アズールレーンT   作:BREAKERZ

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【聴取】異星人との遭遇

ーカインsideー

 

カイン達は事前にウェールズ達との合流地点として定めていた島。深い霧に包まれた『セイレーン』との戦争で廃墟となってしまった島にたどり着いた。

しかし、島は追撃してきた重桜艦隊に囲まれており、上空では重桜の飛行機が偵察で飛び回り、カイン達は島の建物に隠れていると、見張りをしていたシェフィールドが戻ってきた。

 

「ただいま戻りました」

 

「お帰りなさい!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、シェフィ、外の様子は、どうだった?」

 

「やはりかなりの警戒網です。偵察機も飛び回っており、簡単には脱出できそうにありません。エディンバラ。ご主人様の容態は?」

 

「ダメ。熱が下がらないの」

 

「にゃにゃ、あの怪獣の毒が含まれた煙を吸っちゃったからにゃ」

 

前回のセグメゲルとの戦闘で、毒を含んだ煙を吸ってしまったカインは、頭痛と発熱と倦怠感に襲われ、マトモに身体が動けなくなっていた。

 

「(タイタス、君はどうだ?)」

 

≪すまない。ウルトラマンの回復力でも、この毒による負傷の完治は、まだ少し掛かりそうだ・・・・≫

 

≪厄介だな。それにしても、赤城さんと加賀さんがこんな物を『セイレーン』から貰ってただなんてな≫

 

エディンバラに膝枕をして貰い、汗を拭って貰っているカインは、テーブルの上に置かれた『黒いメンタルキューブ』を見据える。

 

「明石、それがどんな物か分かるか?」

 

「う~む、謎だにゃ・・・・?」

 

「本当に何も分からないのですか? 重桜の秘密兵器なんでしょ?」

 

「明石ただの工作艦だにゃ! 詳しい事は分からにゃいにゃ!」

 

「だが、これは赤城と加賀が、『セイレーン』から貰っていた物だ。何か、『オロチ計画』って、作戦に関係している、物だろう・・・・」

 

「まさか、『セイレーン』の横流し品だったにゃんて・・・・これ絶対ヤバい奴にゃ! おっかないにゃ!!」

 

明石が怯え、シェフィールドは取り敢えず、持参していた食料とティーセットで軽いお茶会を始めた。

 

「僕達の状況は、基地の皆にも伝わっている。今は救援を、待つべきだね・・・・」

 

「そうですね。それで、明石でしたか? 本当なのですか? ご主人様が行方不明となった貴女方重桜の指揮官、海守トモユキ指揮官だったなんて」

 

「確かにご主人様は記憶喪失だし、私達ロイヤルがご主人様を見つけたのは、海守トモユキ指揮官が行方不明になった日の翌日だったけど」

 

「間違いにゃいのにゃ! その指揮官のDNAにゃら、指紋にゃら血液まで徹底的に調べたら、明石達の指揮官と95%以上の数値で合致したんだにゃ!!」

 

「機械の故障では?」

 

「にゃん回も機械の状態を確認したけど問題無かったにゃ! 間違いにゃく指揮官はトモユキ指揮官だにゃ!!」

 

「うぅ~。ご主人様は兎も角、この『黒箱』を渡したら許してくれますかね?」

 

「それは無いでしょう。赤城達が『セイレーン』と癒着していた事を知る我々を見逃すとは思えません」

 

「赤城の性格にゃから、きっと明石は三味線の皮にされるにゃ! 指揮官はおそらく捕まって監禁されてしまうにゃ!」

 

「と、言われておりますが、如何なさいますかご主人様?」

 

「・・・・先ずはなんとか、ウェールズ達と連絡を取って・・・・」

 

 

ーーーーガタンっ!

 

 

「「「「っ!!」」」」

 

突然隣の部屋で物音が聞こえると、即座にシェフィールドが2丁拳銃を取り出し、忍び足で音の聞こえた方に近づき、エディンバラと明石はカインの背に隠れた。

 

「君たちね・・・・」

 

「わ、私シェフィと違って荒事苦手なんですよ!」

 

「明石ただの工作艦にゃ! 指揮官守って欲しいにゃ!」

 

「はぁ・・・・シェフィ、気をつけて」

 

「はい」

 

シェフィールドは静かに歩を進め、隣の部屋に向かうと。

 

ーーーーバタン! ドタドタ!

 

ーーーーうわぁ! なんだこの女!?

 

ーーーーちょ、ちょっと何するんですかっ!?

 

ーーーーテメェ調子にブッ!!

 

ーーーーちょっ、マグマ!? なに鼻血を吹いてるんですか!?

