魔法少女リリカルなのはStrikerS~竜巻は翼を強くする~   作:超淑女

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第八話「進展・裏」

 昼過ぎの高速道路。

 昼食を食べ終えたアサギは車に乗ってその高速道路を走っている。

 まぁ、あくまで座っているのは助手席であって運転しているのはミナトだ。

 なにかデータをいじっているアサギに、ミナトが声をかける。

 

「地上本部に行くのには、なにか理由が?」

 

 そんな言葉に、ニッと笑ったアサギが返答。

 

「レジィパパにお願い♪」

 

 相変わらずの猫かぶりで返してくるアサギに、大して気にした様子も無いミナト。

 そうですか、と返すと微笑して前方を見る。

 

「本当にレジアス中将がお好きですね」

 

「パパだからね」

 

「違うでしょう」

 

 当然のようにミナトが発したその一言に、頬を膨らますアサギ。

 その仕草を横眼で確認して笑うミナト。

 おしとやかに微笑む彼女から、戦闘時の様子は想像できない。

 

「別に血がつながってなくたって親子みたいなものだよ」

 

 少し真面目な表情になったのを確認すると、ミナトは穏やかな表情に変わった。

 別段文句を言うこともなく、ただそれを認識する。

 

「まぁアサギさんのおかげで六課後見人としてレジアス中将も名乗りを上げてくれたわけですからね。八神部隊長をあまり好いてないご様子ですが……」

 

「そんなことないよ……レアスキル持ちとか嫌いだけど、はやての実力は良く認めてる」

 

 そう言うアサギの表情は、真面目なものだった。

 何かがあるのだろうということはおおよそ見当もつくし、そもそもアサギ自体が“レアスキル持ち”なのだからレジアス・ゲイズがレアスキル持ちのすべてが嫌いというわけじゃない。

 ミナトはそんなアサギを横目に確認すると頷く。

 

「私は他の用事がありますので行きますよ?」

 

「うん、あっ……その前にどっか寄ってくれる?」

 

 いつものアサギに戻っている。

 アサギの傍で長い間、副官としているので理解していた。

 まぁ仕事関連はミナトがしっかりとやっているが“管理局の厄介者”をしっかりと管理しているのは(アサギ)だ。

 しっかりと管理できる管轄は地上だけだが、本局は使えない厄介者は地上にやる。

 アサギはそんな“管理局の厄介者の厄介者”を見つけてその才能を見出す。

 

「まぁ本当に使えない相手には酷い方ですがね」

 

 つい口に出てしまった。

 それに気づいて、アサギがミナトの方を見る。

 

「ん~“みんな”のこと?」

 

 さすが、あの一言だけで理解したかと頷く。

 アサギが楽しそうに笑う。

 まるで処女(おとめ)のような、純粋無垢な笑顔。

 

「私は“つかえない子”を見捨てるんじゃないよ。諦めてる子が嫌いなんだよ」

 

 こんな真面目なことを言い出す。

 ミナトも最初は戸惑うこともあったが、今では馴れたものだ。

 

「本当に、次の行動が読めませんね」

 

「だからこそ人間は面白い……ってね?」

 

 本当に、心底楽しそうに言うアサギ。

 こんな可愛い“変態”でも好かれる世の中。

 世も末だと———そんなことを考えて微笑した。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 地上本部指令室にて、レジアス・ゲイズ中将が座っていた。

 そしてその隣にはいつも通り娘であり秘書でもあるオーリス・ゲイズ。

 そんな部屋のブザーが鳴る。

 

「通せ」

 

 レジアスの声でドアが開かれる。

 銀髪を揺らしながら入ってくるのは“彼”だ。

 

「きゃる~ん☆」

 

 入ってきてそうそうに決めポーズ。

 広い部屋にアサギの女性らしい声が反射する。

 オーリスが深いため息を吐くが、それと反対にレジアスは嬉しそうな顔をした。

 我が子が帰ってきたような反応だ。

 

「アサギちゃんだよ~」

 

 そう言ってレジアスの机の前に立つと、片手に持った紙袋を置く。

 

「おぉ、久しぶりだな」

 

「パパ~まだ三ヶ月しか経ってないよ?」

 

「オーリスと違って毎日会えるわけではないからな、それに以前来た時はあのチビ狸も一緒だったではないか……家族水入らずを邪魔しおって」

 

 むすっとした様子で言うレジアス。

 オーリスの眉毛がピクッと動いた。

 それに気づいたアサギが楽しそうに目を細める。

 

「まだオーリスのファザコンは治ってないんだ?」

 

「ふぁ、ファザコンなどとっ、私はそのような」

 

「もぉ固いよ、オーリスは」

 

 少し咎めるように言うアサギ。

 アサギとレジアスは親子同然のような間柄だ。

 もちろんそれはオーリスとて同じ。

 

「管理局局員としての自覚を」

 

「局員でも家族は家族でしょ」

 

「オーリスの強情っぷりは小さい頃から変わらん」

 

「お、お父さんまで……」

 

 レジアスの言葉で顔を赤くする。

 さらにお父さんと呼んでしまったこともあり言葉も出なくなった。

 そんな様子を楽しむアサギ。

 

「今日ははやては来てないんだよね、108部隊でお話だって」

 

「108……その部隊は、そうかあの事件の———」

 

「うん、ナカジマ三佐がいる」

 

 顔をしかめるレジアス。

 その理由はアサギにもオーリスにもわかっていることだ。

 何度か頷いて、レジアスの前に回ると膝上に座る。

 

「元気出してよ、機動六課設立の件とかで色々してくれたじゃん」

 

「それで償いになるとは思えんがな」

 

「俺はなると思う」

 

