アズールレーンT   作:BREAKERZ

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【激突】ぶつかり合う艦船

ーカインsideー

 

「始まったな・・・・」

 

崩れた建物から出た潜水艦のハッチから、顔を上げたカインは砲撃音を聞いた。

 

≪カイン指揮官。重桜の戦闘機がユニオンの方に向かっていますが≫

 

≪あれって、翔鶴と瑞鶴だな≫

 

「・・・・頼んだよ『ーーーーー』」

 

 

 

ー瑞鶴sideー

 

「何処にいる!? グレイゴーストっ!!」

 

「敵さん。強そうです・・・・!」

 

「が、頑張ります・・・・!」

 

随伴艦の『ロイヤル所属 重巡洋艦 サフォーク』と『ロイヤル所属 重巡洋艦 ノーフォーク』が立ち塞がるがーーーー。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

「ごめんなさ~い、構ってあげるほど暇じゃないんです」

 

翔鶴と瑞鶴はかまわず通りすぎた。

そして上空では、翔鶴と瑞鶴の艦載機を、ロイヤルの戦闘機が迎撃した。

 

「迎撃機っ!? やっぱりいるのかっ! グレイゴースト!!」

 

「あっ、瑞鶴! 先走ってはダメよ!」

 

見るからに冷静さを失っている妹を翔鶴は諌めようとするが、瑞鶴は聞かずに突っ走っていった。

 

「グレイゴースト! 今度こそ必ずーーーーっ!」

 

その時、瑞鶴の脳裏に、かつてトモユキ指揮官に言われた言葉が過った。

 

【瑞鶴。お前はすぐに前しか見えなくなってしまうのが玉にキズだ。もう少し冷静に、視野を広く持てよ】

 

「(何で、指揮官の言葉を思い出したの・・・・?)」

 

瑞鶴がこの記憶が甦った理由を思い知るのは、すぐだった。

 

 

 

 

 

ーシェフィールドsideー

 

シェフィールドとエディンバラは、プリンツ・オイゲン達と遭遇し、建物の上からオイゲンが攻撃し、二人は必死の回避する。

 

「うぅっ・・・・!」

 

「わわわわわっ!?」

 

「ほいやっ!」

 

「ぐっ・・・・!」

 

「ソコです!」

 

「シェフィっ!」

 

「だ、大丈夫です・・・・」

 

「どうだ? 俺らのコンビネーションは無敵だ!」

 

さらにケルンの砲撃、そしてZ1<レーベ>の砲撃とニーミの雷撃。

この鉄血の連携攻撃相にシェフィールドとエディンバラは苦戦を強いられていた。

 

「どうしたっ!? あの『金ぴか』にはならないのかっ!?」

 

重桜母港で高雄と綾波を圧倒した〈ノブレス・ドライブ〉にならない二人に、鉄血側は奇妙な違和感を感じていた。

 

「お、お生憎ですが! あのモードって凄く疲れるんですよ!」

 

「貴女方、程度を、相手に使用するのは、少々酷と言うものです」

 

「言ってくれるなぁっ!!」

 

明らかな挑発だが、Z1<レーベ>はそれに敢えて乗った。

 

 

 

 

ー明石sideー

 

「マズいにゃ・・・・こっそり逃げられないかにゃ?」

 

建物の瓦礫に隠れていた明石は、その場から逃げようとするが、ケルンに気づかれそうになる。

 

「?」

 

「にゃ~・・・・」

 

「っ・・・・・・・・」

 

ケルンが明石の方に向かった。

 

 

 

ーベルファストsideー

 

シェフィールド達の元へ向かおうとしているクリーブランドとベルファストの前に、高雄と愛宕の重巡洋艦姉妹が立ち塞がった。

 

「・・・・・・・・」

 

「うふ・・・・・・・・」

 

「くっ・・・・・・・・」

 

「っ・・・・・・・・」

 

ベルファストは平静を装っているが、内心では姉のエディンバラの事が気がかりであった。その証拠に、ベルファストの拳が震えていたからだ。

それを見て、クリーブランドが小声で話しかけた。

 

「先に行って」

 

「っ、ですが・・・・」

 

「指揮官に〈ノブレス・ドライブ〉は救出を終えてからって指示だろ? 大丈夫。私、結構強いんだぞ! それに、本当は心配なんでしょ?」

 

「・・・・(コクン)」

 

「ぃよぉーしっ! やるぞぉ! はぁぁぁぁっ!!」

 

クリーブランドとベルファストが飛び上がり、ベルファストは高雄と愛宕を飛び越えて、その場を離れた。

 

