そして新年早々、タイガがパワーアップ!
ーカインsideー
フーマはそのまま海溝に沈み、ゆっくりと海底へと落ちていく。
ーーーーピコン! ピコン! ピコン!・・・・。
途中、カラータイマーが鳴り終わると、フーマの姿はカインに戻ってしまった。カインの身体は、『タイガスパーク』から放たれる光に包まれ、水圧に潰れる事なく沈んでいった。
「(・・・・・・・・僕は・・・・そうか、カインの記憶と・・・・海守トモユキの記憶が、混濁したのか・・・・身体が、言う事を聞いてくれない、このまま、死ぬのか・・・・?)」
カインの脳裏に、アズールレーンの艦船<KAN-SEN>達の顔が浮かんだ。
「(エンタープライズ・・・・ジャベリン・・・・ラフィー・・・・クリーブランド・・・・ホーネット・・・・陛下・・・・ウォースパイト・・・・ウェールズ・・・・フッド・・・・イラストリアス・・・・ユニコーン・・・・アークロイヤル・・・・メイド隊の皆・・・・・・・・・・・・ベル・・・・!)」
沈み行くカインの全神経が、全感覚が、“何か”を感じた。
「(何だ?・・・・この感覚は・・・・?)」
海の流れ、ソコに生きる生命の息吹き、海底の大地のう唸り、吹き上がる空気の動きーーーー。
「(感じる・・・・この海のーーーーこの星の自身の生命を感じる)」
カインは海の中で瞼を開けると、暗い深海であるはずなのに、その視界は明るく、海底から金色の光が漏れ出て、その上に何とーーーーオーロラが浮かんでいたのが見えた。
「(あそこか・・・・)」
カインはゆっくりと、その歩を進めていくと、海底の大地から漏れ出る光に触れたその時、オーロラが集まり、光の剣になり、カインに近づき、カインはその手に取った。
「(・・・・これは、この星のパワー、なのか?)」
≪ぐぅっ、あ、あぁ・・・・!≫
≪ぬぅっ! うぅ・・・・っ!≫
≪うぁっ! ぉお・・・・!≫
悪夢に苦しむタイガ達を見て、カインは静かに、しかし、力強い声で呼び掛ける。
「(・・・・タイガ)」
≪っ! トモ、ユキ・・・・≫
「(・・・・タイタス)」
≪カイン、指揮官、殿・・・・≫
「(・・・・フーマ)」
≪に、にいちゃん・・・・≫
「(落ち着くんだ皆・・・・。皆が見ているのは、ナイトファングが見せている悪夢、幻想に過ぎない。まだ戦いは続いている。こんな所で、悪夢にうなされている場合じゃないぞ! 目を覚ませ、ウルトラマン! 立ち上がれ、トライスクワッド!!)」
カインが手にした光の剣を掲げると、『タイガキーホルダー』が点滅する。
≪この光・・・・俺の、光の力と共鳴しているのか・・・・?≫
光の剣はその輝きを強め、『タイガキーホルダー』と一体化すると、キーホルダーは一回り大きくなり、タイガの顔の左右に、青と黄色の水晶が付いていた。
「(この星のパワーと、太陽のパワーが融合した!)」
≪トモユキ! 力がみなぎってくるぞ!≫
「(この新たな力で、悪夢を討つ!!)」
カインは『タイガスパーク』を起動させた。
[カモン!]
そして、新たな形となった『フォトンアースキーホルダー』を手に取り、左右の水晶に順に翳した。
[アース!][シャイン!]
「(輝きの力を手に!)」
キーホルダーを握ると、上部が二又に開き、光輝く。
≪はぁぁぁぁぁっ!!≫
金と銀と黒がメインとなり、タイガの身体へ脚から順に鎧が装着されていく、その鎧は、荘厳な姿であり、頭部のウルトラホーンも金色に変化し大振りになった。
「バディーーーーゴー!」
[ウルトラマンタイガ フォトンアース]
『シュアッ!!』
ージャベリンsideー
「っ!」
『フェフェフェ!!』
ラフィーは、火球を放つナイトファングの攻撃を軽やかに回避しながら、その巨体に機銃で光の弾丸を放ち、光の砲撃で攻撃する。
「えーーーーい!!」
『フェーーーーィ!!』
ジャベリンも砲撃しながら、ナイトファングに自前の槍を投擲して腕の触手を貫いた。
「っ、ジャベリン・・・・!」
「っ! ありがとうラフィーちゃん!」
落ちていく槍を掴んだラフィーがジャベリンに向けて投げると、ジャベリンはソレを難なく掴み、再び交戦を始めた。
しかし、足止めはできても、倒す事はできない。自分達では決定力に欠けているのだ。ベルファストが他の艦船<KAN-SEN>の皆、できれば〈ノブレス・ドライブ〉ができる子達が後何人かいれば、どうにかなるかも知れないが、それまで持ちこたえるしかない。
その時ーーーーウルトラマンが沈んだ海面から、金色の光が広がっていった。
「あれは?」
「ん?」
『・・・・・・・・』
「「えっ?」」
ジャベリンとラフィー、ナイトファングもそれに気づいて戦いを中断し、五航戦の二人もそこに目を向けると・・・・。
ーーーーザパァアアアアアアアアアンン!!
