異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird
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第48話

 ドラゴンゾンビ撃退の翌朝、少しだけ仮眠を取らせてもらい起きたら……

 

 砦の小部屋が修学旅行の女子部屋みたいになっていた。

 ロッテさんとムールさんは当然のように僕の両脇に寝ているし向かい側には妹ちゃんたち三人が寝ている。

 生き残りの男二人はどこにも居ないね……

 

 狭い小部屋に女の子が五人も居れば、幾ら開口が多いとはいえ匂いが籠もる。

 男は臭いのに彼女たちは全員良い匂いだ……畜生、男女で何がこんなにも違うんだ?僕だけ汗臭いって何なんだ?

 

 顔を洗うために外へ出ると、夜通しドラゴンゾンビの素材を剥ぎ取っていた兵士たちが変なテンションで挨拶してきた。

 止めを刺した彼らこそが「ドラゴン(ゾンビ)スレイヤー」を名乗れるのだから嬉しいんだろう。

 ロック鳥ゾンビと同じように肉は腐っているが鱗と骨、牙と爪は使えるはずだ。

 特に一枚が広げた掌ほどの大きさのある鱗は加工して使えば、金属製より軽くて丈夫な防具ができる。

 しばらく彼らを観察していたがコッヘル様を見付けたのでコレからの予定を聞きに行く……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「おはようございます。すみません無理言って休ませてもらいまして……お陰で体力は回復しました」

 

 腕を組んで仁王立ちで作業を見つめるコッヘル様も大分お疲れなのだろう。目の下に隈ができているし少し血走っている。

 

 それも当然か……

 

 コッヘル様に止めを刺すのを任せたうえに、その後の素材剥ぎ取りも手伝わなかったので頭を下げてお礼を言う。

 

「おう、早いな……兄ちゃんと姉ちゃんはドラゴンゾンビを倒すのに一番貢献したんだ。全然構わねぇぜ」

 

 ダンディーさもお疲れ具合が見て取れる……

 

「いえ、ドラゴンゾンビを倒したのはコッヘル様と領主軍です。僕らは露払いですよ、ドラゴンスレイヤーはコッヘル様です」

 

 アレの止めを刺したのはコッヘル様の必殺技で有る「回転剣舞三連」だった。

 素早くドラゴンゾンビの懐に飛び込み鋭い回転を伴う斬撃の三連続で奴の首を切り飛ばしたんだ。

 だからドラゴンスレイヤーを名乗れるのはコッヘル様だ!

 

「兄ちゃんよ……気の遣い過ぎは禿げるぜ?だが確かに助かるのが本音だ。

ロック鳥にドラゴン、倒したことは山盛りの素材が証拠だからな。骨格はほとんど全て揃ってるから、どれだけのサイズの奴かも分かる。

二匹共標準以上だ……王家や周辺諸国からも注目を浴びるだろう。

素材の半分以上は王家に献上しなきゃ駄目かもしれん。勿論、相応の見返りはあるだろうがな。

静かに生活を送りたい兄ちゃんには有り難迷惑でしかないからだろ、手柄を譲ったのは?」

 

 その通りだったが王家とかまで話が広がるとは思ってなかったぞ。

 精々がベルレの街の領主、フェルデン様から不審に思われないための措置だったんだ。

 

 悪目立ちはアリス達に危険が及ぶと思って……しかも新しい妖魔娘、グーラーのロッテさんとも知り合ってしまったから。

 

「すみません、ご迷惑ばかり押し付けるみたいで……僕もロッテさんもあまり目立つことはしたくないんです。

コッヘル様、その辺のことをよろしくお願いします」

 

 ガリガリと頭を掻いて悩んでいる、確かに仕えるフェルデン様やその上の王家に黙ってるのは厳しいのか……

 

「全てを秘密にするのは無理だ。今回は80人以上居るんだぜ、必ず兄ちゃんたちのことは広まる。

だが人間って奴は自分が不利益になることは良い辛い。今回は二匹共領主軍が止めを刺したのが良かったな。

奴らもわざわざ兄ちゃんが瀕死の状態までお膳立てしてくれたなんて言わないぜ。

勿論今回の討伐遠征の報酬以外に二匹を倒した報酬も払うから余計にだ。

傭兵連中は無理だな、兵士たちは俺からも念を押せるが彼らは基本的に今回のみの付き合いだから諦めろ。

確証の無い噂程度で収まるだろ?」

 

 まぁ兄ちゃんが脅せばアイツらだって口をつぐむさ!

