それでは、早速プロローグを始めていきます。
プロローグ
『地球』によく似たとある星、『惑星クレイ』。この星では神や悪魔などを含めた様々な存在が生活をしており、魔法と科学が共に研究された事で、それらが技術として確立をしていた。そして、『惑星クレイ』には幾つかの地域があり、その地域と同じ数だけの国家と一部を除いてそれぞれの国家に属する集団である『クラン』が存在した。『クラン』にはその『クラン』特有の能力や得意とする戦術、文化などが存在し、『クラン』に所属する種族もまちまちだが、その『クラン』を代表するユニットもいるため、それらのユニットによる『クラン』同士の交流なども盛んに行われていた。
そんなある日の事、『ユナイテッド・サンクチュアリ』という国家に属する『クラン』の一つである『ロイヤルパラディン』のユニット、『ブラスター・ブレード』は城下町から少し離れた荒野にて珍しい来客を迎えていた。
「……あなた方が揃って訪ねてくるとは珍しいな。『
「……ああ、そうだな」
「いつもであれば、『リンクジョーカー』からの伝令は私がまとめて伝えていますから、たしかに珍しい事ですね」
「しかし、此度ばかりはそのような事をしている場合ではない。それだけの出来事が我々の身に起きようとしているのだ」
「それだけの出来事……一体何があったというのだ?」
その『ブラスター・ブレード』からの問い掛けに、『リンクジョーカー』のユニット達は顔を見合わせた後、頷き合ってから事の次第を話し始めた。
「先日、『ディメンジョンポリス』のユニットから、時空の歪みを検知したが、それは我らの仕業かと訊かれたのだ」
「もちろん、私達新世代の『リンクジョーカー』はそのような真似をするはずはありませんし、『
「この『惑星クレイ』のユニット達の強さを知る前ならいざ知らず、かつて『惑星クレイ』を滅ぼそうとした我らを特例で仲間として迎え入れてくれた者達を危険に晒すなどという真似はするわけが無いからな」
「まったくだ」
「ならば、どうしてそのような事が……?」
『ブラスター・ブレード』のその疑問に対して『ハーモニクス・メサイア』は少し顔を曇らせながら答えた。
「私達もそれに疑問を抱き、独自に調べていたのですが、ここで名前が挙がってきたのが『
「『星輝兵』……!? しかし、『星輝兵』も今では『根絶者』や『星骸者』と同様に我らの仲間となっているはずでは……!」
「はい、その通りです。しかし、それはあくまでも
「この世界では……という事は、まさか平行世界の『星輝兵』達がこの世界に侵攻してこようとしているというのか? しかし、どうして……」
「そこまではわからん。だが、『星輝兵』達は以前の自分達ならば、『惑星クレイ』を侵略出来ていれば、平行世界の『惑星クレイ』をも手中に収める事も考えていたと言っていた」
「そんな事を……」
「そして、もしも時空の歪みが平行世界の『星輝兵』の仕業ならば、恐らく敵は『星輝兵』だけではない。『星輝兵』が世界を越えて侵攻するまでに勢力を持っているという事は、平行世界の『メサイア』達や我ら、他の『クラン』達も操られている可能性はある。今となっては使わないと言っていたが、『星輝兵』達は『虚無』を打ち込む事で他の者達を“
「たしかに……」
「なので、もしもそのような事態になっても良いように私達も少しずつ動き始めています。今のように他の『クラン』に注意喚起を行ったり、『ディメンジョンポリス』や『ギアクロニクル』に手伝ってもらいながら『星輝兵』達に時空の歪みが発生していないか監視をしてもらったりなど様々な行動を起こしています」
「我々は伝聞でしか知らないが、当時の出来事の凄惨さはわかるつもりだ。
「遊星ブラントからの侵略者であった我らが言えた事ではないがな。しかし、今の我らはお前達と同じように平和を愛している。それだけはたしかだ」
「……わかった。では、この事は私の口から他の『ユナイテッド・サンクチュアリ』の『クラン』の皆にも伝えておこう。わざわざ伝えに来てくれてありがとう」
「いえ、これは私達の仕事でもありますから」
『ブラスター・ブレード』の言葉に『ハーモニクス・メサイア』がニコリと笑いながら答えていたその時、「ここにいたか!」という声が空から聞こえ、『ブラスター・ブレード』達は上空に視線を向けた。すると、そこには『スターゲート』という国家に属する『ディメンジョンポリス』のユニットである『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』と『ダークゾーン』という国家に属する『ギアクロニクル』のユニットである『クロノジェット・ドラゴン』の姿があった。
「二人とも、一体どうしたというのだ?」
「何やら焦っている様子ですが……まさか、また時空の歪みが発生したのですか!?」
「いや、それよりも
「先程、我ら『ディメンジョンポリス』と『星輝兵』のユニットで監視を行っていたところ、この世界を含めた多数の平行世界で時空の壁に大きな穴が空き始め、その穴同士が次々と結合し始めているのだ」
「穴同士が……」
「穴が空いた理由は、まだわかっていないのか?」
