アズールレーンT   作:BREAKERZ

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【初陣】新たな戦い

ーウェールズsideー

 

『指揮官の執務室』で指揮官を待っていたウェールズは、執務室の扉を開けた艦船<KAN-SEN>からの報告を聞いて驚く。

 

「『セイレーン』だとっ!? 迎撃急げ! これは演習ではないぞ!」

 

「「はいっ!」」

 

ウェールズが指示を出すと、イラストリアスは難しい顔を浮かべ、クリーブランドが軍港を見渡せる窓に行くと、爆撃機から攻撃を受けている軍港が見え、すぐに向かった。

 

「まだ指揮官が来ていない状況で『セイレーン』とは、タイミングが悪すぎる・・・・! 偶然か? それとも・・・・」

 

「まさか・・・・!」

 

「いや、おそらくそのまさかって事はだね」

 

「っ! 指揮官!」

 

「指揮官さま!」

 

ウェールズの言葉に、イラストリアスも難しい顔を浮かべていると、ちょうどユニコーン達と別れたカイン指揮官が執務室にやって来た。

 

「指揮官! 今までどこに?!」

 

「お説教は後、ユニコーンとジャベリン、それにユニオンのラフィーって子も向かわせた。ウェールズ、君もすぐに軍港にいる子達と合流して、迎撃に当たってくれ」

 

「はっ!」

 

「イラストリアス。この状況を、急ぎ『陛下達』に通達してくれ」

 

「承知しました」

 

「間もなく『ユニオンのエース』も来る。それまでの時間は稼いでおこう」

 

「「了解しました」」

 

「それと、ユニコーンにいざとなったら、『切り札』を使えと、指示を出している」

 

「っ! 『切り札』を、ですか?」

 

「あぁ。元々すぐに、他のロイヤル艦隊やユニオンの艦隊にも教えるつもりだったからな」

 

会話に出てきた『切り札』。

それこそ、記憶喪失で素性の知れないカイン・オーシャンが、“アズールレーンの指揮官を任命される理由”となっていた。

 

 

ークリーブランドsideー

 

クリーブランドは砂浜を駆けて行く。

 

「海上の騎士クリーブランド、出る!」

 

クリーブランドがそう叫ぶと、海上に停泊していた『クリーブランド級軽巡洋艦 クリーブランド』が複数のキューブへと変化し、飛び出したクリーブランドの身体に集まると、クリーブランドの身体に艦船<KAN-SEN>の武装、『艤装』である。

 

「へっ!」

 

クリーブランドは不敵な笑みを浮かべると、『セイレーン』の爆撃機に向かって、艤装の砲口を向け、砲撃を浴びせ、撃墜した。

撃墜した爆撃機を尻目に、海上に着水したクリーブランド。

 

「どうだっ! 人類がお前達『セイレーン』に対抗するため生み出した『切り札』!!」

 

海上を進むクリーブランドに、もう一機の爆撃機がクリーブランドに通りすぎる際、ミサイルを発射し、爆発して大きな水柱をあげた。

爆撃機は旋回してようとするが、クリーブランドの砲撃で撃墜した。

水柱からクリーブランドが飛び出てきた。

 

「それが、軍艦の力をその身に宿した私達!」

 

クリーブランドに続くように、他の艦船<KAN-SEN>達も艤装を装備した。

 

「お前達<『セイレーン』>を倒す力だっ!!」

 

クリーブランドがさらに爆撃機を撃墜する。

そして他の艦船<KAN-SEN>の中に、ジャベリン達の姿もあった。

 

「ジャベリン! 全力で行きまーす! です!」

 

「状態良好、行こう・・・・」

 

ジャベリンが自身の自慢の武器である槍を振り回して快活に、ラフィーがいつものダウナーに海上を駆ける。

二人に向かって二機の爆撃機が向かうが、ジャベリンは槍から、ラフィーは艤装から攻撃して、爆撃機を撃墜した。

 

「やったぁ!」

 

