異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird
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第9話

「お兄ちゃん、ちゃんと留守番してるんだよ。変な物を見付けて食べちゃ駄目だからね?拾い食いすると、お腹壊すんだよ」

 

 両手を腰に当てて、お姉ちゃんみたいに小言を言うアリス。だが、背が低いので見上げているからイマイチだ。

 

「分かったから、大丈夫だよ。アリスも気を付けるんだぞ」

 

 レベル35の彼女に気を付けろも何だと思うが……じゃ行ってくるねー!って元気良く飛び出す幼女レイスを送り出す。

 こちらを振り返り振り返り飛んでいく彼女に、大きく手を振って応える。

 

「さて、では日用品の確保のために探索するかな……」

 

 彼女が見えなくなるまで手を振り、見送りを終えてから自分の仕事を始める。

 今日は廃墟を細かく調査して、必要な物が残ってないか探し出すことだ。

 教会だけでも、かなりの物資が残ってたから期待が持てると思う。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 昨夜はアリスの質問攻めで、気が付いたら眠っていた。

 彼女をお腹の上に乗せて抱き締めながら……幼女特有のプニプニ感と高い体温にドキドキしたのは僕だけの秘密だ。

 

「僕はロリコンじゃない!僕はロリコンじゃない!僕はロリコンじゃない!」

 

 某守銭奴な美人霊能者の高校生助手みたいな葛藤をしばらくしてしまったのは、僕だけの秘密だ。

 だが、見た目は幼女でも僕より年上だから合法だ。でも世間的・倫理的に犯罪臭さが満載なんだ……よな?

 

 アレ?

 

 世間的って、周りにホモサピエンスは居ないぞ。倫理的って、そもそも人間じゃないんだよな。

 犯罪臭さって、誰が取り締まるんだ?青少年育成条例なんて無い世界だし、中世くらいの文化レベルだと早婚じゃないのかな?

 

 日本だって昔は12歳ぐらいで嫁ぐなんてザラだった……ほんの15年くらい前でも女性はクリスマスを過ぎたら、いき遅れと言われた。

 25歳と25日を掛けたブラックジョークだが……文明が未成熟なほど、結婚適齢期は下がるよね。

 

 駄目だ、理論武装したり脱線したりして我慢しようと思ったけど、端から崩壊してしまう。

 小一時間ほど葛藤していたが、アリスが身じろぎをした時点で現実に戻れた。

 ムニャムニャと目を擦る彼女を見て、急速にエロい気持ちが引いていった。

 

「おはよう、アリス」

 

「うにゅ……おはよう、お兄ちゃん」

 

 無警戒の笑顔を見せられたら、下世話な気持ちなど吹き飛んでしまう。彼女の両脇に手を入れて持ち上げる。

 所謂高い高いだが、レベル1ではかなり無理をしたが今では軽々だ。

 流石は筋力がレベル1の8からレベル6の24まで上がった甲斐がある。

 数値が三倍に増えたが、持てる総重量も三倍ってわけじゃない。大体60kgくらいが今の持てる限界だと思う。

 

「さて、朝食の支度をしようか」

 

 今日も犬擬きの串焼きか、手間だが魚を採るか……

 

「今日はお魚にしよう。同じメニューだと飽きるでしょ?川で魚を採ってくるから焚き火の準備しててね」

 

 そう言って霊体になると、壁抜けして外に行ってしまった。便利だな、霊体って……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 僕は壁抜けはできないから、ちゃんと扉から外へ出る。コッチに来てから早起きだし、早寝になった。

 人工の灯りが無いし焚き火だって薪に限りがある。だから必要以上は燃せないんだ。

 火種はアリスの魔法頼りだから、石を並べた即席竈(かまど)に枯れ木を並べ枯れ草を盛る。

 これで魔法で火を点けてもらえれば完成だ。

 

 絞り出した現代知識を総動員しているが、サバイバル知識は皆無に近い。

 焚き火で残った木炭を集めておいたり、石を並べた竈擬きくらいしか活用できないんだよね。

 これから寒くなるし、鍋を手に入れたい。

 温かい汁物が食べたいし、焼くだけの料理じゃ寒さは凌げないはずだ。冬支度を済ませないと、多分だが死ぬ。

 

 アリスに聞けば、この辺も雪が降るらしいし寒さは厳しかったそうだ。

 今寝泊まりしている隙間だらけの建物の補強もしなきゃ駄目だし……

 