「まったくわからない。ただ、たしかな事はこのままでは本来バラバラなはずの平行世界同士が一つになってしまい、本来出会うはずが無かった存在同士が出会い、世界中が混乱の渦に巻き込まれるという事だけだ」
「本来出会うはずが無かった存在達……それは、まさか──」
その時、『ブラスター・ブレード』達の視界は突如発生した白い光に包まれ、『ブラスター・ブレード』達は目を守るために目を閉じた。そして、光が消えていくと同時に、『ブラスター・ブレード』達が目をゆっくりと開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。
「なっ……!?」
「私達が……何人も……!」
「これは一体どういう事だ……?」
何人もの『ブラスター・ブレード』達が揃って疑問の声を上げる中、それを見ていた『ハーモニクス・メサイア』の内の一体が驚きながら声を上げた。
「まさか……この『ブラスター・ブレード』さん達は平行世界の『ブラスター・ブレード』達、ということですか……!?」
「……この光景を見る限り、そのようですね。私達は『スターゲート』の領域内で話をしていたはずなのに、『ユナイテッド・サンクチュアリ』の領域内にいるのが何よりの証拠です」
「なるほどな……しかし、この光景を見る限り、どの世界の我らも同じような顔ぶれで話をしていたようだな」
「そのようだな」
「つまり、ここに集まっているどの世界でも『リンクジョーカー』のユニットは『惑星クレイ』のユニット達から受け入れられたという事か」
「そういう事になるだろうな」
平行世界の『絆の根絶者 グレイヲン』が頷きながら言う中、平行世界の『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』は難しい顔をしながら腕を組み始めた。
「しかし……危惧していた複数の世界の一体化が起きてしまった以上、いかなる手を使ってでもこの事態を解決しないといけないというのもまた事実だな」
「そうだな……」
「それに、度々時空を歪ませていた奴の正体だって明らかにしないといけない。もしも本当に平行世界の『惑星クレイ』を侵略し終えた『星輝兵』の仕業なら、それを迎撃する手段も講じないといけないからな」
「平行世界の『星輝兵』……なるほど、平行世界の俺達も同じ考えだったか」
「どうやらそうみたいだな。だが、どうやってまずはこの事態を収束させる? 今、世界中では同じユニット達があちらこちらに出現するという異常事態が発生して、絶対に混乱しているはずだぞ?」
「それはたしかに……」
「それに、時空を歪ませていた存在の特定や来るかもしれない平行世界の『星輝兵』達の侵略を防ぐための監視も必要だ」
「そうだな……」
複数の世界のユニット達が現在の状況について頭を悩ませていたその時、『……か、ちゃん』と誰かを呼ぶ少女の声が『ブラスター・ブレード』の頭の中に響いた。
「なっ……い、今の声は一体……!」
「『ブラスター・ブレード』、どうかしましたか?」
「今、少女の声が聞こえたのだが、皆には聞こえなかったか?」
「少女の声……?」
「私には凛々しい少女の声が聞こえましたが、もしやそれでしょうか?」
「凛々しい少女の声……? 我には大人しそうな少女の声が聞こえたが……」
「我は元気そうな少女の声が聞こえたな」
「俺もそうだ」
「私には可愛らしい少女の声が聞こえたな」
平行世界の『ハーモニクス・メサイア』や『遊星骸神 ブラントリンガー』が『ブラスター・ブレード』と同じように少女の声が聞こえたと言う中、『ブラスター・ブレード』はこの不可思議な状況について考え始めた。そして程なくして『ブラスター・ブレード』はハッとしながら一つの言葉を口にした。
「『PSYクオリア』……!」
「『PSYクオリア』……この『惑星クレイ』の住人だけでは決めかねる事態が発生した時、『地球』の先導者に導いてもらうため、その先導者候補と『惑星クレイ』をシンクロさせるという能力ですね」
「つまり、この状況は我々だけでは解決に導けないから、『地球』の先導者候補に力を貸してもらう必要があるという事か」
「しかし、どうやって先導者候補に声を届けるのだ?」
「……『PSYクオリア』は、『惑星クレイ』と『地球』の二つを繋ぐ力を五感で直接感じ取れる力なのだという。ならば、声が聞こえた私達はこちらからの声が届くようにひたすらに祈る。それしか今は道が無いからな」
「……わかった。ならば、声が聞こえなかった我々は他の『クラン』への説明などに回ろう」
「そうだな。他にも声が聞こえたユニットがいる可能性もある上、今はそれぞれが出来る事をやらねばいけない時だからな」
「ああ。では、そちらは頼む」
「任せておけ」
「そちらも頼んだぞ」
「うむ」
ユニット達は頷き合うと、それぞれの役割を果たすべくそれぞれ行動を開始し、残された『ブラスター・ブレード』達は自分達との交信が可能な少女たちへ向けて祈りを捧げ始めた。
プロローグ、いかがでしたでしょうか。惑星クレイ編では基本的に三人称目線で書いていきますが、時にはメイン主人公であるベース世界のブラスター・ブレードの目線で書く事もあるかと思いますので、よろしくお願いします。
そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また次回。