ーカインsideー
周囲が炎に包まれたカインの目の前に、顔のついた細長い形状の中心に青く丸い水晶を付けたキーホルダー。『タイガキーホルダー』が現れ、それから『謎の声』が聞こえた。
『トモ・・・・イヤ、カイン! 怪獣からKAN-SENの皆を守るぞっ!!』
「誰なんだ? 力を貸してくれるのか?」
『やっぱり、覚えてないんだな・・・・。まぁ今は良いぜ! それよりもこれを!』
一瞬寂しそうに呟いたキーホルダーが言うと、カインの右手首のブレスレットが光ると、ブレスレットが手甲型のアイテムになった。
「ブレスレットが・・・・。まさか、このブレスレットは君のモノだったのか?」
『今はお前のモノでもあるぜ! そして、“もう一度言うぜ”! 俺はお前で、お前は俺だ! その手で俺を掴むんだ!』
「あぁ!」
カインは手甲型のアイテム、『タイガスパーク』を起動させた。
[カモン!]
一瞬、自分と同じ声に首を傾げそうになるが、気を取り直して、『タイガキーホルダー』を左手に掴むと、炎が霧散し、宇宙のような空間が広がっていた。
「光の勇者! タイガ!!」
カインは左手に持った『タイガキーホルダー』を突き出すと、右掌に翳すように持ってくる。
すると、キーホルダーの中心の水晶から、赤いエネルギーが右掌を通して、手甲の水晶に吸収されると、水晶が赤く輝き、キーホルダーを握る。
『叫べカイン! 『バディゴー』!!』
水晶の中で赤い粒子が集まると、『謎の声』が銀の身体に小さな角を伸ばした超人へとなった。
「バディィィィィィィゴーーーーーー!!」
[ウルトラマンタイガ!]
中腰になったカインは、右腕を天へと突きだして叫ぶと、カインの身体が変貌し、光輝く超人となって漆黒の空間に幾つも飛び出す流星と共に飛び出した。
『ーーーーシュアッ!!』
ザパァァァァァァァァァァァァンンッ!!
超人は飛び出すと巨人へとなり、大空を宙返りして、炎に覆われた大海原へと降り立った瞬間、炎が全て吹き飛んだ。
『グワァアアアアアアッ!!』
ヘルベロスもその風圧に押され、水飛沫を上げて倒れる。
ーエンタープライズsideー
「な、なんだアレは・・・・!」
エンタープライズが、いや、エンタープライズだけではない。
この場にいたアズールレーンだけだなく、重桜のKAN-SEN達も、指揮官を送りに来た船長達も、突如現れた巨人を唖然と見ていた。
銀の身体に赤いラインが走り、胸に水晶を中心に置いたプロテクターを装備し、右腕に手甲を付け、頭部に小さな角を二本生やし、あどけない若者のような顔立ちに見える巨人だった。
『ハァァァァァ・・・・!』
巨人が立ち上がり、ヘルベロスを睨んだ。
「あれは、一体・・・・!」
《まさか・・・・!》
通信機に、船長からの通信が入った。おそらく他の全KAN-SENにも送られているのか、ウェールズの声も響いた。
《船長。あの巨人を知っているのですか?》
《ええウェールズ殿。実は軍上層部は隠しておりますが、この我々の星には、『怪獣』と呼ばれる異常進化した生物と、それらを狙って、別の星からやって来た『異星人』がいるのです》
《『異星人』ですって!?》
《ええ。そしてロイヤル陣営が初めて接触した宇宙人が譲渡した資料にあの巨人の事が記されていました。あの巨人の名は、『ウルトラマンタイガ』。『ウルトラマン』と呼ばれる、宇宙の正義と平和と秩序を守る、光の戦士の1人だそうです》
「宇宙の正義と平和の秩序を守る光の戦士・・・・」
エンタープライズは、ウルトラマンタイガを静かに見据えていた。
ー綾波sideー
「ウルトラマン・・・・」
「タイガ・・・・」
「・・・・カッコいい・・・・」
どうやら船長とウェールズの通信を傍受した綾波と、綾波から少し離れた間合いにいる、ウェールズと船長の通信を聞いていたジャベリンとラフィーも、ウルトラマンタイガを見てそう呟いた。
ータイガsideー
『・・・・ハァッ!!』
タイガは中腰になって、腕を前や上に上げて構えた。
『グワァアアアアアアッ!! ガァアアアアッ!!』
起き上がったヘルベロスは雄叫びを上げると、タイガに刃が付いた尻尾を突き刺そうと振り回す。
『ハァ!』
タイガはバク転で攻撃を回避した。
『フッ・・・・!』
『ガァアアアアッ!!』
ヘルベロスは背中の刺を赤く発光させると、トゲが飛び出し、紫色の矢の光弾となり、上空からミサイルのようにタイガに向かっていく。