「おぉ・・・・」

 

 

ーカインsideー

 

カインはウェールズと共に軍港の方に向かって行った。

 

「・・・・・・・・」

 

「指揮官。この調子ならば、『セイレーン』を追い返せると思いますが?」

 

「いや、真打ちが来るぞ・・・・」

 

「っ!」

 

ウェールズは渋面の指揮官の顔を見て、息を飲む。

 

≪やっぱり、そうなのかよ・・・・!≫

 

『謎の声』は、辛い声色でそう言っていた。

 

「(ユニコーン、頼むぞ)」

 

 

ークリーブランドsideー

 

「っ!?」

 

クリーブランドは、このまま『セイレーン』を撃破できると少し気を抜いた瞬間、目の前にーーーー。

“桜の花びらが現れ、鈴のような声が響いた”。

 

『そう、『セイレーン』と戦うため、人類は私達を造った。だけどやがて理念の違いにより、“『四大陣営』は2つの勢力に別れる”・・・・』

 

突然現れた桜の花びらの元を追うと、桜吹雪が海上に渦巻いているのに気づいた。

そして先ほどと違う冷徹な声が響く。

 

『1つはお前達、“あくまで人類の力だけで『セイレーン』と戦う、『ユニオン』と『ロイヤル』”』

 

『そしてもう1つーーーー』

 

桜吹雪が晴れて現れた艦船の紋章が目に入った。

 

「その紋章は!?」

 

そして、艦船<KAN-SEN>の姿が現れた。

 

「“『セイレーン』を倒すためには、『セイレーン』の技術をも利用する『鉄血』と、私達『重桜』”」

 

甲板に立っているのは、重桜の艦船<KAN-SEN>.

『重桜第一航空戦隊所属正規空母・赤城』。

『重桜第一航空戦隊所属正規空母・加賀』。

甲板に立つ二人の横を、重桜の艦載機が横切るが、飛び立つ瞬間、赤城の船から発進した艦載機は赤い炎に包まれ、加賀の船から発進した艦載機は青い炎に包まれた。

炎に包まれた艦載機の編隊は、2つの船の上空を旋回していく。

 

「重桜一航戦、赤城」

 

「重桜一航船、加賀」

 

「「押して参る!」」

 

二人がそう宣言すると、セイレーンと重桜の爆撃機はクリーブランド達に向かって行った。

 

 

 

ージャベリンsideー

 

各艦船はそれらを迎撃するが、編隊を組んで飛翔する爆撃機は巧みな機動で攻撃を回避したり、数の暴力で押していく。

 

「キリがないですぅ~!」

 

「ちょっとピンチ、かも・・・・」

 

ジャベリンとラフィーも弱音を出してきた。

が、迎撃機が飛んできて、セイレーンと重桜の爆撃機を撃墜する。

 

「迎撃機?! っ!」

 

クリーブランドが視線を向けると、ゆーちゃんを抱きしめて艤装を装備したユニコーンがいた。

 

「お友達をいじめないで!!」

 

ユニコーンが抱いているゆーちゃんが光だすと、そのぬいぐるみのような姿が大きくなり、翼が生えて、ユニコーンを背に乗せて空へと駆け、艤装から迎撃機を次々と射出して、加賀の爆撃機を撃破した。

 

「ユニコーンちゃんスゴい! ラフィーちゃん!私達も頑張ろう!!」

 

「うん・・・・頑張る・・・・」

 

《全KAN-SENに連絡》

 

「え!? なになに?」

 

「通信・・・・指揮官・・・・?」

 

《こちら、本日から君たちの指揮官をする事になったカイン・オーシャン特務中佐だ。現在戦闘中のKAN-SEN達は、僕の指示に従って欲しい》

 

「指揮官・・・・」

 

ジャベリンは、指揮官の言葉に耳を傾けた。

 

 

ーカインsideー

 

