を吐いて後輩は担当する部屋の扉を開く。非常灯のみが薄く輝く暗い倉庫。明かりのスイッチに手を伸ばすが、もしもテロリストなどが隠れていたとしたら明りを付けるのは危険だ。青年の喉が音を立てる。周囲を見渡すうちに次第に闇に慣れる視界。

 

(あれは……)視界の片隅に微かに動く影。高まる心臓の音。息を潜め、物陰から覗き見る。

 

「……ぁぁ……ん……ッ……」

 

 押し殺した艶声が聞こえる。物置となっている部屋の、積み上げられた箱の陰。そこに二つの人影が重なり合う。背を壁に預ける女とそれに覆いかぶさるように立つ巨漢。武骨な手が薄手の給仕服の胸元で円を描いている。女の恍惚を浮かべた貌が天井を仰いでいた。

 

(飲む前から女連れ込んで乳繰り合ってるとはな。まったく御盛んなこった……)

 

 屈強な体躯から陽ヶ崎の護衛かと思ったが、顔を見れば自分より年下の様だ。身に着けている礼服は明らかに高価なモノで、今夜の夜会に出るには些か地味とはいえ青年如きの給料で買えるものではない。兎も角、恐れていたような事態ではなさそうだ。ホッと息を吐く。

 

(建前は戦争の壮行会なんだぜ。金持ってる奴はこれだから――)

 

 皮肉を呟きつつも、艶かしい秘め事に目を奪われる。男から身を離した女がブラウスのボタンを外してゆく。露わになってゆく豊かな胸元――

 

「おい、こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」

 

 背後からの突然の声に青年は飛び上がりそうになるのを懸命に堪えた。焦れた先輩が様子を見に来たのだ。実際の所、何も調べていない。見つけたのは金持ちのボンボンの放蕩シーンだけだ。先輩なら踏み込んで事情聴取を始めるだろうが、ああいった手合いの恨みを買ったら碌なことにはならないだろう。

 

「こっちは問題なしっす。猫でも居たんですかねえ?」咄嗟にドアを締めると惚け顔で言う。

 

「こんな所に猫は居ないだろう……まあ、俺も気を張り過ぎていた」かぶりを振る先輩。

 

「先輩、真面目過ぎですからねえ……今度いい店紹介しますよ?」

「おい、勤務中だぞ……まあ、話くらいは聞いてやるが――」

 

 ヤレヤレと肩を竦め、先輩警備員は歩き出す。静寂の中、その足音だけが通路に響いた。(別に恩に着せる訳じゃないけどな。まあ精々楽しんでくれや)チラと扉を振り返り心の中で呟く。そして青年は小走りに先輩の後を追った――

 

 

「んふ♡ どうやら行ってくれたみたいね~ ドキドキしちゃったぁ☆」

 

 二つの足音が遠ざかってゆく。薄闇の中、胸元をはだけようとする指の動きを止め、赤銅(あかがね)色の髪の女は上目遣いで目の前の巨漢――桂城志生を見上げながら妖艶に笑った。

 

「誰の所為だ……突然声を上げやがって。取り敢えずそのだらしないモノを仕舞えよ、リドミラ」

「え~、酷い。まだまだ十代の子には負けない心算なんだけどな。それにホンの五、六年前は()()に夢中だったじゃない? シオンちゃんてば」

 

 リドミラと呼ばれた女は志生の逞しい手を取って自分の豊満な胸に押し当てようとする。それを苛立たし気に振り払って志生は、

 

「相変わらずの痴女っぷりだな、()()()()。慎みの無い女はノーサンキューだ」

 

 そう吐き捨てると、仏頂面でリドミュラを睨んだ。頬を膨らませ、拗ねてみせるリドミラ。多分に媚を含んだ可愛らしい仕草だが、志生はこの女の本性を知っていた。

 