が、タイガは腕を十字に組むと、左手から光弾を連続で発射した。
『『スワローバレット』!』
タイガから放たれた『スワローバレット』が、ヘルベロスの『ヘルエッジサンダー』を撃ち抜いていく。
ークリーブランドsideー
「スゴッ・・・・!」
ウェールズ達と合流したクリーブランドも、タイガの正確な光線技に唖然となった。
ータイガsideー
『ハァ! ウォオオオオオオ!!』
構え直したタイガが、ヘルベロスに向かい、ヘルベロスの腹部に飛び蹴りを浴びせると、すかさず頭部に拳を、腹部に回し蹴りをお見舞いし、さらに頭部にチョップを繰り出すが、ヘルベロスの固い皮膚によって阻まれた。
『いってぇ~・・・・!』
ヘルベロスがタイガに拳を振るうが、タイガは頭部を掴んで背負い投げで倒すと、ヘルベロスの背中にまたがり、拳を連続で振り下ろす。
『タァァァァァァ!! ウアッ!』
が、ヘルベロスが起き上がり、タイガは振り落とされた。
落とされたタイガはそのまま肉弾戦でヘルベロスと渡り合っていく。
『ハァアアアアア!! タァッ!!』
最後にヘルベロスにドロップキックをお見舞いした。
『ガァアアアアッ!!』
ヘルベロスは頭部から赤い電撃『ヘルホーンサンダー』をくり出そうした。
『フッ』
『「まてタイガ! 後ろにKAN-SEN達がいる!」』
『はっ!』
回避しようとするタイガが、カインの言葉で後ろを振り向くと、ジャベリンとラフィーとユニコーン。そして、綾波がいた。
『グワァアアアアアアッ!!』
ヘルベロスが『ヘルホーンサンダー』を放つと、タイガは腕を交差させて防いだ。
『グゥウウウウウウウウウウウ・・・・!!』
ーウェールズsideー
「あの巨人、ユニコーン達を庇ったのか?」
「じゃ、やっぱり味方なのかな?」
「イラストリアス、貴女はどう思う?」
「・・・・ユニコーンちゃん達を守ってくれたなら、少なくても敵ではないと思います」
ージャベリンsideー
「あの巨人さん、私達を守ってくれたのッ!?」
「・・・・多分そう」
「頑張って・・・・!」
「・・・・・・・・・」
ジャベリンとラフィーとユニコーンがタイガを応援し、離れた位置の綾波は、ただ静かにタイガを見上ていた。
ータイガsideー
『「タイガ! 踏ん張れ!!」』
『ヌゥオオオオオオオオ!・・・・ハァアッ!!』
タイガが交差させていた腕を広げると、『ヘルホーンサンダー』は二つに割れて上空に流された。
『ハァッ!!』
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン・・・・。
タイガの胸のカラータイマーが赤く点滅し鳴り響く。
ーウェールズsideー
「あれは、何かの警告か?」
《ウルトラマンは、この星では『3分間』しか活動出来ないと資料で記されていました。おそらく活動限界が来たのでしょう》
「えっ! ウルトラマンが出て来てもう何分経ったの!?」
「・・・・そろそろ2分と30秒になります!」
ウェールズ達の頬に汗が一筋流れる。
ータイガsideー
『ガァアッ!!』
ヘルベロスが口から火球を放つが、タイガは赤いオーラを纏ったチョップで火球を割り、火球は海面に当たって水蒸気爆発を起こした。
『フッ! ハァァァァァ・・・・『ストリウムブラスター』!!』
タイガが力を込めるように両腕を引き絞って腰に当てると、タイガの身体が虹色に輝き、虹色のエネルギーを貯めて、腕をT字に組んでタイガスパークをヘルベロスに向けると、青色の光線、『ストリウムブラスター』をヘルベロスに浴びせた。
『グワァアアアアアアッ!!』
ヘルベロスは火花を散らして怯んだ。
それを見て、タイガが自分の内部にある、赤い宇宙空間のような『インナースペース』にいるカインに声を発する。
『カイン!『オーブレット』を使うんだ!!』
『「ああ!」』
[カモン!]
カインがタイガスパークを起動させて左腕を出すと、『中心にOの字に三本の角を付けたブレスレット』が巻かれた。
『「これが・・・・」』
『ああ。『ウルトラマンオーブ先輩』の光だ! カイン! 『タイガスパーク』を翳すんだ!!』
『「分かった!」』
タイガの声に答えて、カインはタイガスパークをオーブレットに翳す。
[オーブレット! コネクトオン!!]