「今回が初陣のぽっと出の指揮官なんかに命預ける事になってしまって申し訳なく思っている。だか、僕は君たちを、KAN-SENを、誰一人として沈めるつもりも、見捨てるつもりも、無駄死にさせるつもりも毛頭無い。それだけは理解してくれ」

 

カインは『量産型艦船』の船上から、全KAN-SENに通信を送り、その船を守るように、艤装を装備したウェールズとイラストリアスが控えていた。

 

「大丈夫。この戦いは相手を倒す事が勝利じゃない。相手を追い返す事が勝利だ」

 

 

 

ー加賀sideー 

 

「あの娘、空母か。あんな痩せた身体では食いでが無いが・・・・獲物は獲物!」

 

加賀は空中で奮戦しているユニコーンに向けて、歪んだ笑みを浮かべると、手に狐面を持ち、青い炎で燃やすと、加賀の生まれる元となった、『空母加賀』が桜吹雪に包まれ、それが晴れるとそこにはーーーー。

艤装を装備し、尻尾や目に青い炎を灯した、巨大な白い九尾の狐へと姿を変えた。

その目は獲物を見据え。

その牙は獲物を喰らう為に存在する野獣の姿。

 

「えぇぇぇぇぇっ!?」

 

その姿にクリーブランドは仰天した。

 

「喰ろうてやるぞっ!」

 

『グルルルルルルルルル・・・・!!』

 

白い九尾はユニコーンを獲物と定め、唸り声を上げ、艤装から青い炎を纏った艦載機を発射した。

 

 

 

ーユニコーンsideー

 

「っ・・・・!!」

 

《ユニコーン》

 

「っ! お兄ちゃん・・・・!」

 

《無理に戦おうとしなくて良い、回避を優先して。大丈夫、必ず助けるから》

 

「う、うん!」

 

 

ージャベリンsideー

 

「っ! させないっ!」

 

「っ・・・・危ない」

 

ジャベリンがユニコーンの援護をしようとすると、ラフィーが海中から近づく魚雷を察して、ジャベリンに退かすと、魚雷が爆発し、水柱を上げたーーーー。

 

「ラフィーちゃん!!」

 

「ケホッ、ラフィー、戦闘継続可能・・・・」

 

が、ラフィーは艤装で魚雷で撃ち抜いていたが、多少のダメージを受けていた様子であった。

ジャベリンはホッとすると、魚雷が向かって来た方向を見ると、先ほどの女の子が立っていた。

 

「あなたは・・・・!」

 

「『重桜吹雪型駆逐艦 綾波』・・・・っ!」

 

『特型駆逐艦吹雪型・十一番艦 綾波』だった。

綾波は身の丈程はある刀を抜きながら、ジャベリンに振り下ろすが、ジャベリンは槍で防いだ。

 

「その力、味わうが良い・・・・!」

 

「どうして、こんな・・・・!」

 

「敵同士なのだから、当然なのです・・・・!」

 

綾波が艤装で攻撃するが、ジャベリンは後ろに飛んで回避し、追撃で攻撃する綾波。

 

 

ークリーブランドsideー

 

《ユニオンのクリーブランドと『サンディエゴ』。ユニコーンの援護をしてくれ。見てくれは大きな獣だが、あれは重桜独自の技術で作られた艤装だ。艦載機も君達の対空砲で撃墜できる》

 

「・・・・了解! 海上騎士団の実力を見せてやる!」

 

「私の歌を聴けー!」

 

対空砲を放つと、炎を纏った艦載機は爆発した。

 

「なにっ!?」

 

「や、やった・・・・!」

 

「本当に撃墜できた・・・・」

 

加賀は自分の艦載機が撃墜された事に驚くが、クリーブランドとサンディエゴはそれ以上に驚いていた。 

 

《呆けるのは後回し、『C・オースバーン』、『サッチャー』、『スペンス』、『オーリック』、『フート』の『リトルビーバーズ』に、『コメット』、『シグニット』、『クレセント』の『ロイヤルCクラス』。獣の足元に魚雷を放て。獣は足元がおぼつかないと攻めあぐねる》

