異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird
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第28話

 マウントコングの溜め込んだお宝は結構な量だった。

 

 宝石類は前回の盗賊を襲ったときより質も量も良さそうだ。特に銅鏡は女性陣が喜んで使っている。

 確かに木製の櫛は現代でも通用しそうな完成度の物をデルフィナさんが持っている。

 

 歯の揃った櫛自体は古い、元の世界でも縄文時代の佐賀市東名遺跡から出土している。

 材質は骨・竹・木製と豊富だが、実は櫛は衛生用具として頭皮や髪の手入れに用いた。

 この世界も入浴や洗顔が一般的なので櫛の普及は当たり前だろう。デルフィナさんは自慢の髪を梳いて手入れをしているが、それを見るのは楽しい。

 まるで絵画を見ているようなんだよね、手入れの際は上着を着ないから余計に……ロングソードの刃面も磨けば鏡に近いが、微妙な凹凸で映り込む顔が歪む。

 銅鏡は凹凸無く均一に磨くので大変手間が掛かるんだろうな。

 

 あんなに喜ぶならマウントコングを倒しに行って良かった。

 

 だけど銅鏡のデザインが手鏡タイプと違い円形で古墳から出土する物と似ているのが気になるんだ。

 特に裏面の模様とか国宝の海獣葡萄鏡に似ていて、この世界には似つかわしくない……しかも連弧文という文字で銘文が書かれている。

 

「久不相見、長毋相忘」

 

 これは、『ひさしくあいまみえず、ながくあいわするるなからんことを』って読めるんだ。

 吉野ケ里遺跡(弥生時代中期後半頃)の甕棺墓(かめかんぼ)から出土した銅鏡に書かれていたのと同じだ。

 ここには小学生のときの社会見学で行って体験工房でレプリカ銅鏡を作ったことがある。

 勿論、材質も本物の青銅ではなく低融点合金といってスズとビスマスの混ぜ物合金だ。

 この二つの金属は融点が138℃だから鍋で暖め、型に流し込みむだけ。大きさも直径7㎝くらいで後は水ヤスリで磨けば完成。

 全ての工程が一時間半で終わる小学生用のお遊び体験だが、鋳型は皆同じ物だし有名な出土品のレプリカだから裏面の模様と連弧文という文字の銘文は内容も細かく説明された。

 意味は『永く会えなくとも忘れないでほしい』だったと思う。

 

 過去に……

 

 この世界に飛ばされた人が、残した大切な人たちを思い作ったと考えるのは考え過ぎかな?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 一旦拠点の洞窟に戻り戦利品の手入れをする。僕たちはテーブルに腰掛けて各々がボロ布で戦利品を磨いていく。

 薄暗い蝋燭と焚き火の明かりが頼りの手作業だ。

 まだまだ夜は冷え込むので焚き火は暖を取るためにも必要、定期的に薪をくべる。

 

 パチパチと燃える音を聞いていると、不思議と心が落ち着くね。

 

 女性陣は宝石をテーブルの上に並べて楽しそうに話している。

 鑑定は昼間のうちに太陽の光に透かして傷などのチェックは済んでいるが、大きさとか形を比べては楽しそうに喋ってるね。

 ガールズトークは慣れないので僕は蚊帳の外だ……

 不思議と自分では身に付けず、売ることばかり話しているが、やはり彼女たちに何かアクセサリーを贈るべきだろう。

 一般的なら指輪かピアス、ネックレスも良いが、彼女たちには何が似合うかな?ぼんやりと考えながら手は動かす。

 売るにしても綺麗な方が高く買い取ってくれるからね。今回は防具は盾だけだが、これは売らずに自分で使おうと思う。

 

 所謂左手に固定するスモールシールド?ラウンドシールド?を綺麗に磨いて固定の金具を自分の腕に合わせて調整する。

 これはアイロン型と言われ固定することで盾を腕全体で支えられるので、より強い衝撃に耐えられる。

 全金属製と木材に金属で補強した二種類だが、重みはあまり変わらない。

 補強した方が軽いかと思ったが、下地の木材が強度を保つためか割と厚く重い。しかも内側にナイフを1本仕込める。

 金属補強を施した木製盾は厚み3㎝ぐらいあるのだが、全金属製は1㎝も無い。

 だが、全金属製よりも打撃の衝撃は緩和してくれそうだ、直接腕に衝撃が届くので緩和される方が使いやすいだろうか?

