河童が実力至上主義の学校で色々やらかす話 作:河童はきゅうり好き
〈〉:オリ主
「」:普通の会話
入学式
にとりはバスの中で揺られながらパートナーと思考にふけっていた。
(なあ、盟友。次はどんな物を開発しようか。私としては次はF-ZEROの乗り物を開発してみたいな)
〈にとり、開発するのはいいけど、ちゃんと周りの目は考えてよ。にとりが作る物ってオーバーテクノロジー過ぎて周りがついていけてないから〉
(でも、盟友も私の発明品には興味あるだろう?)
〈これはこれ、それはそれだよ。私だってにとりがかつて作ったっていう、ロボットとか見てみたいけど……ああいうのはこの現代で目をつけられたら面倒なことになるって何回説明したら分かるの? そのせいで何回警察のお世話になりかけたことやら〉
(この世界はこの世界で面倒くさいなー。まさか、椛の代わりになるような奴らがいるなんてね。まいったもんだよ)
〈言っとくけど、私の中学校は田舎の方にあったからあの程度で済んだけど、今から行く学校は都会にあるんだから、あんな処罰では済まないんだからね。せめて、私たちのせいだってバレないようにしてよね〉
彼女たちがそんなことを頭の中で話していると、とある声が聞こえてくる。
「席を譲ってあげようとは思わないの!?」
にとりたちはこの言葉が聞こえた方向に目を向けた。社会人と思われる女とこれから通う学校の同級生であろう男性が言い合いをしていた。
その様子をしばらく見ていたにとりたちだったが、どんどん自分の持論が論破されていく女性を冷めた目で見ながら、こんなことを考えていた。
(馬鹿だなーそういうもんは自分の手で勝ち取っていくもんさ。他人から譲ってもらおうだなんて考えている時点で甘えだよ)
〈まあ、あの女は自分の社会的地位をあげようとしていたみたいだけど、相手が悪かったわね。逆に恥をかいて馬鹿みたい〉
にとりと彼女はとても波長があっていて、対立することは少ない。何かしらのトラブルなどに遭った時、2人とも基本最初に考えることは自分にとって利益のある事柄かどうかである。
そして、にとりが異変の影響で憑依することになってしまった彼女は重度のオタクである。その彼女のオタ知識とにとりの技術が噛み合って最強に見える。そんなことになってしまった。それほどの相性の良さなのだ。
これからも、彼女たちの仲が壊れることはないだろう。それほど、2人は互いをパートナーと言うほど噛み合っていたのだ。
(じゃあ、盟友。今回も任せたよ)
〈別にいいけど……いいの? このままずっと私に任せていて。にとりのコミュニケーション能力の向上にならないけど。〉
(良いんだよ! 発明と運動は私が、アイデア出しとコミュニケーションは盟友がって、そう決めたじゃないか。互いが互いの欠点を補填したり、互いの長所をさらに活かしたり、私たちはそういう関係だろう?)
〈まあ、私は別にコミュニケーションが得意ってわけじゃないけどねー。にとりが少し人間に対して慣れてないだけだと思うよ。未だににとりが妖怪だってことが私には信じられないんだけど。むしろ、にとりの方が人間らしい人間だと思うよ。自分の欲に常に忠実なところとか、自分よりも強い相手に遭遇したら真っ先に逃げるところとか〉
(そう褒めるなよ盟友。顔がにやけちゃうじゃないか)
〈今はにやけないでね。気持ち悪い奴だって思われちゃうから〉
(安心してよ、盟友。皆が気持ち悪いって思っても私だけは君を見捨てないからさ! というか今の状態だとと融合してるようなもんだから私にも被害が及ぶし……)
〈それ何のフォローにもなってないってことにお願いだから気付いて〉
彼女たちが脳内でそんなたわいもない話をしている間にその騒動は収まっていたようで、彼女の出番が来ることはなかった。
(あちゃ~気付いたらもう騒動終わっちゃったじゃないか。せっかくあの発明品を試してみようと思ったのに……)
〈あの発明品って? 〉
(いや、盟友には話してたよね? 博麗神社って所で宴会をしてたって話。その時に酔っ払った勢いで作った発明品があってね。その実物は幻想郷に残ったままなんだけど、構造は分解して改良した状態で記憶しておいたからね。何とか試行錯誤して入学式とやらまでに完成させておいたのさ)
〈ふ~ん。にとりがその幻想郷……って場所にいた時の発明品かぁ……ちょっと興味あるなぁ。〉
彼女がそう脳内で言ったタイミングでバスが到着したようで、彼女と同じ学校に通う生徒たちがバスから降りていく。彼女もその後についていくようにバスから降りた。
バスを降りた後、彼女はすぐに教室に向かおうとした。しかし、1人の男子生徒から呼び止められた。よう実チーターの1人こと主人公綾小路である。
「なあ、聞きたいことがあるんだが……」
「……何?」
話しかけられるならば、教室の中だろう。そう考えていた彼女の足が止まる。
「さっきからお前は誰かと会話しているのか? 少なくとも、俺が見た感じでは周りの人間と話しているわけではなさそうだが……」
「えっと……何の話です? 頭大丈夫ですか? 病院行きます?」
〈にとり……この人頭大丈夫かな……。私たちのことって誰にも分からないはずじゃなかったっけ? 〉
(う~ん。幻想郷の住人なら表に出ているのは私の姿だから誰でも分かるとは思うけど……最低でもこの人間は私の知り合いではないかな)
〈じゃあ、どうする? さっさと逃げる? 少なくとも不気味だから関わりたいと思える人じゃないし〉
(いや、待つんだ盟友! こういう時こその私の発明品さ! 彼が思っていること……解き明かしてみたくないかい?)