 

『り、了解!』

 

『リトルビーバーズ』と『ロイヤルCクラス』が魚雷で白い九尾の足元を攻撃し、白い九尾は怯んでしまう。

 

 

ー加賀sideー

 

「ちぃ!邪魔な奴らだ!」

 

ユニコーンを落とそうとするがクリーブランドとサンディエゴが正確に艦載機を狙って撃墜し、リトルビーバーズとロイヤルCクラスの魚雷が足元を攻撃し、白い九尾はユニコーンに攻めあぐねていた。

 

「周りの雑魚に構うなっ! あの空母を狙えっ!!」

 

『グガァアアアアアアッ!!』

 

加賀は内心苛立っていた。

敵にこちらの動きを阻害され、それに苛立ち、九尾の攻撃が段々雑になる。

敵のKAN-SEN達は九尾を1ヶ所に固定し、艦載機を射出してもクリーブランドと対空砲火とユニコーンの艦載機が撃破し、リトルビーバーズが魚雷で九尾の動きを阻害する。

加賀はふと、KAN-SEN達の動きに既視感を覚える。

 

「(このやり方、まるで『アイツ』と演習していたときのようだ・・・・!)」

 

それはかつて、自分達の指揮官の指揮に似ていた。

 

 

ーカインsideー

 

「さて、そろそろ来る頃かな?」

 

「はい」

 

カインは『何か』が近づいてくるのをウェールズに問うと、ウェールズが肯定した。

 

『グガァァァァァァァ!!!』

 

すると、少数の魚雷が九尾に着弾し、九尾が苦しみ叫び声を上げた。。

 

「魚雷だと・・・・! だが、これしきのことで倒れる私ではない!!」

 

『オォォォォォォォォン!!』

 

加賀の声に応えるように、九尾が雄叫びを上げるが、カインは冷静にそれを見据える。

 

「ま、重桜の主力の一航戦がこの程度で倒れるような手温い相手じゃないよね。だから、こっちも強力な一手を仕掛けるだけだ」

 

状況は拮抗状態、このままでは双方に大きな被害が出ると分かっているカインがそう言った瞬間。

青い鳥の形をしたモノが、九尾の体を貫き、そのまま倒れ込み、鳥はその後を、1つの艦載機に姿を戻した。

 

「なに!?」

 

赤城は驚き、飛んできた方向へと目を向ける。

『セイレーン』の艦隊の後方、その先に1つの空母とその上に立つ1人のKAN-SENがいた。

その姿は白と黒の軍服を身につけ、長く美しい銀色の髪。その姿は凛としながら今まで多く激戦を戦い抜いた戦士のようだ。

 

 

ークリーブランドsideー

 

「あの船は・・・・!」

 

「ユニオンの空母ね、もしかしてあいつが・・・・」

 

クリーブランドと赤城が呟いた瞬間、空母から次々と艦載機が発進した。

 

「間違いない。あの船こそ、私達ユニオンの最強空母!」

 

「『灰色の亡霊』大いなる『E』・・・・くっ!」

 

「そうか、貴様が!」

 

鋭く睨む赤城と加賀に構わず、その少女は叫ぶ。

 

「エンタープライズ エンゲージ!!」

 

エンタープライズの乗っていた空母が姿を消すと、その形が艤装となって、エンタープライズに装備された。

 

 

ーカインsideー

 

「そう。『ユニオンのエース』、『ヨークタウン級2番艦空母 エンタープライズ』」

 

《指揮官。指示を頼む》

 

「それじゃそのまま、敵の懐に入れ、思いっきりぶちかませ!」 

 

《わかった。行くぞ・・・・!》

 

エンタープライズの声を聞くと、カインはニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

ーエンタープライズsideー

 

エンタープライズは艦載機の上に飛び乗ると、量産型の『セイレーン』の艦隊の間をすり抜けて、加賀に向かう。

 

「面白い!」

 

「っ!」

 

