カルデアに狩人様が来た場合   作:結城希亜

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プロローグ1-2

 

 

 弁明をさせてほしい。決して故意ではなかったのだ。偶々体調が悪く、偶々座って話を聞くものであり、偶々席が最前列であり、偶々あまり興味のない話であった。事故は偶然が二つ重なると発生するとはよくいうが、四つ重なってしまうならばこれはもう必然なのでは? つまり決してオレが悪いわけではない。しかしマイクを投げられるとは思ってもみなかった。確かにレフ教授の言うとおり気難しい人物のようである。

 

 未だジンジンと痛む頭を抑えていると、心配してくれているのか、気遣うように説明会から抜け出してきたマシュがこちらへ歩いてきた。

 

「大丈夫ですか、先輩? やはり体調が芳しくない状態で無理をさせてしまったみたいですね」

 

「フォーウ……」

 

 いつの間にかそばに寄ってきていたフォウも気遣っているのか、柔らかい肉球をオレの頬へ執拗に当てている。気持ちいいことは間違いないんだが、微妙に爪が当たって痛い。慰めているのか喧嘩売ってんのかどっちだ。

 

 ああ、頭痛い。いくら居眠りしていたからって普通マイクで殴らないだろ、やってもビンタだ。アレのどこに愛嬌があるのか是非ご教授願いたい。

 

「あの、先輩。歩行に問題がないのでしたらマイルームの方に案内しますが……」

 

「平気だ、流石に一人で歩ける」

 

 流石に肩を貸してもらうほど弱ってはいない。立ち上がり、マシュに先導してもらう。思えば、カルデアに来てからマシュには世話になってばかりだ。本当に頭が上がらない。

 

「ん? いやちょっと待て、これからすぐファーストミッションなんじゃないのか」

 

 マイルームに向かうマシュを引き止める。流石に説明会の全てを寝て過ごしていたわけではない、所々眠気に逆らって話を途切れ途切れに聞いていたのだ。記憶が正しければ、今日は各チームに分かれてファーストミッションに挑むはずだ。正直来たばかりの素人同然の奴を戦場に出していいのかとカルデアの指揮官の頭が不安になるが、それは横に置いておこう。

 

「確か全マスター参加だったんじゃないのか」

 

「は、はい……それは、そうなんですが」

 

 脳裏に悪い予感がよぎる。オレのこういった予感、直感と言った方が適当かもしれないが、それはよく当たる。この直感がギャンブルに使えるのなら、オレは今すぐ億万長者になってフリーランスの傭兵なんてやらなくて良くなるくらいには当たるのだ。不安を払拭するように問い詰めるが、マシュは言い辛そうに言葉を濁す。それが、全てを物語っていた。

 

「もしかして………」

 

「はい……お察しの通り、大変言いにくいのですが、先輩はファーストミッションから外されてしまいました。原因は……」

 

「オーマイ……」

 

 絶望に打ち震えて膝から崩れ落ちる。原因は間違いなく先程の説明会だろう。外傷とは別の意味で頭が痛くなってきた。ファーストミッションに参加できないということは、仕事がないということ。つまり給金が発生しないのだ。おまけに成功報酬、つまり前金なし。なんということだ、オレは一体なんのためにカルデアに来たのか、わからなくなってきた。

 

 脳裏をよぎるのは、久しぶりに帰った自宅のポストが溢れるほど突っ込まれていた請求書の数々。ガス、水道、電気という全ライフラインが止まった家屋と、流れない便所。ぼったくりの旅商人に法外ともいえる料金を支払って、すっかり痩せてしまった財布と通帳。最近は業界もめっきり底冷え状態、仕事は取れず、収入はなく金だけが消えていく。ああ、脳が震える。

 

「フォーウ」

 

 慰めるようにフォウがポン、と肉球を肩に乗せる。さっきの猫パンチと違い、それは優しさに満ちていた。もしかしすると獣とオレは分かり合えるのか? 感動して振り返ると、その顔は笑いを堪えているようにも見えた、喧嘩売ってんのか。

 

「ふむふむ、どうやらフォウさんは先輩を同類として迎え入れたようですね」

 

 全く嬉しくないのはどうしてなのだろう。未確認生物たるリスっぽい生き物に同類扱いされても困る。後頭部で寛ぐ毛玉を無視して立ち上がると、ずり落ちそうになったのか、オレの後ろ髪をハシッと掴んで宙ぶらりんの状態へ移行した。なんとなく愉快なので、頭を振って左右へ揺らしてやる。落とされまいと四肢に力を入れる姿はまるで運動のため道具で遊ぶハムスターのようだ。

 

「言葉、わかるのか?」

 

「いえ、身振り手振りだけでなんとなく、フォウさんは分かりやすいですから」

 