海面から、荘厳な鎧を纏った、ウルトラマンタイガが現れ、着水したのだ。
「ウルトラマンさんっ!? あれ、何か鎧を付けてる?」
「金ぴか、ラフィー達とお揃い・・・・」
「「・・・・・・・・」」
五航戦も、新たな姿のウルトラマンに目を奪われた。
ーカインsideー
立ち上がったタイガ・フォトンアースは、その荘厳な姿を見せる。
『フッ・・・・ハッ!』
『ヒュルルル!』
構えるタイガ・フォトンアースに、『ファングヴォルボール』を放つ。
がーーーー。
『フンッ! ハァッ!』
タイガ・フォトンアースは、迫る火球を光を纏った拳で殴り返して、ナイトファングは自らの火球を受けてダメージを負う。。
『ヒュルルル! フェェェェェ!!』
ナイトファングが迫り、触手の腕をタイガ・フォトンアースに振るうが、
『フンッ! フッ! ハッ! ツアッ!!』
その腕を受け止め、受け流し、カウンターで攻撃し、腕を絡めて動きを封じる。
『フェェェェェ!!』
ナイトファングが額の目玉で再び音波を放とうとした。
『タァアアアアッ!!』
ーーーードォォンッ!
『フェェェェ!!』
が、タイガ・フォトンアースは後ろ回し蹴りで目玉を逆に粉砕した。
ーアズールレーンsideー
『っ!!』
「皆様っ!」
ナイトファングの目玉が破壊されたのと同時に、悪夢を見せられていた艦船<KAN-SEN>達が目を覚まし、エンタープライズと綾波を抱えてきたベルファストが声を上げる。
ー重桜sideー
「っ! 姉様!!」
「あら、漸くお目覚め?」
撤退していたレッドアクシズ艦船<KAN-SEN>達も、ナイトファングの音波で悪夢を見せられていたようだ。
加賀が起き上がると、自分の近くに、遠くで行われているタイガ・フォトンアースとナイトファングの戦いを見ていたオイゲンがいた。
「貴様。一体何が起こった・・・・?」
「ふん。あの気持ちの悪い怪獣が、不愉快な悪夢を見せていたのよ・・・・」
ナイトファングを鋭く睨むオイゲンのその目は、強い怒りに満ちているようだった。
ータイガsideー
『ふっ! たぁ! はぁあああああああ!!!』
さらにタイガ・フォトンアースは拳を次々と繰り出し、ナイトファングを押していく。
『フェェェェ!!』
ナイトファングが頭の角で突進してくるが、ソレを受け止め、殴り上げ、腹部を蹴り、ナイトファングを追い詰めていく。
『キュルルル!!』
ダメージによって動きが緩慢になったナイトファングに、タイガ・フォトンアースは必殺技を放つーーーー。
大気中の光エネルギーを体内に吸収し、周りの景色が薄暗くなり、オーロラが浮かび、そして身体が金色に輝く。
そしてーーーー『ストリウムブリスター』を放つように構えると、腕から一気に発射した。
『『オーラムストリウム』ッッ!!!』
腕から放たれる金色の光エネルギーが、ナイトファングの身体を砕いていくーーーー。
『キュアアアアアアアアアアアアッッ!』
ナイトファングは光エネルギーに満ちて倒れ・・・・。
ーーーーチュドォオオオオオオオオオオオンンッ!!
大爆散した。
そして、爆発の中から、紫色の光がタイガのインナースペースにいるカインの元に行き、カインが手に取ると、『ナイトファングリング』がそこにあった。
≪『怪獣リング』、ですね・・・・≫
≪にいちゃん、どうするよコレ?≫
『「エンタープライズが可笑しくなったのはこれが原因でもある。迂闊な事はできないな・・・・」』
『(だが、この力を使いこなせれば、俺はーーーー)』
カインとタイタスとフーマは、完全に怪獣リングを懐疑的に見ていたが、タイガは違っていたようだ。
ー霧崎sideー
『あら、随分とパワーアップしたんじゃない? あのボウヤ』
「・・・・・・・・」
オブサーバーの言葉に、いつの間にか現れた霧崎は、ニンマリと笑みを浮かべ、トレギアアイを展開し変身した。
ータイガsideー
『フフフフフ・・・・』
『っ! トレギア!!』
爆発の煙の中から、トレギアが現れた。
『おいで、ボウヤ・・・・』
『オオオオ!!』
トレギアに迫るタイガは、肉弾戦を繰り広げる。
『ほお、やるねぇ』
以前よりも腕を上げたタイガに、感嘆の声を上げる。
『ハァアアア!!』
『ハァッ!!』
タイガ・フォトンアースの拳とトレギアの闇のエネルギーを纏った拳がクロスカウンターして、お互いの頬に入った。
『くっ!』
『良いねぇ、センスあるぞ。流石はタロウの息子だ・・・・!』
『っ! 俺は、タイガだっ!! トモユキ! 怪獣リングだっ!!』
『「しかしタイガ・・・・!」』
『早くしろっ!!』
『「ーーーー分かった!」』
[カモン! ナイトファングリング! エンゲージ!]