加賀が青く燃える艦載機を飛ばし、エンタープライズは艤装のアーチェリーを引くと、放たれた矢が一本を五本に拡散し、加賀の艦載機を撃ち抜く。

 

 

 

ーカインsideー

 

「エンタープライズ、無理はするなよ」

 

《問題ない》

 

カインはエンタープライズに無理をしないように告げるが、エンタープライズは加賀と交戦を開始した。

 

≪スゴいな、あのエンタープライズって空母・・・・≫

 

「ああ、確かにな。だけど、結構脆いかもな彼女・・・・」

 

カインは『謎の声』に同意した。

確かに彼女は強い。英雄と呼ばれるに相応しい強さを持っている。

 

「(だが、『強い』だけだ。彼女が持っているのは『強さ』だけ、もしそれを失ったとき、彼女はどうなるかな?)」

 

敵の砲撃を掻い潜り、エンタープライズは指示通り、懐へと近づいた。

 

 

ーエンタープライズsideー

 

《よし。では次にあの獣を討っておいてくれ》

 

「了解」

 

『グガァァァァァァァァ!!』

 

カインの言葉を聞き、エンタープライズは九尾の頭上に跳ぶと、頭部に矢を3発放つと、矢は爆弾に変化し、九尾は悲鳴を上げ、その背中を走り、加賀へと近づく。

 

「私を楽しませろ! 亡霊よ!!」

 

「待ちなさい! 加賀!!」

 

赤城の静止を聞かず、目と背面の尻尾を青く光らせた加賀は、艦載機をエンタープライズに向けて放つ。

 

「ふっ・・・・!」

 

獣の背中に乗り、一気に敵との距離詰める為に走り跳ぶとーーーー。

加賀との距離が、お互いの顔がはっきりと分かるほど近い。そして加賀に、敵に向けて弓を引く。

 

「貴様・・・・!」

 

「とったぞ」

 

敵の急所、人間でいうと心臓を何度も射抜き倒れるまで何度も撃った。

 

「がはぁ・・・・!」

 

「加賀!!」

 

悲痛な叫びと共に、九尾は蒼い炎と共に消えた。

 

 

ーカインsideー

 

「おいおい・・・・あれでまだ立てるのか、存外タフだな・・・・」

 

≪あぁ、流石は加賀さんって所だな・・・・≫

 

心臓にあたる部分に何発も矢を喰らったが、まだ立てる加賀にカイン達も驚いた。

 

「くっ・・・・よくも私の体に傷を・・・・! この体は姉様の!」

 

カインは怒りを全面に出して、エンタープライズに向けて艤装を召喚した。

それを見て、カインは拡声器を使って戦場に声を響かせた。

 

「(ここだな・・・・)重桜艦隊に告げる。こちら、アズールレーン指揮官。カイン・オーシャン特務中佐だ。これ以上の戦闘行為は無益と判断する。重桜艦隊は即刻この海域から退去されたい!」

 

サングラスを外したカインはウェールズとイラストリアスを連れて、『量産型艦船』で戦場の近くに行き、そう告げると、重桜側の赤城と加賀、そして先ほど会った『綾波』と言う少女が、こちらをーーーーもっと正確に言うとカインを見て目を見開いたような貌となった。

 

「なんだ?」

 

≪(やっぱり、気づくよな・・・・)≫

 

 

 

ー加賀sideー

 

「な、何故だ・・・・! なぜ、“アイツ”が・・・・!」

 

加賀は先ほどエンタープライズに向けていた憤怒が頭から消滅してしまい、『アズールレーン指揮官』を名乗る『カイン・オーシャン』を見て愕然となった。

敵が目の前にいる戦場で呆けるなど、普段の加賀ならば絶対にやらないミスを加賀は犯してしまった。

 

「ああ、ああ・・・・! やはり、あなた様は、生きておられた・・・・!」

 

加賀の後ろから、赤城が感極まったような声を上げながら、ゆっくりと、カインのいる船に近づこうとした。

 

「姉様! お待ちください!」

 

加賀が赤城の手を掴んで止めた。

 

「離しなさい加賀・・・・。あの方が、あの方が生きていたわ・・・・やっぱり生きていたのよ・・・・!」

 

赤城はカインを見据えて呟く。

 

「姉様・・・・!」

 

 

ー???sideー

 

「(ニヤリ)」

 

丘の上から戦況を見ていた青年は、ニヤリと笑みを浮かべると、手を伸ばして、指を弾いて鳴らした。

 

パチンっ・・・・!

