異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird

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第8話

 あれからアリスの献身的なバックアップもあり、順調にレベルを6にした。

 あのカエルも落ち着いて対処すればダメージを与えることができた。見た目の気持ち悪さに騙された、反省。

 だけど、慎重に行動することは大切だよね。勇気と蛮勇は違うし無警戒で行動するのは良くない。

 

 この世界は直ぐに死ねるのだから。

 

 例えばアリスの不注意で精気を吸われ過ぎとか……ヤバい、昇天しそうです。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 モンスター退治の初日。

 

 レベルは順調に上がり6になった。頭の中でステータスと思い浮かべれば

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

職業 : 見習い魔法剣士

称号 : 美幼女のヒモ

 

レベル : 6

 

経験値 155 必要経験値 160

 

HP : 35/42

MP : 2/10

 

筋力 : 24

体力 : 17

知力 : 14

素早さ : 18

運 : 6

 

魔法 : ヒール

 

装備 : ショートソード 布の服

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 うん、運が無い。

 

 他が2から3は上がるのに、運だけは毎回必ず1しか上がらない。絶賛不幸進行中だから、上がるだけましなのか?

 アリスのステータスと比べると分かる。だがアリスはレイスだから比べるのも違う気もするんだよな……

 やはり普通の人間と比べたいのだが、見渡す限り周りにホモサピエンスは居ない。

 夜は廃墟に戻りアリスを封印していた教会で寝泊まりをする。

 

 今夜の夕食のメニュー……

 

 それは犬擬きの焼き肉、以上!焚き火に炙られた肉は脂を落としながら良い匂いを撒き散らしている。

 臭みがあるが肉は肉。腹持ちも良いので継続的に狩っては捌いている。

 動物を捌くことには抵抗が無くなってきた。剥いだ皮も水洗いをして干している。

 ゴワゴワだが何かに使えるだろう。今は換金や物々交換もままならない。

 

 ああ、でもこれって冒険じゃなくてサバイバルだよね?

 

 無人島0円生活を思いだしたが、使える知恵が何もない。

 よゐこ……あの番組は「穫ったどー!」「浜口くーん、たーすけてー!」くらいしか記憶に無いぞ。

 

 石畳のメイン通路の真ん中で焚き火をしている。

 室内でもスカスカな建物だから一酸化炭素中毒とか平気だけど、煙くって大変だから外で焚き火だ。

 この世界でも動物も知性の低いモンスターも火を恐れるから防犯・防衛上でも丁度良いのかな?

 流石に寝る時は室内に入り戸締まりをするが、現代感覚の施錠でなくて突っかえ棒だから……心配です。

 相変わらずアリスはパンツを見せる座り方をする。

 幼女のパンツなんて見ても楽しくはないのだが、不思議と目がいくのはレイスの魅了の魔法だろうか?

 害は無いので注意はしないが、他人と一緒のときは注意しよう。

 因みにパンツは野暮ったいが現代風の生地で、木綿っぽいが薄く柔らかそうなんだよね。

 

 この世界の文化レベルってどうなんだろ?ビキニアーマーとか実在するかもしれない。

 

「なぁアリス。明日もレベルを上げたいんだが、スライムや犬擬きじゃ効率が悪いんだ。他に僕が倒せそうな奴が居ないかな?」

 

 レベル6までで必要な経験値は合計で155、レベル7になるには経験値が160必要だ。

 このまま倍々ゲームみたいに必要経験値が増えれば、スライム狩りじゃ行き詰まる。

 レベル7の必要経験値160なら1日頑張れば何とかなる。レベル8でも320だから2日で何とかなる。

 だが仮に640・1280・2560と増えていけば、必要日数も4・8・16日と増えていくからな。

 レベル15だと256日必要だしレベル16に上げるには一年以上必要だ。

 

 アリスのレベル35が、如何に凄いかが分かる。

 

「うーん、山岳地帯や森林まで行けば強い連中は居るけど、片道に数日は掛かるよ」

 

「山岳地帯や森林って、平原の果てに見える奴だろ?確かに遠いし効率を考えるなら拠点ごと移さないと無理か……」

 

 最初に見た遥か遠くに見える美しい山々や森か。行くなら拠点を引っ越すぐらいの準備をしないと無理だし、ここに居座る意味も無い。

 

「うーん、拠点を移すっていっても近くに街は無いし……それに街の周りは比較的安全だよ。だから強いモンスターはいないんだよ。

そうだ!