 

 スモールシールドの利点は何だろうか?

 

 相手の攻撃から身を守る、殴れば打撃攻撃ができる、構えることで相手の攻撃方向を制限できる。

 

 じゃ欠点は?

 

 足元の攻撃に弱い、重いから長期に行動すると疲労が溜まる、片腕が塞がれるので片手持ちの武器しか使えない。

 だが腕に固定すれば、防御を捨てれば両手武器は持てる。

 盾を使う場合は両手持ちの武器は使い辛いだろう……この世界には金属製の武具・防具はたくさんある。

 だが、鎧に関しては展示品を見たが、実際に全金属製の全身鎧(プレートアーマー)を着ている人には会ったことが無い。

 デルフィナさんのライトメイルも上半身タイプで金属全体の80%くらいで残りは補強の皮だが、それでも重さは20㎏近い。

 全金属製の兜を含んだ全身鎧だと40㎏以上になるだろう。

 それに武器を持ったら普通に動けないと思うのだが、他国との戦争時には騎士は全身鎧を纏い戦うそうだ。

 

 戦闘と戦争は違うことを思い知らされた。

 

 我々は移動を妨げない程度の防御力の鎧しか着れない。やはり防御力UPとリーチの長い攻撃方法を考えないと駄目だな。

 今は80cmだから、あと30㎝くらい長ければ随分と違うんだよな。

 だけど槍は直線的で点の攻撃しかできないから、突く切るを合わせた軽くて使いやすい武器が欲しい。

 日本の武器なら小薙刀か長巻、西洋ならグレイヴか両手剣辺りかな?やはり専門家の意見を聞いた方が良いかな。

 もしかしたら僕が知らないだけで良い武器があるかもしれない。

 僕たちのフォーメーションは前衛アタッカーのデルフィナさん、後衛魔法使いのアリス。

 僕は魔法剣士と微妙な立ち位置なんだよね……剣も魔法も決定的な攻撃力が無く中途半端な存在、器用貧乏だ。

 だが、魔法は選べるわけじゃなく突然頭の中に浮かび上がるから、狙って成長はできない。

 ならば剣技はと言っても修練度とか低いから、ただ闇雲に武器を振り回しても上達しない。

 どっちもどっちだが、少なくともレベルが上がればステータスは上がる。

 基本スペックが上がれば素早く力強くなれるから、他に何かを+αできれば強くなれるだろう。

 魔法を組み込んだ戦術を考えてみるか、不意討ち以外で……先ずはリーチを伸ばした武器を手に入れることから始めるか。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 二回目のベルレの街への訪問。

 

慣れた街道を三人でのんびりと歩く。今回は宝石と不要な金属類の買い取り、新しい武器の購入がメインだ。

 僕的には公衆浴場を楽しみたいと思う。アレ(個室家族風呂)は良い物だ!

 

 混浴バンザイ!大切だから繰り返しましたよ。

 

「主様、顔が綻んでますが?」

 

「お兄ちゃん、絶対エッチなこと考えてるよ!」

 

 すかさず女性陣から厳しい意見を頂くが、あの香油の塗りっこは止められない止まらない。

 

「違うよ、三人でのんびりできるのが嬉しいんだよね。あとフルーツをもっと食べたいんだ」

 

 甘味が圧倒的に少ない世界だから果糖が貴重なんです。前回は柑橘類だったから今回は他の物が食べたい。

 バナナとかメロンとかあれば良いな……この世界に来てから数少ない娯楽のあるベルレの街に行くのは楽しい。

 暫く歩くと前に盗賊を襲撃した場所に近い街道に差し掛かった。

 

 確かここから街道を外れて洞窟を探したはずだ……

 

「主様、あの盗賊たちの洞窟の近くですわね」

 

 何気ないように街道脇の森を見詰めるデルフィナさんの表情は真剣だ。自分を襲い逆に壊滅させた連中のことだから何か思う所があるんだろう。

 

「うん、デルフィナさんを襲った連中だ。同情の余地も無い。もう気にしないで……」

 

 そう言って横を這う彼女の手を握る。彼女の下半身は太いヘビだから歩くより這うで良いのだろうか?

