波動ねじれのヒーローアカデミア 【台本式無しVer】 作:へたくそ
11月の下旬、二人が屋上で一緒に昼を過ごしてからはねじれと出久は一緒にいる時間がかなり増えた。
昼もちろん、登下校や放課後、更には休日までもだ。基本的にはねじれが出久に勉強を教えるなど学生らしい事をしている。
後は雄英を受ける事もあって出久がねじれに受験の事なども聞いていた。
「あ、出久君、そこ違うよ?」
「え、本当ですか?英語はちょっと苦手で…」
「うちの学校は上手く教えれる人少ないもんね〜。私も最初は大変だったよ?あ、ここの問題はまずここから略して…そうしたらホラ!」
「本当だ!先輩凄いです!」
大抵はこんな感じで勉強している。そんな事をしている内にねじれに近づく無個性がいる、と言う噂が広まった。
この学校にいる無個性は出久のみ。なので出久を見る目は前より嫌なものになっていた。
しかし出久もねじれも全く気にしている様子もなかった。正確にはねじれが出久に絡みに行っているのでねじれが出久に気にするなと言ったのだ。
出久は気にしてないと言うよりは、気にしない様にしている。
そして出久とねじれはいつもの如く屋上で昼ごはんを食べていた。
「むむ〜…」
「ど、どうしたんですか?先輩」
「ずごく気に入らないの。私と出久君が一緒にいるのを反対されるの!不思議なことだけどとっても気に入らないの!」
「そ、そうなんですか(先輩がここまで拗ねるなんて珍しいな)」
ねじれが拗ねること自体珍しい、と言うよりも出久が拗ねるねじれを見ること自体が初めてだった。
不機嫌オーラが漂っている。何とかして話題を逸そうとねじれの受験の話をした。
「そういえば!先輩は雄英を受けるんですよね?調子はどうですか?実技もかなり難関と聞いてますけど」
「ん?そっちの方は問題ないよ!私の個性ってすごくヒーロー向きなの知ってた?」
「もちろんですよ!先輩の個性はとても強力ですからね。先輩の必殺技も一緒に考えたじゃないですか」
出久は昔からヒーローの個性を分析するのが大好きだった。それを知ったねじれは出久に一緒に必殺技を考えて欲しいと頼んだ。
それからと言うのもねじれの成長は目を見張るものあった。それもあってかねじれは出久をよく頼る様になった。
個性の制御や個性の伸び代は出久と会う前と後では大きく違っていた。
最初は出久も付きっきりで教えていたが、ここ最近途中で変えることが多くなった。
「そういえば今日も早く帰るの?」
「はい、すいません。今度埋め合わせするので」
ねじれはそれを聞くや否や顔をグッと近づけて
「ねえねえ知ってた?この前駅の近くに新しい喫茶店が出来たんだって!」
「わ、わかりました。今度一緒に行きましょう」
それを聞くとねじれは嬉しそうに返事をした。それを見た出久は少し申し訳ない気持ちになりながら勉強道具を片付ける。
それと同じ様にねじれも片付けを始めた。喫茶店の約束が嬉しかったのか、ねじれは先ほどよりも笑顔を浮かべていた。
ねじれと別れた出久はある道場に来ていた。昔からある道場らしくそこには60を迎える老人が師範代をしている。
その人物は昔、世界的にも有名な格闘家だったらしいのだが、今となっては忘れられ、この道場にいた沢山の弟子も今は見る影もない。
しかし出久は一度この師範代の技を見た瞬間、何と美しいのだろうと思った。そしてその場で弟子入りを志願したのだ。
最初は軽くあしらわれるだけだったが、1ヶ月門を叩き続けると弟子入りを認めてくれたのだ。
しかし弟子になってから2ヶ月、出久には一つだけどうしても納得いかないことがあった。
「緑谷、今日も2時間たっぷり基本の型の特訓だ。それが終わったら今日は終わりだ帰っていいぞ」
「あの…師匠、今日も僕の型を見てくれないんですか?弟子になってから一回も見てくれないですし」
「その必要はない。お前に型は見せた。それに俺の型は俺の型だ。お前が俺の型を覚えてどうする」
「でも僕は先生の技を覚えたいんです!お願いです!先生の技を教えてください!」
「ダメだ。教えることはできん」
「何でですかっ!!!」
「それは俺と違う目的でこの技を覚えようとしているからだ」
珍しく怒鳴っている出久、それに対して師範代は冷静に対応する。出久は無個性であり、師範代も無個性だった。
それ故出久は師範代の技に惹かれた。これでヒーローに一歩近づける。そう思って弟子入りしたのに師範代は相手にしてくれない。
出久はそれに焦りを覚えていた。何故あの技を教えてくれないのか。本当は技を身につける事は出来ないんじゃないかと。
