ーカインsideー
《・・・・ご主人様。こちらに機械のような怪獣が現れました》
「ああ。こちらでも確認した」
≪トモユキ。あれは『ギャラクトロンMK2』! 感情も意思も無い完全な破壊兵器だっ!≫
執務室にて、ベルファストのカメラ付き通信インカムからの映像を空中ディスプレイで見るカインは、タイガからの言葉に目を細める。
「・・・・破壊兵器か、ウェールズ。この通信をエンタープライズ達にも繋げてくれ」
「了解」
カインが指示すると、ウェールズが送信器を少し操作すると、個別通信から全体通信へと変えて、カインが口を開く。
ーエンタープライズsideー
《ベルファスト。エンタープライズ。クリーブランド。ハムマン。聞こえているか?》
「指揮官・・・・?」
耳の通信機から聞こえる指揮官の声に、エンタープライズ達が反応する。
《東煌の艦船<KAN-SEN>の二人をうちの母港に連れてきてくれ。目の前の怪獣に対しては、マトモに戦わず、牽制しながら後退するんだ。今からヴェスタル達も向かわせる。決して、自分たちで戦おうなんて考えるなよ》
「承知しました」
「「り、了解!」」
「・・・・・・・・」
「エンタープライズ!」
「・・・・了解」
不満気なエンタープライズに、また独断行動をしそうになるのを止めるように、クリーブランドが腕を掴んで後退させた。
東煌の寧海と平海も、なるべく動きやすいように艦を艤装に変換した。が、寧海はまだ傷が痛むのか、苦しそうにしているので、平海が肩を貸していた。
ーカインsideー
「・・・・・・・・」
カインは通信で、ヴェスタルとジャベリンとラフィーにエンタープライズ達の援護に向かうように指示をすると執務机の椅子から立ち、窓に向かい開け、嵐の勢いが弱まったとはいえ、まだ雨風が吹きすさぶバルコニーへと出る。
「指揮官!」
「指揮官様!」
ウェールズとイラストリアスが指揮官の後を追おうとすると、カインは二人に振り向く。
「ウェールズ。イラストリアス。僕はこれから、ベル達を助けにいく。それと、“『重桜』にも向かうつもりだ”」
「なっ! 正気ですか!? まだ嵐は収まっていません! 重桜に行くのは、ベルファスト達が戻ってきてからでも・・・・!」
「それに、助けに行くってどういう事なんですか!?」
ウェールズとイラストリアスが聞いて来て、カインは無言で、タイガスパークを起動させた。
「(タイガ。すまない・・・・)」
≪えっ? ま、まさか・・・・!≫
[カモン!]
「「!!?」」
「この事は内密しておいてくれ。詳しい事は重桜から帰ってきてから話す。でも、二人には、僕がこの姿になっている事を教えておきたいんだ・・・・」
「まさか・・・・!」
「指揮官様・・・・!」
「光の勇者! タイガ!」
カインは腰のタイガのキーホルダーを握って腕を突き上げて叫ぶ。
「バディィィゴーーー!」
[ウルトラマンタイガ]
カインの身体が赤い光に包まれると、光は嵐の空を突き抜けて行った。
「指揮官が・・・・!」
「そう、だったんですね・・・・」
ウェールズとイラストリアスは飛んでいったカインの後ろ姿を見て理解した。
ーエンタープライズsideー
「く・・・・っ!」
「エンタープライズ! 無理するなって!」
エンタープライズがギャラクトロンMK2へと向かおうとするが、艤装が本調子でないのでマトモに動けず、クリーブランドとベルファストとハムマンが、主砲や魚雷を駆使して、ゆっくりと迫るギャラクトロンMK2を牽制する。
が、ギャラクトロンMK2の分厚い装甲に邪魔され、こちらの攻撃が通じていなかった。
『ーーーーーーーー!!!』
ギャラクトロンMK2は駆動音を響かせながら、手先のマシンガン『ギャラクトロンゲベール』を放つが、ベルファスト達はジグザグに航行して回避する。
「ベルファスト! 〈ノブレス・ドライブ〉なのだ!」
「そうしたい所なのですが・・・・!」
ハムマンがベルファストに〈ノブレス・ドライブ〉を発動するように言うが、ギャラクトロンMK2を守っている装甲をどうにかしなければ、消耗するだけだと思い、発動できずにいた。
その時、赤い光がギャラクトロンMK2と自分達の間に割って入ってきて、光が収まると、ウルトラマンタイガが現れた。
『シェャッ!』
ーカインsideー
『「すまないなタイガ」』
『(全くだ! ウェールズ達に俺の事を話すだなんて・・・・!)ウォオオオオオオオオ!!』
タイガはギャラクトロンMK2に『タイガキック』を繰り出した。
が・・・・。
ーーーーガキーーーーーン・・・・!
