異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird

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第20話

 ベルレの街の大通りまで戻り、宝石類の買取のできる店に来た。

 流石に単価の高い品物を取り扱うだけあり、入口には二人の武装した警備員が立っていた。

 店の中も当然商品は陳列されてなく、カウンター越しに店員と交渉するシステムだ。

 カウンターの中には愛想笑いをした筋肉質のオッサンが座り、見習いみたいな少年が後ろに立っている。

 ウチの交渉担当がオッサンに話し掛ける。

 

「宝石と護符を買い取ってください」

 

 営業スマイルを浮かべて交渉に入るデルフィナさん。

 

「これはこれは、ラミア族の方が人間といらっしゃるとは珍しい。では買取希望商品をこちらに……」

 

 そう言って木製のトレイを差し出す。そこに丁寧に宝石類を並べていく。

 宝石は一つ一つ布に包んで傷付けないようにしている。

 

 オッサンはその場で宝石を調べていく……ルーペみたいな物で表面の傷を調べて天秤計りで重さを量る。

 

「ふむ、質の良い宝石類ですな。

こちらから1200G、850G、210G、これが一番高くて3500Gで如何でしょうか?護符は一つ30Gですね」

 

「凄いな、宝石類だけで5760Gか……」

 

 思わず呟いてしまった。1Gが1000円なら、感覚的には600万円近い。

 

「ほぅ、貴方は商人ですか?瞬時に暗算できるとは」

 

 チラリと僕を見るオッサンの細めた目は、何やら値踏みする感じで嫌だな。

 

「実家が商売を営んでまして、子供の頃から叩き込まれまして……まぁ店は当然兄が継ぎましたので、今は気儘に暮らしてます」

 

 勿論嘘だが、識字率も低そうな世界だからな。アンバランスな教養は、それだけで疑われてしまう。

 聞けば家長制度もあるらしく、兄弟が多くても長男が家を継ぐのが普通だ。だから下は長男を手伝うか独立するしかない。

 

「そうですか……では護符を含めて5820Gですが、サービスで6000Gで買い取りさせて頂きます」

 

 デルフィナさんを見れば、黙って頷いたのでOKなんだな。

 

「支払いは金で?それとも通貨で良いですか?」

 

 6000Gで約18㎏か……持てない重さじゃないが、嵩張るし目立つな。

 

「では通貨で1000Gと残りは金でお願いします」

 

 暫く待つとパンパンに膨らんだ皮袋と金の板が五枚、トレイに乗ってきた。

 袋に触ると1001Gのメッセージが……デルフィナさんが躊躇なく数え始めた。

 鎧の買い取りは実質的に物々交換だったから、ブーツなどの支払いだけで良かった。

 だから支払いも一枚ずつ数えて払っても時間が掛からなかったが、千枚は流石に……

 

「あら、1G多いわ。はい、返しますね」

 

 そう言って通貨を一枚返して皮袋に詰め直す。金の板を僕に差し出してきたので、商人に背を向きマジックアイテムの皮袋にしまう。

 

「それでは……」

 

 そう言って店を出るときにオッサンを見たら、後ろに立っていた少年を軽く叩いて叱っていた。

 スパルタ教育は思う所があるが、この世界では普通らしい。無言で扉の前に立っていた警備員が体をずらし扉も開けてくれる。

 上客だから最初とは対応が違うのは当たり前だな。

 それから少し早いが公衆浴場に行き体を洗ってから夕食を食べて、中クラスの宿屋に泊まることにする。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 公衆浴場って大浴場だけじゃなくて個室もあるんだ……

 

 案内された公衆浴場はベルレの街に三ヶ所ある中でも一番高級な所だ。

 

「デカい……だが古代ローマでは既に風呂文化は円熟していた。だから、この世界の時代設定でも有りは有りだよな。

確か紀元前80年頃には既に浴場をテーマにした世界最古の建築理論書があった。ウィトルウィウスの建築十書とか……」

 

 テルマエなロマエはお風呂漫画でも有名な古代ローマ風呂。別名はバルネアとも言われるアレだ。

 それと酷似した状況が目の前にある、ええ、あります。

 

「混浴バンザイ!」

 

 脱衣場は一ヶ所で、男女が出入りをしている。つまり混浴だ!

