異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird
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第12話

 

「こりゃ美味そうな若者じゃないか?

俺はラミアなんて半妖は嫌だから別行動を取ったけど、案外当たりだったな。おぃ兄ちゃん。俺と楽しもうぜ」

 

 振り返った先には、小汚い中年が立っていた。片手に持った抜き身のロングソードが陽光を浴びて光る。

 僕のショートソードと違い良く手入れをされているんだろう。

 最近見たことのある中年が、股間を膨らませながらギラギラした目で僕を見ている。

 

 アレは肉欲をたぎらせた目だ……

 

「お前は……男色の猿……」

 

「ほぅ?兄ちゃん俺を知ってるのか。もしかして両刀使いか?それとも昔ヤっちまったかな?まぁ良いや、ヤ・ラ・ナ・イ・カ?」

 

 勝手に僕をホモか過去の被害者だと決め付けるな!寝転んでいた大きな石から飛び降りる。

 負ければ男としての尊厳が穢れてしまう。せっかくアリスという可愛い彼女ができたんだ。

 

「ヤラれる前にヤる!」

 

「なんでぇ、同好の士かよ。でも俺は受けじゃねえ、攻めなんだぜ。諦めてケツを出せよ」

 

 そのヤるじゃない、殺すと書いて殺るだ!

 

 大岩に立て掛けていたショートソードを握る。

 

奴のステータスは

 

 

職業 : 盗賊

 

称号 : 男色の猿

 

レベル : 18

 

HP : 59

MP : 0

筋力 : 28

体力 : 25

知力 : 5

素早さ : 22

運 : 18

 

 

僕のステータスは

 

レベル : 7

 

 

HP : 60/60

MP : 14/14

 

筋力 : 28

体力 : 20

知力 : 17

素早さ : 22

運 : 7

 

 

 レベルは半分以下だがパラメーターはほとんど同じだ。僕の方が知力が高く運が低い。純粋な戦闘スペックはほぼ同じか……

 

「ほぅ?ヤる気かよ?俺は手足が無くてもケツだけありゃ構わねぇからよ。死なない程度に遊んでやらぁ!」

 

 突然奇声を上げて飛び掛かってきた。上段から袈裟懸けの一撃!

 辛うじて後ろに下がってかわすが、どう見ても殺す気だ。心臓がバクバクいっているし一瞬で全身から汗が噴き出した。

 額から汗が流れ落ち、ショートソードを握る手もベタベタしている。マトモに受けたら左肩からパックリ裂けてただろう……

 

「お前、端っから殺す気だろ!」

 

「15分くらい生きてりゃ良いんだ!手足がなくてもよ。死にたくなけりゃ武器を捨ててケツだせや!」

 

 最悪だ……最悪のバイオレンスほも野郎だ。

 

 よく小説とかで読む初めての殺人を躊躇う描写が書かれている。

 現代日本人の感覚では殺人を禁忌な物として刷り込まれていて苦悩する主人公。人間として正しいことなんだろう。

 だけど自分の男としての尊厳を踏みにじろうとする相手に、そんなことは考えられない。

 

 僕が異常なのか?

 

「世界中のノーマル男子のために、ここでお前を殺す」

 

 明確な殺意、そこに慈悲は無く迷いも無い。ショートソードを中段に構える。

 

「ほぅ?大きく出たな。俺がケツを掘った奴は100人は居るぜ。お前は特別に時間を掛けて楽しんでやる、ゼェ!」

 

 台詞の最後の掛け声と共に最初と同じ上段からの袈裟懸けの一撃。左から来る刃に向けてショートソードを叩き付ける。

 

「おっ、ととと……」

 

 体勢を崩し多々良を踏んだ奴に追撃する。振り上げたショートソードを奴の首目掛けて振り下ろす。

 

「甘いぞ、兄ちゃん!」

 

 奴は難無く体勢を立て直し左側へ転がって避ける。

 振り回したショートソードの遠心力に耐えられずに体勢が崩れたときに、奴のロングソードか僕のショートソードを叩き落とす。

 右手を押さえて後ろに下がる。まだ鉈があったはずだ。

 

 目だけ左右に動かし鉈を探すが……無情にも奴の後ろに落ちていた。

 

「丸腰だな、さぁ楽しもうぜ!」

 

「何故ズボンを脱ぐんだ!」

 

 奴は腰紐を解いて、ぶら下げていた革袋を大地に降ろす。そのままズボンを脱いで下半身を露出した。天を突く粗チン、奴は短小だった。

 

「ぐふふふ、楽しもうぜ。痛い目を見ないうちに素直にケツをだせや!」

 

「黙れ、粗チン野郎!」

 

 下半身を露出し同性に迫る変態オヤジをどうするか?必死に考えるが妙案が浮かばない。

 

「戦略的撤退!」

 