『いってぇぇ~~~!!』
『「これは、かなり効くなぁ・・・・!!」』
ギャラクトロンMK2の分厚い装甲に阻まれ、逆に足を反動のダメージを受けるタイガ。
『ーーーー!!!』
ギャラクトロンMK2は後頭部の戦斧・『ギャラクトロンベイル』を右手に持つと、タイガに向かって振りかぶる。
『「タイガ! 危ない!」』
『フンッ!』
斧を素手で止めたタイガは、そのまま海上に叩きつけると水しぶきが巻き上がり、ギャラクトロンMK2の動きを少し制止させると拳の乱打を浴びせた。
『ハァァアアアアアアアア!!・・・・いってぇぇぇ~!!』
が、やはり強固な装甲に阻まれてしまった。
『「タイガ! 避けろ!」』
『ハァ!』
ギャラクトロンMK2が斧を持ち上げて振り回すが、側転で回避する。
『ーーーーーーーー!!』
ギャラクトロンMK2は手先のマシンガン・『ギャラクトロンゲベール』を乱射して、タイガを攻め立てる。
『ウォアアアアアアアアアアア!!!』
『タイガ! ヤツの攻撃には僅かな隙がある! その隙を攻撃するんだ!』
『(っ・・・・よし!)』
カインの指示に従うタイガは、数秒ほど乱射に耐えると、一瞬、ギャラクトロンMK2の攻撃が止み、その瞬間ーーーー。
『(今だ!)『スワローバレット』!!』
『ーーーー!!』
光線弾を放つとギャラクトロンMK2がぐらつき、タイガはギャラクトロンMK2の後ろに跳び、そのまま斧を回避しながら格闘戦を行う。
『「タイガ。少しの間、1人で戦えるか?」』
『(なに?! 出来るけどなんだ!?)』
『「少し、時間をくれ」』
そう言って、カインは耳に付けた通信機で、この戦いを見ているエンタープライズ達に通信を送った。
ーエンタープライズsideー
「エンタープライズちゃん!!!」
「っ、ヴェスタル・・・・」
タイガがギャラクトロンMK2と肉弾戦を始めるのと同時に、ヴェスタルとジャベリンとラフィーが合流した早々、ヴェスタルが厳しい目でエンタープライズを睨んだ。
「また無茶をして!」
「緊急事態だったんだ・・・・」
「艤装だって満足に修理できていない状態で出るだなんて、エンタープライズちゃんは・・・・!」
「ヴェスタル様。お叱りはごもっともですが、今はこのお二人を・・・・」
説教を始めようとするヴェスタルを、ベルファストが寧海と平海の看護を頼んだ。
「あ! 分かりました!」
ヴェスタルも負傷した寧海を見て、応急措置を始める。
「またウルトラマンさんだね・・・・」
「あの怪獣、生き物じゃない・・・・」
ジャベリンがタイガを見上げて呟き、ラフィーはギャラクトロンMK2を見据えて呟いた。
「え? 生き物じゃないって、どういう事?」
「あれ、多分機械で出来てる」
《察しが良いなラフィー》
「「「「「「「指揮官(ご主人様)??」」」」」」」
クリーブランドの質問にラフィーがギャラクトロンMK2を指差して呟くと同時に、カインの通信が入った。
《こちらも状況を見ている。・・・・この怪獣の名前はギャラクトロンMK2。生物ではない完全な機械で作られたロボット怪獣だ。・・・・『戦う為に作られた存在』だ》
「「「「「「「っ!!」」」」」」」
あたかも母港の執務室にいる体裁で言うカインの言葉に、艦船<KAN-SEN>達は息を詰まらせる。
『戦う為に作られた存在』。目の前の怪獣は、“自分達と同じ存在”だった。