 志生の所属していた光芒教団(ルミナス)強化少年兵(ブーステッド)部隊アプサラス。そのリーダーを務めていた、志生より三才年上の(いか)れた――隊での立場を得るために隊長から一兵卒までの尽くと()()を持つような、倫理観を胎内に置き忘れたかのような女。それが目の前に居るリドミラという女だった。

 

「随分な言い方じゃない、()()()()との五年ぶりの再会だってのに。シオン……今はシオ・カツラギだったかしら? ウルスラグナとの戦いで捕虜になったって聞いたけど、また会えて嬉しいわ。あんなチビで痩せっぽちの男の子がこんなに逞しくなるなんてね……お姉さん感動しちゃう♡」

 

 そう言って志生に撓垂(しなだ)れ掛かるリドミラ。豊かな双丘が押し付けられて形を変える。

 

「思っても無い事を言うんじゃねえよ。俺達を身代わりにして雲隠れした癖に――!!」

 

 細い肩を掴んで強引に引き剥がす。長い睫毛の下のリドミラの瞳が酷薄な色を帯びた。

 

「やっぱり怒ってる? そりゃそうよね。聖戦とか煽っておきながら殿(しんがり)に利用されたんだから」

 

 黒い悪魔に薙ぎ倒されていく仲間達の駆る鋼の巨人。教団の狗として地獄を共に生きて来た仲間たちの断末魔の悲鳴が志生の脳裏に蘇った。その戦いで後詰として来栖征史郎(ウルスラグナ)の部隊を強襲する筈だったリドミラの率いる本隊は、志生の機体が地に倒れ伏しても現れる事は無かった。裏切られた事を理解したのは日本に来てからだ。だが、それだから俺は――

 

 ――生きていた事を心から喜ぶあの人の涙。そして桜色の髪が春風に靡いていた。

 

「そうそう、感謝して欲しいわね。()()()()()で教団のワンちゃんが、あの名高き英雄の養子になれたんだから。おまけに可愛い義妹まで出来て……ユナちゃんだっけ? あ~ん♡ 血の繋がらない兄妹とか中々()()()響きよねぇ」

 

 身体を捻って束縛から逃れ、リドミラは値踏む様な視線で志生を見上げ、挑発するように囁く。

 

「ま、それは置いておくとして……今夜は両手に華じゃない? 未来の首相の娘さんに、噂のタカツキのプリンセスかぁ……その強面顔に似合わず中々やるわね、見直したわよシオン♡」

 

(何がだよ……)明らかに状況を面白がっているリドミラ。さり気無く二人の情報も把握している事を告げている。まあ、こいつに怒っても無駄だ……志生はかぶりを振る。隊に居た頃から際限なく話題を脱線させる独特の話術を持った、言動は兎も角として()()()も一目置いていた頭の切れる女だ。そもそも何の為に今の俺に接触してきたのか。

 

「あれから何をしていた……なんて話を聞く気はないぜ。お前のくだらない与太話には興味ねぇからな。――で、今更俺に何の用だ?」

「うーん、可愛い弟分との久闊を叙したかった……じゃダメ?」

「薄ら寒いほどに似合わねぇ言葉だな。そもそもそんな感傷がある女か? 隊も消滅、教団も崩壊した今、いったい何を企んでやがる、リドミラ?」

 

 壁に追い詰めるように手を突き、凄んで見せる。志生の体躯もあって、まるで暴漢に迫られているかのよう。生娘のように怯えるそぶりをするリドミラだが、刹那に浮かべた氷の笑みを志生は見逃さなかった。

 

「また大きな声上げてもいいのかしら。今度は間違いなく踏み込まれるわよ。私と貴方……どっちの言い分が通ると思う?」

「やってみろよ。要件を伝えられなくなって困るのはそっちだろ、リドミラ? 俺を陥れたいならさっきの猿芝居をする意味はない。人目を避けて此処に連れ出した時点で俺個人に何らかの用があると考えるのが自然だろ?」

