魔法少女リリカルなのはStrikerS~竜巻は翼を強くする~   作:超淑女

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第七話「進展・表」

 先日、5月13日での戦闘。

 トルネード分隊新人フォワード二名。

 クリスティアーネ・シュテルンベルグ、並びにミコト・ブラックフォード。

 上記二名の新デバイスを起動。

 二名の新型デバイスの個体名称。

 その由来は第97番管理外世界『地球』の人物からとっている。

 クリスティアーネ・シュテルンベルグの『エリス』は死刑執行人、ジョン・エリス。

 ミコト・ブラックフォードの『ローザ』は狙撃手、ローザ・シャニーナからだ。

 彼女たちにその由来を伝えるつもりは部隊長には無いようです。

 

 

 

 休憩室で座って空中モニターを操作しているミナト。

 黙ってパネルを叩くミナトの側に誰かが歩み寄ってくる。

 

「なにしとるんですか?」

 

 歩み寄り、目の前に現れたのは部隊長こと八神はやて。

 ミナトも笑顔を見せて空中モニターを消す。

 

「個人的な勤務日誌を、分隊長がこういうことに疎い方なので」

 

「なるほど、リインもやってましたよ」

 

 同じ類の隊長を持った副隊長だから行動が似るのだろう。

 ミナトが立ち上がると、はやてが歩き出す。

 自然な流れではやてについていくミナト。

 

「そういえば、地上の方はどうです?」

 

「そこらはアサギさんがどうにかするのではないでしょうか?」

 

 きっちりとしているミナトにしては投げやりな台詞だった。

 はやてが苦笑する。

 

「あまり好きや無い感じですか?」

 

「いえ、アサギさんに無茶をさせられるのが嫌なだけです」

 

 その言葉にさらに苦笑するはやて。

 

「なんでそこまでアサギに肩入れするん、気があるわけや無いやろ?」

 

 はい。と頷くミナト。

 あっさりとした答えで逆に拍子抜けしていまうはやて。

 ただの友達にしてはずいぶんと熱い。

 

「アサギ分隊長は私たちの理解者ですから」

 

 その言葉に、はやてが笑う。

 言いたいことは理解できた。

 つまりは、そういうことだろう。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 機動六課特別訓練場。

 基本的には廃墟だったが、今日は森林になっていた。

 そんな中、クリスが鎌を振っている。

 

「鎌型は長柄でリーチもあるけど振った後の隙が大きいから」

 

 魔力弾が、クリスに飛ぶ。

 撃ったのは自律兵器で、声を上げたのはフェイト。

 フェイトもバルディッシュをサイズ状態にして持っていた。

 

「まず動きを素早くしなきゃいけないから、武器を振り馴れようね」

 

 その言葉と同時に、バルディッシュを振って攻撃を避ける。

 

「今までは最低限の素早さで済んだけど、今度からはそうはいかないよ」

 

 例を見せるフェイト。

 クリスの周囲に配置された自律兵器が動き出す。

 地面から現れるかかし。

 それを切り裂くクリスだが、直後に自律兵器が動き出した。

 

「うわわっ!」

 

 その攻撃を鎌が振り切った直後に避けようとしたが、それはならない。

 攻撃は背中を直撃した。

 ぐっ、と声をあげるクリス。

 次弾が撃たれたが、それはなんとか避ける。

 

「ほら!そんなのじゃ後に続かないし、袋叩きにされるよ」

 

 その言葉と同時に、自律兵器がロックされた。

 クリスが苦笑する。

 エリオとキャロの訓練があるのにしきりに自分を確認してくれてありがたい、と思う半分申し訳ないと思う。

 

「はい!」

 

「全部見てあげるのは無理だけど、できるだけ見てあげるからね」

 

「ありがとうございます!」

 

 そう答えてクリスは再び立ち上がる。

 自分にできることだけを、自分はしよう。

 

 

 

 クリスの訓練している場所から少し離れた場所で、廃墟になっている街があった。

 そこのビルから、少し離れているビルに向かって、ミコトがデバイスを構えて撃っていた。

 目標に直撃。

 だが次に人型の目標が向かいのビルに出現。

 その目標は小さな女の子を人質にしている犯人というシチュエーション。

 

「……」

 

 トリガーを引くミコト。

 放たれた魔力弾がまっすぐに、女の子に直撃した。

 

「っ!?」

 

 数歩下がるミコト。

 これが実際の状況だと思えば充分だ。

 