 

「そうだよ、悪は滅びたんだから気にしないで」

 

 アリスも僕の手を握ってきたから三人で横並びで歩くことになったが、人通りはほとんど無いから平気かな?

 しばらくは彼女たちの手の柔らかさと温もりを堪能した。だが遠目で見れば、若夫婦と娘に見えるかも?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 そろそろベルレの街の城壁が見えてきた。あと1㎞くらいだろうか?

 

 前回同様に街の周りは広大な畑で青々とした作物が風に揺られている。

 作物はジャガイモみたいだが、中世ヨーロッパってどんな作物を育ててたかな?

 ジャガイモ・トマト・蕪・キャベツ・ニンニクくらいしか思い浮かばない。湿った土と青臭い植物の匂い……

 

「そろそろ売る荷物を出そうか?」

 

「そうですわね。収納系のマジックアイテムを知られるのは不味いですわね」

 

 街道を逸れて畦道を少し歩き枯草の山に身を隠すように座る。周りを確認したが人は居ないな。

 皮袋から品物を取り出していく。武器類は取るときに怪我をしないように慎重に皮袋に手を差し込む。

 今回の売り物はロングソード2本とスピア2本。これは質の悪い物を売ろうと思う。

 中距離武器としてスピアは有利なんだけど、少し練習してみたが自分には合わない気がした。

 長さも2m近くあり使うには場所を選び携帯も大変だ。なので全部売る。

 ダガーやナイフは日用品としても使うので全部残す。

 

 目玉の宝石は全部で28個、そのうちの5個は大玉だ。その他の屑鉄が麻布に一杯詰まっている。

 

「今回は前よりも多いから売値が楽しみだね、幾らになるかな?」

 

 宝石類と屑鉄の詰まった麻布はデルフィナさんが、武器類は僕が持つ。麻布は30㎏近くあるのに彼女は軽々と持つ。

 これがステータスの筋力の違いだな。僕の筋力は52だが彼女は120も有る、二倍以上の差は大きい。

 昔は振り回すのはショートソードが精一杯だったが、今はロングソードも扱える。

 レベルを上げて筋力が上がれば、いつかは重量級の武器も扱えるだろう。両手剣や長柄の武器を……

 

 だが現段階では力不足だから、やはり武器で対応するしかない。

 

「そうですわね……

10000G、いや15000G以上は固いと思いますわ。でもオーダーメイドの武器は高いです。

できるだけ高く引きとってもらえるように頑張りますわ!」

 

 ガッツポーズをするデルフィナさんが頼もしいです。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 二回目となるベルレの街の出入口に到着した。

 

 前回同様、数人の守衛が警備をしている。門に二人、矢倉の上に二人。中にも守衛の詰所があり有事の際には飛び出してくるのだろう。

 何故か僕らを見て一瞬考え込む仕草を見せた守衛に話し掛ける。

 

「武器と屑鉄の売買と日用品の買い出しで一泊します。三人ですが内二人は武器を預けます」

 

 そう言って守衛に2Gを渡す。確か武器の有り無しで割り符が木か金属かで違い、金属製は預り賃が1Gだ。

 

「ん、ああ……

預ける武器はこちらへ、売り買いはそっちのカウンターだが買った武器は帰りに受け取るんだぞ。ほら、割り符だ」

 

 口調は怖いが親切に指差して場所を教えてくれた。

 武器を守衛に預けてまずは不要な武器を売るために買取カウンターへ向かう。

 

「いらっしゃい、しばらくぶりですね。今日は武器ですか?」

 

 若い、ギリギリ10代か20代前半の男が馴れ馴れしく声を掛けてきたが……しばらくぶり?