「誘き出された、とは思わないの? 貴方は教団にとって仇の養子……()()()()()()かもよ?」

「お互い教団にそんな義理があるとは思えないがな。それにお前、実力行使は専門外だろ? 真っ向勝負じゃ俺には勝てない。なら此処に仲間を伏せているのかと思ったが、その気配は無い。分の悪い勝負はしない主義じゃないのか、リドミラ?」

 

 リドミラの脅し文句を鼻で嗤い、志生は不敵に笑った。それを揶揄う様な視線で見詰めるリドミラだったが、

 

「――合格。流石に()()()のお気に入りだっただけの事はあるわね」

 

 クスッと笑うと少女のように微笑んで、

 

「接触したのはとある情報を伝えたかったからよ。それも火急の案件」

 

 と言いつつも、買い物に付き合って欲しい、などと同じレベルの気軽な口調。

 

「――穏やかじゃないな」志生の背に冷たいものが流れた。この女が気楽な口調で語る時は常に裏がある。志生は表情を消し、リドミラに話すよう促す。

 

「素直でいい子ね……シオン。実はね、今夜の会場でハギノが殺されるわ」

 

 国家レベルの陰謀を、微笑みながら淡々と語るリドミラ。脳裏に榊の顔が過ぎり、志生は鋭くリドミラを見据える。

 

「暗殺? ここでか?」

「そう。今夜の会場で」

「誰が、何のために?」

 

 詰問しつつ志生の中に微かに浮かんだ推測。それは急速に拡大し、確信へと変わってゆく。

 

「さてね。シオンでも少し考えればわかる事でしょ」

 

 リドミラは指を唇に軽く当て、小首を傾げてみせる。

 

「あの御仁を煙たがってる連中はいるだろうが、暗殺となると――」

 

 萩野と国防軍は対デザイア戦略での違いはあるものの敵対しているという程ではない。神聖同盟にとって人気政治家である萩野は中道派とはいえ一般受けする貴重な広告塔だ。一方鷹月とは明らかな対立がある。だが身内での抗争は別として大前提が企業である彼らが荒事に及ぶことは考えにくい。その気になれば膨大な資産を背景に、彼を表の世界で叩き落とす事が可能だからだ。

 

「合衆国ならデザイア戦の主導権を得るためにやるかも知れないが、萩野は鷹月のTD技術を外交交渉で供与してくれた恩人だ。少なくとも()は無いな。となれば――」

 

 そこまで言うや否や、志生は一気に踏み込んでリドミラへ躍り掛かった。だがその姿は掻き消す様に消える。

 

「そんながっつかないでよ。私は強引にされるのも好きだけど、普通は嫌われちゃうわよ?」

 

 背後から嘲るような声が聞こえた。振り返り様に殴りかかる。フェリオンサーキットとナノマシンの相乗効果で強化された拳。人の頭蓋を容易に粉砕するそれがリドミラの頭に叩き込まれる。それを人間離れした体捌きで回避するリドミラ。拳圧に切り裂かれた赤胴の髪が数本、仄かな光の中キラキラと宙を舞った。

 

「もう、殺す気?」刹那真顔となったリドミラが口を尖らせて抗議する。

 

「必要ならな。……答えろ」

「んー? いったい何の事かしら?」

 

 距離を取り、給仕服の長いスカートをたくし上げるリドミラ。太股に撒かれたベルトから忍ばせていた食用ナイフとフォークを引き抜くと矢継ぎ早に投擲する。正確に急所を狙った攻撃。しかし逆に読みやすい。志生は心臓へ向かうナイフを手刀で無造作に叩き落とし、眉間を襲うフォークは軽く頭を傾げて回避した。

 

「惚けても無駄だ。何処の誰に頼まれたのかは知らないが、今夜の仕掛けは間違いなくお前だ。それなら()()()()()?」

 