《みんなよく聞いてくれ。『兵器』って言うのはこういう怪獣の事を言うんだ。ウルトラマンタイガがこれだけ攻撃しているにも関わらず、この怪獣は、“痛みを感じていない”》
ギャラクトロンMK2を見ると、タイガの『スワローバレット』が次々と被弾しているのに、『痛み』を感じているようには思えない。
《この怪獣は、“ただ命令された事を忠実に動くだけの物だ”。“誰かを助ける為に無茶をする心も、大切な仲間を守るために戦う想いもない”。“ただ命令された事だけしかできない心の無い人形”と同じだ・・・・!》
カインにそう言われ、改めてギャラクトロンMK2を見ると、手の甲から『ギャラクトロンシュトラール』を放とうとする。
『っ、 『ストリウムブラスター』!!』
が、それよりも早く、タイガが『ストリウムブラスター』を放つと、ギャラクトロンMK2の身体に当たる寸前、両肩と両膝のバリア発生装置を起動させて防ぐが、光線の威力に体制を崩し、ギャラクトロンシュトラールの砲口は上に上がり、そこから砲撃が天高く放たれ雲を突き破りーーーー。
ーマーキンド星人sideー
ーーーードゴォオオオオオオオオオンン!!!
『どわぁああああああああああ!!!!』
ギャラクトロンMK2でオークションしていたマーキンド星人達のいる宇宙ステーションの一部を破壊してしまった。
『おいマーキンド!』
『な、なんですかマグマ!!』
マイクを持ったままで、よろけて倒れるマーキンド星人に、商売仲間である黒いレザースーツを着用した宇宙人・『サーベル暴君 マグマ星人』が肩を貸して起こす。
『やべぇよ! ステーションの航行システムがおじゃんになっちまった!』
『えぇっ!? どうなるんですか?!』
『このままだと、まもなく重力圏に捕まっちまう。それで計算してみるとこのステーション・・・・ギャラクトロンMK2がいる所に落下しちまう!』
『なんですとぉぉぉぉぉぉ!!!』
マーキンド星人の持っていたマイクでオークションに来ていた客の宇宙人達にも聞かれてしまい、客は直ぐに逃げ出し、マーキンド星人とマグマ星人も慌てて逃げようとしていた。
ー霧崎sideー
「フッフフフ」
霧崎は何処からかポップコーンとドリンクを乗せたトレイを持って、やられるタイガや落ちてくるステーションを見上げてほくそ笑みを浮かべる。
ーカインsideー
『うぅっ!! うぁぁぁぁぁ!!』
タイガはギャラクトロンMK2の砲撃の嵐に晒される。
攻撃したくても、バリアのせいで今度は光線が通じなくなり苦戦を強いられる。
『「みんな! コイツは哀れな存在だ! 何も生み出せず、何も作ろうとせず、ただ破壊することしかできない存在! それが兵器だっ!! だが、艦船<KAN-SEN>のみんなには、コイツには無い『心』がある! 戦うだけじゃない! 守る事も生み出す事もできる! 君たち艦船<KAN-SEN>には、無限の可能性があるんだ!!」』
ーベルファストsideー
「『心』、ですか・・・・」
タイガとギャラクトロンMK2の戦いを見ていた艦船<KAN-SEN>達の中で、ベルファストだけが、少し目を閉じて過去の出来事を思い起こす。
【ベルファストは、さ。いつも皆から一歩引いた所で見ている所があるけど、たまには“自分の『心』のまま行動してみるのも、良いかも知れないよ”】