音声が流れると、『オーブレット』から3筋の水色の光がタイガスパークの中心に集まった。
すると、タイガの姿が水色のエネルギーに包まれると、『さすらいの風来坊 ウルトラマンオーブ』の姿と重なった。
『フッ!ハァァァァァ・・・・『スプリウムブラスター』!!』
前方に光の輪を展開させると、『ストリウムブラスター』のように構えて、水色の光線を放った。
『グワァアアアアアアッ!!』
ヘルベロスは断末魔の悲鳴を上げて、そのまま爆散した。
ージャベリンsideー
「や、やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「倒した・・・・」
「凄い・・・・!」
「・・・・・・・・」
ジャベリンはユニコーンとラフィーに抱きつき、ラフィーとユニコーンも笑みを浮かべ、少し離れた綾波は、ウルトラマンタイガをジッと見つめていた。
ーウェールズsideー
「あんなデカイ怪獣を、1人で倒した・・・・!」
「あれが、ウルトラマンの力なのか・・・・?」
「彼が敵に回らない事を祈りたいですね・・・・」
ウェールズ達は、とてつもないタイガの力におののいた。
ー赤城sideー
「なんという、力だ・・・・!」
「厄介な、お邪魔虫が現れたかも知れないわね・・・・」
赤城と加賀は空を飛びながら、これまでのタイガの戦いぶりを見て、渋面を浮かべていた。
ーエンタープライズsideー
「・・・・・・・・」
エンタープライズも、タイガを鋭い目でジッと見つめていた。
ーカインsideー
爆発したヘルベロスの爆炎から、『赤く光る物体』が、タイガに近づき、タイガがそれを掴むと、タイガの内部、『インナースペース』にいるカインの手に収まり、それを確認すると、『ヘルベロスの形をしたリング』があった。
「これは・・・・?」
『ウルトラマンの力を感じる・・・・』
「(これが、ウルトラマンの力??)」
カインは、何やら禍々しいオーラを放つその指輪を訝しそうに見つめる。
『・・・・シュワッ!!』
そして、タイガは上空に向かって飛んでいった。
ー???sideー
「・・・・・・・・」
その戦況を丘の上から見物していた青年は、静かにタイガに向かって小さく手を振った。
「フフフフ・・・・」
不気味な笑みを浮かべる青年の影が、異形の姿となり、その顔の部分から、赤く発光する目が怪しく輝いていた。
ーカインsideー
カインが乗っていた量産型艦船の上に、赤い粒子が集まると、カインは元に戻った。
「戻ったか・・・・」
≪どうだ? 俺の力は!?≫
カインは今まで聞こえていた『謎の声』が、ウルトラマンタイガだと分かった。
「ああ凄いな、僕が君になったんだな」
≪おう、そうだぜ!≫
「っ! それよりも、重桜が!」
≪ああ! そうだった!!≫
カインが船頭に上がると、ウェールズとイラストリアス、そしてクリーブランドがこちらに向かってきていた。
「ウェールズ、こっちは無事だ・・・・」
《指揮官! そこから逃げてください! 重桜が!》
「なに? っ!!」
「「・・・・・・・・」」
通信機でウェールズに通信したカインの耳に、ウェールズの焦った声が響き、上を見るとソコには、重桜の赤城と加賀が浮いていた。
「・・・・・・・・」
≪(赤城さん・・・・! 加賀さん・・・・!)≫
「(・・・・下着は黒と白か・・・・!)」
≪あらっ! お前は何処を見てるんだよっ!!≫
見上げた赤城と加賀のスカートの中身が風でなびき、心の中で色を呟いたカインに、本当にスケベ心は無くしてないんだなぁ、とタイガは呆れ混じりの怒鳴り声を上げた。
が、カインはすぐに赤城と加賀に鋭い視線を二人の顔に向けるが、赤城は戸惑いと喜びが混ざった顔となり、加賀は訝しげな視線を送り、ゆっくりとカインの元に降りてきて、赤城はカインの顔をジッと見る。
「・・・・あぁ、やっぱり、あなたなんですね・・・・!」
赤城が感極まった様子でカインの顔を見つめる。
「な、何を言っている・・・・?」
「“指揮官さま”。あなたはなぜここにいるのですか? あなたがいるべき場所は、このような場所ではないはずです」
「っ! 君は、僕を知っているのか?」
「・・・・どういう事ですか?」
カインの言葉に、潤んでいた赤城は目線を鋭くした。
「僕には、過去の記憶が無い・・・・。だから、君達の事が分からないんだ・・・・」
「過去の、記憶がないだと・・・・!」
加賀もまた目線を鋭くした。
「・・・・そうですか、記憶を失っているのですね。お可哀想に・・・・。では指揮官さま、すