河童が実力至上主義の学校で色々やらかす話 作:河童はきゅうり好き
6月になって二週間ほどたった時……
にとりとことねの元にある人間が訪れていた。
「おやおや、龍園と愉快な仲間たちじゃないか? 怪我はもう治ったから、リベンジに来たのかな? なら、少し待っていてくれないか? 見れば分かると思うけど今お仕事中なんだ。君たちに構う時間はないんだ」
そう言う彼女の足元や机にはボルトやはんだごてなど、機械製作に使うものが雑に置かれており、散らかっていた。女の子感皆無の部屋である。
「汚ねえなぁ~。同じ人間としてどうかと思うぜ?」
龍園は挑発を交えてそう言った。龍園の狙いは2つあった。1つは河城にとりの弱点を見つけること。前回の戦いで堂々と戦うのは明らかに分が悪いのは理解した。ならば、別の手を使えばいい。不意打ちをしようが、精神的に痛めつけようが最終的に勝てばいいのだから。そのためにも、彼女の情報を集める必要があった。
2つ目は単純に客として来たのだ。Dクラスや他のクラスを己の策略に嵌めるための下準備として開発して欲しいものがあったからだ。
「別にそんなことを言われたところでね。私にとって機械を開発することの方が大事だし、そういうの求めてないし、私には盟友だけで十分だから」
(嬉しいこと言ってくれるじゃないか~このこの)
〈……本当にそう思ってるよ、私は。こんなに素をさらけ出してるのはにとりだけだよ。いや、にとりがいるおかげでこうやって素をさらけ出すことが出来たんだよ。周りのカモ共にも。〉
(いやぁ、盟友も中々酷いよなぁ。ある意味私がやっていた商売よりもえげつないよ。ギャンブル中毒者を何人も生み出すとか……)
〈でも、にとりとしても良かったでしょ? 金はアホな人間から勝手に供給されるし、何よりあのスーパーAIの製作は中々凄い課題だったでしょ? 〉
(あれの開発には手間取ったよ。まさか、開発途中にどこかの核爆弾をハッキングしているとはね。ボードゲームのことしか考えられないようにするのには苦労したよ。盟友が早めに気付いて無かったら大事だったよ)
〈本当にあれには驚いたわ。偶々画面見てみたらアメリカの核爆弾がロシアを標的にして飛んでいきそうだったんだから。AIが完成したら人間を滅ぼすために動くという噂は本当だったんだな。あと少しで第三次世界大戦が始まってたよ。危ない危ない〉
「ふ~ん? まあいい。今回はお前に喧嘩を吹っ掛けにきた訳じゃねえ。ある物をもらいたくて来た」
「なるほど……つまり、今日はお客様として来たという訳か。じゃあ、聞くけど何を作って欲しいんだい?」
「簡単だ。お前がもう既に作ったことがあるであろう、姿を隠すことが出来る道具を寄こせ」
「……何の話かな? 何を根拠に作ったことがあるって? まあ、もう1人の私ならそんな物作れるだろうけど」
「いやぁ……よくもやってくれたもんだ。俺は何故お前にやられたのか……そう考えてみてどう考えてもおかしいのはスカートだ。だから、下僕の女どもにプールの授業の時にお前の制服を調べさせたんだよ。そしたら、出てきたんだよ。姿は見えないが、銃のような形状をした透明の物体がな」
「うわぁ、人の制服を調べさせるとか変態だねぇ? まあ、あんたが根拠を持ってきて言いに来たのは褒めてあげる。それで、購入するための費用はきちんと持ってきたわけ? 光学迷彩の購入には80万プライベートポイントだよ? あんたがポイントを徴収していたところで足りるわけがないでしょ」
(でも、盟友。1つ懸念点があるんだよ。ここ最近、ギャンブル中毒者からの供給が追い付いてないほど、荒稼ぎされている感じがするんだよねぇ。あのスーパーAI)
〈……それがこいつのせいかもってことかな? はっきりと言うとこいつではないと思うよ。こいつの場合だったら挑発とかしてきそうだから。〉
(まあ、このまま荒稼ぎされたら困るから一旦停止させた方が良いと思うよ? 既に150万は被害に遭ってる。しかも、プログラムの勝敗を見てみるとその原因は1人だけだから。でも、あのスーパーAIを倒している相手だと考えると、このままじゃ被害総額の方が大きくなる)
〈……分かった。いい案だと思ったんだけどなぁ。カモにされていたのはこちらだったか。にとり、今日を持ってそのサイト閉鎖しといて。そいつは多分天才級の実力を持ってる。〉
(うん。金を極限まで奪われるのなんてあの巫女だけで十分だよ。スーパーAIの方の動作はどうする?)
