件の計画について聞くべきだったと後悔したのはすべてが終わった……あるいは、
キャラドリーマーが倒れた。最初に聞いたのはそれだけだった。
本当に、最初に聞いた情報はそれだけだったから、きっと風邪でも引いたんだろうくらいにしか思っていなかった。
やけに苦しそうにはしていたけれど、風邪で苦しんでしまうほどに虚弱だったかな、と少し疑問に思った程度だった。
しかし、そう思ったのは自分だけだったらしい。
初めてであうニンゲンが、初めて倒れたという事が衝撃だったのか、ドリーマーの姓を持つ彼らはキャラドリーマーに突きっきりで看病していた。
ボクってやつは、自慢じゃないが影が薄い。
それこそ他に少しでも注目されるような存在があればほとんど見られることが無くなるほどに。
だからって言うわけじゃない。そう言うわけではないけれど、キャラドリーマーが病に苦しめられている間、ボクはあまりドリーマーたちの注目を買うことがなかった。
注目されたいわけじゃない。
けれど、ボクだって一人の子供だ。だから自分勝手でも家族だなんて少し思っていた相手にあまり見られないのは堪える。
なにも反応がまるでないわけじゃない。
言葉をかければ返してくれるし、ちゃんとそこにいるってことは認めてもらえている。
ただ、つねに最優先なのがキャラドリーマーと言うだけだった。
もっとも、常に優先度が下になることくらい、元の影の薄さからしてもいつも通りの事だった。
「キャラ……」
「アズリエル、大丈夫だよ。ニンゲンは確かに脆い。けれど生命力なら並外れたものがあるからな」
「そうだぞ、アズリエル。オマエも、このことはわかっていただろう……?」
あの自分以外に対してさしたる興味を示さなかったキャラドリーマーまで気に掛けるほどにドリーマー姓の彼らは苦しめられていた。
ボクができることなんて、あまりない。
病の原因がわかるわけでもなく、薬を作れるわけでもない。だからこそこうして意味もなく励ますくらいしかできることはなかった。
「なぁ、新入り」
なんでか、キャラドリーマーはボクの事をずっとそう呼んでいた。
地下世界に自分よりも後に落ちてきたからか、それとも自分よりも後にこの家族の一員となったからか。
それはわからないけれど、とにかくキャラドリーマーはボクを呼んだ。
「たのむ、私の代わりに――」
そう告げられた内容に、ボクは約束した。確約した。
任せて欲しいと、そう言ってしまった。
ボクからしたらキャラドリーマーが初めてボクに対して言ってくれた我儘だった。
その時はもうあまり見られるという事がなかったからつい二つ返事で返してしまったんだ。
「そうか、安心した――」
そう言ってキャラドリーマーは再び眠りについた。まるでちょうど今死んだかのようだったから慌てて心臓の動きを確認したことを覚えている。
ともかく、そんなことがあってボクはキャラドリーマーと約束をした。
けれど、この時はどうせこの約束を果たすときはないって思っていた。
だって考えてみれば当たり前だろう。
ニンゲンが苦しむことはあれど、そう簡単に死ぬことはない。それはボクの中では絶対の常識だったんだから。
けれど、そんなボクの浅はかな考えを打ち砕く転機は急に訪れた。