 まあ顔に出やすい生き物ではあるな、と同意する。下手をするとこちらの言葉を理解している節もあるので、意外と知能は高い生き物なのかもしれない。あとでどういった生き物なのか調べてみたいところだ、暇だからな。

 

 マシュと並んで歩いていると、ちらちらとこちらに向けられた視線を感じた。どうやらすれ違うカルデアの職員たちが物珍しい物を見たように、或いは憐むような物を見るようにこちらの様子を伺っていた。なるほど、どうやら居眠りの事実はすでに職場全体に広まっているらしい。

 

『今後平穏無事な職場を望むならーーー』

 

 レフ教授の言葉が蘇る。残念ながら、平穏無事な職場は夢と消え去ったようだ。奇異の視線を向けられ、まるで廊下が針の筵のように感じられる中、一つの扉の前でマシュが足を止めた。

 

「あ、こちらが目的地ですね。こちらが先輩の個室となります」

 

「ありがとう、ここにきてから世話になりっぱなしだな」

 

 礼にもならないと思うが、それでも頭を下げておく。いつか何かしらの形で返したいものだ。

 

「キュー!」

 

 髪にぶら下がっていたフォウが、いつの間にかロープをよじ登るようにして頭上へ登頂して遠吠えをあげ、遊ぶように帽子のツバを引っ張る。烏羽の飾りが猫じゃらしにでも見えているのだろうか。

 

「フォウさんが先輩を見てくれるのですね、それは安心です。また廊下で倒れられてしまったら起こしてあげてくださいね」

 

「フォウ! キュー!」

 

 あまりの気遣いに涙が出そうだ。このやり取りでオレがどういう扱いなのかが察せる、というものだ。下ろすのも気の毒なので、フォウを帽子に乗せながらマシュと別れる。

 

「それではわたしはこれで。………また、運が良ければまたお会いできると思います」

 

 その言葉で、彼女がこれから非常に不透明なミッションへ挑むということを思い出した。運が良ければ、というのはオレの運ではなく、彼女の運だろう。いつの間にか、右手が懐に伸ばされていた。指先はガラス瓶に触れている。その感触を何回か撫でるように確かめたあと、自分の直感に従ってその手を離した。コレは、彼女に渡すべきではないだろう。

 

「ああ、運が良ければ、また」

 

 

● ● ●

 

 

「全く、信じられないッ! 居眠りだなんて!」

 

 カルデア所長室に部屋の外に聞かせるのかという勢いで怒号が響く。表情に怒りを露わにした女性は、まるで子どもが癇癪を起こしたかのようにその感情を外へ放出する。それを見かねたレフは、女性を宥めるように穏やかな声で話しかけた。

 

「まあまあ、落ち着いてくれオルガ。彼も悪気があったわけじゃないんだ、さっきも話しただろう?」

 

「だからって……」

 

 オルガ、と呼ばれた女性はレフの言葉で少しばかり落ち着きを取り戻すが、依然としてその表情は険しいままだ。その様子をみて、厄介なことをしてくれたものだとレフはため息を吐きたくなった。この怒りようではとてもではないが『お願い』をできそうにない。

 

 説明会は終了し、マスターたちはすでに来たるべきファーストミッションに向けて準備をしている。あとは作戦指揮官であるオルガマリーを待つばかりだ。だというのに、先程の居眠りがよほど気に食わなかったのか、今もこうして怒りが収まらないでいる。思わず眉をしかめそうになるのを抑えて、オルガマリーを宥める。

 

 そこで連絡が入る。全マスターの準備が完了したことを示す旨だ。

 

「マスターたちの準備が完了したようだ。わかっているだろう、このミッションは絶対に成功させないといけない、やり直しは効かないんだ」

 

 ファーストミッションの成否でカルデアの進退は決定する。現代社会において、レイシフト適性を持つものはあまりに少ない。48人という人数は少ないと思うなかれ、これだけの人数を集められたのは間違いなく奇跡であり、前所長のマリスビリー・アニムスフィアの尽力によるところが大きい。そしてマリスビリー亡き今、失敗したとして次の人材が集められる保証はどこにもないのだ。

 

 それは娘であり、現所長であるオルガマリーが一番知るところだろう。激情を押し殺すようにして頷き、しかし内心を表したように靴音を鳴らしながら外へ出ていった。

 

 後を追うようにしてレフも管制室へ向かう。その顔には微笑みが浮かんでいた。

 

 

● ● ●

 

 

「はーい、入ってまーーーって、わあああああ!? 誰だ君ッ!?」

 

 マシュとマイルーム前で分かれたあと、カードキーを横の機械へ通して扉が解錠すると、中には見知らぬ白衣の男性がベッドの上で寛ぎながら饅頭を口へ運んでいた。おいおい、ベッドの上で物を食べるなよ、饅頭だと粉が落ちるだろうが。

 

「お前こそ誰だ、ここはオレの部屋だぞ」

 