『キュルルル!』
『ふっ! 『ファングウェーブ』!!』
紫色の音波の弾を放つが、トレギアは霞のように姿を消し、ソレを回避した。
『また会おうね』
それだけを残し、トレギアは消えた。
『くっ・・・・!』
タイガ・フォトンアースは悔しそうな声を上げると、近くにいたジャベリンとラフィー、翔鶴と瑞鶴を見据えた。
「「(グッ!)」」
「「・・・・・・・・」」
ジャベリンとラフィーはサムズアップをして、艦隊に戻ろうとし、翔鶴と瑞鶴は呆然とタイガ・フォトンアースを見上げた。
『ウン・・・・シュワッ!!』
タイガ・フォトンアースは無事なのを確認すると頷き、空高く飛び去っていったーーーー。
ー霧崎sideー
『割りとあっさり引き上げたのね?』
オブザーバーがタロットカードをシャッフルする霧崎にそう言うと、霧崎はニヤリと笑みを浮かべる。
「もう間も無くさ。面白くなるのは、ね・・・・」
『ウフフフ。1枚、いいかしら?』
「どうぞ」
オブザーバーが霧崎のタロットカードの上から1枚引くと、そこにはーーーー『悪魔』のカードだった。
「新たなパワー。その力に酔いしれろ。今の内に」
そして霧崎は、タロットカードから、『死神』のカードを引き当てた。
これから起きる不吉を暗示するかのようにーーーー。
ーカインsideー
そして、夕暮れ。
変身を解除したカインは、レッドアクシズ艦隊が撤退したのを知り、アズールレーン艦隊と共に、異変が起こった海域から離れ、母港に戻ろうとしていた。
「・・・・・・・・」
ウェールズの艦の船首で、目の前の水平線を見据えているカインは、これからの事を考えていた。
既にこの海域の異変は上層部に伝え、暫くは様子見をする事になるしかない、とーーーー。
「指揮官・・・・」
「ウェールズか」
ウェールズがカインに声をかけると、カインは振り向いた。
「エンタープライズと・・・・綾波の方は?」
「エンタープライズは現在眠っている。ホーネット達とベルファストが付いているわ。綾波の方は、ジャベリンとラフィーが付いているわ。・・・・それと、ベルファストから、エンタープライズの懐から、これを見つけたそうよ」
ウェールズが取り出したのは、『ベムラーリング』と『エレキングリング』だった。カインはソレを受けとると、鋭い目を向ける。
「・・・・ウェールズ。これがエンタープライズがおかしくなった要因の一つだと思う。これは僕が預かる。他の艦船<KAN-SEN>の皆には、これに関しての事を話すのは禁止にしておいてくれ」
「はっ。・・・・捕獲した重桜の駆逐艦の方はどうする?」
「・・・・彼女は、僕がジャベリンとラフィーに救助しろと命令したんだ。捕虜として扱って、手荒な扱いをしないようにしておいてくれよ。まぁ、一応の監視を付けておいてくれ」
「了解」
ウェールズの返事を聞いたカインが、再び水平線に視線を戻すとーーーー背中に突然、フニョン! と、柔らかくも弾力に満ちた感触が広がった。
「(ぬおっ! ベルファスト級か愛宕級!!)」
さらに背中から手が伸びてきて、カインを抱き締めるように力を込められた。
「・・・・良かった・・・・あなたが無事で・・・・」
「っ・・・・心配をかけたね、ウェールズ」
それから暫く、ウェールズに抱き締められると、ウェールズは少々名残惜しそうに離れ、他の艦船<KAN-SEN>達の方へと向かった。
「・・・・・・・・」
カインは、ナイトファングに見せられた悪魔、おそらくそれが、重桜艦隊指揮官 海守トモユキ大佐の記憶であると、推察した。
「(あれが、海守トモユキの記憶か・・・・。もし、彼の記憶が蘇ったら、僕は、カイン・オーシャンはーーーーどうなってしまうのだろうか・・・・?)」
水平線に沈み行く夕日を見つめて、カインは静かに物思いに耽っていた。
《(・・・・・・・・『怪獣リング』。あれをもっと集めれば、俺はトレギア・・・・!!!)》
そしてタイガの心にも、暗い暗雲が立ち込め初めていた。
トモユキとしての記憶が覚醒を始め、綾波がついにアズールレーンへ。エンタープライズのこれから。力に固執するようになるタイガ。そして暗躍するトレギア。
これからどうなっていくのか!?