 主義、思想からではないとするならば、個人的な怨嗟もしくは愚者による短絡的な計画という事となる。光芒教団の残党は口に糊をするためにそういった連中に雇われる事が多かった。尤も目の前の女が以前のままなら面白半分で脈絡もないテロ行為に走っても不思議では無いのだが――

 

「……しばらく見ないうちにお利巧さんになったのね」

「狗だけに鼻は効くんでな。この場で暴力(テロ)の臭いがするのはお前だけだった。()()()の調教で散々刷り込まれた血と肉が弾ける生臭い臭いは簡単に消せるもんじゃない。しかもお前のそれはますます強くなってやがった。だから誘いに乗って張り付いたんだよ」

「成程、考えたわね。確かにこうしていれば私は悪戯(おいた)する事が出来ないし、同時にお嬢さん二人を私から守る事も出来る」

 

 出口に向かおうと後退るリドミラ。そうはさせじと距離を詰め退路を塞ぐ志生。やがてリドミラの身体は再び部屋の壁際に追い詰められていた。

 

「さっさと観念しな。少年兵時代の罪には国際法廷で恩赦が出ている。日本に来てからの余罪が無ければ、ここで掴まっても死罪にはならないだろうぜ」

 

 自首するよう呼びかける志生。リドミラは目を伏せ薄く笑う。

 

「それは残念ね。この国でも()()()は続けてるの。だから捕まる訳にはいかないわ」

「……そうかよ」

 

 元よりこの女が殊勝に応じる事など期待していなかった。拘束すべく志生は一気に距離を詰める。その瞬間、部屋を眩いばかりの光が満たす。リドミラが部屋の照明を付けたのだ。

 

「……くっ……」志生は突如目を押え、誰も居ない壁に激突する。まるで閃光榴弾(スタングレネード)を喰らったかのような。真っ白になった視界の何処かでリドミラの嘲笑が聞こえた。

 

「んふ♡ 少し見直したけど、やっぱりシオンはお馬鹿さんねぇ。ナノマシンの暗視モードに頼り切るとこうなるって、()()()に教わらなかった?」

 

 激痛を堪えて身を起こし、神経を集中させる。視覚を奪われても残された感覚は健在だ。研ぎ澄まされた聴覚が飛来するナイフを感知。回避する。リドミラが呆れたように息を吐いた。

 

「この手管で殺せないとはね。まあ、いいわ。頑張ったご褒美にクライアントについて教えてあげる。時間を無駄にしたくないし、いい子だからそのまま動かないで聞いてくれる?」

 

 信用など出来ない。しかしこのままでは埒がいかないのも事実だった。志生は黙って頷く。 

 

「この案件を依頼してきたのはタカツキ外様筆頭の蒲生(がもう)浩司(こうじ)。以前のパーティでエリア嬢にちょっかいを出してきた御仁ね。突如現れたタカツキのプリンセスと()()になって更なる実権を得たかったらしいけど、ナイト君の()()で露見して焦っているみたい。孫もいる年のおじさんが十六歳の女の子に手を出すなんて犯罪もいい所よねぇ」

 

 他人事とばかりにコロコロと笑うリドミラ。失態を揶揄され志生は苦虫を噛み潰した様な顔で続きを促す。

 

「で、失地回復とばかりに彼が思いついたのが、主戦派のハギノの暗殺って訳。タカツキの現経営陣はデザイアとの膠着した現状を良しとしているから、あからさまな攻勢を主導するハギノは有体に言って邪魔なのよね。彼を消して発言力を得たいって所かしら」

「そんなに旨くいくものか? 暗殺を神聖同盟辺りがプロパガンダに利用したら逆効果だろ」

「さぁてね? お馬鹿さんの考えなんて知らないわ。お金さえ出してくれればその結果なんて()()()には関係ないし。でも、折角お膳立てしたっていうのに()()()乗り気じゃないのよねぇ……」

 

 次第に奪われた視力が回復して来る。(私たち……あの人?)

