波動ねじれのヒーローアカデミア 【台本式無しVer】   作:へたくそ

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2 また明日

突然話しかけられて出久は顔を上げる。そこには水色の長い髪を下ろした女子が立っていた。

 

 

 

「なんですか、貴方は。放っておいて下さい」

 

「ええ?でも君泣いているよね?大丈夫じゃないよね?どうしたの?」

 

「なんでもないですよ…」

 

「ねえねえ不思議、君いつもここにゴミ捨てに来てるよね?当番とか決まってないの?」

 

 

 

出久は黙る。なんでこの人はそんな事を知っているのだろう。

いつもは出久一人で掃除をしている為、他のクラスよりゴミ出しがかなり遅れる。だから誰かに見られると言うのはない筈だ。

なのにこの人は『いつも』と言った。ならこの人もいつもここに来てると言う事だ。

 

 

 

「そういう貴方だって僕がいつもここに来てるって知ってるのは、毎日ここに来てるからじゃないですか」

 

「うん!私は委員長だから手伝ってるの!でも君はそうじゃなさそうだったから。なんで君はそんな助けて欲しい目をしてるの?」

 

「…!!な、なんでそんな事「分かるよ。私には分かる。」

 

 

 

出久の言葉を遮ってねじれが割り込んできた。出久はそれを黙って聞くしかなかった。

ねじれの言ってる事は当たってる。出久は確かに助けを求めている。それを認めたくなかったが反論も出来なかった。

 

 

 

「私に君を助けられるか分からない。でもね?私は君をこのままにしてはおけないの。余計なお世話かもしれないけど、それでも君を助けれるかも知れない。だからお姉さんに話してみてよ!」

 

「貴方みたいな人に話しても何も変わりませんよ」

 

「かもしれないね!ねえねえでも知ってた?ヒーローは困ってる人を助ける、泣いてる人を笑顔にするんだよ?だから私は君を助けて笑顔にさせるの!」

 

 

前半はかなり真面目な顔をしていたが最後はドヤ顔で胸を張りながら言った。

しかし出久の胸にその言葉は深く刺さった。ヒーロー、僕の憧れ。僕のヒーローはオールマイトだけだと思ってた。

でもそれは今日で変わるかもしれない。この人になら話しても良いかもしれない。そう思って彼女の顔を見てみると、子供みたいにキラキラした顔でこっちを見ていた。

それを見て出久は少し可笑しくなり笑うのを堪えていたが、我慢できなくなり笑った。

ねじれもそれを見て嬉しそうな顔をになった。

しかし、もう一度出久を見てると、出久が涙を流している事に気付いた。

 

 

ねじれはそんな出久に近づき、優しく抱きしめながら頭を撫でた。

誰もいない校舎の裏側で、互いに名も知らない悲しい少年とそれを救おうとする少女を綺麗な夕日が照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫です。いきなり泣いてしまってすみません」

 

「ううん!大丈夫!それで、良かったらだけど私に話してくれないかな?」

 

「はい、実は僕…」

 

 

 

出久は全て話した。無個性である事、ヒーローに憧れている事、それ故自分が周りから偏見の目で見られている事を、自分の全てを。

中学1年でこの人生は耐え切れるようなモノではない。それを他人に、しかも今日会ったばかりの人に話すのはかなり勇気がいる筈なのだが、不思議と心には余裕があった。

 

 

それはきっとこの人が僕のヒーローになってくれる人だからかもしれない。本当に僕を救おうとしてくれているから僕はこの人の事を信用できるのだろう。僕の憧れたヒーローと言う姿が僕の目の前にあった。

 

 

 

「そっか、そんな事が。ねえねえ、でも知ってた?個性がなくてもヒーローを諦めない事はできるのは誰にでもできる事じゃないんだよ?」

 

「でも、それでも僕はヒーローになれない」

 

 

 

出久がそう言うとねじれは勢いよく立って手を後ろで組みながら体を揺らして出久の方に振り返る。

 

 

 

 

「そんな事ないよ!ヒーローは個性を使うだけじゃないんだよ?色んな人を笑わせたり、幸せにしたり、個性がなくても出来ることはいっぱいあるの!確かにそれを実現させるは大変なことだけど、、ヒーローはどんな時でも諦めないんだよ?今の君みたいに。だから君ならきっと出来る!なれるよ!立派なヒーローに!」

 

 

 

それは出久にとって衝撃的な言葉だった。無個性の事を話してもこの人は出久がヒーローになれると断言した。

しかもそれは同情や哀れみなどではなく、ねじれは本心からそう思っていた。出久もねじれの目を見て分かった。

 

 

こんなにも心が穏やかになったのはいつ以来だろう。この人はもう僕のヒーローだ。

まさか今日会った人にこんなにも簡単に救われるなんて、なんだか今まで悩んでいたのがバカらしくなってきた。

そんな事を考えているとねじれのケータイが鳴った。

 

 

 

「はいはーい!もしもし?どうしたの〜?……うんうん、分かったよ!はぁーい!ごめんねもう帰らないといけなくなって!もう行くね」

 

「あ、はい。今日はありがとうございました。話を聞いてもらってスッキリしました」

 

「大丈夫だよ!それじゃまたね!」

 

 

 

ねじれはゴミ袋を拾ってゴミ捨て場に走って行く。出久も向かおうと思い袋を拾おうとした時、ねじれが振り返り

 

 

 

「私は3年A組の波動ねじれ!君はー!?」

 

 

 

大声で自己紹介をしてきた。出久もそういえばまだ名前も知らなかったと思い大声で返した。

 

 

 

「1年C組の緑谷出久です!」

 

「それじゃ出久君!また明日ねー!」

 

 

 

ねじれは手を大きく振った後、ゴミ捨て場に走って行った。

また明日、その言葉に出久はここに来るのが楽しみになった。

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