「待ちなさい!」

 

「まとめてかかって来なよっ!!」

 

クリーブランドがベルファストを追おうとする高雄と愛宕を足止めした。

 

 

 

ージャベリンsideー

 

そして綾波と遭遇したジャベリンとラフィーは、綾波から逃げるように進み、綾波も追撃する。

 

「またですか! いい加減に、するのです!!」

 

綾波は苛立ち混じりに雷撃を放つ。

 

「「っ!」」

 

ジャベリンとラフィーが雷撃を受け、水柱が上がる。

 

「・・・・・・・・どうして、戦わないのですか」

 

顔を俯かせた綾波の視線の先には、ギリギリ建物の中に逃れたジャベリンとラフィーだった。

 

「・・・・・・・・」

 

ジャベリンは対艦刀を構える綾波に渋面を作るが、

 

「・・・・・・・・」

 

ラフィーがジャベリンの前に立ち、綾波に向き合う。

 

「・・・・・・・・っ!」

 

綾波は対艦刀を振り上げて、ラフィーに迫った。

 

「ラフィーちゃん!!」

 

対艦刀がラフィーに振り下ろされーーーー。

 

 

 

ーベルファストsideー

 

ベルファストはプリンツ・オイゲンの砲撃を受けそうになったエディンバラとシェフィールドを間一髪で庇った。

 

「ベル!」

 

「あら、来たのねベルファスト。でも残念。今回は一手の差で、私達の勝利ね?」

 

「・・・・・・・・」

 

ベルファストはZ1<レーベ>とニーミにも囲まれていた。

アズールレーンとレッドアクシズの艦隊戦も、レッドアクシズが優勢だった。オイゲンが勝利を確信したような笑みを浮かべる。

がーーーー。

 

「・・・・(クスッ)」

 

「何が可笑しいの?」

 

小さく笑みを浮かべるベルファストに、怪訝の声をあげる。

 

「いえ、ここまでまさに、“ご主人様の読み通り"です」

 

「っ! なんですって?」

 

そう言ったベルファストの言葉に、オイゲンは戸惑いの声を上げた。

 

 

 

ー瑞鶴sideー

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

翔鶴と瑞鶴は、目の前の艦船<KAN-SEN>を見て、愕然となる。

深い霧が少しずつ晴れていき、ソコにはグレイゴースト、エンタープライズがいると確信していたが、ソコにいたのはーーーー。

 

 

 

ーカインsideー

 

その頃、シェフィールド達いる地点と反対方向にある地点の海底を移動しながら、ウェールズ達のいる艦隊に向かっていたカイン指揮官達は。

 

『よぉ指揮官さんよぉ?』

 

「ん?」

 

『本当に向こうの重桜って所の確か、瑞鶴だったか? ソイツが思い通りに動いてくれていると思うのかい?』

 

「動いている」

 

『そう断言できる理由は何ですか?』

 

簀巻きにされているマグマ星人とマーキンド星人がカインに聞くと、カインは確信を込めて口を開く。

 

「瑞鶴は真面目でまっすぐな性格をし、加えて五航船として自負を持っている(タイガ曰く)。が、不調のエンタープライズに追い詰められた事で、その自負にキズを付けられた。まっすぐな気性の娘が、そんな相手を目の前にいると思い込めば、周りの制止を聞かずにエンタープライズの元に突っ走る・・・・ソコにいるのが“本人"なのか考えずにね」

 

 

ー瑞鶴sideー

 

「ふふふ。姉ちゃんじゃなくて、残念だったね♪」

 

エンタープライズの妹、ホーネットだった。

 

「くっ・・・・!」

 

「っ、まさかっ!」

 

瑞鶴が歯噛みするが、翔鶴はエンタープライズのいるであろう場所を睨んだ。

 

「(指揮官の予想通り、五航戦が釣れるだなんてな)」

 

* * *

 

【ホーネット。君にはエンタープライズを装って、出来る限り重桜艦船、特に五航戦を引き付けてほしい】

 

【私に出来ると思うの指揮官?】

 

【『天の時』は霧が味方をし、『地の利』は予め合流地点として定めて経路も構築しており、連携が取れていないレッドアクシズと違い、僕達には『人の和』がある】

 

【なにそれ?】

 

【戦いには、『天の時と地の利と人の和』。この三つが合わされば勝てるって意味だと思ってくれ。大丈夫だ。ホーネット、君とはほんの少ししかいられなかったけと、君なら出来るって確信していている】

 

【・・・・ソコまで言われたら、やってみせなくっちゃね!】

 