次々と〈ノブレス・ドライブ〉を発現していく仲間達の中、自分だけが発現できず、平静を保っているようで、心の中では焦燥感を覚えていたベルファストに、カインがそれとなく言った言葉。
その言葉が、ベルファストに足りなかった、“一歩を踏み出させてくれたのだ”。
「(心のままに、ですね。ご主人様)」
内心呟いたベルファストは、エンタープライズ達から離れ、ギャラクトロンMK2の元へ向かう。
「ベルファストっ!?」
「申し訳ありません。ですが、私は私の、“心のままに行動します”! 〈ノブレス・ドライブ〉!!」
そう叫んだベルファストの身体が金色の光を纏ったベルファストは、タイガに向けて砲撃を続けるギャラクトロンMK2の両肩と両膝の突起物を見据えーーーー。
「ソコ・・・・!」
ベルファストは主砲と魚雷を同時に放つと、金色のエネルギー砲となった砲撃が両肩を、金色のオーラを纏った魚雷が飛び魚のように飛び上がると、両膝の突起物を破壊した。
『ーーーーーーーー!!!』
突然バリア発生装置が破壊され、バリアが解除されたが、ギャラクトロンMK2は構うことなくタイガを攻撃する。
それを見てベルファストは哀れみの目をギャラクトロンMK2にむける。
「なるほど。確かに哀れですね。もしかしたら、私達も下手をすればこのような兵器になっていたかもしれません」
ベルファストが全砲門を一斉射すると、金色のエネルギー砲がギャラクトロンMK2の胴体に当たり、その巨体を倒した。
ー平海sideー
『・・・・あれが艦船<KAN-SEN>の持つ、無限の可能性か』
「っ、平海! 宝石が!」
「えっ!」
平海は握っていた『黄色い星形の宝石』を見ると、その宝石が輝いていた。
「えっ? なにそれ?」
「この海域に入るまえに空から落ちてきたの。そしたら、“この宝石から声が聞こえて、『賢者様』が『セイレーン』と戦っていた平海達を手助けしてくれたの”」
「えっ? 宝石から声??」
ヴェスタルが、いや、エンタープライズ達も平海の言葉が分からず首を傾げると、宝石が宙に浮いた。
『ありがとう。寧海くん。平海くん。お陰で、私は仲間の元に行ける・・・・!』
「「「「「「っ!!?」」」」」」
宝石から声が響き、エンタープライズ達が驚くが、宝石は黄色い光となって、タイガのカラータイマーへと吸い込まれた。
ーカインsideー
カインのインナースペースに、黄色い光が現れ、声が響いた。
『久しぶりだな、タイガ』
『っ! おい『タイタス』! これは夢じゃないんだよな?!』
光が収まると、そこにはタイガキーホルダーの顔が別のウルトラマンで、中心が星形となったキーホルダー、タイタスキーホルダーだった。
『ああ! 再び共に戦う時が来たようだ!』
『また一緒に戦えて嬉しいぜ!』
「良かったな、タイガ。さて、タイタスさんかな?」
『いや、タイタスで構わない。賢者、ウルトラマンタイタスの力を貴方に!!』
「分かった!」
カインはタイガスパークのレバーを動かし起動させた。
[カモン!]
「力の賢者! タイタス!!」
タイタスキーホルダーを左手で掴んで、タイガスパークのついてる右手に持ち替えると、黄色いエネルギーが出てきて、スパークの中心のランプに吸い込まれ、ランプが黄色く光った。
『ヌゥゥゥンッ!! フンッ!』
「バディーゴー!!」
叫び、腕を思いっきり突き上げると、黄色い光が眩く輝き、タイガの身体を包み込む。
[ウルトラマンタイタス!]