「やっぱ動揺するよなぁ」

 

 その背後に現れる一人。

 振り返るミコトに視界に映ったのはヴァイス・グラセニック。

 肩にかついだスナイパーライフルをミコトと同じ位置から構える。

 

「こういう時は動揺するな、人質が身内でもだ……動揺すれば誤射は免れねぇ」

 

 しっかり狙いを定めるヴァイス。

 そして、トリガーを引いた。

 放たれる魔力弾は、しっかりと犯人の胸を撃ちぬく。

 ミコトは口をあけてボーっとしている。

 

「てめぇの失敗で傷ついて塞ぎ込んじゃどうしよぉもねぇからな」

 

 肩にストームレイダーをかついで言うヴァイス。

 ミコトは頷いて、先ほどと同じ位置に立った。

 少しでも強くなる。なにか目的があるのか

 

 

 

 特別訓練場近くに、シグナムが立っていた。

 シグナムの目の前にならぶモニターに映る6つのモニター。

 一人そんなところに立っているシグナムは少しさみしそうだ。

 

「どったの~?」

 

 そんなシグナムにアサギが声をかける。

 振り向いたシグナムは気のせいか少し嬉しそうだ。

 

「いやなに、初出動が良い刺激になったようだ」

 

「(挨拶だけしてさっさと行こうと思ったんだけど)」

 

 逃げられないようだった。

 話し始めてしまったシグナム。

 寂しかったのだろうと理解して、話を聞く。

 

「若いだけあって成長も早い、まだしばらくは危ないかな、シグナムちゃんは参加しないの?」

 

 アサギの質問に、シグナムは苦笑した。

 

「私は古い騎士だからな……スバルやエリオのようにミッド式と混ざった近代ベルカ式とはかっても違うし、剣を振るうしかない私がバックスのティアナやキャロ、ミコトに教えられることもないしな、クリスぐらいと思ったが、それ以前に私は人に物を教えるという柄でもない。戦法なら、届く距離まで近づいて斬れ。ぐらいしか言えん」

 

 そんなシグナムらしい言葉に苦笑するアサギ。

 確かに正々堂々とした騎士たるシグナムにはあっていないかもしれない。

 

「凄い奥義ではあるんだけどね。まぁ新人たちにはまだ早いよね」

 

 特別訓練場からは、戦闘の音が響いていた。

 アサギが踵を返す。

 

「じゃ、私これからはやてちゃんと仕事残ってるからまた後でね、シグナムちゃん♪」

 

 そう言って走っていくアサギ。

 ふと、去った後に口元に笑みを浮かべるシグナム。

 

「し、シグナムちゃんかっ……そうか、ちゃんか……」

 

 なんだか嬉しそうにその言葉を繰り返していた。

 

 

 

 それから時が経って、特別訓練場に笛の音が響いた。

 鳴らしたのはもちろんなのはで、それを聞いたフォワードの面々がその場に集まる。

 

「は~い、それじゃ午前の訓練終了!」

 

 肩で息をしながら、訓練の教官たちの前に座っている面々。

 だが肩で息をしているのは教官役でもあるヴァイスもだった。

 

「どうだったかな、個別スキルの訓練になるとちょっとつらいでしょ?」

 

 なのはが聞くと、全員がグロッキー状態のまま頷く。

 そしてヴァイスも頷く。

 

「ちょっと、というか……」

 

「かなり」

 

 ヴィータが肩に自分のデバイスをかつぐ。

 やはり余裕の表情だ。

 

「フェイト隊長は忙しくてそうしょっちゅうは付き合えねぇけど、あたしは当分お前らに付き合ってやっからなぁ!」

 

 その言葉にヴィータの隣のフェイトが苦笑した。

 もちろんスバルもだ。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「それから、ライトニングの二人は特にだけど、スターズとトルネードの四人もまだまだ体が成長してる最中なんだからくれぐれも無茶はしないように」

 

『はい!』

 

 フェイトの心配する言葉に返事をする一同だったが、ミコトはともかくクリスも少し元気がなかった。

 どうしたの? と心配するなのは。

 クリスは少し困ったような表情で、視線をどこかに逸らした。

 

「その……これ以上成長されると困るんです」

 

 ぶるん、と揺れるものになのはの顔に影がさす。

 ヒッ、とビビっているクリスに、隣のミコトは背筋がゾクゾクする。

 相当疲れがキテいるであろうに元気なものであった。

 

「じゃ、お昼にしよっか」

 