 

* * *

 

 

「へへへ。ウチの指揮官の読みの方が、あんた達より上だったね!」

 

「っ! 指揮官が・・・・!」

 

「(綾波の言うとおり、指揮官がここに逃げ込んだのは目論みがあったからなのね。はめられたわ!)」

 

「さて、サフォーク! ノーフォーク! さっきのお返しをしてあげなよ!」

 

そう言って後方にさがるホーネットと入れ替わるように、サフォークとノーフォークが前に出た。

 

「いきますよ、ノーフォークちゃん!」

 

「は、はい!」

 

「「〈ノブレス・ドライブ〉!!」」

 

そう叫んだ瞬間、サフォークとノーフォークの身体が金色に包まれた。

 

「っ! そ、その姿は!?」

 

「まさか、彼女達も・・・・!」

 

怪獣と接戦したベルファスト。重桜母港で高雄と綾波を一蹴したシェフィールドと同じ姿になったサフォークとノーフォークに、翔鶴と瑞鶴の身体に緊張が走る。

 

 

 

 

 

ーエンタープライズsideー

 

「まったく。無茶な指示をする指揮官だ。それに、人にはああ言っておきながらも貴女も十分お人好しだな、ベルファスト!」

 

ベルファスト達のいる地点の建物の屋上から、別方向で進行していたエンタープライズが、オイゲンに向けて弓矢を引いていた。

 

「・・・・エンタープライズ!」

 

「・・・・・・・・」

 

「くっ・・・・・・・・」

 

ニーミとレーベも、エンタープライズを狙おうとするが、エンタープライズに睨まれ、動けなくなった。

 

「さて、姉さん。シェフィールド。行けますか?」

 

「と、当然よ!」

 

「・・・・支障なしです」

 

「では・・・・」

 

「「「〈ノブレス・ドライブ〉!!」」」

 

三人が叫ぶと、金色のオーラを纏った。

 

「あら、合流するまで忍ばせていたのね・・・・」

 

オイゲンが流石に分が悪いと判断し、撤退を言おうとしたその瞬間ーーーー。

 

 

 

ークリーブランドsideー

 

「はぁあっ!!」

 

「っ! ぐぅっ!!」

 

「高雄ちゃん?!」

 

クリーブランドの砲撃を回避している高雄だが、重桜母港でシェフィールドと交戦した時のダメージが響き、動きが段々と鈍くなっていき、愛宕がフォローに回った。

 

「(これは何とかなりそうだ!)」

 

クリーブランドがこのまま高雄と愛宕を撃退しようと思ったその時ーーーー。

 

 

 

 

 

ー綾波sideー

 

対艦刀を振り下ろした綾波は、ラフィーの髪の毛を少し切っただけで、その顔の寸前で太刀を止めた。

 

「・・・・どうして、どうして戦わないのですかっ!?」

 

指揮官を取り戻す。その為なら戦おうと決めたのに、ラフィーとジャベリンの行動が綾波の剣を鈍らせた。

 

「綾波とは戦いたくない・・・・」

 

「っ!」

 

ラフィーは綾波に向けて手を差し出す。

 

「敵同士なのにっ!」

 

「関係無い。ラフィー、綾波と友達になりたい。指揮官もきっと望んでる」

 

「っ!」

 

【綾波、お前は何のために戦う? 誰のために戦うんだ?】

 

【・・・・綾波は・・・・綾波は兵器なのです。そんな考え持たないのです】

 

【頭の固いヤツだな。ま、今はそれでいいさ】

 

初めてトモユキ指揮官と重桜母港に向かう途中でのやり取り。今でも色褪せない綾波の大切な思い出。

 

【指揮官・・・・?】

 

【今はまだ分からなくても良いさ。これから学んで行け。お前たち艦船<KAN-SEN>の“可能性”や、内に秘めた“気高さ”をな】

 

【可能性に、気高さ、ですか?】

 

【ああ】

 

「(っ、指揮官、綾波は・・・・綾波は・・・・!)」

 

綾波は過去の記憶が過る。

 

 

 

ージャベリンsideー

 

そしてそのラフィーの行動を見たジャベリンも、

 

「(そっか、そうだったんだ・・・・私もあの娘と、“友達になりたかったんだ"!)」

 

 

 

ー霧崎sideー

 

「ふふふ。もっと面白くしてあげよう」

 

島の上空でポップコーンを食べながらアズールレーンとレッドアクシズの戦いを面白そうに笑って見ていた霧崎は、ポップコーンの入っていた容器を消すと、空に手を伸ばし、魔法陣を展開させた。

 

 

 

ーカインsideー

 

ピピピッ・・・・!

