魔法少女リリカルなのはStrikerS~竜巻は翼を強くする~   作:超淑女

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第九話「出張・前編」

 雨が降っていた。

 

 ———全ての音をかき消すような冷たく重い雨だ。

 

「なんで——————がっ!!」

 

 少女のような少年が叫んだ。

 大きな瞳一杯に涙をためている少年がひたすらにさけぶ。

 15歳ほどの少年が叫ぶその先には一人の男が立っていた。

 

「——————!!」

 

 少年に怒鳴る男。

 その声は少年には聞こえていた。

 唖然としている少年に、男は力強く地面を踏みしめ近寄る。

 

 ———そして、その手を握り拳に変えて振った。

 

 地面に倒れる少年。

 その少年が男を見るが、男は少年を押し倒すとその上に乗る。

 男は少年の首を両手で掴むと、その手に力を込めた。

 

「———っ!!?」

 

「——————!!!」

 

 男が怒鳴った。

 それを聞いて、少年は何も言わなくなる。

 絶望したかのような表情でもない。

 

 ———憐れむような瞳で男を見続ける。

 

 ギリギリと音を立てる首。

 だが少年は顔をしかめながらも、男をただ見ていた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 機動六課隊舎。

 朝早く、アサギは外にいた。

 ベンチに腰掛けて、海を見ている。

 

「こんな朝早くからどうしたの?」

 

 振り向くと、そこにはフェイト・T・ハラオウンが立っていた。

 別段仲が良いわけでもないが悪いわけでもない。

 だが彼女はアサギの隣に座って同じように海を見る。

 

「今は素?」

 

 フェイトの言葉に、アサギは特に表情を変えない。

 数秒で口を開いた。

 

「気分が悪いから……楽しい返しは期待しないでよ」

 

「そう、それならそれでいいよ」

 

 微笑して海を見つめるフェイト。

 特にこれ以上を聞くつもりもないようだ。

 黙っているフェイトを前に、アサギの方が落ち着かない。

 

「息苦しい……」

 

 その言葉をフェイトが理解できたのは、自分もそういう時が時たまあるのだ。

 たとえば自らの親であるプレシア・テスタロッサを夢に見たとき———。

 おそらく彼女、八神はやてだってこの感覚は理解できるのだろう。

 

「わかります」

 

「そっか、なら少し甘えて良い?」

 

 アサギの言葉に、フェイトは別段驚かない。

 自分も甘えたくなることがあるが、自分は甘える場所があるのだ。

 弱みを見せても、安心できる場所があるのだ。

 だがきっと、きっと彼には———。

 

 ———それが無い。

 

 だから一度ぐらい自分が弱みを見てやってもいいと思えた。

 別段嫌いでも好きでもないのだから、問題は無いだろう。

 フェイトは手を伸ばしてアサギの頭を寄せ、膝の上に置いた。

 

「少し休む?」

 

「ありがと……フェイト」

 

 そう言うと、アサギは目を閉じた。

 すぐに規則正しい寝息が聞こえてきて、その顔を見てフェイトがクスリと笑う。

 おそらく夜に起きて寝てないのだろうと理解できる。

 

「あっ……」

 

 寝顔は少女そのもので、可愛らしい。

 自分から寝かしておいたが、少し恥ずかしくなってきてフェイトは早く起きないかと思ってしまった。

 でも自分で言ったことなので起こすこともできないフェイトは……そのうち考えるのをやめた。

 

 

 

 クリスは起きてから眠気眼のまますぐにミコトに連れられてヘリポートに来て、ヘリに乗っていた。意識が覚醒した時にはすでに私服でヘリに乗っていたのだ。

 彼女が狼狽えたのは言う前もないだろう。

 ヘリの中にはフォワードメンバー+各部隊の隊長、副隊長、シャマルにザフィーラがいるのだから、結構狭い。

 

「えっどういうことですか! えっ!? えっ!?」

 

「ミコト、説明してなかったの?」

 

 狼狽したクリスを見たなのはの言葉に、ミコトは首を左右に振る。

 それでフェイトが理解した。

 

「あぁ、クリス結構あるんだよね……昨日は夜更かししたの?」

 

 昔も一度あった。そう言うとクリスが紅い顔をする。

 

「はい」

 

 その言葉になるほどと、頷くフェイト。

 だが局員として些か問題だ。解決しようとひそかにミコトは考えていた。

 なんだかんだでパートナー思いのクリスの良き相棒である。

 

「まぁ面白いから良いけど」

 

 アサギはダメだ。

 

「あっ、今回はどうしたんですか?」

 