七色の光の奔流がマーブルに変化し、その中からウルトラマンタイタスが両腕を振り上げて飛び出していった。
「ヌンッ!」
タイガの身体は完全に赤黒い巨人のものに変わって、嵐の雲がすっかり消え去り、満天の星空が燦然と輝く夜の世界に、新たなウルトラマンが現れた。
額とカラータイマーが星形となった、U-40のウルトラマン、力と知性を兼ね備えた『力の賢者』・ウルトラマンタイタス。
「ムンッ!」
タイタスは力を込めると、その鍛え抜かれた肉体を、ダブルバイセップスからのモストマスキュラーのポーズをする。
「ムンッ!」
そこからの、ラットスプレッド。
「ムゥンッ!」
さらにそこからの、サイドチェスト。
『「ナイスバルク! キレてるキレてる!・・・・って、何でボディービルディングポーズ??」』
一応のってみたカインは、頭にデカい汗を垂らして聞いてみた。
『(こうする事で、己の身体能力を一時的に上昇させる事ができるのだ!)』
『(そうだったの? 俺はてっきり自分の筋肉に自信が有るからだと思ってた・・・・)』
『(無論! それもある!!)』
『(「あるんかい!」)』
タイタスの言葉に、インナースペースにいるカインとその隣に現れたタイガが同時にツッコミをいれた。
ーエンタープライズsideー
「うわぁああああ! ウルトラマンタイガさんが何かムキムキマッチョにっ!?」
「多分タイガとは違ったウルトラマン・・・・」
「で、デカイのだ・・・・!」
「な、なんて逞しい・・・・!」
「す、スゴい筋肉・・・・!」
「「・・・・・・・・」」
ジャベリンがその巨体に驚き、ヴェスタル達もタイタスの鍛えられた肉体に驚嘆し、エンタープライズと戻ってきたベルファストも、新たなウルトラマンの登場に驚く。
特にーーーー。
「み、見なさい平海!」
「うん! 見てるよ姉ちゃん!」
「「なんて素晴らしく鍛えられた筋肉!!」」
寧海はケガの痛みなんて忘れて、平海と共に、筋肉の鎧を纏ったようなタイタスの肉体に、目をキラキラとさせた。
ータイタスsideー
ギャラクトロンMK2が斧を構え、タイタスに向かってくる。
『破壊しかもたらさない哀れな兵器よ!』
『ーーーーーーーー!』
『賢者の拳は全てを砕く! ぬぅぉぉぉぉ!!』
ギャラクトロンMK2が斧で斬りつけようとした時、タイタスも拳を振るう。
『ハアッ!!』
タイタスの拳は頑丈な斧を砕き、そのまま強固なギャラクトロンMK2は吹っ飛び、水しぶきを上げて倒れた。
『「凄いな、一撃だ」』
『フン!』
ギャラクトロンMK2は立ち上がり、タイタスに向かって構える。
『フゥ、ウォオオオオッ!!』
タイタスもギャラクトロンMK2目掛け、大きな地響きを立て、水しぶきを上げながら走り出す。
『トゥヤッ!!』
タイタスの右肩からのショルダータックルで、再びギャラクトロンMK2は吹っ飛び、タイタスは再びポージングを取った。
『指揮官殿。『ジードレット』を使ってください!』
『「分かった」』
[カモン!]
カインはタイガスパークのレバーを引き、左手に意識を集中させると、光の国の反逆者の遺伝子を継ぐウルトラマン。最強の遺伝子の継承者である、『ウルトラマンジード』から託されたブレスレット・『ジードレット』が出現した。
カインはタイガスパークを装着した右手に左手を重ね、ジードレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。
[ジードレット、コネクトオン]
タイタスにウルトラマンジードのビジョンが合わさる。タイタスは両手を曲げ力を込め、腰の位置でクロスさせる。すると、紫のオーラを纏った青いエネルギー弾が出現する。
『ハァァァァァァ! 『レッキングバスター』ッ!!』
ウルトラマンジードの力が加わった光弾が、ギャラクトロンMK2の身体を突き破り、そしてーーーー。
バチバチ・・・・ドガァアアアアアアンン!!!