 

「っ! なんだ?」

 

突然明石特製レーダーに奇妙な反応が出た事を知ったカインは、潜水艦を浮上させ、近くの大きく隆起した岩礁の影に潜水艦を隠し、レーダーを最大にすると、上空から巨大な反応がある事に気づいた。

 

 

 

 

ー綾波sideー

 

「っ!」

 

綾波は、ラフィーのその手を払おうとしようとした、がその時ーーーー。

 

ザバァアアアアアアアアアアアンンッ!!

 

「「「っ!」」」

 

突然の爆音に3人は肩を揺すり、急いで外に出るとソコには、島を覆っていた霧を吹き飛ばす巨大な異形の生命体、怪獣が現れた。

 

 

 

ーカインsideー

 

その怪獣は、異質だった。

丸っこい体に手と足があり、全身に様々な機械が付いているのが特徴的で、右目にはスコープを、両肩には武装がされた機械が付いていた。

両腕も右腕に3本の爪を中心に、赤い結晶が埋め込まれた機械の腕。巨大な機関銃を付け腕と武器が両腕に一体になった姿は、まるでサイボーグのような怪獣だった。

 

『ギュォオオオオオオ!!』

 

『奇機械怪獣 デアボリック』が、咆哮を上げながら廃墟の島を蹂躙し始めた。

 

「なんだこの怪獣は!?」

 

潜水艦を浜辺に移動させ、上陸したカインは突如現れたサイボーグ怪獣を見て驚くが、潜水艦の中から顔を出したマーキンド星人とマグマ星人が声を張り上げる。

 

『あっ! あれは『怪獣爆弾』として売りに出そうとしていた、『奇機械怪獣 デアボリック』!!』

 

「と言う事は、お前達『ヴィラン・ギルド』のオークション商品か。何とか止められないのか?」

 

『いや無理だ。もう俺らでどうにかなるモンじゃねぇよ!』

 

≪自分達の怪獣の癖に無責任な事を!≫

 

≪止めろタイガ。元々は私達が彼らの宇宙ステーションを破壊してしまい、『怪獣保管庫』を行方不明にさせてしまったのが原因の1つだ≫

 

「・・・・みんなが危ない」

 

カインはデアボリックがいる方へと走っていった

 

『ちょっと指揮官さん! せめて私らを解放してからにしてくれませんかっ!?』

 

『クソッ! こうなったら自棄だ! 噛み千切ってやるっ!!』

 

マグマ星人がヤケクソでマーキンド星人の縄を噛み千切ろうとした。

 

 

 

 

 

 

カインは人目が無いのを確認すると、『タイガスパーク』を起動させた。

 

「行こうタイガ!」

 

≪ああ!≫

 

[カモン!]

 

腰につけた『タイガキーホルダー』を掴み、赤いインナースペースが展開される。

 

「光の勇者! タイガ!! バディィィィィィィゴーーーーーー!!」

 

[ウルトラマンタイガ!]

 

『シュアッ!!』

 

光の勇者、ウルトラマンタイガがデアボリックに『タイガキック』をぶつけ、デアボリックの巨体を倒した。

 

 

 

ー瑞鶴sideー

 

「それっ!」

 

「えいっ!」

 

「うわっ!」

 

「くぅっ!」

 

〈ノブレス・ドライブ〉となったサフォークとノーフォークに、瑞鶴と翔鶴は押されてしまっていた。

 

「うわ~。やっぱ〈ノブレス・ドライブ〉している艦船<KAN-SEN>は桁違いに強いねぇ。私出る幕ないよ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・!」

 

「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・」

 

ホーネットが苦笑いを浮かべ、頬を人差し指の先でポリポリと掻きながら言い。翔鶴と瑞鶴は肩で荒い呼吸をし、劣勢である事が物語っていた。

 

「だ、大丈夫、ですか?」

 

「ごめんなさい! “ちゃんと手加減してますから"!」

 

「て、“手加減"ですって・・・・!」

 

カイン指揮官から、なるべく相手を傷つけないように戦えと指示を受けているので本気で戦う訳にはいかないサフォークとノーフォークだが、“手加減されている"、と言われた瑞鶴は悔しそうに呻く。

がーーーー。

 

ザブァアアアアアアアアアアアンンッ!!