私が飛んで周辺を探してみるよ。もしかしたら私が封印されてる間に生態系が変わってるかもしれないし……」

 

 アリスの提案を考えてみる。彼女はレイスであり霊体だから、飛行が可能だ。

 元々の土地鑑もあるアリスなら昔の知識と摺り合わせで調べれは……効率の良い狩場や、もしかしたら野菜とか果物を見付けてくれるかも!

 

「うん、お願いするよ。できればモンスターだけじゃなくて食べられそうな野菜や果物も探してほしいな」

 

 勿論だよ、お兄ちゃんの健康状態は精気の味に関わるからね。アリスが養ってあげるから安心してね!

 輝く笑顔でそう言うと、そのまま呼び止める間もなく飛んでいってしまった。

 

「アリス、もう夕方だから危ないって!もう聞こえないか……」

 

 だが、養ってあげるって……だから称号が美幼女のヒモなのね。もう握り拳くらいの大きさになった彼女に手を振って見送る。

 

 暗くなれば帰ってくるだろうし……

 

「さて、独りで留守番か……もう夜だしアリスが居ないと緊急時に対処できず死んじゃうから、大人しく待ってよう」

 

 焼けた肉の串を掴んで、一人寂しい食事をする。少し焼き過ぎてしまい固くなった肉をモグモグと咀嚼する。

 

「侘びしいな……」

 

 人工の光が何もない半壊した廃墟。

 

 焚き火の灯りが自分の影を崩れた建物の壁に移し、ユラユラと蠢いている。レイス(幽霊)が実在する世界だからな。

 アリスみたいな可愛い娘ばかりじゃないだろうから、リアル怨霊とか出たら怖いな。

 

「怖いな……」

 

 空を見上げれば月も星も輝いているが、現代感覚の夜とは全く違う本物の闇がここにはある。

 

「寂しいな……」

 

 僅か数日しか一緒に居なかったのに、彼女が居なくなると急に心細くなった。

 駄目だ、アリスに依存し始めているからヒモなんだ。独り切りの夕食を終えてトイレを済ませた頃、アリスは戻ってきた。

 

 照れながら「暗くて全く周りが見えなかったよ、お兄ちゃん」と言う彼女を無言で抱き締める。

 

 慌てる彼女の背中をポンポンと叩いてから抱き締めていた腕を緩める。

 照れ臭くなり、そのまま寝床へ向かってしまった……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 パンツを見せたりしたので、お兄ちゃんが欲情して襲ってきたのかと思えば違った。確かにいきなり抱き付いたのは驚いたが……お兄ちゃん、泣いていた。

 

 何故だろう?

 

 私が居なくなって寂しかった?それとも夜の闇が怖かった?

 

 生前、年の離れた男の人と接する機会はそれなりにあった。

 見習い神官だった私は、他の見習いや下級神官達と一緒に修行したし統括指導する上級神官だったアイツとも話す機会は多かった。

 下級神官だってほとんど男性で大体二十歳前後だった。お兄ちゃんって何歳なんだろう?

 精々25歳だと思うから彼らと大して変わらないと思うんだ。魔力を持つ者は使いこなせれば将来を約束されている。

 逆に将来が確定してしまっているのだが、安定した生活に数々の優遇措置は魅力的だろう。

 

 元々、血筋の良い連中だから選民意識があり傲慢だ。

 

 少しでも他者の弱い所を責めたりして、自分の優位性を優先する。そんな連中が民を導くんだからお笑いだ。

 だが下級神官まではなれても、上級神官やその先の司祭や副司祭にはなれない。

 そこが昇格試験の凄い所で、人格が不適格な者には責任ある役職につけない。

 

 実技試験の他に交代で複数の司祭が面接を行う。

 

 当日にならなければ面接官が誰だか分からないから買収も無理だし、複数いるから全員を買収できないだろう。

 そもそも司祭の権力は絶大だから、圧力も掛けられない。だから無能は下級神官止まり……

 しかも事前に身辺調査をされるから、上級職を狙う者は普段から品行方正でなければならない。

 

 水面下で激しくライバルを蹴落とすために蠢くなんてザラだった。

 

 だからレイス化した私の正体がバレたときは、奴らは敵意剥き出しだった。

 アイツが私を封印したのは不思議だが、司祭を狙っていたし慈悲深さをアピールでもしたのだろう。

 アイツの外面の良さには周りは騙されていた。

 お父様はアイツの本性に気付いていたけど、私を庇ったために……もし会うことがあれば、その聖人君子した面を思いっ切り殴ってやるわ!