 

「……という訳で、頃合いだし、そろそろお暇するわ。また会いましょうね(دوباره می بینمت)、シオン♡」

 

 蘇った視界に身を翻して部屋の外へ駆け出すリドミラの姿が映った。しなやかな手が給仕服の胸元を摘まむと、まるでスパイ映画の様にそれを引き剥がす様に脱ぎ捨てる。零れ出る白い裸身——いや態々肌色に設定された強化服(バトルドレス)姿。通りで押し切れなかったわけだ。志生は舌打ちをして、

 

「待ちやがれ」刹那の遅れで後を追う。

 

 だがドレスの強化を受けた自分と同じ強化兵(ブーステッド)相手にこの遅れは致命的だ。階段フロアに侵入される。上へ、上へ。リドミラは文字通り飛ぶように駆ける。次第に引き離される志生。

 

「な、何だ、お前は!?」

「え、裸の女?」

 

 巡回をしていた二人組の警備員が呆然と道を空ける。

 

「見てわからねぇか? テロリスト(・・・・・)って奴だ。さっさと警報を出せ。仕事だろ?」

 

 毒づく様に言い捨て、志生は後を追う。

 

 階段を上り終えて屋上への扉の前に来た時、ホテル全館にサイレンが鳴り響いた。狼狽えていたとはいえ流石は一流ホテルの警備員だ。これで陽ヶ崎の護衛官が館内を固めれば、リドミラと言えど突破は容易ではない。

 

「もう、シツコイ男は嫌われちゃうわよ、シオン?」

 

 扉を開けると発電用のフェリオンリアクターの並ぶ屋上に、悠然とリドミラが佇んでいた。赤銅色の髪が夜風に靡いている。妖艶な笑みは諦めたようにはとても見えない。

 

「屋上に逃げたのがお前のミスだ。警報も出ている。もう逃げ場はないぜ?」

 

 出方を伺いつつ最終通告を突きつけ、躙り寄る志生。

 

「……そうかしらね……」微動だにせずにリドミラは挑発するかのように嗤う。

 

 ——と、その時。

 

 強烈な殺気が志生の全身を貫いた。考える間もなくサイドステップしてリアクターの陰に身を隠す。志生の元居た場所の背後にあった巨大なリアクターが粉々に消し飛ぶ。伏兵のマシンガンか? ……いやこの威力は歩兵の携帯兵器とは思えない。パラパラというローター音。戦場で嫌というほど聞いた、地上を狙う猛禽の羽音が志生の耳に響く。見上げれば大形の軍用ヘリが上空で滞空していた。備え付けられた機銃が冷徹に此方を狙っている。

 

 志生の常人離れした視力がヘリのコックピットに座る人物を捉えた。大袈裟なカイゼル髭を蓄えた口許が不敵に吊り上がるのを志生は呆然と見詰める。

 

「な……」

 

 その隙にヘリから降ろされた縄梯子に捕まったリドミラの姿が上昇して行く。

 

「それじゃ、後は宜しく(・・・・・)。健闘を祈るわね」

 

 頭上からの嘲笑。それを他人事のように聞きながら、志生はヘリを操縦するカイゼル髭の男を凝視し続けた。忽ちヘリの姿は遠ざかり、屋上には夜の静寂が訪れる。そこで彫像のように立ち尽くしながら志生は呟く。口許に酷薄な笑みを浮かべながら。

 

「――そうか。生きてたのかよ、光芒教団神兵(アプサラス)団長ボリス・ゴドノフ……」

 

 それはとうに処刑された筈の男の名。かつて志生を地獄から救い、地獄へと堕とした飼い主(・・・)である男の名。そして優奈の父、来栖征四郎(ウルスラグナ)の暗殺を指揮した仇敵の名だった――――

 

 

Continue to next Episode □□□

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。