 

 農民の女連中を部屋に引っ張り込んだらしいじゃねぇか!お盛んなのは良いが刺されるぜ?とか冗談とも取れないことを言われたぞ。

 

 てか、いつの間に知ったんですか?妹ちゃんたちが僕らの小部屋に来たことを……

 

「兄ちゃん、しばらく穴の見張り番を頼むぜ。

夜通し働かせたからな、アイツらにも飯を食わせて二時間くらいは休みを取らせたい。回復したら……あの穴は埋めるぜ」

 

「中を確認しないんですか?」

 

 あの洞窟の奥にアンデッドモンスターが湧き出した秘密があるのは確実だと思うんだけど……

 腕を組んで仁王立ちのまま僕を見ずにコッヘル様は説明してくれた。

 確かに洞窟は怪しい、だがアンデッドモンスターがもう居ないとは限らない。

 ロック鳥ゾンビもドラゴンゾンビも広い場所で総力で当たれたから勝てた。

 

 だが狭い洞窟内で少人数で戦ったら?

 

 多分だが負けるだろう、だから問題と思われる穴を塞ぐ。

 幸い穴の周りには何とか動かせる岩も多いので穴に落として隙間に土を入れれば完全に塞がる。

 更にその上に岩を並べれば土が崩れたら岩も下に下がるから余計に退かし難くなる。

 幾ら強力なモンスターでも山と積まれた岩を下から退かすのは難しい。

 雨が降れば詰めた土は流れてしまうから隙間無く岩を並べるのが重要だ。

 

 幸い兵士たちは復旧工事で土木作業には慣れている。

 5m×5m程度の陥没開口なら洞窟内に岩を落として並べるのは二日くらいでできるだろう。

 僕はロッテさんと少数の兵士たちと洞窟内を調べさせられると思っていたので拍子抜けした……

 だけど、それは確かに無茶なことだと分かった。もし狭い洞窟内でドラゴンゾンビと戦うことになったら?

 

 奴も尻尾攻撃はできないけど常に正面から戦わなければならないので、強力な遠距離攻撃方法を持たない僕らでは勝てないだろう。

 僕とロッテさんとムールさん、それと何故か妹ちゃん達が穴の近くで見張ることになったが、幸いアンデッドモンスターは湧いてこなかった……

 しかし妹ちゃんたちも何故、危険な見張り番を一緒にしたがるのだろうか?

 

 ムールさんが妹ちゃんを警戒して僕にピッタリ付き纏うのに困ったのは秘密だ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 不死の王が眠ると噂された廃墟に滞在すること丸二日、ようやく陥没した穴が塞がった。

 結局ドラゴンゾンビ以降は穴からアンデッドモンスターが出現することも無く安全に穴を塞ぐことができた。

 人間同じ場所に滞在すると色々と不便を感じて何とかしようと思うものだ。

 何も無かった砦の小部屋はテーブルや椅子、ベッドなどが完備されて過ごしやすくなっている。

 勿論コッヘル様や小隊長クラスの連中だけだが、一般の兵士達も床に座って飯を食べずに済む程度の設備は整っている。

 

 本当に人間の適応力って凄いや……

 

「ようやくベルレの街に帰れますね。予定よりも掛かってしまいましたが、収穫はありましたから良いですね」

 

 二台の馬車にはロック鳥ゾンビとドラゴンゾンビから剥ぎ取った素材が山積みだ。これを全て売却すれば一財産だろう。

 

「簡単に言うなよ、兄ちゃん。

問題を先送りしただけだからコレからが大変なんだぜ。特に主力だった二人が抜けるんだからな、難易度は高くなるんだ」

 

 椅子に座り組んだ両手をテーブルに乗せているコッヘル様。大分疲労は取れたみたいだ……

 

「ベルレの街には他にも使い手が居ると聞いていますよ。しがない傭兵は礼金を貰ったら少しだけ豪遊して帰ります」

 

 公衆浴場の魅力にハマってますから、ベルレの街に帰ったら先ずはお風呂ですから!