爆散した爆炎から、一筋の光がタイタスの中に入ってくる。それを手で掴むとギャラクトロンMK2の顔が入った黒いオーラを放つ禍々しい指輪になった。
『「また指輪が・・・・」』
『ウルトラマンの力を秘めている。不可思議だ』
『「ああ。どうにもこの指輪は、怪しいな」』
ーベルファストsideー
「新たな光の巨人、ですか・・・・」
「もう、何が起きても驚かない自分がいる・・・・」
ベルファストはタイタスを見上げて微笑むが、クリーブランドは苦笑いを浮かべている。クリーブランドに同意なのか、ジャベリンとハムマンとヴェスタルも苦笑いをしていた。
「・・・・・・・・」
ただ、エンタープライズはタイタスを少し眉を寄せて見据えている。
ふと、ラフィーは空を見上げていた。
「どうしたの、ラフィーちゃん?」
「・・・・何か落ちてくる」
ラフィーが指差した方角を見るとーーーー。
巨大な炎の塊がこちらに向かって落下してきた。
「ウソ・・・・」
ジャベリンが、一同を代表して呟いた。
ー霧崎sideー
それに気づいたタイタスが、落ちてくる宇宙ステーションを迎え撃つために空に飛び立った。
だが、霧崎はそれを笑って見ていた。
「遊びの時間は終わらない・・・・」
霧崎は『トレギアアイ』を目に翳し、本来の姿に戻るーーーートレギアへと。
ータイタスsideー
宇宙空間でステーションを迎え撃とうとしていたタイタス。その下からトレギアが追ってきた。
『フハハハハハハ!!』
『トレギア!』
『「この忙しい時に・・・・!」』
『あの日の苦痛、覚えているかい?』
タイタスはトレギアの挑発を一喝する。
『相手をしている暇はない!!』
『つれないねぇ・・・・フフフフ!』
トレギアは小さい光弾を放つも、タイタスは裏拳でそれを弾く。
『暇はないと言ったはず!!』
タイタスは落下するステーションに向かって真っすぐ突っ込み。
『ハァアッ!!』
右手の拳で落下する宇宙ステーション粉砕する。
『ナイスパンチ』
タイタスはトレギアに向けて拳を構える。
『暇が出来た! 戦闘再開とゆこうか!!』
『打ってごらん。賢者の拳とやらを』
『フン! ハァァァァァァ!!』
タイタスはトレギアに向かって真っすぐ進み、緑のエネルギーを込めた拳を顔面に叩きつける。
『おいおい、全てを砕くんじゃないのか?』
『フン! その挑発、敢えて乗ろう!』
タイタスはトレギアに左手、右手、両手の順で拳を叩きこむ。トレギアは両手を掴むもタイタスの頭突きで両手を手放す。
『フゥ、トオッ!!!』
再び、タイタスが右ストレートの拳を放つもトレギアは闇に消える。
『フハハハハハハ、ハハハハハハ、ハーーーーーッハッハッハッハッハッ!!』
『逃げられたか・・・・!』
『「悔しいけど、今は相手をしていられない。タイタス。このまま向かって欲しい所があるんだ」』
『ん?』
カインの指示に、タイタスは頷くと、ある場所に向かって飛んでいった。
ーエンタープライズsideー
すっかり嵐は消え去り、太陽が昇り始めた時間帯。
艦モードにした船の上で、ヴェスタルに治療を受けている寧海と平海に付き添うクリーブランド達。
しかし、エンタープライズは一同から離れた位置におり、脳裏にはーーーー。
「(あれが、兵器・・・・。私は、私にも、彼女やウルトラマン達のような力があれば・・・・!)」
痛みも、苦しみも、何も感じず、ただ破壊しかできないギャラクトロンMK2の姿を自分と重ねてしまう。それと同時に、あんな強大な破壊兵器に立ち向かえるベルファストと、その兵器を破壊した2体のウルトラマンに羨望の気持ちを抱いていた。
