皆さんが親の顔より良く聞いであろう、転生というものを初めて体験した。
まあ、死ぬこと自体が初めてなので当たり前であるのだが,兎に角。
転生と言うと神様が出てきてなんやかんやあって特典を貰えて俺tueeeeee!!が世の中の一般的な認識だと思う。俺もそう思っていた。だがしかし!!俺は!何も!貰えていない!!
いや、皆がみんなに転生得点をあげていたら世界のバランスとかが崩れるのは分かっているんだよ?でもさ何の説明も無しにいきなりおぎゃー!!は無くないか??それとも別に神様のミスで死んだ系のやつじゃなかったのか??これぞ真相は神のみぞ知るってな。やかましいわ!!!でもちょっとは特別な力とかは授けておいて欲しいです!神様!
(=^・^=)ニャー!!
はい、どうもーー!
神様の説明も無しに転生した男、清里 桔梗で~す!!
これまで、特に何もないふっつーの人生です。学校で習うことなんて前世でマスター済ですしお寿司。人生イージーモードってカンジ~???すみません!心のJKが! 兎に角、現在中学生である。前世振り返ってみると中学の時と高校の時が人生で一番楽しかった気がする。体育祭とか文化祭とか。友達とバカやって先生に怒られたり。寄り道禁止なのに帰りに寄り道したり。は流石にやってません。優等生でしたから。おい、そこ!ただのチキンとか言わない!
大学?知らん知らん。俺、高卒で就職したから。
そして授業中必殺技考えたり、テロリストが襲って来たときの俺的かっこいい対処法とかを考えたりしたりしなかったりをして時間を潰す毎日である。中二病ですか?現在進行形で中二なのでセーフである。
話は変わるんだけどさ、人生2周目な所為か今の同級生達がが可愛く見えてしょうがないんだけど。どうしたらいい?例えば「お前生意気言ってんじゃねえよ!」とか言われてもはいはい、背伸びしたい時期なのね。と謎に世の中のお母さんと同じような心境になってしまう。はっ!これが母性?もしくは神様特典?
だとしたらいらね~~~!外見が中学生だからいいけど、中身は良い年した大人なんだからな!軽く犯罪だよ!俺にロリショタの趣味は無いんだよ!!
さて、何故こんな話をしたのかと言うと、現在進行形でその現象が起こっている為である。
「なあ桔梗、お前もサッカーやらないか!!」
キラキラと言う効果音が付きそうなほど顔を輝かせ、とても遅い部活勧誘に来たこいつは円堂守君。隣のクラスのムードメイカーであり、我が校で弱小なサッカー部と大変不名誉な渾名を付けられているサッカー部のキャプテンでもある。昔は不敗だったと言うサッカー部も今や弱小。この世は正しく栄枯盛衰だなあと現実逃避をしている間も、件の円堂少年はキラキラした笑顔を絶やさない。うっ!これが噂の約束された勝利の光属性。プラスコミュ力お化け。お前もしかして主人公か?主人公だろ!これで何人もの人間を堕として行くんだな。円堂守…恐ろしい子…!!
『…あぁ、いいよ』
そして俺は気が付いたらOKの返事をを出していた。バカバカバカ!桔梗のバカー!結局面倒臭くなって途中でやめるんでしょ!進〇ゼミみたいに!しかも遅めの部活勧誘の理由があの中学生のサッカー界で最強と名高い帝国がうちに来るって言う…。無理無理無理!絶対リンチ確定じゃん!俺、既に演劇部入ってるし。今からでも遅くはない!NOと言え!桔梗!(この間僅か0.3秒)
『…や、やっぱり「本当か!!ありがとな!!」…あ、ウン…』
や、やめてくださいお客様!そんなキラキラした顔を向けられたらこれ以上NOとは言えないじゃ無いですかー!
…神は死んだ。
待て待て、言い訳をさせてくれ。だってさー、しょうがなくない?
キラキラした雰囲気をさらに倍増させて、まろそうな頬は興奮の所為か上気している。何かさ、もう可愛いの。犬みたいでさ。俺、結構可愛いのが好きなんだよね。人、動物問わず。はっ!もしかして俺の性癖は前世からこのままだった?QED。覗いてはいけない深淵を覗きそうになったので見なかったことにしよう。
もういいや。どうにでもな~れ~。の精神でやっていくことにする。さよなら平穏。ようこそ不穏。
しかし、本格的なサッカーとかやったこと無いんですけど。大丈夫ですか?