〈停止しといて。私たちの目がない間に何をしでかすか分かったもんじゃないから。そのAI〉
彼女たちが龍園たちから目を背けてそんな話をしていたからか、龍園はことねを脅しにかかった。
「いいのかぁ? そんなことを俺に言って? 俺にそんな口を叩かないで素直に渡すのをお勧めするぜ? お前が恥をかく前にな」
「へぇ……言ってみてよ。面白そうだから」
「お前が下着を履かずに学校に来ていると学校全体にばらしてやってもいいんだぜ?」
〈ああ、そういえばもうこれに慣れてきたから忘れてたけど、下着なんて全く履いて無かったな。〉
(まあ、私の姿になっちゃったからね。まさか、そこまで反映されるとは思ってなかったけど)
実はことねもにとりの姿に変わった最初期は下着を履いていた。だが、下着を履いていると何故か違和感を感じるのだ。何かしっくりこないという気持ち悪い気分をずっと味わっていた。だが、ある物を着ていれば違和感は消え去ったのだ。それ以降、ことねは下着の代わりにそれをずっと着用していた。
「クククッ、女どもから聞いた時は驚いたぜ? 制服の確認の時に下着が全く見当たらなかったという報告を受けたときはよ。あのスカートをたくし上げた動作は本当は俺たちのことを誘っていやがったのか? このビッチが」
「別にそんなつもりはないんだけど。というか、私は誰にも体を許すつもりなんてないし。セクハラ発言はほどほどにしてくれないかな?」
「変態にそんなことを言われてもな。まあ、だがこのことを学校の掲示板に流して困るのはお前だぜ? 客引きがみるみるうちに減っていくだろうな? そうなりたくないなら、今ここで賢い選択が出来るはずだぜ?」
龍園は勝ち誇った顔でそう言ってくる。普通の人間ならその一言で勝敗が決まっていたであろう。この情報世界でそんな情報が流れればどうなるかは想像に難くないからだ。だが、この少女は良くも悪くも天才であり、天災なのだ。龍園は別の意味で驚くことになる。
「うん? 別に言えば? もう1人の私の発明がいかに優秀かはもう知れ渡ってるし、あんたがやったことはもう既に学校掲示板に映像付きで送信しといたからあんたの方が今頃変態で知れ渡ってると思うよ?」
監視カメラには自動送信機能があり、龍園の発言は全て録画されていてしかも、その映像はことねかにとりが帽子に付いているボタンを押すだけで送信するのだ。つまり、龍園は脅していたつもりが恥をかく羽目になったのだ。
「……取り合えず光学迷彩は作れるんだな? なら、レンタルで貸してくれるならばいくらで貸して貰える?」
「あー、なるほど。レンタルか。なら、一回3万でいいよ。これなら、Dクラスの金を残している奴からもポイントを奪えるからね。じゃあ、あんたたち用に2日で作り上げておくよ。後日あんたたちがいつも行っているカラオケルームで渡すから」
龍園は彼女への仕返しに変態だということを必ず拡散させてやる。これから坂柳にいじられてしまうことを考えると殺意が彼女に湧いたが、真正面から戦っても勝てないことが分かっているため、不完全燃焼の気持ち悪い気分のまま部屋を出ていったのだった。
龍園は2回目の恥をかいた。これから彼が彼女に勝つことはあるのだろうか。頑張れ龍園。傷はまあまあ深いぞ。
〈ハァ……面倒臭いなぁ。教師共が遂に目障りになってきてポイント集めがやりにくくなったんだよなぁ。AIの方も誰かに荒稼ぎされてるみたいだし、本当に邪魔になってきたら……消すかな。〉
(そうだな~。教師を買収するってのはどうだい? 賄賂じゃ意味ないだろうし、私が何か生活に役立ちそうな物でも作っておけば陥落するでしょ)
〈それもそうだね。じゃあ、本当に監視以外の何かをやられたらどうにかしようか。〉
にとりとことねは生徒だけではなく教師にすら魔の手に掛けるらしい。そして、彼女たちに一番に陥落するのは意外な人物であった。
ことねとにとりは常時スクール水着を下着の代わりに着てます。なので、プールの授業にもそのまま出てます。龍園の命令で女子が制服を調べようとした時に下着がないと報告したのはそういうことです。
ちなみににとりが作る機械は公式設定で全部防水性が完璧らしいので、スクール水着が濡れていたとしても、壊れることはないです。