 無理に戦わずに逃げれば良い。そんな簡単なことをようやく思い付く。その場でクルリと後ろを向いて走り出す。

 

「ちょ、お前!待て、待ちやがれ!」

 

 岩場を走りながら最後の武器のナイフをくるんだ布から出して右手に持つ。

 解いた布に途中で拾った握り拳大の石をくるむ。素早さは同じ22だから簡単には差が縮まることは無い。

 

 一際大きな岩を見付けて回り込む。直径10mはある巨石が直立して乱立しているうちの一つだ。

 

「チョコマカと逃げるな!男なら戦えよな」

 

 声からして直ぐ後ろに居るのが分かった。ほんの3~5mくらいの距離だ。

 

「死ね!」

 

 振り向き様に石をくるんだ布ごと奴の顔目掛けて投げつける。中途半端に布が広がり中の石と分かれて奴の顔に飛んでいく。

 二種類のスピードで顔面に迫る物があると、人間は一瞬だが判断を迷う。

 

「うおっと!」

 

 奴は両手をクロスして顔面ガードする。両方から守るためにだ。ナイフを腰だめに構えて体ごと奴にぶつかっていく。

 奴は下半身を露出しているので防具は上半身しか着ていない。

 

 だから臍の辺りを目指して突き刺す!

 

「ぐふっ、お前……不意打ちとは……卑怯だ……ぞ」

 

 答える代わりにナイフを時計回りに捻込む。消化器系を損傷した所為か口から大量の血を吐いてしがみ付くが、構わず何度も刺す。

 

「ゲハッ……ゲホッ、ゲェ……」

 

 ズルズルと僕にしがみ付きながら倒れた。ガチガチに固くなった両手を何とか解いてナイフを地面に落とす。

 

「嗚呼……人間を殺した……罪悪感はまるで無いが、恐怖心が凄い。何故だ、何故なんだ?」

 

 人殺しをしたのに、自分の行動に怯えるだけで罪悪感が無いなんて……胃袋から込み上げる物があり、その場にしゃがみ込んで吐いてしまう。

 体に染み付いた血の匂いと粘着いた感触が気持ち悪いからだ。

 胃袋の中身を全部吐き出して胃液以外に吐く物が無くなり漸く吐き気が治まる。

 

 酷い有り様だ……

 

 ナイフをくるんでいた布で口元を拭う。そのまま、その場に仰向けに倒れた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん、大丈夫?どうしたの、その格好は!」

 

 呆然としていたので何時間経ったのか分からないが、アリスが僕の胸に飛び込んできた。

 暖かく柔らかい彼女をギュッと抱き締めて首筋の匂いを嗅ぐ。クンカクンカしながら彼女の柔らかい背中やお尻を撫で廻す。

 

「ひゃ?お兄ちゃん?どうしたの?大丈夫?痛い所があるの?」

 

 アリスは大人しく撫でられてはいるが、心配そうに声を掛けてくれる。

 ひとしきり匂いと柔らかさを堪能してからアリスから離れる。

 

「昨日廃墟に来た盗賊だ。奴に襲われて逆に殺してしまったんだ……」

 

 血溜まりの中に俯せに倒れている下半身を露出した盗賊の死体を指差す。

 

「お兄ちゃん……大丈夫、もう大丈夫だよ。アレ?なんでアイツは下半身が裸なの?」

 

 汚い尻が丸見えだ!小さな悲鳴を上げて僕にしがみつくアリス。彼女は異性の裸に慣れてない純真無垢な女の子なんだな。

 

「奴は同性に欲情する変態だ。僕も性的に襲われたから殺してしまったんだ……」

 

 思わず身震いしてしまう。男の僕に対して股間を膨らませていた醜いオッサンを思い出してしまったから……

 

「お兄ちゃんを……性的に……襲った?あの盗賊が?燃え尽きろ!」

 

 アリスは右腕を凪払うように振るうと、オッサンが燃え上がった。

 

「燃えろ、燃えろ、燃えろ!お兄ちゃんを食べて良いのはアリスだけなんだよ!薄汚いオヤジは燃え尽きろー!」

 

 何度も腕を振るい火の魔法を叩き付ける。その度に奴の体がビクビクとのた打ち、そして燃え尽きた……

 その間中、僕はアリスを後ろから抱き締めていた。

 

 ああ、落ち着く……ホモは滅びたんだ。

 

 ようやく男の尊厳を守り通し、且つ自分の恋人の体を堪能したことで恐怖心が治まった。

 アリス、良い匂いだし柔らかいし本当に触っているとホンワカして安心するなぁ……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 男色の猿こと、盗賊のオッサンは消し炭となった。

 

 忌まわしい記憶だが、オッサンの持ち物は大変有り難い物ばかりだ。

 ズボンを脱いだときに腰回りにぶら下げていた皮袋には、お金・宝石類・火打ち石・各種薬草・周辺地図・ナイフなどのサバイバルに必要な物とかがたくさん詰まっていた。

 これはそのまま使える。テレビで見た革製の水筒も有り難い。これで素焼きの壷を持ち歩かなくて済む。

 