へ?練習すればどうにかなる?そ、そうですね…。
ヤバい、想像以上に円堂君が陽の者過ぎて円堂の女♂になりそう。
翌日
サッカー部入部にあたり、まずはみんなと仲良くなる所から始めた。どのスポーツもそうだけど、大人数でやるからにはチームの団結力がものを言う。サッカーなんかは特にそうだろう。パスやシュートの正確性も大切だが、それらをやるためには、はまず彼らに信頼されないといけない。と言うのは俺の持論だ。実際は知らん。
「皆に紹介するよ。今日からサッカー部に入ってくれた風丸一郎太と清里桔梗だ」
「風丸一郎太だ。改めてよろしくな」
『清里桔梗です。よろしくね』
掴みはバッチリだと思う。実は爽やか系イケメンの風丸君と既存部員は、昨日の夕方から練習をしていた。と言うとんでもないハブを初っ端から食らったが、めげずに頑張っていこう。
グラウンドが何時もの如く借りられないと言うので河川敷の方までやって来た。今日明日ぐらい貸してくれよ。こう言う時こそ顧問の先生の出番だろ。あいつ何やってんの?入部届出しに行った時に会ったけど、よくこんな部活に入ろうと思いましたね。的な視線を向けられたし、実際言われた。何なの?冬海マジ不愉快。顔も声も態度も胡散臭いし。第一印象最悪。ああ言うやつが裏切り者ってのがテンプレだけど、どうなんだろうね。あいつはサッカー部がどうなってもいいのか?いいんだろうな。なんて薄情な奴だ。
話が逸れた。そんな事より、昨日は展望台だったけど今日はここで練習するらしい。俺が初心者だから広いほうが良いだろう。という円堂キャプテンの気遣いだ。流石円堂、優しい。確かに、あそこ狭いもんな。絶対ボールがどっかに飛んで行くぞ。
一時はどうなる事かと思ったけど、意外と行けるもんだね。少年達のコミュ力舐めてたわ。
皆優しいし、第一目標であるチームメイトと仲良くやるは完璧じゃない?この調子でがんばろー!
\\\キングクリムゾン!!!///
試合当日、助っ人に松野空介君(通称マックス)と影野仁君が入ってくれるらしい。よろしくね。
そうこうしている内に帝国学園のごっつい車がやって来た。戦車かな??
そしてさっきまで晴れていたのに見る見るうちに曇りだす空。帝国は雨乞いでも使えるの?そして晴れる。おいおい異常気象が起きてるよww
呆然としている雷門生をよそに場面はどんどん進んでいく。
戦車の扉が開くと同時に校門からグラウンドまでレッドカーペットが敷かれる。さらにそこから沢山の帝国学園生が出てきて一人一人サッカーボールを持ちポーズをとる。
ドイツのナチスをイメージしたであろうそれらに、俺は笑いが止まらなかった。
『…くっww』
「…?き、清里さん?」
皆に恥はかかせまいとなけなしの理性で隣の壁山君の後ろに隠れる。
ごめんね壁山君ちょっと隠れさせて。今出て行ったら絶対に笑っちゃうから!雷門の皆に恥かかせちゃうから!
だって考ええてもみてよ。俺以上に中二臭い。しかも学園ぐるみでだぜ?すげぇ、すげぇよ。君達は勇者だ。あんなん俺には絶対に真似できないね。恥ずか死ぬ。煙幕とかレッドカーペットとか用意するか?普通。帝国の力を誇示したいだけだと思うけど。弱小な雷門ごときに派手じゃないですか?それだけ力が有るんだよって言う暗示ですか?
『…くっww、ひっwwww』
「清里さん!本当に大丈夫なんですか!?」
『だ、だいじょうぶ…っww』
一年生ズが心配そうにオロオロしている。可愛いね。もー本当に優しいな君たちは、お兄さん感動しちゃうよ。
俺がグダグダしている間に帝国がグラウンドでウォーミングアップをすると言う話になっていた。
よし、この間に。静まり給え俺の笑いのツボよ!