しかしそれは違った
「いいか緑谷。この型はな、剣にも盾にもなれる型だ。それは殺す事も守る事もできると言う事だ。お前が必要としているのは俺の技じゃない。誰かを傷つける技じゃなく、誰かを守る技を身に付けろ。」
「誰かを守る技、ですか」
「そうだ。お前がうちの門の前に立っている時から分かっていた。だから本当は俺がお前に教える資格はないんだ。だがあそこまで必死に頭を下げられちゃな。だから俺にできるのはお前を導くだけで、技を教える事じゃない。分かったか?バカ弟子」
師範代はそう言いながら出久の頭を乱暴に撫で回した。出久はその手にされるがまま頭を揺らされている。
それから出久の型の稽古を師範代が見てくれる様になった。出久の型で無駄な動き、力の入れ方など初歩の初歩を徹底的に教え込んだ。
しかしねじれには事をまだ話していなかった。理由はないが出久自信、本気でヒーローになれるとは思っていなかった。
だがねじれにヒーローになれると言われたのだ。何もしない訳にはいかない。できる事は全てやる、出久はそう決めていたのだ。
日曜日の午前11時
「えぇっと、この『フルーツとチョコとクリームたっぷりパフェ』と『チーズレアケーキ』と『蜂蜜たっぷりホットケーキ』下さい!!あ、あとジャスミンティーもお願いします!ねぇねぇ、出久君はどうするの?」
「ぼ、僕はショートケーキとオレンジジュースで…」
二人は約束通り、駅前にできた喫茶店に来ていた。出久はねじれの頼んだメニューの量にこれが女子なのかと思っていた。
そんなに食べれるのか不安になったがねじれの楽しそうな顔を見て言う気も失せた。そんなねじれを見ただけで今日ここに連れて来た甲斐があると言うものだ。
まぁ全て出久の奢りだが。
「楽しみだね〜!早く来ないかなぁ〜!ねぇねぇ出久君今日はありがとうね!」
「いえ、約束してましたし。最近先輩の訓練にも付き合えてないですし、気にしないで下さい」
「む、約束してなかったら一緒に来てくれなかったの?」
「いえ!そんな事は!先輩さえよければ、その、い、いつでも…」
少しむくれるねじれに出久は答えるが恥ずかしくなりどんどん声が小さくなっていく。
それを見たねじれは満足そうな顔をして自然と出久の頭を撫でる。それで出久は更に顔真っ赤にした。
「ちょ、先輩こんな所でやめてくださいよ…」
「えぇ〜?それは残念。あ、パフェ来たみたいだよ!食べよ!」
ねじれはテーブルに並んだスイーツに目を輝かせている。
そんなねじれを見て出久は違う意味お腹いっぱいになったが、ねじれが美味しそうに食べる姿を皆がらケーキを食べ始めた。
そしてねじれは見事にテーブル並んだスイーツを全て食べ切った。
その後二人は街で何でもない様な事を話しながらブラブラしていた。それは側から見ればカップルがデートしている様に見えるだろう。
そんな事を周りの人に思われているのではないだろうか。もしそうだとしたら。そう考えてるだけでねじれの口元が緩んでしまっていた。
そしてそんな何でもない様な日常は雄英高校の受験まで続いた。
ねじれ雄英高校受験当日の朝、出久とねじれは雄英に向かっていた。丘の上にはもう雄英の後者が見えている。
ねじれも珍しく緊張しているようで単語帳を必死でめくっている。出久はそんなねじれに話しかけられずにいた。
そして二人は雄英の前に着き、ねじれもそれに気が付いた。単語帳に集中しすぎてねじれは雄英に着いたことに驚いていた。
「どどどどどうしよう出久君!不思議だよとっても不思議だよ!!もう雄英に着いちゃったよ!全然自信ないよ落ちちゃったらどうしよう!」
「落ち着いてください!大丈夫ですよ!先輩はたくさん頑張って来たじゃないですか!」
「で、でも…」
昨日までは自信満々に受験を受ける気でいたのだが、いざ今日会ってみるとすごく不安そうな顔をしていた。
それからここに来るまでどうしても不安を拭いきれない様だった。ねじれが
「先輩、これよかったら持っていってください」
「ん?これって、お守り?」
「はい、気休めなのかもしれないですけど合格祈願です。一緒には居れないですけど合格するように祈ってますから!」
出久はねじれを不安にさせない様に必死でガッツポーズをする。
ねじれはそれを見て一瞬ポカーンとなるが出久から貰ったお守りを胸の上で両手で握りしめると少し顔を赤くして
『ありがとう、出久君』
そう言ったのだった。
それから一週間後、合格したとねじれが泣きながら電話をして来た。
その日は珍しくねじれが街で遊ぼうと誘って来た。出久はこれがデートじゃないかとドギマギしながらOKを出した。