そんなエンタープライズに、ベルファストが近づく。
「私事で恐縮ですが、あなたに興味を持ちました」
「なんだと?」
「僭越ながらこのベルファスト、エンタープライズ様に淑女としての礼節を教示させていただきます。・・・・ふふっ」
「はぁ・・・・?」
ベルファストの言葉に、エンタープライズはただ首を傾げる。
「一応言っておきますが、拒否権は御座いません。2度にも渡る待機命令違反をした場合、エンタープライズ様の『お世話係』をするように、ご主人様であるカイン指揮官様が仰っておりましたので」
「な・・・・っ、指揮官がか?」
「はい」
「・・・・・・・・」
「ご主人様に文句を言おうとしても無駄です。ご主人様は今しがた、出張に出掛けました」
「“出張”? どこにだ?」
「『重桜』です」
「なっ!!?」
ベルファストの言葉に、エンタープライズは思わず間の抜けた声を漏らしてしまった。
ートレギアsideー
『・・・・・・・・へぇ~、中々面白そうなのがいるね、アズールレーン♪』
トレギアは空の上に立ちながら、遥か眼下にいるエンタープライズを見て、意味深に笑みを浮かべていた。
ー綾波sideー
朝方、綾波たち重桜と鉄血の艦隊はようやく重桜近海に近づこうしていた。
負傷した加賀と瑞鶴の応急措置、嵐による航行不能で足止めをくらったが、何とかここまで戻ってこられた。
「ん・・・・? っ!」
ふと、船首にやって来た綾波は、潮の満ち引きで露になった砂浜に、“1人の男性が立っているのを確認した”。
「し、指揮官・・・・!?」
その砂浜に立っていたのは、海守トモユキ指揮官こと、カイン・オーシャン指揮官だった。
ー赤城sideー
「姉様!」
「あら、どうしたの加賀?」
慌てた様子で自分を呼ぶ妹に、赤城は怪訝そうに聞くとーーーー。
「し、指揮官が・・・・!」
指揮官の名を聞いた瞬間、赤城は察したように鋭い笑みを浮かべる。
「ウフフフフ・・・・。やはり来てくださったのですわね。指揮官様♥️」
笑みを浮かべる赤城からは、絶対に逃がさないと言わんばかりの圧力が放たれていた。
~綾波達が来る前~
『ふん! ふん! ふん! ふん!・・・・』
小さい思念体となったタイタスはカインの左肩に乗って、宝石となっていて鍛練ができなかったので、スクワットをしていた。
『そういえばタイタス。お前いつからこの宇宙に来てたんだ?』
『うむ! ちょうど! 今から! 12年程前! この宇宙に! 来てな! 少し前に! この星から! タイガの気配が! していたので! 来てみると! 『セイレーン』と! 戦闘に! なりそうだった! 寧海くん達と出会ったのだ!』
『12年前って、俺がトモユキと同化した時と同じだな?』
カインの右肩に座っているタイガが声を発する。
「ん? そうなのか?」
『ああ! 凄い奇跡だな!』
『うむ! まさに! 宇宙的! 可能性の! 奇跡だな!』
「(これは本当に奇跡なのか?)」
カインは疑問を感じるが、重桜の艦隊が近づいているのが見えた。
「(タイガ。タイタス。お喋りはここまでにしよう)」
『うむ!』
『ああ! 久しぶりに重桜に帰れるぜ!』
『それにしても! 寧海くんや平海くんも! 勇敢な少女だったが! あのベルファストと言うお嬢さんも! 素晴らしい女性だったな!』
『まぁ俺の『婆ちゃん』には負けるけどな!』
「(さて、重桜では鬼が出るか、蛇が出るのか?)」
カインは艦首に現れた綾波を見据えた。
次回。故郷に戻ったカインを待ち受けるのは??