染岡君に夢を見るpart2
染岡君過剰練習事件以来、彼と一緒に登下校することが多くなった。本音の会話をすると親密度が上がるって本当だったんだね。
前までは普通に話すくらいだったのに今ではこの懐きよう。警戒心の強かった猫が懐いてきたみたいでとても嬉しいです。
そんな今日この頃な俺だが、勿論朝のランニングは怠って無いぞ。
6時に起きてそこら辺を40分程走り回る。終わったら家に帰って軽くシャワーを浴びて、ご飯食べて身の回りの事をして染岡君と登校。
これが最近のルーチンになっている。
今日も彼と雑談ながら登校すると、下駄箱近くで円堂君もの凄い速さで挨拶をしながらすれ違った。
「染岡!清里!おはよう!!」
「…何なんだ。あいつ」
『朝から元気だなぁ』
学生のお勤めが終了した。つまり放課後。
「みんな、分かってるな!」
「「「おー!!」」」
「フットボールフロンティアが始まるんだ!」
「「「おー!!!」」」
じ~ん、と喜びを噛み締める円堂君。
やっと念願の夢が叶うね。みんなも嬉しそうだし頑張った甲斐があるってもんだよ。
「で、相手は何処なんだ?」
「相手は……知らない!!」
えぇ…と言う空気が流れる中、久しく顔を見せていなかった職務放棄監督がやって来た。
「野生中ですよ。野生中は確か…」
「昨年の地区予選の決勝で帝国と戦っています」
「すっげー!そんな強いチームと戦えるのか?」
「初戦大差で敗退。何て事は勘弁して欲しいですね」
俺もアドバイスもしない、練習すら顔を見せに来ない奴がサッカー部の顧問なんて勘弁して欲しいですね。
俺、やっぱりまるでダメな大人。略してマダオは無理だな。自分の職務くらい全うしろよ。
「ああ、それから…」
「チーッス!俺、土門飛鳥。一応DF希望ね!」
悉く会話を遮られる冬海マジ草。
しかし、またキャラの濃いパリピが入部って来たな。
俺が入部した時と同じような言葉を土門君に残して去っていく冬海。そんな奴の態度に訝しげの彼。
分かる分かる。俺の時もそうだったから。
そしてどうやらマネージャーの木野ちゃんと知り合いらしい。
「とにかく。歓迎するよ!FFに向けて一緒に頑張ろう!!」
「相手野生中だろ?大丈夫かな…」
念願のFFに出場出来る事と、新しい仲間が増えたことで何時もよりテンションが高い円堂君に、彼は腕を振り回されながらそんな事を言った。
おや、また雲行きが怪しいぞ。
「何だよ。新入りが偉っそーに」
『染岡君。新顔にとりあえず威嚇するのはやめようね』
「…チッ」
案の定新入部員に突っ掛かって行った彼を嗜める。
もう本当、誰彼構わずものを申せるのは彼の美点何だけど、せめてオブラートに包むとか歯に衣を着せるとかして欲しい。
「前の中学で戦ったことあるからね」
ブンブン振られた腕や嫌味を気にせず、肩を回しながらそう答える彼。
ぅゎ、メンタルっょぃ。
そして件の野生中の情報を話してしてくれた。やっぱり経験者の話って大事だよね。
「瞬発力、機動力共に大会屈指だ。特に高さ勝負にはめっぽう強いのが特徴だ」
「ちょ、ちょっとトイレ…」
「戦う前からビビってどうする!」
染岡君に指摘されてションモリしながら座り直した壁山君。もー土門君~?うちの子を怖がらせるのは止めてくれませんかー?
円堂君が自信満々に大丈夫だと言うが、それでも彼は否定する。更に経験者だと言う豪炎寺君も賛同していよいよヤバイぞ。と言う空気になった。そんな時。
「新・必殺技だー!!新しい必殺技を生み出すんだよ!空を、制するんだ!」
そう言う事になった。
町内会の古株さんの協力の元、消防車を拝借し、高く跳ぶための練習が始まった。
消防車を借りられるとかどんだけ凄い人なんだ。あまり近くで見ることが無いからついそちらに目が行ってしまう。
暫くしたら円堂君と古株さんで昔の話をしていたらしい。練習を一時中断し、みんなで伝説のイナズマイレブンと言うチームの話を聞くことになった。
曰く40年前雷門中にあった伝説のサッカーチームで、FF優勝目前まで行ったらしい。あいつらなら世界を相手にしたって戦えた筈だぁ!と言う言葉で締め括られた。
"だった"とか"筈だ"とかちょっと気になる単語は多いけど、みんなの士気が上がったので良しとしよう。
必殺技を生み出せるように練習はしているけど、空ぶっている感じが否めない。やっぱりゼロから作るのは難しい。技とか作ったこと無いし、何かコツとかないかな。
今度豪炎寺君に聞いてみようか。
と考えていた時に、円堂君から彼のおじいさんの秘伝書の話を聞いた。
何でも学校の理事長室の金庫にあるとか。
血縁者である円堂君は、おじいさんの秘伝書くらい普通に見せて貰えそうだけど。そう言う間もなく善は急げとばかりに出て行ってしまった。
…えぇ、置いて行かれたんだけど。
『頼めば普通に見せてくれそうだけどなぁ…』
先に行ってしまったみんなに追い付くために若干小走りで廊下を歩く。
着いた時には部室に帰る流れになっていた。
「何やってたんだ?もう帰るぞ」
『…え、いや。えぇぇ…』
とんだ無駄足だった。こんな事なら大人しく待っていれば良かった。
円堂君が秘伝書の内容を読み上げる。
しかしバーンとかボーンとか擬音ばかりで肝心の詳細は全く分からないままだった。
けれど豪炎寺君なりの解釈を円堂君に話した所、それだ!!と言って技名・イナズマ落としの練習が始まった。
染岡君が豪炎寺の特訓に付き合うから暫くは一緒に帰れない。と言う事で暫くの間、比較的同じ方面の半田君と影野君と一緒に帰る事になった。
もう中学生とは言え、暗がりに一人で帰るのは危ないからね。
話の内容は専ら今回の必殺技についてだ。
「もうすぐ試合だろ?それまでに完成するのかな?」
『う~ん。結構難しいかもね。壁山君を踏台にして更にそこからジャンプするんでしょ?』
「…壁山は高い所苦手だし…」
う~んと3人で悩みながら歩く。
そして、ふと思い付いたように影野君が言った。
「…俺達で必殺技を作るとか…?」
「『…』」
「……や、やっぱり…「『それだーー!!』」!」
沈黙に耐えかねた様子の彼が何かを言う前に、俺と半田君の声が住宅街に響いた。
『そうだね!俺達で必殺技を作ろう!』
「きっとみんな驚くぜ!そうと決まれば明日から…いや。今日から特訓だ!」
「『おー!』」
そう言う事になった。
後半へ続く!
技名とか全てが決まっていないけど何か技を作るって事だけは決めた。