静めるのに集中しすぎて帝国の方を見てなかった。
えーどうしよう。天下の帝国学園の実力を生で見たかったのに。でも見てたらまた笑いだしていたかも知れない。じゃあ見ないで正解だったかも。
帝国のウォーミングアップを見ていた俺の盾こと壁山君が帝国の醸し出す雰囲気に負けてトイレへと逃げてしまった。
分かる分かる。前世の弟も緊張したらすぐトイレに行きたくなるタイプだった。
そんな時マネージャーの木野ちゃんが目金欠流君を連れて来てくれた。君はできる子だね。目金君が来てくれたけど、彼は運動音痴らしいと染岡君たちが話していた。流石の俺でも運動音痴の子を入れるのは躊躇われるな。入部するにあたっての条件をつらつらと述べる彼に割って入るように冬海がやって来た。曰くこれ以上お客様を待たせるな。と言う事だった。知らねえよその話を付けに行くのがお前の仕事だろう。職務怠慢だ。
なんやかんやあって壁山塀五郎捜索隊が結成された。
トイレに行くと言っていたからまずは全ての男子トイレをくまなく探しに行く。
全然見つからないな。と思っていたら本校舎辺りのロッカーで見つかったと、近くを捜索していたらしい少林君が呼びに来てくれた。
隣を並走していた少林君は、挟まった壁山君を見て、ドロップキックを繰り出しながら先に走り出していった。
ロッカーから抜け出した壁山君は円堂君に 咤激励され、やる気を取り戻したみたいだったが、俺の方を向くと心配そうに声をかけてきた。
「だけど清里さんは大丈夫なんですか?」
『ん?何で?俺は大丈夫だよ』
「でもさっき…」
さっき?笑いのツボに入った事かな?
『あぁ、あれはちょっと笑いのツボに入っちゃっただけだから』
笑いのツボ?どこにそんな要素が…?とスペキャ顔をしている皆に苦笑いをした。ツボが浅くてごめんなさいね。
なんやかんやあって試合開始。本当は11人が基本なんだけど、相手側が12人でもいいと言う事で、雷門チーム総出で試合開始である。練習試合だからって舐めてんじゃねぇよと染岡君がプンスコしているけど、プロ対ほぼ素人だからね。しょうがないよ。
先攻というハンデをまたもや貰い、雷門ボールでキックオフ。
全然歯が立たないと思われたであろう試合は、予想以上に上手く進んでいく。
染岡君がゴールを外し、帝国側にボールが回ると、コート内の空気が一瞬にして険しいものへと変わって行った。そこからはもうボロクソである。知ってた。しかも意図的に体とか顔とかに当てて来る。やめろやめろ、顔はやめろ!もうそれはラフプレーじゃ無いのか?
10対0でボロクソにやられた俺達は、既に息切れを起こし、意気消沈したまま前半戦が終了した。
「どうなってんだあいつら。誰一人息が乱れてないぜ」
「そりゃぁそうさ。奴ら、走って無いからね」
『最初は行けると思ったんだけどなぁ…』
「僕らずっと遊ばれてる感じですよ」
「クッソー!このまま終わってたまるか!後半は奴らを走らせて消耗させるんだ!」
「消耗って…無理でやんすよ。もうヘロヘロでやんすから。」
「う~ん。俺ももう走れない…」
「何言ってんだ皆!まだ前半が終わったばかりじゃないか!」
暗い雰囲気の中、円堂君が鼓舞するように声をあげるが、疲れ切った皆には効果が薄いようだ。
初めての試合があの帝国学園で、自分達の力が通用すると思っていた矢先がこれだからな。明らかな実力差にショックが隠しきれていないようだった。
チームの雰囲気が暗いまま休憩が終わり、後半戦が始まった。
実況の分かり切ったナレーションにキレそうな今日この頃である。どう立ち向かうだって?正面突破だよ!
疲れすぎて脳筋丸出しになりそう。
始まった途端、さらに激しくなった集団リンチ。
おい!妙な技を使うな!何、必殺技だと!?そんなのフェアじゃない!!
ボロボロにされ過ぎて最早ボロ雑巾みたいになった。誰が洗濯すると思ってるんだ。それより膝とか背中とか腹とかすっげー痛いんだけど。骨とか折れてない?大丈夫??
でもみんなも同じような感じなので自分だけが嘆く訳にはいかない。
帝国の主戦力だと思われる三人が、最後の仕上げだ。とばかりに最後に立っていた円堂君を集中的に狙い始めた。だから顔はやめろと言っているだろう!