 話の全貌がわかっていないようで、ため息をはくヴィータ。

 アサギはくすくすと笑っている。

 

「今回は出張だよ」

 

 フェイトの言葉に、だから私服なのかと頷く。

 きっと場所は文化レベルが低い場所。

 

「第97管理外世界……地球だ」

 

 シグナムの言葉に、クリスはぽかーんと口を開いていた。

 つい最近話したばかりの場所だ。

 

「僕たちも今さっき聞いてびっくりしたんですよ」

 

 エリオの言葉に、それもそうだろうと頷くクリス。

 

「まぁ経由は目的地に向かいながら話そか……」

 

 部隊長がそう言うと、もう一度頷く。

 

「あっじゃあとりあえず、リインさんが大きい、いや小さいですけど、普通サイズになってるのは?」

 

 先に話したことだが、おさらいという感じではやては話を始めた。

 まだまだ先は長い。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 途中、はやてと守護騎士たちと別れたなのはたちは、転送で地球にやってきた。

 送られてきた場所は、森、山、川。

 自然に溢れている。

 

「はい、到着です!」

 

「ここが、なのはさんたちの故郷」

 

 フォワード陣も驚きを隠せない。

 感嘆の声を上げる面々。

 それを見て声を上げたのは(ミコトを除いた)フォワードだけでなく、片手に大きなビニール袋を持ったアサギも感嘆の声を上げている。

 ミナトはさすがという感じに上品だ。

 フォワード陣の反応をみたフェイトとなのはが笑う。

 

「ほとんどミッドと変わらないでしょ?」

 

「空も青いし、太陽は一つだし」

 

「山と、川と、自然の匂いも一緒です!」

 

「湖綺麗です!」

 

 フォワード陣はただ驚くだけだ。

 アサギが微笑するのに気づいたミナト。

 

「どうかしたましたか?」

 

「んぁ、なんでもないよ、ミナトちゃん☆」

 

 つぶやいて笑顔をみせるアサギ。

 先ほどの笑顔とは違う。完全に違うのだ。

 そんな時にスバルが声を上げる。

 

「うん、というか、ここは具体的にはどこでしょう? 湖畔のコテージって感じですが」

 

「現地の住人の方がお持ちの別荘なんです。捜査員内貴所としての使用を快く許諾していただけたですよ」

 

 リインが答えると、そこでも一つ疑問が浮かんだ。

 

「現地の方?」

 

 キャロが疑問に思ったことを口にしたとき、聞き慣れた音が聞こえた。

 近づいてくる音。

 

「あっ、自動車?」

 

「こっちの世界にもあるんですね」

 

 クリスの言葉にミナトが苦笑する。

 そんなに文化レベルは低くない。

 車は目の前で止まり、扉が開いた。

 

「なのは、フェイト!」

 

 現れたのは、シャマルに似た髪形をした少女。

 ミコトは思ったが口にしないようにした。

 

「シャマル先生と同じような髪型だね」

 

 口にしないようにと思ったことを直後にいう所、我が隊長という所だろう。

 当のなのはたちは気にしてないようなので、ミコトも気にしないことにした。

 誰も聞いていなくて心底良かったと思う。

 

「アリサちゃん」

 

「アリサ!」

 

 なのはとフェイトの二人が、アリサと呼ばれた少女に駆け寄る。

 ほぉ、と何かを思うアサギ。

 少し素に戻っている。

 

「なによもう、ご無沙汰だったじゃない」

 

「ごめんごめん」

 

「いろいろ、忙しくて」

 

 三人が三人の空気を作る。

 

「あたしだって、忙しいのよ、大学生なんだから」

 

「アリサさん、こんにちわです!」

 

 そこにリインが突っ込む。

 

「へへぇ、久しぶり」

 

「はいですぅ」

 

 フェイトが、フォワードとアサギ、ミナトに向き直る。

 アウェイになっていた面々。

 

「紹介するね。私となのはとはやての友達で、幼馴染の―――」

 

「アリサ・バニングスです。よろしく」

 

『よろしくお願いします!』

 

 フォワード一同の挨拶。

 ミナトが綺麗に一礼した。

 

「よろしくお願いします」

 

 まさに上流階級の人間。

 と言ったところだろう。

 

「アサギちゃんで〜す! きゃる〜ん☆」

 

 アリサは唖然とした———目の前の女性のテンションにだ。

 アサギのことを指さして、彼女は顔をしかめた。

 

「教え子?」

 