 渡されたカードキーで開いたのがその証拠だ。薄桃色の髪を適当に後ろで縛った軽薄そうな優男は、慌てて唇についた粉や、テーブルに置いた饅頭などと菓子類を隠そうとするがもはや手遅れだと悟るや否や、眉を寄せてオレへ険しい目を向けてきた。

 

「ここは空部屋だぞ、ボクだけのサボり部屋だ! 誰の断りがあって入ってくるんだい!?」

 

 その逆ギレっぷりに流石のオレも、もしかして自分が悪いのでは? と錯覚しそうになる。なるほど、盗人猛々しいとはまさにこのことだ。不法占拠をここまで威張れるのは一種の才能だろう。手を叩いて褒めてやりたいところであるが、こちらとてそのベッドに用がある。嘘偽りなく本心を言うなら、とても眠いので早く退いてほしい。

 

「ここが部屋だと案内された、もう空き部屋じゃない」

 

 そう言って優男の眼前にカードキーを突きつける。その表面には確かに数秒前まで家主不在だったこの部屋の番号とオレの名前がきっちり刻字されていた。優男はそれをマジマジとたっぷり時間をかけて見つめたあと、未練を残すように肩を落とした。

 

「そっかぁ、ついに最後の子が来ちゃったんだね……。今日まで来なかったからてっきり………」

 

 てっきり断った、そう思ったのだろう。こんな高収入の仕事を断る奴がいるのなら顔を拝んでみたいものだが、この口調では実際いたらしい。

 

 優男は気持ちを切り替えるように軽く咳払いをして、にこやかに微笑んだ。レフ教授のそれとはまた違う、少し頼りなさそうではあるが、人を安心させるような、そんな表情だ。

 

「はじめまして、クロウくん。ちょっと恥ずかしいところを見せちゃったけど、改めて自己紹介だ。ボクは医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。みんなからは言いにくいからだと思うけれど、Dr.ロマンと略されててね。まあ言いやすいし、君も気軽にロマンと呼んでくれ」

 

 響きは気に入ってるんだ、カッコイイし、どことなく甘くていい加減な感じがするから、語源は気に入らないけれどねとロマニ・アーキマンと名乗った男は自己紹介をして、手を差し出した。ふむ、握手は結構だが口についた片栗粉は早く拭いたほうがいい、まったく締まらない。

 

 無言でティッシュを手渡して口元を指差してやると、顔を赤くして慌てて拭い、誤魔化すように笑う。しかし、何かに気になることがあったのか、オレがさっきしたように自身の顔を指さした。

 

「大丈夫だ、もう粉は取れてるぞ」

 

「いやそうじゃなくて、なんでマスクなんかしてるんだい? いくら外が吹雪いているからってここは暖房が効いているから寒くはないだろう? もしかして風邪?」

 

「別にそういうわけじゃない。ただ、これはあまり人前で外したくないだけだ」

 

 ヤーナムの工房で作られた狩装束、その多くには形はどうあれマスクが付属している。それは、死臭と獣避けの香、炭素で色づいた排ガスが混ざった形容できない臭いを防ぐためだったのか。それとも狩りの最中、感情を読み取らせず戦いを有利に運ぶためか。或いは獣血に酔い、隠しきれない感情をそれでもなお隠そうとしたのか。オレにはわからないことだ。

 

 角を立てないように柔らかく、しかし明確な拒否の意思を示したオレを思ってか、ロマンはそれ以上踏み込まず場の空気を悪くしないうちに別の話題へ話を移した。

 

「そういえば、君の頭の上にいるのってカルデアで噂の珍生物? ボクも初めて見たよ、マシュから聞いてたけどほんといたんだ………。よし、ちょっと手懐けてみよう」

 

「マシュを知ってるのか」

 

 近くにちょうどあったお菓子を手に、頭の上で行儀良くお座りしていたフォウの口元に近づけ、しかしまるで相手にされず肩を落とすロマンへ問う。確かに好き嫌いが激しい動物らしい。

 

「うん、彼女とボクはそこそこ長い付き合いでね」

 

 片っ端からこの部屋にある食べ物でフォウと戯れてスルーされている姿は確かに哀れではあり可哀想にもなってくるが、フォウにもいい加減頭の上から降りてほしいものだ。肩が凝ってしょうがない。

 

「ところで君はどうしてここへ? 今日は大事なファーストミッションだ、マスターは全員集合だろう?」

 

「アンタこそ、医療部門のトップ様がどうして空き部屋でサボりながらティータイムを決め込んでるんだ?」

 

 オレは言ってしまえば平社員だが、あっちは医療部門のトップだ。単純に見るならば、所長の下に副所長がいて、その下に各部門のトップがいるはずだ。立場的には相当上、それも医療担当となれば相当重要な立場のはずだが、まあここにいる理由は予想がつく。あちらも大体察したのか、オレたちはお互いに笑いながらそれぞれの事情を話した。

