異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird
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第34話

 コッヘル様との特訓で何となく漠然とだが、自分の戦闘スタイルが掴めてきた。
 同じ大剣使いのコッヘル様は回転を利用した薙ぎ払いを得意とするが、僕は寧ろ突きの方が馴染む。
 大剣の長さと腕の長さを足したリーチが得られるのが良いのと、筋力とスピードを生かした連続突きが出来る。
 今は三回で腕に疲労が溜まり動きが鈍くなるが、レベルを上げて筋力と速さが上がれば回数も増えて精度も上がるたろう。
 凄く有意義な訓練だ、やはり命懸けだと試したい事なんて出来ずに確実な攻撃ばかりしてしまうが、色々と試行錯誤出来たのが嬉しい。
 結局、コッヘル様からは一本も有効打を取れなかったが、それは当り前で仕方のない事。

 逆に三日程度の訓練で大隊長から一本取れたら、凄いチート野郎だ。

 それはそれで問題になり無用な注目を集めるだろう。三日目の訓練の後、最後の仕上げとして……何故かミーアちゃんと戦う事になった。



◇◇◇◇◇◇



「兄ちゃん、この三日間は驚きの連発だったぜ。
まさか俺の扱きに耐えれるとはな。しかも必殺技擬きまで身に付けただろ?
三段突き、俺でも避けに徹しないと駄目な攻撃だぜ。まぁ仕上げにミーアと戦ってみろ。
変わった獲物だが、自分よりリーチの有る相手と戦う経験も必要だぜ」

 そう言われてミーアちゃんと戦う事になったのだが、てっきり槍かと思えば……

「薙刀とは驚いた……最初に目を付けた武器だったからな。どう対処したら良いんだろう?」

 ポニーテールに鉢巻きをして袖を捲った彼女が構える武器は、棒の先端に幅広の片刃が付いていた酷く見慣れた武器だった……

「あら?薙刀を御存知だったのですか?我が家に伝わる秘技なのですが、博識ですわね。では、行きます!」

 槍の様に水平に構えず、切っ先を地面スレスレにしている。掛け声と共に切っ先を振り上げて切り掛かってくる。

「早い、だが見えない訳じゃない」

 切る突く払うと万能攻撃の出来る薙刀だが、コッヘル様の連続攻撃で鍛えた目と体捌きで何とか躱せる。
 薙刀だけじゃなく彼女の体の動きも確認しながら攻撃を予測する。
 木剣で払う様に捌けば、込めた力が流される、相手の体勢を崩す事が出来るのだ。

「やりますわね。ならば、これならどうですか?」

 ミーアちゃんは一旦後ろに下がり深呼吸をして息を整えている。力一杯薙刀を振り回しても空振りみたいに躱されたら体力も減るよね。

「行きます!」

 薙刀を頭上で回転させると、突きを連続で放って来た。肩、手首、脇腹、太股と的確に突いてくる。
 それらの攻撃を体捌きで避け、最後の太股を狙った突きを躱して前に踏み込みミーアちゃんの脇腹を軽く突く。
 本来なら手加減したと相手からしたら激怒モノだが、本気で睨むコッヘル様が怖かった……

 もし本気で突くか払ったら、僕の命は保証出来なかったかも知れない。それ位にコッヘル様の目力は凄かった、このロリコン愛妻家め!

「参りましたわ……」

 薙刀から手を離して両手を上げるミーアちゃんを見て、此方も漸く緊張を解く。

「いや、此方も危なかった。最初にコッヘル様と大剣の訓練をしてなければ確実に負けたと思います」

 今までのロングソードのリーチで拙い体捌きでは、近付く事も出来ずにジリ貧だっただろう。リーチの差とは、かくも大きな問題なのか……
 前の世界では武術に程遠い生活だったので新鮮だ。
 興奮すらしているが、命の価値が軽い世界なので浮かれない様にしなければ駄目だな。

「それでも凄いですわ。私だって中隊長クラスでも互角に戦えるのですよ。
貴方、本当に何者なんです?薙刀を知っているのはベルレの街でも極一部なんですよ。それを木製の模擬……」

「ミーア、余計な詮索はするな。兄ちゃんには兄ちゃんの事情が有るんだ。さぁ夕飯の前に風呂に入るか。兄ちゃん付き合えや」

 ミーアちゃんの追及をコッヘル様が止めてくれた。それでも納得してない様な不審な目を向けてくる。
 しかし、どうして僕はウッカリなんだろう?あれだけ気を付けると考えているのに、何時もポロリとヘマをする。
 これがリアルな運の低さなんだろうか?