 その言葉に、なのはは首を横に振った。

 いつも通りの制服ではないが、パンストにミニスカート、ブーツにフリフリのついたシャツで紅いネクタイ。

 その上からベストを羽織っていて、手にはオープンフィンガーの手袋。

 圧倒的派手さを見ても教え子ではないことは明らかだ。もれなく地球の一地域でライブでも始めそうな風貌。

 

「えっと、私たちより階級が上だからこういうのもあれだけど、アサギ・レヴァインさん一応男性」

 

 フェイトの紹介に、アリサは管理局を疑った。

 たしかに良く見れば胸が無い。

 ただ、無いだけかと思っていたのだ。

 

「ほ、ほんとに?」

 

「よろしくねアリサちゃん♪」

 

 よろしく、と返すとその他の面々を見る。

 一番上品な女性。

 

「ミナト・ミルフォードです。アサギさん以外は見ての通りの性別なので」

 

 頷いて、アリサがアサギを見た。

 首を横に振って少し話題を変えることにする。

 

「そういえば、はやてたちは?」

 

「別行動です、違う転送ポートで来るはずなので」

 

「たぶん、すずかの所に」

 

 また、知らない名前が出てきたがアサギは気にせずニコニコとしている。

 何かを考えるようなしぐさをして、アリサがうなずく。

 

「さぁて、車で移動しましょうか」

 

 その言葉に、アサギたちは頷いた。

 アサギがアリサを見る。

 男と聞いてからその容姿に少し違和感を感じ始めたアリサ。

 

「車は用意しといてくれた?」

 

 その言葉に理解した。

 出張に来ると言う三日前にワゴンを一台用意してくれと頼まれたのだ。

 人数的に合わないかららしいので、用意してくれと言っていた。

 

「で、どうするの?」 

 

 一応用意してあるらしい。

 

「後ろにあるけど」

 

 アサギたちの背後にあった。

 気が付かなかったらしい。

 苦笑するフォワード一同(ミコト除く)。

 

「とりあえずなのはちゃんとフェイトちゃんはアリサちゃんの車ね、残りはワゴン」

 

 突如しきりだす。

 ワゴンと行っても通常ならば六人乗りだ。

 残り八人。無理だろう。

 

「大丈夫大丈夫♪」

 

 能天気なアサギに溜息を吐く面々だが、アリサがカギを投げるとしっかりと受け止め、カギのボタンで鍵が開いた。

 ドアを開くと、一番後ろにスバル、キャロ、ティアナ。

 その次の列には、ミコト、エリオ、クリス。

 そして運転席にアサギ、助手席にミナトと言った感じだ。

 エンジンをかけると、アリサの車が出るのを待つ。

 すでに後ろは楽しくおしゃべりを始めている。

 

「ふぅ…」

 

 一息つくアサギに気づいたミコト。

 後ろではやれ狭いの、やれ楽しみだなどなど。

 ミコトが笑って、ビニール袋からアルミホイルにつつまれなにかを一つアサギに渡した。

 

「珍しいですねアサギさんが気を遣うなんて」

 

「フェイトちゃんに少しお世話になっちゃって」

 

 いつもの口調だが雰囲気が違った。

 クスッと笑うと、ミナトはそうですか、とだけ返す。

 

「そう言えばあの三人には?」

 

「しっかり渡しましたよ」

 

「なら良い!」

 

 いつものアサギだと、確認するとミナトはビニール袋の中からいくつかのアルミに包まれたそれを取り出す。

 そのアルミに包まれたそれを後ろのフォワード陣に人数分渡す。

 フォワード陣はなんだこれ?としか思っていない。

 

「おにぎりです。アサギさんが沢山作ってくれましたから食べてください」

 

 その言葉に、ありがとうございます! とフォワードメンバーから声が聞こえる。

 背後から聞こえるアルミの音。

 ―――誰かアルミホイル噛み締めないかな。

 なんて思うもそれを内に秘めていつも通り。

 

「アサギちゃん頑張ったからおいしく食べてね、きゃる〜ん☆」

 

 いつも通りのアサギがフォワードにそう言うと、前の車が進んだ。

 そろそろ行くようだ。

 アサギもアクセルを踏み込む。進みだす車に、フォワード陣はおぉ〜と声を上げる。

 車自体はそんなに珍しいものでもないだろうに、と微笑するミナト。

 

「あっ、エリオ君ご飯粒ついてるよ」

 

「ちょっ! クリスさん!!」

 

 背後から聞こえてくる声は(クリス)(エリオ)のものだ。

 キャロが今頃嫉妬しているだろう。

 クリスとエリオが姉と弟のように育っていたというのは、アサギもまさかの誤算だっただろう。

 それとも知っているのだろうか?