 

「いや、それは……自業自得でしょ。フ、ブハハっ!」

 

 そして帰ってきた言葉がこれだ。やはり話すんじゃなかったな、と少しばかり後悔する。オレの話を一頻り聞いて大爆笑をかましたロマンは、そのあとまだ腹筋を鍛え足りないのか、笑いを堪えながらそう言った。

 

「いつまで笑ってんだ、腹ぶち抜くぞ」

 

「ご、ごめんよ、あーこれだけ笑ったのは久しぶりかな。ここは閉鎖社会みたいなところだからね、みんな根暗でいけない、だから娯楽は貴重なんだ」

 

「そうか、今度おすすめのお笑い番組でも紹介してやる。娯楽に飢えているのなら笑いで死ぬのも本望だろう?」

 

 そう言って微笑むと、よく暖房の効いた部屋だというのに寒くなったのかロマンは身体を震わせた。しかし、こうやって人のことを盛大に笑っているロマンだが、こいつはこいつでなかなかに酷い。まさか空気が緩むという理由で現場を追い出されるとは驚きだ、その通りだとは思うが。

 

「いやあ、正直ブログの周回にも飽きてとても暇だったんだ。君がきてくれて助かったよ、これで話し相手ができた」

 

「お喋りは嫌いだ。どうしても付き合わせたいのなら給料払ってくれ、それなら付き合ってやらんこともない」

 

「え………い、いくらだい?」

 

「払うのかよ」

 

 恐る恐る懐から財布を取り出そうとするのを首を振ってやめさせる。どれだけ話し相手に飢えてるのか少し気になった、この性格ならそういった友達は結構いると思ったんだがな。だが考え方によってはいい機会だ。せっかくこちらに気後しない職員と喋る機会なのだから、このカルデアについていろいろ聞いてみるとしよう。何せポストに突っ込まれていた怪しいパンフレットしか読んでないんだ。

 

 

● ● ●

 

 

 フォウは男二人での当たり障りのない雑談に飽きたのか、器用に丸くなってピスピスと鼻息を出しはじめた頃、ロマンの懐から電子音が鳴り響いた。どうやら一種の携帯端末のようだ。

 

『ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらにきてほしい。Bチーム以下、慣れていないものに若干の不調が見られる』

 

「やあレフ、それは大変だ。軽く麻酔でもかけにいこうか」

 

 どうやら通信相手はレフ教授のようだ。通信の邪魔にならないよう口を噤む。しかしちょっと一杯いかないか、みたいな感覚で麻酔使うんだな、と少し驚きはしたが、思い返せばオレも夢の中では怪しい薬をパカスカ飲んでいたし、診療所には大量の麻酔が棚に並んでいた。意外と医療分野では気軽に打てるものなのかもしれない。

 

『頼むよ、今医務室だろう? そこから管制室まで二分かからないだろうからすぐ来れるな』

 

「え"っ」

 

 プツリと無慈悲に通信が切れる。端末を片手に固まるロマンの顔は、それはもう見事にしわくちゃだ。思わず笑いそうになってしまう。人のことを笑うからバチが当たったのだ、やはり神様はちゃんと見ているらしい、神なんて信じてないけれど。

 

「ど、どうしよう………」

 

 その声は非常に情けなく震えていた。ここから管制室まで、どれだけ急いでも五分はかかる、当然遅刻は免れないだろう。ジクリと頭の痛みが怒号とともに蘇った。

 

「ま、まあ多少の遅刻ならいいよね。ヘーキヘーキ」

 

 まるで自分に言い聞かせるような言葉だが、実際ロマンがそれほど焦らずオレと話しているところをみると、それほど急ぎの用事でもないらしい。落ち着いた様子でベッドから腰を上げる。

 

「じゃあお呼び出しもかかったしそろそろ行くよ、話し相手になってくれてありがとう。甘いものが食べたくなったらぜひ医務室を訪ねてくれ」

 

「断る、甘いものならこの部屋に隠されてた菓子で当分はやっていけそうだ」

 

「うえええっ!? そ、それは勘弁してくれ、後生だよ!」

 

 素直に暇つぶしの相手が欲しいといえばいいものを甘味で釣ろうとするからだ、とロマンをからかっていると、唐突に部屋の明かりが消えた。

 

「停電か?」

 

「急に大量に電力を使ったからブレーカーが落ちた? いやそんなはずはーーー」

 

 耳を貫く轟音が鳴り響く。カルデア施設全体が大きく揺れ動き、まるで地震でも起きたかのように体勢を崩す。

 

 

 

 

 微睡んでいた本能が起きる音が聞こえ、喜びの声を上げるように獣の顎が開かれる。気づけばオレの口元は醜く歪み、弧を描いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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