 

ーーーーこ、この女、穿いてグへっ!!

 

「・・・・なんなんだ? エディンバラ。シェフィはどうしたんだ?」

 

「あ~ご主人様。その事は取り敢えず聞かなかった事にしてください・・・・」

 

「にゃんか、聞くのがおっかにゃいにゃ・・・・」

 

 

 

 

「シェフィ、何ですかその怪しさ全開の方達は?」

 

「コソコソとコソ泥のようにしていたので、取り敢えず捕縛しました」

 

戻って来たシェフィールドは、何処から取り出したのか、荒縄でミノムシのように縛り上げた二人の異形を連れてきた。

 

≪あの黒服、『マグマ星人』か?!≫

 

≪もう1体の異形は『マーキンド星人』だな≫

 

「・・・・お前達、もしかして異星人か?」

 

「にゃ? こんな奴らが異星人にゃのかにゃ?」

 

『こんな奴ら』呼ばわりされた2人の異星人達は、横に倒れた身体から頭をガバッと上げて声を張り上げた。

 

『こんな奴らとはなんだコラ!? こちとら泣く子も黙る宇宙最凶の犯罪組織『ヴィラン・ギルド』だぞ!』

 

『私達に手をあげるだなんて! あなた方、コンクリに詰めてスペースデブリにしちゃいますよ!!』

 

バキッ! ドガッ! ゴキッ! グギッ! メキッ! ゴキャッ! グシャッ!・・・・。

 

『『大変失礼な事を口走りました! お許しくださいませ!!』』

 

シェフィールドに物理的なお仕置きを受けて、頭に大量のタンコブを乗せた二人がミノムシ状態で器用に正座して土下座した。

 

「それで、『ヴィラン・ギルド』って言うのは、一体なんなんだ?」

 

カインの質問に、二人の異星人は淡々と説明した。

 

 

 

 

 

ー翔鶴sideー

 

その頃、島を包囲していた重桜艦船の1人、翔鶴は『セイレーン』の艦船を見回った。

 

「この子達、平気かしら? 向こうに操られない?」

 

「母体は『オロチ』の方だから乗っ取られる事は無い、って赤城先輩は言ってたけど・・・・」

 

翔鶴の質問に答えたのは妹の瑞鶴だった。

翔鶴は瑞鶴に近づき、難しい顔を浮かべた。

 

「赤城先輩、ね・・・・あの人一体何を企んでいるの? 指揮官が逃げ出すような悪巧みでも考えたのかしら?」

 

「翔鶴姉・・・・」

 

「私ああいう腹の黒い人、苦手なのよねぇ~」

 

「・・・・・・・・あはははは」

 

自分の事を棚に上げて赤城に毒を吐く姉に、瑞鶴は苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

 

 

 

ー高雄sideー

 

別の艦に乗っている高雄は、シェフィールドとの戦闘で負傷した身体をさすりながら、廃墟の島を睨んでいた。

 

「(拙者が至らぬばかりに、指揮官をみすみす奴らに奪われてしまった。この汚名と屈辱は何としても雪がなくては・・・・)「もう高雄ちゃんったら、また難しい顔をして」ひう!? あ、愛宕!何をする!?」

 

不意に後ろから愛宕が高雄の頬を触れた。あまりにも不意だったので高雄は情けない声を出してしまう。

 

「ほら、肩に力が入りすぎてるわ」

 

肩だけではなく、腕や腹回りを撫でる回すような怪しい手つきで指を這わせる。

 

「や、やめろ・・・・!」

 

「いいじゃない。指揮官と一緒に海水浴に行った時なんて、指揮官に身体を寄せまくったじゃない」

 

「あ、あれはお前が、【この水着で迫れば指揮官もイチコロよ♪】、なんて言うから仕方なく・・・・!」

 

「あら? その割りには必死に指揮官を誘惑してたじゃない?」

 

「そ、そんな事は・・・・あぁ!/////」

 

「あら?」

 

そんな二人のイチャコラを、通りすがった綾波が見ていた。

 

「綾波ちゃんもどう?」

 

「いえ、綾波は遠慮しときます、です」

 

その手はいよいよ高雄の豊満な胸やスカートの中にまで近づいてくる。

 

「っ! どこまで触っているんだ!」

 

高雄は愛宕を引き離し、一旦距離を取ると、愛宕は残念そうな顔をしていた。

 

「全く・・・・任務中だぞ、真面目にやれ」

 

「分かっているわよ・・・・。指揮官を絶対に連れ戻すのだから、真面目じゃない訳ないじゃない」

 