「アレ?レベルアップのために拠点を移すなんて無理じゃん。先ずは生きるためにしなきゃならないことばかりだ……

普通、異世界に飛ばされた連中って日常生活に困ってる描写なんてあった?」

 

 ラノベや漫画じゃなく、十五少年漂流記とか読んでおけば良かったと後悔する。しばらくするとアリスが川魚を五匹ほど採ってきてくれた。

 魚を受け取り下拵えする間に火を点けてもらう。川魚は鱗がないので内臓を取り出して洗い、串に刺して塩をかければ完成だ。

 今日の獲物は金魚にそっくりだが、色が黒い。大きさは30㎝程度で肉厚だ。焚き火の周りに魚を並べていく。

 

「アリス、おいで」

 

「うん!」

 

 アリスの食事は僕の精気だから(後に物を食べても栄養を摂取できると聞いてショックだった)飛び込んでくる彼女を抱き締める。

 座っている僕に抱き付くので、腰に手を回してお腹に顔を擦り付ける感じだ。

 

「いただきます、お兄ちゃん!」

 

 胸に抱き付いた後に立ち上がり僕の頭を彼女の薄い胸板に押し付けるように抱き締める。

 薄いがちゃんとある女性特有の柔らかさと良い匂いに頭がクラクラする。

 このクラクラが曲者で、精気を吸い取られ過ぎた目眩と区別がつかないんだ。

 

「吸い過ぎに注意してくれよ……」

 

「大丈夫、気を付けてるから……うん、御馳走様」

 

 軽い目眩に襲われるが、腹一杯食べて少し休めば大丈夫。

 ツヤツヤのアリスを前にして、初めて捕まえた金魚擬きを背中からガブリと食い付く。

 

 うん、川魚特有の泥臭さの他に脂が多いな。

 

「アリス、この魚はあまり美味しくないな。名前を知ってるかい?臭みと脂が強過ぎるよ。でも肉厚だし栄養価は高いのかな?」

 

 ニコニコと頬杖をつきながらこちらを見るアリスに聞いてみる。

 

「うん、本来は香草にくるんで蒸し焼きにする魚なんだ。ごめんね、私レイス化してから食べ物に関しての記憶が緩くなってるみたい」

 

 うーん、食物に関して疎くなるのは仕方無いか……食べられないなら興味は薄くなるわな。

 

「美味しい物を食べれば僕も元気になるから頑張って探してね。動物や魚ばかりだと栄養バランスが悪いから、野菜とか果物もよろしく」

 

 食生活の改善は急務だ。お腹一杯食べていても栄養面で偏りがあれば成分不足の栄養失調もあるんだ。

 医者の居ないここで怪我や病気は……怪我は魔法で治せるけど病気は治せない。

 

「なぁアリス?怪我はヒールで治せるけど、病気ってどうなの?」

 

 神官を父親に持つ彼女なら、他の治癒魔法も知ってるかもしれない。

 

「うーん、毒・麻痺・精神錯乱・沈黙・盲目とかの一時的な状態回復はあるよ、その逆もね。

病気は纏めて祈りで神の奇跡をお願いするの。司祭様か副司祭様なら大抵の病気は治せるよ」

 

 何と言うチートな世界!これは病死なんて無いんじゃないか?

 

「簡単に治せるなら病死なんて無いんじゃない?司祭様や副司祭様って凄いんだね」

 

 アレ?変な顔したな。もしかして、この世界で病気の心配って非常識だったかな?

 

「司祭様も副司祭様も数が少ないし、順番待ちだけど大抵は権力者が割り込むから……

魔力もたくさん使うから日に何回も無理だし。だから普通の人々は無理だよ。それに寄付も高額だから大変なんだ」

 

 この世界の権力の仕組みが垣間見えた気がする。神官達の持つ絶大な権力は、この地を治める連中には不都合だと思った。

 だけど自分たちの健康と長生きに貢献できる唯一の連中になら……現代みたいに信仰心のみが頼りの連中じゃないのか?