 

『ギュォオオオオオオ!!』

 

『シュアッ!!』

 

「「「っ! ウルトラマンタイガ!?」」」

 

「瑞鶴! あれを見て!」

 

「また怪獣とウルトラマンっ!?」

 

突如現れた怪獣とウルトラマンタイガから、戦闘が始まると考えたホーネット達は、急いでウェールズ達と合流しようとした。

 

「ま、待て! まだ戦いは!」

 

「瑞鶴。ここまでよ」

 

「でも翔鶴姉!」

 

「今鉄血のニーミって子から連絡があったわ。追っていた子達がグレイゴーストと合流したそうよ。指揮官の姿も見えないし、これ以上の戦闘は無意味よ」

 

「・・・・了解」

 

エンタープライズだけでなく、サフォークとノーフォークにも遅れをとった事に、瑞鶴は悔しそうだった。

 

 

 

ータイガsideー

 

『ギュォオオオオオオ!!』

 

起き上がったデアボリックは、背中や両腕から高速射撃を放ち、その圧倒的な段幕と火力に、タイガはバク転などで回避する。

 

≪タイガ! このままじゃ島や外にいるみんなに被害が出る。上空に逃げるんだ!≫

 

『分かった! シュァッ!!』

 

上空に飛んで回避するタイガだが、デアボリックの段幕は収まらずにタイガを追撃する。

 

『ダァアっ!!』

 

タイガは空中で段幕を回避するが、デアボリックの右腕のレーザーキャノンの砲撃を受け、廃墟の方へ墜落した。

 

『っ!』

 

『「っ! ジャベリン! ラフィー! それに、綾波っ!?」』

 

倒れたタイガの視線の先には、おそらく待避途中であろう綾波達がいた。

 

『「タイガ! 綾波達を守るんだ!」』

 

『あ、あぁ!』

 

タイガは起き上がると、デアボリックと肉弾戦を繰り広げる。

 

 

 

ーエンタープライズsideー

 

「くっ!」

 

「エンタープライズ様! お早く待避を!」

 

建物の屋上にいるエンタープライズは、眼下で待避しようとするベルファスト達や鉄血陣営に目もくれず、タイガとデアボリックの戦いを見ていた。

 

「・・・・・・・・」

 

「何をしているのかな、エンタープライズさん?」

 

「っ、貴方は・・・・!?」

 

そんなエンタープライズの少し先の正面に現れたのはーーーー。

 

「お久しぶりです」

 

そう、霧崎だった。

 

「貴方が、何故こんな所に・・・・?」

 

「そんな事はどうでも良い事ですよ。それよりも、先日貴女に渡したリング。それを指に嵌めてみてはどうでしょう?」

 

「何?」

 

「それを使えば、貴女は簡単に手に入りますよ。『力』がね」

 

「・・・・・・・・」

 

エンタープライズは懐から『ベムラーリング』を取り出すと、そのリングから放たれる力の波動に、おそるおそるとリングを右手中指に嵌めた、その瞬間。

 

『ギワァアアアア!!』

 

「っっ!!!」

 

『宇宙怪獣 ベムラー』の幻影が自分と同化したような感覚に襲われると、強烈な力の奔流が全身を駆け巡った。

 

「ぐっ! うぁ! あぁぁああああああああ!!!」

 

エンタープライズの目が緑色の光を放ち、身体が青白い炎に包まれた。

 

「っっっ!!!!」

 

ギンッ!と鋭い視線でタイガを組み合い、右腕のレーザーキャノンをタイガに押し付け、放とうとするデアボリックを睨んだエンタープライズは艤装のアーチェリーを構え弦を引き絞ると、身体を包んでいた炎が弓に集まり。

 

「はぁあっ!!!」

 

『ギワァアアアア!!』

 

放たれた一矢がベムラーの頭部の形になると、デアボリックの脇腹に当たると、その巨体を吹き飛ばした。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・はははっ!」

 

エンタープライズは、力の奔流が収まり、僅かな疲労感と虚脱感に襲われながらも、奇妙な高揚感に笑みを浮かべた。

 

「ではまた地獄で、エンタープライズ・・・・!」

 

霧崎も愉快そうな笑みを浮かべて、その場から消えたが、エンタープライズはそれを気にかけてすらいなかった。

 

 

 

ーベルファストsideー

 

「今の攻撃は・・・・まさか、エンタープライズ様?」

 

霧とデアボリックの高速射撃による流れ弾で起きた爆煙で周りが見えなかったが、突如デアボリックを吹き飛ばした攻撃の発射位置から、エンタープライズがおこなったのではと、ベルファストは推理していた。




エンタープライズに不穏な影が生まれた。
そして次回、『風の覇者』が大海の戦場を駆け抜ける!
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