円堂君を痛めつけるような帝国のプレーに我慢ならなかった様子の風丸君は、円堂君に迫るボールをヘディングで打ち返したが、代わりに自分がゴールポストへと吹き飛ばされ、そのまま倒れてしまった。
それを見た円堂君が、決意を新たにゴールを守ると宣言する。その様子を嘲笑った帝国のキャプテン、鬼道有人君が味方にトスを上げ、何度目かのシュートが繰り出された。
これまでは受け止める力が足りず、そのまま入れられるだけだったが、今回は明らかに受け止める事が出来ている。
結局はゴールされてしまったけど、数秒間はキープ出来ていた。これまでの彼とは違う。と言う事を全員が肌で感じ取っていた。
試合は雷門のボールで再開されるが、最早立っているのは目金君だけ。彼はそんな状況に恐怖したのか、ユニフォームを脱いで立ち去ってしまった。無理もないよね、1対多だから。
皆が諦めかけていたその時、円堂君の声が響いた。
「まだだ!まだ終わっていねーぞ!!」
「まだやるって言うのか!」
その怒涛と共に、ボールが彼に更に容赦なく降り注いだ。
このままで良いのか桔梗。半ばヤケクソで入部したとしても、今世で初めて自分で選んだ部活じゃないか。前世を思い出せ。何もかも他人任せ、流れに身を任せるだけだった自分とはおさらばするって言ってただろう。今がその時なんじゃないのか。円堂君が俺たちの為に必死に耐えているんだぞ!ここで動かなくてどうする、今こそ男を見せる時だ!!
19点目だと言う実況者の声を聴き、いよいよと後無くなって来たと感じた頃、観戦者達のざわついた声が聞こえてきた。
草を踏みしめる音と観衆の戸惑いと共に一人の人物がグラウンドにやって来た。
その人は炎のように逆立った銀白色が特徴の褐色系イケメン。正直に言おう。
超サ〇ヤ人が来たかと思った。や、ほ、本当に。ぱっと見がそうなんだって!!
実況者の話からするに、彼は木戸川清修からの転校生で元サッカー部。炎のエースストライカーの異名で知られていたらしい。
あ~何か聞いたことあるような?サッカーの動画でチラッと見た気がする。
それより、折角やる気を出したところに解決出来そうな人が来たからやる気が一気になくなった。
例えば、答えが分かりそうになった時に答えを教えられると気分が沈むだろう?まさにそんな感じ。
そして流れるこれで勝つると言う空気。こう言う場面で良い感じのBGM が流れるんだよね。
俺の決意は一体…?
帝国側が彼の参加を認めた。話の流れから察するに、どうやら帝国学園は、雷門に引っ越してきた彼を引きずり出すために、この練習試合の場を設けたようだった。
何か終わりそうな雰囲気だし、もうちょっとだけ頑張ろう。
まさに努力、友情、勝利の展開だった。20対1だから勝ってはいないが。
そうそう、豪炎寺君が1点入れてくれたんだよ。ファイヤートルネードだって。かっこいいね。円堂君もゴッドハンドって言う必殺技を習得した見たいだし。強敵と戦えたことで今の自分たちのレベルも分かったし、結果的にはこの試合もよかったかな。
「たった今、帝国学園から試合放棄の申し出があり、ゲームはここで終了!!」
帝国学園が去った後、俺たちは皆で喜んでいた。輪には入っていないが、そこには豪炎寺君の姿もあった。
円堂君が彼に手を差し出し、お礼を述べた。
「良く来てくれたな。これで新生雷門サッカー部の誕生だ!豪炎寺これからも一緒にやって行こうぜ…」
「…今回限りだ」
てっきり仲間になってくれると思ったのに。家庭の事情かな。
どこか暗い雰囲気のまま彼はそう言って去ってしまった。
「あ、豪炎寺。ありがとな…ありがとう!」
「キャプテン、止めないんすか?」
「良いんだよ。さぁ皆、見ろよこの1点!この1点が雷門の始まりだ!」
「「「おーー!!!」」」
やっと終わったな。今日がすごい長く感じた。
さて、やさぐれた心を癒す為にみんなを愛でに行こうかな。
清里先生の次回作にご期待ください。
完!!!!!!!