 ロングソードに鞘も有り付属の紐で背中に背負える。走るときは腰に差すより背負った方が断然良い。

 なるほど、盗賊の装備とは機能性が高いんだな。貴重な水を使い血だらけの体を拭いて服を着替えた。

 オッサンの吐いた血で汚れた服も洗えば未だ使えるから捨てない。物が圧倒的に無いのだから捨てるなんて勿体無いんだ。

 

「少し遅れたけど予定通り廃墟に戻って残りの品物を運び込もう」

 

「そうだね。残りの盗賊がどこに居るか分からないけど、残してきた品物も大事だもんね。アリスが周囲を警戒するから大丈夫だよ」

 

 レイス化して僕の周辺を飛び回るアリス。見晴らしの良い草原なら、高い方が先に敵を見付けられる。

 しかも帰りは手ぶらだから行きより断然速いスピードで移動できる。

 暫く歩いて小川に出ると、革製の水筒を洗い中身を入れ替える。

 やはりホモが使っていた水筒をそのまま使うのには抵抗があるからね。

 

 内外を綺麗に洗い川の水を入れる。大体だが1リットルは入る感じだ。

 

 予定より大分早く日が暮れる前に廃墟に到着。アリスの作ってくれた焼き魚を五匹食べて、彼女を抱きながら早めに眠る。

 

 今日は色々な意味で疲れたから……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 目が覚めてステータスを確認したらレベルが上がっていた。

 不思議だが、昨日の男色の猿を倒したことが原因か?中ボス扱いなのか初の対人戦に勝利したからなのか?

 

 謎は謎だが嬉しい。

 

 

 

職業 : 定住せぬ魔法剣士

称号 : リア充なロリ

 

レベル : 9

 

経験値 1280 必要経験値 2560

 

HP : 85/85

MP : 24/24

 

筋力 : 40

体力 : 28

知力 : 23

素早さ :32

運 : 9

 

魔法 : ヒール・スリープ

 

装備 : ロングソード 布の服

 

 

 レベル2も上がった所為かパラメーターの上昇も凄い。何気に新しい魔法も覚えたがスリープとは微妙だ。

 何となくだがレベル差によっては相手に効かないかも……

 

 相変わらず運が低いし、職業から見習いは取れたが「定住せぬ」って何だよ?まるで住所不定みたいで嫌だな。

 

 だが盗賊の三人のうちの一番強い奴のパラメーターと数字が近い。古参の盗賊のレベルは30だったはずだ。

 アリスとの会話で分かったが、この世界にはレベルという概念は無く役職・職階が強さの基準だ。

 そして昇進・昇格には試験や試練がある。この世界は色々と考えさせられることが多い。

 レベルが上がれば基本スペックは上がるが技量は上がらない。

 

 つまり剣術は拙いままなんだよな……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 色々と悩み考えたが一人では検証のしようも無く当初の予定通りに荷物を岩山に隠して一泊し、早朝から目的の洞窟に向かって歩いている。

 天気は良く適度に追い風なので汗もかかない。上空ではアリスが旋回して索敵をしてくれている。

 

 万全の態勢だ!

 

「お兄ちゃん、泉と洞窟のどっちから行く?」

 

「先に洞窟かな。もし洞窟に敵が居たらさ。近くの泉で休憩なんかしてたら危ないよ。先に安全確保をしよう」

 

 気を抜いているときに先に気付かれて襲われたらたまらないからね。歩くこと30分、小高い丘の中腹に目的の洞窟が見えた。

 見えたのだが様子が変だ……

 

「なぁアリス。洞窟の周り、煙がモウモウとしてないか?」

 

「うん、人も倒れてるね」遠目から見ても煙が立ち込めているし人らしき物も倒れている。

 

「危険だな。あの洞窟に何かが潜んでいて討伐されてるのかな?」

 

「うーん、アリスには分からないよ。でも倒れている人って盗賊みたいだよ」

 

 盗賊?盗賊……ラミア……襲う……襲われて、奪われて、殺される?

 

「アリス、奴ら廃墟に来た盗賊だと思う。襲われているのは、多分だがラミアだ」

 

「あのホモ野郎の仲間なのね?でもラミアって最強種の竜の一族だよ。戦えば被害は甚大、私の秘密を知ってる連中を始末できる」

 

 アリス、怖い美幼女……だが逃げても見て見ぬ振りも危険の確率は変わらない。

 奴らが生き残れば次はアリスが襲われてしまう。

 

「アリス、ラミアに加勢しよう。できれば盗賊達は倒しておきたい。僕等の安全のために……」

 

 アリスの討伐回避のため、封印が解けたことがバレるのを少しでも先延ばしするため、奴らはここで始末するぞ。

 








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