〈解き明かしてみたい! この目に光がない人間が何を思っているのかはとっても気になるよ! 〉
若干クズいことを話しているが、彼女たちの好奇心から来る発言である。決して綾小路を馬鹿にしているわけでは無い。
「オレの頭は大丈夫だが、迷惑をかけ……たらしいな。悪い、忘れてくれ」
「悪いという自覚があるならさぁ……ちょっと付き合ってくれないかな? 私……私たちの実験に」
〈それで……何をすればいいの? にとり! 〉
(焦るな盟友。まずは君のポケットに仕込んでおいた機械を取り出してくれ。右のポケットの近くにあるよ。それをこいつの心臓付近に取り付けるんだ)
〈心臓だね! 分かった! 〉
「おい、何をするつもりだ?」
「動くな。あんたに多少なりとも罪悪感があるなら一歩も動くな。上手く取り付けれないじゃないか」
〈取り付けたよ、にとり! それでこの機械はどんな機械なの? 〉
(フフフッ、聞いて驚くなよ盟友。これはね、その機械を取り付けた人間が一体どんなことを考えているのかが分かる機械なんだ! 悟り妖怪のさとりに協力してもらって作れた私が幻想郷で作った発明の中でもかなりの逸脱品だよ! 工具とかは無かった癖にこの機械は何故か近くに置いてあったんだから不思議だよねぇ? まあ、疑うよりも受け入れる精神が幻想郷では大事だったからね。もう、慣れっこだよ)
〈心が読める……かぁ。しんどいだろうし、私はいらないかな。常に人の心なんて読めたらなんか病みそうだし。この機械に頼った方がよっぽど健全だよ。〉
(まあ、そんなことはどうでもいいか。私にとっても、盟友にとっても。取り合えず彼と何か話してみてくれ。結果は後で見せようじゃないか)
「よし! これで準備完了! さてと、教室に入るまでの時間もまあまああるみたいだし、少しお話しようか」
「その前にこの機械が何か教えてくれないか? 急にこんな物を付けられて困っているんだが……」
「いや、別に……だって説明しても多分誰にも理解されないだろうしね。そうだな……強いて言うなら少しデータが欲しいんだ。高校男子の心臓がどれくらいの速度で動いているのかとか……ね」
「そんなことを知って何になるというんだ?」
「さぁ? 私にも分からないよ。ただ、こうすると何か面白いことが起こるよって、昔占いをしている婆ちゃんに言われたことを今思い出してやってみてるだけだよ」
「占いって当たるのか? 俺にはよく分からないんだが……」
「知らないよ。信じるも信じないもその人間次第でしょ。私は一応信じてる派だよ」
〈こんなもんでどうかな、にとり? ある程度話せたと思うんだけど……〉
(うん。問題ないよ。じゃあ、その機械はきちんと回収しておいてね。その機械に関してはさとりの協力がないと作れないから、幻想郷の皆と未だに会えてない現状だと貴重な物だし。替えが利かないってのが辛いところだね)
〈了解。教室には五分前には入っておきたいし、回収はとっとと終わらせよう。〉
「じゃあ、その取り付けた機械外すから動かないで。動いたら許さないから」
「……早く取り外してくれ……」
彼女は綾小路の心臓の位置に取り付けた機械を取り外して、ポケットの中に入れた。
「じゃあ、あんたにはもう用はないから。さよなら」
彼女はもう用済みだと綾小路に対して言い切った。とある事情から彼女がこの時の発言に頭を悩ませることになるのは別の話である。
「もしかして、オレってモルモットにされていた……のか……?」
綾小路の悲し気な声は学生たちの騒騒しさに打ち消され、彼女たちに聞かれることは無かったのだった。
今回の幻想郷で起きている異変の副作用である外の世界の人間への憑依は東方憑依華をリスペクトしました。