 いや、単なる不用心なだけなんだろうな……



◇◇◇◇◇◇



 カポーン……

 ※むさい男二人の入浴シーンの詳細は割愛させて頂きます。

「ふぃー、生き返るな……風呂は命の洗濯だぜ」

 流石は大隊長の邸宅ともなれば、広い風呂が有る。流石に毎日は無理だが、二日おき位に入らせて貰っている、つまり二回目だ。
 男二人が並んで足を伸ばして、もぶつからない広さの有る浴槽。

 備え付けの石鹸に驚いたのは内緒だ、有る所には有るんだな……

「そうですね、確かに風呂は命の洗濯です。昔、無理矢理命の遣り取りをさせられた子が言ってました……」

 あの逃げちゃ駄目な子の気持ちが少し分かった気がする。
 いきなり一般人が生きるか死ぬかの世界に放り込まれたら、逃げ出したくなるのは当り前だ。
 僕は自分と二人の好きな娘の為だけど、あの子は見た事もない全人類の為だったからな、背負うプレッシャーは段違いだろう。

「ほぅ?兄ちゃんの知り合いは面白いな。まぁこんな世界じゃ何時誰が命を落とすかも分からないからな。しっかり生きろよ」

 豪快に笑い肩を叩かれる、結構痛い。

「ミーアの言った事は気にするな。
アレで負けず嫌いだから、結構悔しいんだろう。それにアイツは頭が良過ぎるから余計な詮索をするんだ。
俺が明日から遠征だから余計に寂しいんだろう。まぁ今夜も可愛がるから、明日には機嫌も回復するさ!」

 お前も気にせずにガンガンヤッちまえって言われたが、僕達は寸止めなんです。
 ガンガン行くと本当に逝っちゃうんです、僕が干からびて死にます、枯渇死?

「遠征って戦争ですか?」

 下ネタ会話を打ち切る為に話題を変える。軍の遠征って事は大事だろうか?

「ん?ああモンスター討伐だ。
アンデットモンスターが増殖してんだよ。三日前から報告が上がってきてる。
奴等は下級とは言え厄介な毒や麻痺を持ってる。纏まった兵士で当たらないと被害が多くなる。
街でも募集してるが、メインは兵士だからな……」

「アンデットですか。ゾンビでしたっけ?動きは鈍いが牙や爪に毒を持つ嫌なモンスターですよね」

 デルフィナ先生のモンスター講座で聞いた内容を思い出す。人型のゾンビは被害者が感染者なのか違うのか分からない。
 この世界のゾンビは噛まれても毒や麻痺状態になるが、ゾンビ化はしないんだ。
 なら何故、元人間っぽいゾンビが生まれるのかが分からない。因みに、この世界のゾンビは頭を切り離すか破壊しないと倒せない。

「それに発生場所が問題なんだ。
不死の王を封印した廃墟近くに目撃情報が多い。遠征はアンデットモンスターの討伐と廃墟の調査も含む。
兄ちゃんも参加するか?報酬は安いが実戦経験はつめるぜ」

 不死の王の廃墟と言えば前回マウントコングを倒した場所の近くか……不死の王の廃墟を調べる。
 未だ人型モンスターに躊躇いが有るから、人の死体たるゾンビと戦う事はプラスになるだろう。
 だけどデルフィナさん達を討伐隊に参加させるのはマズいよね、他の人と連携なんてしないだろうし、アリスが魔法を使えるのも秘密にしたい。
 三日間もお世話になって更に特訓までして貰ったのに、じゃサヨナラとか言えるのか?それは、しちゃいけない事だと思う。

「遠征期間は?
流石に月単位は無理ですよ。それにデルフィナさんとアリスは参加させられません。
アリスは論外、デルフィナさんは軍との連携は無理だと思います」

 魔法攻撃と言うウチの最大火力を持つアリスを人目に曝すのは危険だ。デルフィナさんは、僕以外との連携は無理っぽい。
 かと言って二人で討伐に参加すると、アリスが一人になってしまう、ジレンマだ!

