それはまさに偶然としか言いようがなかった。
たまたま自分が落ちてきたタイミングがそうだったというだけ。たまたま一人目のニンゲンとよく似ていたというだけ。たまたまそのニンゲンよりも自己主張が少なく、自分という存在を見せることが苦手だったというだけ。
どれもこれも偶然だ。
ただの偶然。
しかし、世の中には『偶然が三つ重なればそれは必然である』なんて言葉もある。
要するに、これは偶然であり偶然ではなかったのだろう。
半分決められたようなボクの運命。きっと、これはそう言うことだったのだ。
全てを語るためにも、少しだけ時間を遡ることにしよう――
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その日、ボクはたまたま外に出歩いていただけだった。
その中で何となく、とある山の存在が気になった。
登ったものは二度と戻らないとされているイビト山と言うその山。
本当に、何となくだった。何となく気になった。
あるいは、
そして、その山のなかでボクはぽっかりと口を大きく開ける穴を見つけた。
穴の底が気になったボクはその穴の中を除こうとして……。
足を踏み外してしまった。
結局のところ、ほとんど自分の不注意による事故だ。けれど確実に運命的な何かがあった。
ふわりと浮遊感を感じて、そして次の瞬間にはこの地下世界に降り立ち……いや、この地下世界の花の絨毯めがけて落ちてきた。
文字通りにただ落ちてきたのだ。
幸運だったのはきっとその時に怪我をしなかったこと。
そしてもう一つは、ボクを真っ先に見つけたのが心優しいモンスターの子供だったという事だろう。
名前をアズリエルという彼がボクを見つけてくれた。
もっとも、彼一人だけではなかったけれど。
そう、その場にはもう一人いたんだ。本来なら地下世界に居ちゃいけないはずの存在、地上でのんきに生きているだけのはずのその存在が。
「ごきげんよう。私たちが摘みに来た花を潰した気分はどうかな?」
その子供の名前はキャラ。キャラドリーマーがそこにいた。
明らかに不機嫌そうな顔をしてボクの顔を除いていたけれど。
「ちょっとキャラ、そんなこと言っちゃダメじゃないか。明らかにキミと同じで落ちてきたニンゲンでしょ?」
「関係ないね。こいつが私たちがこうしてわざわざ遠いところから足を運んでまで摘みに来た花を潰したのは事実なんだから」
名誉の為に挽回するが、決してワザとではない。
というか固い地面なんかに激突していたらそれこそ大けがを負っていたかもしれないのだ。
人命に変えて、などというつもりはないがそれでもワザとではなかったという事だけは信じて欲しい。
睨まれたり心配されたりしながら、ボクは必死になって弁明のために口を回していた。
この時はまだ、このニンゲンがボクを苦しめるだなんて、思ってもみなかった。