にこやかだった愛宕の顔が変わり、臨戦状態のような顔つきとなる。赤城と同じくらいトモユキ指揮官に対する思慕が強い(重い?)愛宕は、トモユキ指揮官の事になると普段は押さえている圧を発してくる。

 

「(これだから愛宕は侮れない・・・・。しかし、拙者も気持ちは同じだ。必ず指揮官殿を連れ戻す!)」

 

「瑞鶴ちゃーん! 首尾はどうー?」

 

愛宕は偵察機と同調している瑞鶴に話しかけると、瑞鶴が口を開く。

 

「・・・・隠れるのには絶好の廃墟。見つけるのは骨が折れそう・・・・!」

 

瑞鶴は苦い顔を浮かべてそう言った。

 

 

 

ーカインsideー

 

「ほぉ~、つまりこう言う事かな? 君たちヴィラン・ギルドは自分達のシノギ(稼ぎ)として『怪獣オークション』なんて悪趣味な商売をやっており、そのデモンストレーションの場所として、僕達の星で怪獣を暴れさせていた、と?」

 

『『は、はい・・・・』』

 

「ベムラーや、ギャラクトロンMK2なんかも、君たちがオークションの為にけしかけた怪獣だったんだね?」

 

『『そ、その通りです・・・・』』

 

「・・・・・・・・・・・・(ジャキッ!)」

 

『『ひぃいいいいいいいいいいいっ!!!』』

 

無言で2丁拳銃の撃鉄を起こすシェフィールドを見て、顔を青ざめて悲鳴を上げた。

 

「待てシェフィ、彼らにはまだ、聞きたい事がある」

 

「・・・・・・・・承知しました」

 

「さて、君たち。まだまだ色々話して貰うけど、黙秘するならシェフィに鉛玉ぶちこんで貰うからな」

 

『『い、イエッサー!』』

 

「先ず、何で僕達の星をデモンストレーションの場所に決めた?」

 

『こ、この星は戦争状態であり、その為軍備も整っているから、怪獣の力を示すのに丁度良いと、『ある筋』からの情報を受けた上層部が、この星に決めたのです!』

 

「ある筋とは?」

 

『そ、それは・・・・』

 

「・・・・(カチャ)」

 

言い淀むマーキンド星人に向けて、シェフィールドが銃口を向ける。

 

『し、知らないんですよ! 上層部からも『ある筋からの情報だ』の一点張りで! 私達は上からの命令に従っていただけなんですよ!』

 

『それに! この星に『ウルトラマンタイガ』やら『ウルトラマンタイタス』やら! 俺らヴィラン・ギルドにとっては敵対関係にあるウルトラマン達がいることも、上層部がオークションを始めた理由なんだぜ!』

 

「えぇっ! ウルトラマンがですかぁ?!」

 

「にゃんでウルトラマンが関わってくるにゃ?」

 

『ウルトラマンって言うのは、宇宙の秩序と安定を守る為の戦士達だ。ヴィラン・ギルドみたいな犯罪組織にとっては、目障りな存在なんだよ』

 

≪なに?! お前達が悪さするからだろ!≫

 

≪我々に怨みを抱くなど、逆恨みも良いところだ!≫

 

「(二人とも落ち着いてくれ)・・・・なら次の質問だ」

 

憤るタイガとタイタスを宥めたカインが手をあげると、シェフィールドは銃を下ろし、マーキンド星人はホッとすると、カインは次にマグマ星人に目を向ける。

 

「重桜に怪獣をけしかけたのは何故だ?」

 

『重桜に怪獣? 俺らはギャラクトロンMK2とウルトラマンの戦いのとばっちりで、『オークションステーション』が落下してから怪獣の事は知らないぜ。オークション用の怪獣を収納した『怪獣保管庫』も行方不明になっちまったんだからな!』

 

≪なるほど。あの時落下していたのは、彼等の『オークションステーション』だったのか≫

 

≪どうりでこの星の物にしては、奇妙な形してると思ったぜ≫

 

マグマ星人の話から、ギャラクトロンMK2を倒した後に破壊した落下物の正体を知った。

それからカインは、重桜に現れた怪獣の事を二人に話すと。

 

『それは、『毒煙怪獣 セグメゲル』ですね。ギャラクトロンMK2と並んでオークションの目玉商品だった怪獣ですよ』

 

『そう言えばあんちゃん、具合悪そうだな』

 

「そのセグメゲルの、毒を含んだ煙を吸ってしまってね。元々君達の商品の怪獣なら、『解毒剤』とか持っていないか?」

 

『・・・・その顔色からして、症状は軽いようですが。すぐに治したいなら、確か持ち逃げした荷物の中に解毒剤があった筈なんですが、この状態では・・・・』

 