 

「駄目です、こちらにいらっしゃい」

 

「お兄ちゃん、アリスやデルフィナの裸を他人に見せても良いの?」

 

 器用に両耳を摘まれ引っ張られた。正直、混浴のインパクトで彼女たちのことを忘れていた。

 

「ここは個室浴場もあります。一回50Gと値が張りますが広くて清潔。

何より荷物を見張れながら入れますから盗難を防げます」

 

 一回50G?日本なら個室付き特殊浴場の高級店並みの価格設定だぞ!僕だって、そんな高級店はボーナスを貰ったときにしか逝けなかった……

 

「ごめんなさい、アリスたちのことを忘れてた。申し訳ないです」

 

 素直に頭を下げる。僕は自分の彼女の裸体を他の男たちに見られることを考えてなかった。

 

「大丈夫ですわ。いつも私と混浴ではないですか?ここも個室浴場がありますし、アリスと三人で入りましょうね」

 

「うん、お兄ちゃんの背中を流してあげる。だから他の女と混浴しちゃ駄目だよ」

 

 周りの男共の反応が過敏過ぎるぞ。親の敵みたいな目で見られると、普通に申し訳なくなるのが不思議だ。

 僕は悪いことはしてないのに……だが、予想以上に悪目立ち過ぎている。アリスの件も有るし自重しなければ駄目だ!

 

「じゃ個室の方に行こうか……」

 

 そそくさと人目から隠れるように移動した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「結構広いんだね。浴槽が二つあるのは……一つは水風呂か。こっちは適温だな、40℃ぐらいかな?」

 

 個室浴場と言ってもデカい。浴槽は8畳ほどの広さがあり、同じ広さの洗い場兼脱衣場がある。

 備品は香油に清潔な麻布がたくさん、それに垢擦り金具?因みに石鹸の類は無い。

 

「ゆっくりしましょう。呼べば食べ物や飲み物も運んでくれますわ」

 

「蜂蜜水とか果物が頼めるらしいわ。ほら、壁にメニューが書いてあるし」

 

 アリスの言葉にメニューを見ようと振り向けば……

 

「おわっ?」

 

 大胆に服を脱ぐ二人を見てしまった。特にインナーをたくし上げて“ぶるん″と現れた双房に釘付けだ!

 

「お兄ちゃん?ナニを見ているのかな?」

 

 それはデルフィナさんの、たわわに実った果実です。全ての精神力を振り絞り、何とかデルフィナさんから視線を外す。

 ズバッて擬音が付くくらいに潔く彼女は服を消した。レイスならではの技で、スッポンポンになり僕に飛び付いてきた。

 

 プニプニで温かい彼女を受け止めた反動で浴槽に飛び込んだ……

 

「うふふふふ、水妖の私に水の中で勝てると思ってるのですか?」

 

 スルスルと体をくねらせて浴槽の中に潜っていく。浴槽で戯れつく(溺れている)二人の真ん中に現れて主様を二巻きしてホールド。

 その豊満な胸の谷間に背中が付くように後ろから抱き留める。

 

「いつもは恥ずかしがって洗わせてくれませんが、今日は体の隅々まで綺麗に洗って差し上げますわ。覚悟してくださいね」

 

 駄目、それは絶対に駄目!そんなことをされたら新しい趣味に目覚めてしまう。

 

「まずはよく暖まって垢擦りをしましょう。その後で、タップリと香油を塗ってマッサージしますわ。アリス、手伝ってくださいな」

 

「うん、アリス知ってるよ。自分の体を香油塗れにして、お兄ちゃんに抱き付いてスリスリするんだよね?」

 

 それ、違うプレイだから!

 

 幾ら高級個室浴場だからって……

 

「まぁ!それが人間族の入浴マナーなんですか?確かに私の上半身を使えば、お互い綺麗になりますわね。

でも、それは垢を落として綺麗になってからのお楽しみかしら?」

 

 何でスト?ダブルで泡々な踊りをシテクレルですと?

 

「お兄ちゃん、言葉遣いが変だよ。ナニを興奮してるの?」

 

「三人でお風呂にはいるのは初めてですわね。アリスも帰ったら岩風呂に入りましょう」

 

 極楽浄土とは、天国とはここなんですね?神様ありがとう、僕をこの世界に飛ばしてくれて!

