―――それはきっと、遠い遠い過去でのことだったのだろう。
隠されていたビデオはもう全て見終わってしまった。
もう一人のニンゲンの部屋に残っていたビデオは、これですべてだった。
死んだ一人目の代わりになって、なりきり続けた。もう一人の記録。
それはきっと、優しさではなかった。
どこまでも臆病だったニンゲンの想いだ。
……"まだ何かがある"って言う言葉は、本当だったみたいだ。
「――やぁ、ニンゲン。久しぶりだね」
唐突に背後からそう言って現れたのは黄色い小さなお花のモンスター、かつてこの世界を生きていたアズリエルの成れの果て。フラウィーだった。
フラウィーは静かにボクを見つめている。
「あのニンゲン、そんなことをおもっていたんだね」
その言葉の示す先はよくわかっていた。あのビデオの中にいたニンゲンだ。
……きっと、あのニンゲンの事を知っているんだろう。
他の皆が忘れてしまった人間の事を、覚えているんだろう。
「……ま、あのニンゲンのタマシイが使い物にならない理由がよくわかったよ」
「"二つ目"のタマシイは空っぽだった。だから使い物にならなくてガッカリしてたんだけど……」
「そういう理由なんだ。何考えてるのかわからないって思ってたけど、ほんとにわけわかんないや」
「――ホント、わけわかんないよ」
それだけを言い残してフラウィーは地面の中にもぐってしまう。
陰に隠れてしまって見えなかったその顔は一体何を思っていたのだろうか。
……そんなごまかしにもならないようなことを想いながら、僕も何も言わずにこの場所を離れた。
地下世界から再び地上へと上がってみれば、そこにあるのは変わらない景色だ。
サンズがトリエルさんにでも言われたのか、僕を迎えに来てくれた。
「しかしオマエさん、今更あの世界に何の用があったんだ? 仕事をほっぽりだしてまでいくなんて、さぞボーンとでかいことなんだろうが」
「……そうだね」
「なんだ、話しちゃくれないのか。ま、オイラに話したところで身になることはないだろうけどな」
「……そうだね」
「……はぁ、わかった。オバサンがオマエさんに話したいことがあるんだとよ。話に聞く限りアズゴアもいるらしい」
「……そう」
サンズとの話も右から左へと抜けていく。
その中で僕はトリエルさんとアズゴア王が話すことという事だけが分かった。
ちょうどいい。ボクも彼らに用事があるんだ。とっても大切な用事が。
だって、あの優しい嘘に包まれていては先に進むことなんてできない……。
僕は