「・・・・・・・・シェフィ」

 

「・・・・・・・・はぁ、承知しました。ですが、解放するのはマーキンド星人だけですよ。もし妙な真似をしたら、お仲間のマグマ星人の身の安全は保証しません」

 

『何だと! このノーパ「(ジャキッ!)何か?」マーキンドっ! 早く解毒剤をお渡ししてぇっ!!』

 

マグマ星人が何かを言おうとした瞬間、シェフィールドは銃口をマグマ星人の額に押し付けると、マグマ星人は大人しくなった。マーキンド星人は明石とエディンバラに縄をほどいてもらうと、荷物が入ったケースを取り出し、中を開けてガサガサと漁ると、セグメゲルの毒々しい緑色と違い、『美しい緑色の液体が入った瓶』を取り出した。

 

『これが解毒剤です。この程度の症状なら少量を飲んで15~20分安静していれば全快に回復しますよ』

 

「そうか・・・・ありがとう」

 

『・・・・一応言っておきますが、私達は異星人で、犯罪者なのですよ。お礼を言うなんて変わってますねアナタ』

 

「異星人だろうと、犯罪者だろうと、助けてくれた人物にはお礼を言う、それが『仁義』って奴さ」

 

『そうですか、か・・・・』

 

「所でもう一つ聞きたいんだが、君達ヴィラン・ギルドは、“トレギアとどういった関係なんだ?”」

 

トレギアの名前を出すと、マーキンド星人もマグマ星人も、ゲンナリとした顔になったように見え、マグマ星人が口を開いた。

 

『あの陰険陰湿極悪性悪のクソトラマンのトレギアだなんて、俺らヴィラン・ギルドにとっちゃタイガとタイタス以上に目障りなんだよ! ベムラーだって奴のせいで倒されたんだからな!』

 

マグマ星人の言い分に、マーキンド星人もウンウンと力強く頷いて同意していた。

どうやら本当にヴィラン・ギルドはトレギアと無関係な間柄らしい。

 

「(・・・・にゃ? にゃんかキレイな宝石だにゃ~)」

 

明石は一同が話に夢中になっている隙に、ケースの中から『青い宝石』をソッと自分の長い袖口に入れた。

 

 

 

 

 

 

ー扶桑sideー

 

扶桑と古鷹が主砲の上に立って、廃墟の島を見ていた。

 

「焦っても仕方ないわ。偵察機が見つけるまで待ちましょう」

 

「でも扶桑さん、拐われた指揮官と明石ちゃんが心配だよ。あんまりノンビリとはしてられないよ」

 

「そうね。でも、指揮官様が重桜を出るときに見せたあの顔・・・・」

 

【(・・・・ゴメンね)】

 

扶桑の脳裏に、申し訳ない気持ちでいっぱいのカインの顔が浮かんだ。

 

「(指揮官様は、何故重桜から逃げ出したのかしら?)」

 

「扶桑さん! 鉄血艦隊から連絡です!」

 

思考の海に入っていた扶桑を呼び戻したのは、加古からの伝令だった。

 

 

 

ーニーミsideー

 

「アズールレーン・・・・!」

 

別の方面で監視をしていたニーミたち鉄血艦隊は、霧の向こうからやってくるアズールレーンの艦を見て目を細める。

ニーミの周りにはプリンツ・オイゲンの他に、オイゲンの姉の『鉄血所属 駆逐艦 Z1<レーベ>』、『鉄血所属 軽巡洋艦 ケルン』がいた。

 

「はい! 間違いないありません!」

 

「どうすんだ? あっちを先に片付けるのか?」

 

ケルンが連絡をし、レーベが勇ましくアズールレーンを迎え撃とうと言うがーーーー。

 

「私達の仕事は『島の監視』。向こうは重桜艦隊に任せましょう」

 

同盟を組んでいるはずなのに、鉄血と重桜の間には連携が取れているとは、お世辞にも言えなかった。

 

 

ーアズールレーンsideー

 

ユニオンのセレナと『ユニオン所属 戦艦 オクラホマ』。ロイヤルの『ロイヤル所属 巡洋戦艦 レパルス』

、『ロイヤル所属 重巡洋艦 ノーフォーク』は、『セイレーン』の襲撃で廃墟となった島を見ながら、

 

『人類同士でなにやってんだが・・・・』

 

と、『セイレーン』と言う真の敵を無視して内輪揉めしている現状に霹靂していた。

ロイヤルメイドの『ロイヤル所属 重巡洋艦 サフォーク』は呑気に鴎を眺めていたが。

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