 

「ふふ〜ん♪」

 

 なにはともあれ、アサギはその件を聞いて楽しそうにしている。

 相変わらず“良い性格”をした隊長だ。

 実に、悪くない。

 

 

 

 車で移動して、駐車場にてアサギが適当に作戦説明を終えた。

 ミナトはいつも通り笑顔でその適当な説明に補足をくわえていく。

 おかげでずいぶんわかりやすくなっていった。

 

「副隊長たちは、そろそろ来るんじゃないかな」

 

 アサギがそう言うと、後ろから歩いてくる音が聞こえる。

 カツカツと音を立てて近づいてくる女性。

 

「隊長、すまんな遅くなった」

 

 ライトニング副隊長のシグナムだ。

 

「シグナム、丁度始めるところですよ」

 

 頷く。

 

『ロングアーチも準備万端や!』

 

『あたしもこれから探索と設置をしながらスターズに合流する』

 

 八神はやてとヴィータからの念話。

 その念話に了解、と答えたアサギとフェイト。

 

『ほんなら、機動六課出張任務…ロストロギア探索任務開始や!』

 

 了解。と答えるフォワードメンバー。

 遊びで来たのではないということを自覚すると同時に気を引き締める面々にミナトが微笑む。

 横の変態とは大違いだということ、アサギは本当に遊び感覚だ。

 

「さて、各分隊別れて探索しよう!」

 

 そう言ってアサギはミコトとクリスを見る。

 クリスは苦笑して、相変わらずミコトは無表情だった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 別れてから一時間ほど。

 あまり歩いていないが公園で誰かを待っている。

 さすがに他から見れば美少女四人で、立っているだけで十分目立つ。

 

「お待たせや〜」

 

 歩いてきたのは、我らが八神はやて部隊長。

 びしっとして敬礼するクリス。

 周りがビクッとはやてに注目した。

 

「やめい!」

 

 それを急いでやめさせると、あたりに笑顔を振りまく。

 散っていくそれらに気づかれぬようクリスに耳打ちする。

 

「ここは管理外世界なんやから敬礼なんてすな、目立ってしゃあない」

 

 その言葉に、すみませんと言ってショボーンとした。

 はやてはその姿に背筋がゾクゾクっとする。

 

「そそった?」

 

 その横から口を出すアサギ。

 はやてはアサギの額にデコピンをかます。

 いたっ、と声を上げて額を抑えるアサギ。

 

「まったく、とりあえず行くで」

 

 その言葉に、頷くアサギとミナト。

 無表情のミコトはともかく、クリスは心底驚いている。

 

「まったく、私がおらへんと地理わからんやろ?」 

 

 納得したのか、クリスはあぁ〜と頷いた。

 わかったか、とはやてはアサギを見る。

 行く。という意味だろう。

 

「さて、今回は部隊長がガイドさんで〜す! 行こうか♪」

 

 その言葉に、一同は頷く。

 ミナトは少し細い目をしてはやてを見た。

 何か思う所がある。と言ったところだろう。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 フェイトたちライトニングが車で探索をしていた。

 赤信号で車を止めると、後部座席にいる二人を見る。

 少し緊張している様子の二人に、初めての出張だし当然か、とほほ笑む。

 そこで一つ。

 

「あのね二人とも」

 

 ———聞いてみることにした。

 

「どうしたんですか?」

 

 エリオが聞いてくる。

 気になっているというより、心配なことがあるのだ。

 

「ミコトって、どうかな?」

 

 どうかな、とはどういう意味だろう?

 エリオとキャロは不思議そうに顔を見合わせて首を傾ける。

 

「良い人ですよ、訓練で危なくなったら率先して援護とかしてくれますし」

 

「フリードもなついてます」

 

 その言葉に、そっか、と答えるとフェイトは前を向いた。

 丁度信号も青に変わりアクセルを踏み込んだ。

 エリオとキャロは不思議、と言わんばかりの表情でもう一度首を傾げた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 はやてとトルネードの四人は海鳴市の丘にやってきていた。

 そこからは海鳴の街一帯が見渡せる。

 その綺麗な街並みに、クリスが感嘆の声を上げた。

 

「さて……」

 

 はやてがここに来る途中買った花束を、丘の一角に添える。

 そこからの景色が、一番良いものと言っても過言ではない。

 それほどの場所に花束を添えた。

 

「ソンダーソニアの花、花言葉は『祝福』ですね」

 

 ミナトの言葉に頷くはやては、その場で立って両手を合わせて目をつむる。

 クリスもミコトもミナトも、アサギすらも黙っていた。

 そしてアサギを先頭に三人も両手を合わせる。

 それを横目で見て、はやては再び目を閉じた。

 