 

「兄ちゃん、悪いことは言わない。

領主軍に入るつもりが無いなら直ぐに街を出るべきだ。兄ちゃんは良い意味でも悪い意味でも目立ち過ぎた。

フェルデン様は豪快なお方だから問題は少ないが王家が出てくると……

なんたってドラゴンゾンビとタメ張る奴を野放しにゃできねぇな、必ず勧誘されるだろう。王家の勧誘は強制と同じだ」

 

 真面目なコッヘル様もダンディーな魅力に溢れてるな。

 だが言われてみれば当然か、大隊長クラスの活躍をする連中を野放しにはしないな。

 現代社会と違い封建的なこの世界に人権なんて言葉すら無い、この提案はコッヘル様個人の僕に対する純粋な善意だ。

 

「ありがとうございます。確かに言われる通りですね、でも僕が逃げ出してコッヘル様は大丈夫ですか?」

 

 お世話になりっぱなしで迷惑まで掛けるわけには……

 

「構わんよ。

兄ちゃんは遠征軍の恩人だ、恩には報いるのが当たり前だろ?何より俺の唯一の愛弟子だ。

報酬は俺のポケットマネーから直ぐに出すしドラゴンゾンビの尻尾分の鱗は兄ちゃんの物だ。やるから持っていきな」

 

 ドラゴンの鱗か……防具には最適だよな。でも貰い過ぎじゃないかな?

 

「あの……」

 

「無表情な姉ちゃんも訳有りなんだろ?ベルレの街に着いたら直ぐにラミアの姉ちゃん達と合流して出発しろ。

なに、半年もすりゃほとぼりも冷めるだろう。そうしたら遊びに来い。分かったな?」

 

 コッヘル様は優しい目をして僕の肩を軽く叩いて部屋を出ていった。

 流石は大隊長まで駆け上がった猛者だけあり男気も溢れまくってるな。

 カリスマってコッヘル様みたいな漢のことなんだろう、お言葉に甘えて直ぐにベルレの街を出るか……

 公衆浴場は魅力的だが、風呂のためにアリスやロッテさんを危険な目に遭わせるわけにはいかない。

 僕は部屋から出ていったコッヘル様の方に深々と頭を下げる。

 

 師匠との出会いは僕にとって凄く有意義だ!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 帰りは比較的順調だ。

 

 途中でモンスターに遭遇することも無く、兵士がたくさん居るから盗賊も警戒して襲ってこない。

 積み荷はトンでもないお宝だが情報は流れてないだろう。

 三日目には遠くにベルレの街の城壁が見えた……あと半日も歩けば到着だ、長かった討伐遠征も終わる。

 前日の夜営場所の近くに小川があったので冷たいのを我慢して水浴びして体を清めた。

 デルフィナさんやアリスに汚い身体で会いたくないためにだ。

 小川の中で座り込みボロ布でゴシゴシと体を擦ると、垢がポロポロと剥がれて驚いた!

 

 どれだけ汚なかったんだ僕は?

 

 冷たい水の中だったが一心不乱にボロ布で身体中を擦ってたら寒さを感じなかった。

 でも同じことを考えていたのだろう、入れ違いでコッヘル様も布を片手に小川に来たんだ。ミーアちゃんのために身体を清めに来たんだな。

 因みに僕の水浴び姿をロッテさんがガン見していたのに驚いた!

 

 無防備な僕の安全のために自主的に見張り番をしたって建前と、綺麗になったらより美味しそうだとか何とか本音を言われた。

 砦の屋上でのキス以来、彼女は僕の精気を吸ってないから我慢の限界が近いのかもしれない。

 ムールさんには僕らが悪目立ち過ぎたために直ぐにベルレの街を去ることを教えた。

 凄く残念がってくれたが、王家からの仕官を断った場合は良くて拘束、悪くて処刑だから仕方ないと納得してくれた。

 

 やはり権力者の意に添わないと処刑なのか……

 

 それとムールさんの名前を教えてくれた。

 本来は貴族の娘は妄(みだ)りに本名を教えないそうだが、僕は特別だそうだ。

 ほとぼりが冷めてベルレの街に来たら必ず訪ねてきなさいと約束させられた。

 

 顔を近付けて囁くように教えてくれた彼女の名前は……

 

「私の名前はエレーナよ、忘れずに必ず会いに来てよね!」

 

 因みに妹ちゃんたちとは普通にサヨナラをした。彼女も僕の両脇にロッテさんとエレーナさんが居ては何も言えなかったみたいだ。

 僕としても何もできないので良かったのだが、彼女の目が一瞬光ったのが凄く気掛かりだ。

 

 僕は病んでる彼女の支えにはなれないのだから……

 








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