 真面目な表情で断言するアサギ。

 レジアスは眉をひそめるが、すぐに苦笑した。

 

「そうだな、少しづつなら返せるやもしれぬしな」

 

 うん。と返事をして頷くアサギ。

 だが直後、オーリスがアサギの腕をつかむ。

 

「ん、どうしたのオーリス」

 

「過度なスキンシップは控えなさいアサギ」

 

「おっ、名前で呼んだ———てか、なんで?」

 

 不思議、と言わんばかりの顔をするアサギだが、オーリスは真面目な表情だ。

 真面目に身内を注意している。

 

「前お父さんとアサギで出かけた時のこと忘れたんですか?」

 

「あぁ、あの週刊誌に撮られた奴?」

 

「そうよ、娘は私一人しか居ないってこととお母さんが死んじゃったこともあって援交疑惑がたてられた時は大変だったでしょ?」

 

 深々と頷くアサギ。

 自分が傷ついているかと思ってミナトが励ましてくれたぐらいだ。

 モザイクで隠された自分の正体が自分だとわかった友人には本当に援助交際しているのかと疑われたりもした。

 あの時は―――。

 

「大変だったよね」

 

「なら止めなさい。止めてください」

 

 仕事口調に戻ったオーリスを見て、頷いた。

 他人の不幸が嫌いなわけじゃないアサギだが、さすがに身内のそういうことは嫌いだ。

 

「おぉ、そう言えばあのチビ狸の部隊は大丈夫か?」

 

 その言葉に頷く。

 一安心というように息を吐くレジアス。

 

「なにかあったら知らせろ、あんなチビ狸わしが締めあげてやる」

 

「それは楽しそうだけど大丈夫」

 

 その言葉に頷くレジアス。

 本当に過保護であると、オーリスはため息をついた。

 家族三人だということを彼女も訂正する気はなく、本当の家族のように三人は話して笑う。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 シャリオ・フィニーノとフェイトが暗い一室でガジェットの残骸データを調べている

 モニターに映るガジェットの残骸。

 それの映像の一つを拡大している。

 

「ドクター、ジェイル・スカリエッティ……ロストロギア関連事件を初めとして、数え切れないくらいの罪状で超広域指名手配されている。一級捜索指名の次元犯罪者だよ」

 

 ジェイル・スカリエッティの映像が現れる。

 その隣に表示される数々の事件。

 

「次元犯罪者?」

 

 シャリオは驚いたように言う。

 

「ちょっと事情があってね、この男のことは何年か前からずっと追ってるんだ」

 

 そうやすやすと話せない事情。

 フェイトはそれゆえにジェイルを追っている。

 

「そんな犯罪者が、なんでこんなわかりやすく自分の手がかりを?」

 

「本人だとしたら挑発。他人だとしたらミスリード狙い、どっちにしても私となのはがこの事件にかかわってるって知ってるんだ。だけど、本当にスカリエッティだとしたらロストロギア技術を使ってガジェットを製作できるのも納得できるし、レリックを集めてる理由も想像できる」

 

 フェイトは忌々しそうに言った。

 いや、実際に忌々しいのだろう。

 

「理由?」

 

「このデータをまとめて急いで隊舎に戻ろう、隊長達を集めて緊急会議をしたいんだ」

 

「はい、今すぐに」

 

シャリオはモニターをたたき出した。

モニターに映った男の顔を、フェイトは苦虫をかみつぶしたような表情で見ている。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 地上本部から出てアサギは歩いていると突然通信が入る。

 アサギが髪を後ろに払う。

 制服の首元のボタンを外すとそこには黒い首輪があった。

 首輪についたクリスタルが光る。

 

「通信か……」

 

 アサギの眼の前に空中モニターが現れた。

 そこに映るはやて、居酒屋のようだ。

 

『帰ってフェイトちゃんとお話ししてくれへん?』

 

「第一声がそれかはやて」

 

『なんや、猫かぶりはどないした?』

 

 はやてが苦笑する。

 いつものテンションじゃないというのは確かだ。

 アサギは少し頭を押さえる。

 

「いいから……」

 

『そか、まぁとりあえず早く帰ってフェイトちゃんと会議を頼みたいんや』

 

「はやては?」

 

『Wナカジマと酒盛り』

 

 その言葉に、ゲンヤからツッコミが入ったのが聞こえる。

 アサギは頷いた。

 だが少し考えてみる。

 

「わかった。でも俺で良いの?」

 

『安心できる人も一緒や』

 

 はやての言葉と同時に、隣に車が止まった。

 クラクションが鳴りビクッとして車を見るアサギ。

 窓が開くとミナトがいた。

 

「ほんと、用意周到だねはやてちゃん」

 

『ありがとさん、じゃよろしく頼むわ』

 

「ポンコツ部隊長」

 

 その言葉と同時にモニターを切る。

 車に乗ると、すぐに車を走らせるミナト。

 

「八神部隊長、食えない方ですか?」

 

「まったくその通りだよね。こっち側にしては凄いよ」

 

「八神部隊長を褒めるなんて珍しいですね?」

 

 そう言われてそうだね、と笑った。

 確かに珍しいかもしれない。

 アサギはミナトを見る。

 

「どうしたんですか?」

 

「ミナトもこっち側にしては凄いよ?」

 

「ありがとうございます」

 

 楽しそうに笑って答えるミナト。

 二人を乗せた車は、まっすぐに六課へと走る。

 

 

 

 

 

 

———アニメ・第六話「進展」———




あとがき

こんかいは短めです! もう少しボリューム増加したいんですが、昔のを手直しで出してるだけなのでどうにも(汗
昔のがなくなったら一話がもっと長くなると思いますので、応援お願いします!

では、次回をお楽しみに♪
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