『は、はい!』

 

 冷たいなのはの声に、恐怖しながら返事をするミコトを除いたフォワードの面々。

 そして、いまだに息が整わないヴァイスであった。

 

 

 

 隊舎前で一台の車にはやてとリインフォースが乗り込んでいた。

 上着は雑に助手席行きだ。

 サングラスをかけて、はやては腕をドアにかける。

 車の隣にはシャリオとアサギが立っていた。

 

「ん、みんなお疲れさんや」

 

 軽く手を上げて挨拶するはやて。

 その先にはフォワードメンバーと教導役たるなのは、フェイト、ヴィータ、ヴァイスがいる。

 

『はい!』

 

 面々ははやての車の真横で止まる。

 ヴィータがテンション高めに近づく。

 

「はやてとリインは外回り?」

 

「はいです! ヴィータちゃん!」

 

 はやてが軽くサングラスを持ち上げる。

 要人故の用心と言ったところだろう。

 

「あぁ、ちょおナカジマ三佐とお話してくるよ」

 

 そのナカジマ三佐が誰か気づいて少し反応するスバル。

 はやてが笑いながらスバルを見る。

 

「スバル、お父さんやお姉ちゃんになんか伝言とかあるか?」

 

「あぁ父さんはともかく、ギン姉には自分の部屋ぐらい綺麗にしてよっ! って伝えてください」

 

「オーライや、しっかり伝えたるさかいな」

 

 そう言うと、はやては車のエンジンをかけた。

 特有の音と共に車が微振動を始める。

 

「あぁ、あとゲンヤ三佐にあの日のことが忘れられないのって伝えておいてもらえる?」

 

 アサギの言葉に、驚愕の表情をする面々。

 知ってる人は知っている。ゲンヤ・ナカジマが嫁をなくしてから長いことを、それならば過ちの一つや二つあってもおかしくは無い。

 知っている面々の表情は固まった。知らない者は顔を赤くしたり、スバルを見たりだ。

 

「冗談きいとらへんで、アサギの言うことの八割は嘘やから気にせんでええ、ほんならなのはちゃんにフェイトちゃん、行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

「ナカジマ三佐とギンガによろしく伝えてね」

 

 三人の会話が終わり車が走りだす。

 

「行ってきますです〜!」

 

 リインの声を最後に、はやての車は走って行った。

 要人も大変だな、とクリスがうなずいている。

 一方スバルは心底安心したような顔をしていた。

 

 

 

 食堂にて、フォワード面々とシャリオが一緒にお昼ご飯を食べていた。

 大皿に乗せられたスパゲッティは恐るべき量だ。

 そんな中少しずつ食事をしているキャロ。

 

「なるほど、スバルさんのお父さんやお姉さんも陸士部隊の方なんですね」

 

「うん、八神部隊長も一時期父さんの部隊で研修してたんだって」

 

 スバルとエリオのさらには山ほどスパゲティが盛ってある。

 

「へぇ~」

 

「しかし、うちの部隊関係者繋がり多いですよね、隊長たちも幼馴染どうしなんでしたっけ?」

 

 ティアナが正面に座っているシャリオに聞く。

 パンを食べながらシャリオが返事をする。

 苦笑しながらも、クリスとミコトを一目見てから……。

 

「そうだよ、まぁアサギさん以外なんだけど、なのはさんと八神部隊長は同じ世界出身でフェイトさんも子供のころはその世界で暮らしてたとか」

 

「えっと確か管理外世界の97番」

 

 エリオの回答に肯定するシャリオ。

 

「97番ってうちのお父さんのご先祖様がいた世界なんだよね」

 

「そういえば、名前の雰囲気とかなんとなく似てますよね、なのはさんたちと」

 

 気になったのかクリスが食いついた。

 スバルが食事をエリオとクリスに分ける。

 相変わらず多いな、と思うミコトは食事を続けていく。

 

「そっちの世界には私もお父さんも行ったことないし、よくわかんないんだけどね」

 

 へぇ~、と返事をするエリオとクリス。

 

「あれ、そういえばエリオはどこ出身だっけ?」

 

「あっ、ボクは本局育ちなんで」

 

 食事をしながら答えるエリオに、スバルの視線が行く。

 そのエリオの隣にいるクリスも知っているのか頷く。

 

「管理局本局……」

 

 ティアナ、キャロ、シャリオがマズイという顔をする。

 ミコトは相変わらずの無表情だが食事の手が止まっていた。

 