「退屈かもしれんが家に居てくれると助かる。ミーアも気晴らしになるだろう。
兄ちゃんは募集に参加した連中と行動する事になるだろうな。
軍だと縛りがキツいが、募集した連中は割と自由だ。期間中に生き残れば良いからな。
兄ちゃん、神聖魔法が使えるだろ。ヒールとキュアポイズン以外に何か使える魔法が有るか?」

 そう言えば二種類の魔法は使ってみせたな。スリープは内緒にした方がよさそうだ。
 バシャバシャと湯で顔を洗う、少しだけタイミングをズラす為に……

「キュアパラライズ迄は使えますよ。今は魔法の精度が低いですがね」

「ほぅ、今回の討伐にはピッタリだな。ゾンビを一撃で粉砕する大剣を使い、解毒・体力回復・麻痺回復まで使えるなんてよ。
教会から派遣される下級神官より使えるかもな」

 教会の連中と、下級とは言え神官と接点が出来るのは厄介だな。アリスの秘密に繋がるかもしれないし。

「何人か神官の方々も来るんですか?」

 それとなく聞いてみる。

「ああ、二人な。
悪いが軍の方に同行させるぜ。募集連中には治療魔法は回せないかもしれん。
悪い言い方をすれば、募集で来る連中は何が有っても自己責任なんだ。
アンデット討伐って知ってるんだ、解毒の薬草も持ってくるさ。
討伐期間中に指示に従い生き残れば安くない報酬を貰えるから準備はしてくるだろう。
神官連中は軍が金を払って呼ぶからな。兵士を優先するのは仕方ない。
兄ちゃん、無闇に神聖魔法を安売りするなよ。教会が煩いからな。
まぁ俺が指揮をとるし大船に乗った気でいろ。ちゃんと配慮はしてやるぜ!」

 良くモンスターを討伐する際に証明部位を持って来いとか言われるけど、討伐遠征って関係無いの?その期間、指示に従い生き残れば良いの?
 コッヘル様に聞き返すのも変に思われるから、愛想笑いで誤魔化した。後でデルフィナ先生に教えて貰おう。
 無駄に会話が進み長湯し過ぎて、二人共に湯中りしそうになったのは内緒だ。



◇◇◇◇◇◇



 夕食は豪華だった。

 明日から遠征に行くコッヘル様の為にミーアちゃんが奮発した為だ。
 その席で僕も討伐に同行する事を話したら微妙な雰囲気になってしまった。
 でも訓練して貰った恩を返す為と説明し、何とかデルフィナさんとアリスからOKを貰えた。
 期間も一週間だし、アンデットモンスターとは言え比較的弱いのが決め手だったのかな?

 ミーアちゃんが今日の内に僕の分まで仕度をしてくれるそうだ。

 携帯食料・水・衣料品・着替え等々、言われて全く用意してないのに気付いて、顔から火が出る位に恥ずかしかった。
 しかも武器を未だ買ってないんだよね、ツーハンデッドソードとツヴァイへンダーを仮押さえしただけだ。
 朝一番に買いに行き参加するしかないな。
 切るより突く方に適正を感じたのだが、首を撥ねるか頭を潰すのが有効なゾンビには切る方が有利。

 得意な武器にするか有効な武器にするか悩む。だけど突きじゃ不利だな、叩き切る方にしよう。

 ツーハンデッドソードとツヴァイへンダー……今回はツヴァイへンダーにしよう。



◇◇◇◇◇◇



 コッヘル様がミーアちゃんの肩を抱きながら出て行った。後ろ姿の身長差が犯罪チックなのは気の所為だろうか?
 僕等も与えられた寝室へと向かう。

「ごめんなさい、勝手に遠征に参加するとか決めて。でも恩には報いたいんだ」

 部屋に入るなり先制で頭を下げる。どっちにしても彼女達を一週間も人間の街に放置するんだ。
 大人しくしてないと駄目だからストレスは溜まるだろう。

「ううん、お兄ちゃん……我慢する、アリス我慢するよ」

「そうですわ、主様。人の上に立つならば不義理は駄目です。頑張って下さい、大人しく待ってますわ」

 嗚呼、言葉だけなら感動的だ……だけど二人共、目を爛々と輝かせて僕に迫ってくるのは何故?

「「心は一生待てますが身体は一週間も我慢出来ません、頂きます!」」

 僕は彼女達に布団に押し倒された。