 2、3分程してようやく全員がやめる。

 

「祝福の風か……」

 

「なんでも知っとるんやな」

 

「なんでもじゃないよ」

 

 そう言うアサギは別段楽しそうな笑みでもなかった。

 それを見てはやてはため息を吐く。

 

「私はあんたのそういうとこが大っ嫌いや」

 

 笑みを浮かべてそう言うはやてに、クリスが怒ったのかとオロオロする。

 ミナトは笑みを浮かべていた。

 行くで、とはやてがそこから踵を返して歩く。

 その後を歩いていくアサギとミナト、ミコトもだ。

 

「えっ、どういうことですかぁ」

 

 クリスはその後をついていく。

 相変わらずどんくさい娘だな、とはやてが呟いた。

 だが、トルネード分隊の面々を嫌いではない。

 はやてがもう一度、口に笑みを浮かべてつぶやく

 

 ———またな、リインフォース。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 はやてが言った。

 

「たるいし先帰るか」

 

 その言葉に無言になったのはクリスとミナト、そしてアサギ。

 もともと無言なミコトはいつも通りだ。

 少しは安全と言っても、完全に安全というわけでは決して無い。

 

「帰ろうか、いろいろ準備もあるし」

 

 その言葉にアサギが首を傾ける。

 

「準備?」

 

「その通り、ちなみに部隊長命令。トルネード分隊はこれからコテージに戻ります」

 

「職権乱用」

 

 そんなはやてに、アサギの言葉。

 珍しくクリスが心の中でアサギに同意した。

 あくまで心の中でだが———。

 

「乱用ちゃうよぉ、あくまで作戦命令や~」

 

 その言葉に、しかたないと言った表情でアサギが了承する。

 さすがのアサギも上官命令には従うようだ。

 はやてはその了承の返事を見ると嬉しそうな表情で頷いた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 はやてとトルネード部隊メンバーは、コテージまで戻ってきた。

 もちろんアサギの運転では無く、はやての運転だ。

 そしてコテージには客がいた。

 今朝あったアリサと、はやての友人である月村すずかだ。

 

 適当な自己紹介を終えた後、ミコトとはやてがバーベキュー用の鉄板を組み立てている。

 

「なぁ」

 

 無言のミコトにはやてが声をかけた。

 

「はい」

 

 一言だけ答えるミコト。

 無表情ではやてを見ている。

 

「どうや機動六課」

 

「……ホッとします」

 

「そか」

 

 つぶやくように答えたミコトに、はやてがうなずく。

 微笑して鉄板を組み立て終えると手をパンパンと叩いた。

 ミコトも立ち上がると、めくっていた袖を下ろす。

 はやてはその姿に笑ってミコトの尻を叩く。

 

「材料持ってきてくれるか?」

 

「了解」

 

 小走りしていくミコトの背中を見てはやてが親のような顔をする。

 少し、ほんの少しだけ、なのはがうらやましくなった。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 アサギが車に寄りかかっていた。

 その仕草は確かに男性のものだ。

 横にミナトが立っている。

 

 二人の見る方向ではクリスがアリサにからかわれて、すずかがアリサを止めようとしている図。

 からかわれると言っても胸関連なのは言うまでもないだろう。

 

 横目でアサギを確認するミナト。

 ミナトは今朝からアサギの調子がおかしいことに気づいている。

 だが問わないのはどういうことか理解しているからだろう。

 

「大丈夫ですか?」

 

「余裕〜☆」

 

 元気に答えるアサギ。

 いつものポーズでこたえるあたり余裕があるのだろう。

 この状態での“いつも”ならば余裕なんてあるわけがない。

 

「そうですか」

 

 静かにそう答えると、アサギはうん☆と答える。

 アサギは身体を伸ばす。

 

「あっ、帰ってきた!」

 

 車が止まって、中から出てくるライトニングとスターズの面々。

 

「きゃる〜ん☆アサギちゃんだよ!」

 

 いつも通り無駄にテンションの高いアサギ。

 うん、今日はいつも通りのようだ。

 良いことである。

 とりあえずは、アサギを止めてこなくてはと、ミナトがアサギの方に歩き出した。

 

 

 

 

 

———StrikerSサウンドステージ01・『出張・機動六課!!? 緊急捜索任務in海鳴市?』———




あとがき
今回はドラマCD1です!
次回もですが気にせずいきましょぉ!
これが終われば念願のアグスタですよ。

降臨の日も近い・・・・・・。

次回もお楽しみに♪
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