 僕は今、世界でも上位にランキングされたリア充……

 

「でっ、デルフィナさん?苦しい、苦しいです。アリス、首筋を舐めちゃ駄目だって。あっ、コラそこは……」

 

 僕は、この世界で初めて湯中(ゆあた)りした。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「あら、のぼせて気を失ってしまったわ。でも鼻血を垂らして嬉しそう」

 

「少しサービスし過ぎたかな?でも、お兄ちゃんが嬉しそうだったから止められなくなっちゃって」

 

 浴槽から主様を出して脱衣所の寝台に寝かせる。

 

「さて、主様を隅々まで綺麗に洗いましょう。いつも恥ずかしがって見せてくれない場所も綺麗にしましょうね」

 

「アリスはお兄ちゃんのイケナイ場所を見たよ。正確には見せ付けられたの。お父様のより大きくてビックリしちゃった」

 

 幼いアリスに股間の暴れん棒を見せ付けたの?主様って、そういうイケナイ趣味が?

 ゆっくりと寝台に寝かせてオデコに掛かった髪の毛を払う。

 

 幸せそうな顔を見ると、そんな変態さんには見えないけど……幸せそうな顔を見てから視線を下にずらす。

 線は細いが引き締まった体をしている。

 

 そして視線を更に下に……

 

「良かったわ、私たちラミア族の男性と変わらないわね……」

 

 安心したわ、これなら最後まで進んでも平気だわ。

 

「さてアリス、主様の体を隅々まで洗いましょうね」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 主様の体に香油を掛けて丁寧に伸ばし刷り込んでいく……最初は胸板から、そして両手を終えてから腰へ。

 

「ねぇデルフィナ……」

 

「なっ何ですか、アリス?」

 

 思わず声が上ずってしまう。主様の大切な場所を凝視していたから……

 

「私のことをお兄ちゃんは曖昧に説明したじゃない?実は私は高位神官の娘でね、病死した私をお父様が秘術を使い蘇らせたの……」

 

 レイスは特殊性により後天的に生まれる種族。

 魔力を高い者が死後に自然とレイス化したり秘術を使い生きたまま姿を変える者も居る。アリスは死後に秘術を使い生まれ変わったのね。

 

「そうなの、珍しいレイス化ね」

 

「元人間のレイス、お父様は私の存在を隠してくれたけど……私は妖魔だから体を維持するためには、他の生物の精気が必要。

最初は家畜で我慢してたけど……」

 

「最終的には人間を?」

 

 黙って頷くアリスを見て思う。確かに私たち妖魔にとって生き物の精気は必要。魔力が強い者ほど、その味は美味しくなってくる。

 知性ある生き物の中でも人間は最下層でしかない。我々妖魔を魅了する精気をあれだけ内包する主様は奇跡に等しい。

 同族を吸い尽くしても、アレだけの快感は得られないのだから……

 

「そう、そして人間達に追われて封印されたわ。80年も前の話よ」

 

 80年も前に封印されたレイス?

 

「アリス、貴女もしかして……」

 

「そう、私は封印されし妖魔アリス。たくさんの人間の精気を吸って殺した悪名高きレイスのアリスよ。

もし私の封印が解かれたことを人間たちが知れば、私たちは追われる身になる。だから私のことがバレたら……」

 

 古代都市一つを丸々封印した妖魔の話は有名だわ。人間以外の種族にまで、その噂話は広まっている。

 

「もしもバレたら?」

 

 真剣な表情を私を見るアリスを見つめ返す。

 

「私を置いて、お兄ちゃんと逃げてほしい。かつて私が負けた人間たちは、数の暴力で来るから。

お兄ちゃんは大丈夫だって、守ってくれるって言ったけど……もしもの時の心構えは必要だよね?」

 

「イヤよ、主様がアリスを守ると決めたなら私は従うわ。それに私たちは既に仲間でしょ?」

 

 見つめ合うこと数秒……でも私とアリスは分かり合えたと思うわ。

 それに私はラミア族だから、主様以外の人間なんて餌以下の存在でしかない。

 だから主様やアリスに危害を加えるなら、何人でも排除すれば良いわ。

 

 私には主様だけが居てくれれば良いのだから……

 

「でっ、デルフィナ!それ握っちゃ駄目、強く握っちゃ駄目な棒だよ。お兄ちゃん痙攣してるよ?」

 

 棒?握る?あら?つい主様の大切な棒をニギニギしてしまいましたわ。

 

「さぁアリス、主様の体の隅々まて綺麗にしますよ。先ずはいつも隠しているココからです」

 

「うん、デルフィナ!ありがとう、これからもよろしくね」

 


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