 

「では、私から贈り物を・・・・『ヘルベロス』」

 

青年が静かに呟くと、カイン達のいる海域の上空から、暗黒の渦が現れた。

 

 

ーカインsideー

 

「何を言ってるんだ・・・・」

 

≪カイン! 上を見ろっ!!≫

 

「っ!?」

 

カインは赤城と加賀の様子を訝しそうにしていたが、『謎の声』が叫びを聞いて上空を見ると、暗黒の渦が現れ、そこから黒い刃のような隕石が戦場に飛来した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『きゃぁああああああああああああああっ!!』

 

カインだけでなく、KAN-SENのほとんども悲鳴を上げると、渦の中から『剣がついた尻尾のようなもの』が、海面を叩き、『セイレーン』の量産艦船を破壊していった。

 

「っ!! 総員退避っ! 避けろーーーー!!」

 

『っ!!』

 

アズールレーンのKAN-SEN達はカインからの叫びを聞いて、尻尾から回避した。尻尾は一度渦の中に消えると、今度は『尻尾の本体』が現れた。

 

ザパァァァァァァァァァァァァンンッ!!

 

巨大な水飛沫を上げて降り立ったそれは。頭に二本の刃を冠、肘に刃を付け、背中には鋭いトゲ、鋭い刃が付いた尻尾、身体中に刃状の突起を付けた黒と赤黒い姿をした異形なる巨大生物ーーーー『怪獣』だった。

 

『グワァアアアアアアッ!!』

 

ーーーー『最凶獣ヘルベロス』。

 

「おいおい嘘だろっ!!」

 

「こんな事が・・・・!」

 

「っ!!」

 

クリーブランドも、ウェールズも、イラストリアスも、突然現れた怪獣に驚きを隠せない状況だった。

 

『グワァアアアアアアッ!!』

 

ヘルベロスは肘の刃から赤い光刃『ヘルスラッシュ』を辺り構わず振り回した。

KAN-SEN達も回避するが、とても間に合わない。

 

「何てこった・・・・!」

 

≪・・・・どうする? お前だけなら逃げられるかも知れないぞ?≫

 

『謎の声』がカインに問いかけた。

が、カインはほんの僅かな迷いもなく反論する。

 

「そんなのゴメンだ! 僕は彼女達の『指揮官』なんだ! 今逃げたら、此処に! 『心』に! 【KAN-SENを、誰一人として沈めるつもりも、見捨てるつもりも、無駄死にさせるつもりも毛頭無い】って決めた『自分の気持ち』に嘘をつくことになるっ! だから僕が、彼女達を守るっ!!」

 

その時、ヘルベロスが口から火球を放つと、『セイレーン』の量産型艦船の残骸が爆発し、火の塊となった他の残骸が、カインの乗る艦船の近くに落下し、爆発して炎がカインを呑み込んだ。

 

「っ! 指揮官!!」

 

「指揮官!!」

 

「指揮官・・・・!」

 

「お兄ちゃん!!」

 

『指揮官っ!!』

 

「っっ!!!」

 

綾波が、ジャベリンが、ラフィーが、ユニコーンが、アズールレーンや重桜のKAN-SEN達が、エンタープライズも、カインの方に目を向けて叫んだ。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」

 

炎の中でカインの胸から、『光』が飛び出した。

 

≪お前の覚悟、受け取った!!≫

 

 




次回、『勇者』が降臨。
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