 こんな人外の化け物となってしまった私に普通に接してくれたお兄ちゃん。

 

 泣いていた……

 

 寂しいのかな?悲しいのかな?それとも辛いのかな?

 

 私だってコレからの長い人生を独りで生きていくのは嫌だ!

 お兄ちゃんは放っておくと直ぐに死にそうだし、常識を知らないし……

 私が居なくちゃ直ぐに野垂れ死に確定だから、一緒に居てあげないと駄目。

 それに精気はとっても美味しいし、私だってもう離れる気持ちは……

 

「ちっ違うわ!私は精気を吸うために、お兄ちゃんと一緒に居るの!寂しくなんてないもん」

 

 私はちっとも寂しくないけど、お兄ちゃんのために一緒に寝てあげよう。

 まだ封印を解いてくれた御礼をしてないから……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 アルプスの少女ハ○ジのベッドと言えば聞こえは良いが、様は藁の山が寝床だ。

 シーツ代わりに見付けた大きめの布を藁山の上に被せた。

 大きめの布は一枚しか無いから布団は無い。だけど30年の月日に耐える服や布って凄い丈夫だよね。

 

 肌触りは悪いが、藁山に潜るよりはマシだ。

 

 さっきは寂しさからアリスに抱き付いたが、それって凄い恥ずかしいよな。

 大の大人が幼女に抱き付くなんて変態だ、反省……即席藁ベッドにダイブする。

 富士山形に藁山を作り布をかけたからバランスが悪いが、真ん中にダイブすれば沈み込んで丁度良い形になる。

 

 チクチク感が全然違うな……

 

「ふぅ、アリスには悪いことをしたな。男性恐怖症にならなければ良いけど……ああ、眠いや」

 

「誰が男性恐怖症なの?」

 

 突然空中に現れたアリスは、霊体化してプカプカと浮いている。

 丁度、腹の上の辺りに50㎝くらいの高さで……霊体時は体が僅かに発光してるので、暗闇でもよく見える。

 

「いや、突然抱き付かれれば男に苦手意識が生まれるかなって?ごめんな、アリス」

 

 彼女の頭を撫でるが、霊体だからスカスカだ。本当に物理法則を無視してるんだな……

 

「大丈夫だよ、ほら!」

 

 急に実体化して、そのまま落下した。

 

「グフッ、腹が痛い……」

 

 当然だが幼女一人分の体重を腹で受ければダメージはある。

 無邪気に抱き付かれたのでダメージに耐えて彼女を見ると、胸の上辺りに顔があり目が合った。

 

「話そうよ、お兄ちゃん!お兄ちゃんのことを教えてよ」

 

 実体化しているが彼女の体重は40kgも無いので、何とか耐えられる。

 

「うーん、僕のことって言われても何が聞きたいんだい?アリスが喜びそうな話は……」

 

 正直、アリスの喜びそうな話題が無い。僕に子供や妹が居れば、或いは気の利いた話題も振れるんだろうが……

 下ネタやパチンコ、ゲームやアニメのネタじゃ駄目だろ?そんな話をしたら無邪気な笑顔が冷笑に変わってしまうよ。

 

「うーん、じゃ何故アリスのパンツをチラチラ見るの?結構バレバレだよ」

 

「グハッ……死ぬる……幼女にそんなことを言わせるなんて、社会的に不適格人物じゃん」

 

「アハハハハ、だからアリスが養ってあげるから平気だよ。ヒモって男の憧れの職業らしいよ?」

 

 何を話してもクスクス笑うアリスと夜遅くまで話し込み、知らないうちに寝てしまった。

 あれだけ寂しい悲しいと思ってたのに、幸せな気持ちで寝ることができたんだ……


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