「住宅エリアってこと?」

 

「本局特別保護施設育ちなんです。八歳までそこにいました」

 

 そこでスバルはようやく気付いた。

 マズイという表情。

 

<ばか>

 

 ティアナから念話が飛んでくる。

 そちらを見て慌てるスバル。

 

「あ、あの気にしないでください。優しくしてもらいましたし、全然ふつうに幸せに暮らしてましたんで!」

 

「あぁそうそう、そのころからずっとフェイトさんがエリオの保護責任者なんだもんね」

 

シャリオの言葉に、嬉しそうに頷くエリオ。

 

「はい! 物心ついた頃からいろいろ良くしてもらって、魔法もぼくが始めたころからはいろいろ教えてもらってて、本当にいつも優しくしてくれて、ぼくは今もフェイトさんに育ててもらってるって思ってます。フェイトさん、子供のころに家庭のことでちょっとだけさみしい思いをしたことがあるって……だから、寂しい子供や悲しい子供のことはほっとけないそうなんです。自分も、優しくしてくれるあったかい手に救われたからって……」

 

 しんみりとした雰囲気になるその場、決して暗いわけでは無い。

 正真正銘良い話なのだ。

 それに戸惑ってか、責任を感じてか、エリオが話を変える。

 

「そ、そういえばクリスさんも一緒だったんですよ!」

 

 その言葉に、えっ? と静かに驚く面々。

 そんなことは聞いていない。というより知らなかった。

 

「そうだったの!?」

 

 驚きの声を上げるスバル。

 戸惑いながら頷くクリス。

 

「あ、はい……エリオ君が4歳のころ、六年前からの知り合いです。ちょうどフェイトさんに保護された後で」

 

「えっ! えぇぇぇっ! ちょっと待ちなさいよ!」

 

 うろたえるティアナ。

 もっと驚いているクリス。

 どうしたの?とでも言いたげな顔のクリスに、むしろ戸惑う面々。

 

「え!? えぇ、どういうことよ!」

 

「えっと私が11歳のころからの仲で、私が15の時に訓練校に行ってそれからはあまり会えませんでしたね、それでも同じ部隊になって結構二人で話してたんですよ?」

 

 そんなことまったく気づかなかった。

 だが、なにかにハッ、と気づくティアナ。

 エリオもクリスも堅苦しい言葉づかいだったが、エリオとクリスが堅苦しい言葉をお互いに使ったところをみたことがない。

 

「なるほどね……」

 

 脱力したようにティアナがすべてを悟った。

 

「今はこんなに立派になりましたけど昔は可愛かったんですよ? クリスお姉ちゃん! って言って私の後ろついてきてですねぇ」

 

「わぁ~! それは良いから!」

 

「わっ、久しぶりにため口、昔はそうだったのにすっかり真面目になっちゃって……お姉ちゃんかなしいな」

 

 クリスが他人をからかっているところを見て、ほぇ~と驚くスバルとティアナ。

 キャロが少しムッとしている。

 それに気づいて笑うシャリオ。

 

「フェイトさんともその頃から少しだけど交流があって、私には保護責任者となってくれた人が先にいたんですけど、その人も滅多に会いに来れないからって結構私の相手とかしてくれてフェイトさんには恩があるんですよね」

 

 しみじみと思い出したように言うクリスに、スバルが興味深そうに話を聞いている。

 ティアナも驚きの連続で結構楽しかったようだ。

 ミコトも食事の手を止めて話を聞いていた。

 

「フェイトさん私に保護責任者がいないかと思って保護責任者になろうとしてくれたぐらいですから……尊敬してるんです」

 

「あぁ! だからクリスさんの武器って鎌なんですか?」

 

 そう言ったのはキャロ。

 図星だったのか、クリスは顔を真っ赤にしてそっぽをむいた。両手で顔をおさえているが、耳まで真っ赤なのでかくれていない。首輪をつけて、真っ赤な顔で顔を隠している。

 今回はミコトだけではない。ティアナとシャリオの背中にも、ゾクゾクとしたものが奔った。

 良くわからないが、凄まじい背徳感が襲う。ティアナとシャリオが何かを感じてミコトを見る。

 ミコトはただ、頷くだけだった。

 

 

 

 

 

 

———アニメ・第六話「進展」———




あとがき

さて、進展も終わったところで次回は進展!
進むと思った!? 次回はアサギの方って感じですね。
では、次回もお楽しみにしていただけたら嬉しいです!!
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