 

「世知辛い世の中だね。さて、食べ終わったから僕も留守番がてら街を探索するよ。何か使える物が見付かるかもしれないからね」

 

 話しながら焼き魚を食べ終えてしまった。臭みも脂も慣れれば、それなりに美味しくはないが食べられる。

 贅沢は言えない環境だからね。

 

「お兄ちゃん、ちゃんと留守番してるんだよ。変な物を見付けて食べちゃ駄目だからね?拾い食いすると、お腹壊すんだよ」

 

 そう言って元気良く飛んでいってしまった……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 最初の頃は周りを見る余裕も無いから、教会と大通り周辺を囲む崩れた城壁くらいしか見てなかった。

 だが、この廃墟は意外と広いんだ。

 多分だがアリスの言う人除けの結界こそ街全体を覆っていたが、建物を保護する魔法は教会周辺だけ。

 石造りの建物は富裕層だけで一般人は木造だった。だから現代建築よりも貧相な木造家屋の殆どが、風雨により倒壊した。

 見渡せば何軒か石造りの建物が残っている。ここは正確には普通の街じゃなく、教会を中心とした神官関係者たちの街なんだ。

 

 だから破棄して移転が可能だったんだな……

 

 ボケッと考えていても仕方無い。立ち上がってパンパンと尻に付いた埃を払い焚き火の始末をする。

 木炭は集めて食べカスを埋める。

 

「さて、先ずはトイレを済ませてから探索するかな……」

 

 トイレだけは壊れていたのを修復した。

 もっとも周りを板で囲って真ん中に深い穴を掘り、板を被せただけの原始的なトイレだが、現代人の感覚では排泄中を見られるのは嫌だからね。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ふぅ、スッキリした!さて探索するか」

 

 先ずは教会周辺の石造りの建物から見ていこう。大通りにそって何軒か残っているが、ほとんどの家は窓もドアも無い。

 

「お邪魔します……」

 

 最初に入った建物は、何かの商店だったんだろう。手前にカウンターがあり、奥の壁には一面の棚だ。

 この時代は客が商品を勝手に見れるわけじゃなくて、いちいち店員に言って持ってきてもらうのかな?

 奥の棚にはほとんど品物は無かったが、埃を被ったナニかが幾つか見える。

 手に取ってカウンターに並べていく。

 

「これは……何かの草の束だな。これは素焼きの壷だな。水が漏れなければ使えるな。他にも皿があるな」

 

 種類が分からないが、束ねられた枯れ草。素焼きの壷が一つと小皿が三枚、大皿が一枚。それに椀が一つ。

 他にもあったが欠けたり割れたりしてないのはコレだけだった。だが壷は嬉しい。

 毎回川まで水を飲みに行くのは面倒だったんだ。

 

「幸先が良いな。ヨシ、次は隣の家に移ろう」

 

 見つけ出した戦利品を一旦カウンターに並べて次の家に移動する。隣の店も商店みたいな造りだ。

 やはり商品棚はカウンターの後ろ側に有る。品物が少ない所為か客が直に商品を手に取れることはないんだな。

 

 残念ながらここには何も無かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 あれから大通りに面した六軒の建物を調べたが、特にめぼしい物は無かった。

 素焼きの食器類はそれなりに集まったので早速洗って使おう。

 最後に調べた建物から出ようとしたとき、大通りを歩く団体を見つけた。

 丁度焚き火をしていた場所に集まっている。思わず声を掛けようとしたが、身なりも人相も良くない連中だ。

 

 世紀末救世主伝説のヤラレ役の下っ端な雰囲気が……

 

 意外と距離は近い、20mも無いだろう。話し声も何となくだが聞こえる。物陰に隠れながら奴等の会話を盗み聞きする……

 

「お頭、やっぱり未だ暖かいっすよ。近くに誰か居ますぜ」

 

「探すか?女でも居れば楽しめるぜ。ギャハハハハ」

 

 ああ、間違い無く盗賊の類の連中だ。会話を聞いただけで腰が抜けたように座り込んでしまう。

 幸い音は出さなかったが、逃げるときに体が動くか心配だ。

 

「まぁ待て。

確かに煙が立ち上ってたから念のために来てみたが……ここは殺人を繰り返した神官見習いを封じ込めた教会っぽいぜ。

今まで近くを歩いてたのに気が付かなかったのは、結界が壊れたのかもな」

 

 お頭だろうか?野太くデカい声が聞こえる。殺人を繰り返した神官見習いってアリスのことか?

 

 彼女はそんなに酷い娘じゃないぞ!

 

 知りもしないのにアリスを悪く言う連中に怒りを覚えた。アレはツンデレだが優しい幼女なんだ!

 抜けた腰に力を入れてゆっくりと立ち上がる。とにかく、情報を集めなきゃ駄目だ。

 





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