 

「ええ、ロングソードとスピアを二本ずつ。あと、できれば屑鉄類を」

 

 カウンターの上に買取希望品を並べていく。

 

「よく磨かれてるけど質はあまり良くないね……」

 

 ロングソードを鞘から抜いて品定めをしている若い男に言われてしまった。

 

「マウントコングの集めていた品物の余剰品だからね。新しい武器も買うからオマケしてよ」

 

 一応交渉の真似事をしてみるが、効果はイマイチだ。

 

「へー、マウントコングを殲滅したの?見た目より腕が立つんだね。

じゃロングソードは二本で120G、スピアは同じく二本で80Gでどう?屑鉄はオマケして15Gかな」

 

 合計で215G、日本円に換算して約22万円か……チラリとデルフィナさんを見ると頷いたから適正値段なのかな?

 

「買取はこちらもオマケして、その値で良いですわ。その代わり新しく買う武器を値引きしてくださいね」

 

 うわ、笑顔で値切り交渉に入ったよ……さすがはデルフィナさんだな。店の兄ちゃんも顔が引きつってるし。

 

 この顔……ああ、前回と同じ店員か!

 

「何が欲しいんですか?希望があれば在庫を用意しますよ」

 

 気を取り直したのか笑顔で交渉を始めてきた。

 

「普通のロングソードよりもリーチが長くて重くない武器ないかな?突くだけじゃなく斬ることもできる奴が良いな」

 

 曖昧な言い方で相手からの情報を聞き出す。

 

「ふむ、リーチね……スピアは……売るくらいだから嫌なんだな?グレイヴなんてどうだ?」

 

 奥の棚からゴソゴソと武器を取り出してくれた。まだ日本刀は飾ってあるけど、脇差の情報は集まってるのかな?

 因みにグレイヴは木製の長柄にファルシォンを付けたような武器だ。手に取り構えて軽く振ってみる。

 

 意外に先端が重いが、悪くはない。

 

 だが200㎝以上ありほとんどスピアと長さが変わらない。携帯に不便だし取り扱いも難しそうなので、この武器は却下かな。

 だが思った以上に軽い、5kgくらいかな?

 

「少し長いな……もう少し携帯に便利な短いの無いかな?」

 

「短いのね?グレイヴは刃物部分が50㎝くらいが普通だから柄を短くするとバランスが悪いよ。コレなんか短い方かな」

 

 刃物部分は同じ40㎝くらいで柄が120㎝ほどかな?ソレでも160㎝はあるが……

 使ってみると確かにバランスが悪い、全体の中心あたりを持たないとブレるな。

 今使っているロングソードの倍のリーチだが、使いこなすには時間が掛かりそうだ。

 

「うーん、微妙だな。もっと短いのないかな?」

 

 そう言ってグレイヴを返す。注文が多く漠然としているためか店員も困惑気味だ。

 

「それなりの重量のあるグレイヴを普通に振り回せるんだから良いと思いますが……思い切って両手剣の長い奴を使ってみますか?」

 

「両手剣か……」

 

 店員がカウンターに置いたのはツーハンデッドソードだ。

 

 長さは柄も含めて150cmぐらい、刃の幅は意外と狭く根元の部分で5cmもない。先端に行くほど細く尖り、どちらかと言えばレイピアかスピアに近い使い方じゃないかな?

 振り回してみれば意外にシックリと来るし重さも3.5kgほどだ……

 

「それが振り回せるならコッチも大丈夫じゃないか?」

 

 もう一つのお勧めはツヴァイヘンダーだ。

 

 長さは柄も含めて180cmぐらい、刀身は140cmで更に重く5kgはあるかな?だがツーハンデッドソードは突くに重点を置くが、コッチはロングソードと同じ叩き切る戦法が使える。

 軽く振ってみるが、重さも然程気にならない。

 

「お客さん凄いな!なかなか様になってるし、ヒョロイのに力は強いんだな。で、ドッチが気に入ったんだい?」

 

 ステータス的には守衛よりも力が倍近く強いわけだし、筋力により使える武器が違うのかもしれないな。

 

「うーん、甲乙つけ難い感じかな?因みに幾らだい?」

 

「ツーハンデッドソードは1000G、ツヴァイヘンダーは1200Gで良いよ。持って振り回せる連中も少ないから中々売れないんだよね」

 

 うーん、流石に新品武器は高いなぁ……チラリとデルフィナさんを見ればニッコリと微笑んでくれたので、交渉担当変更かな?








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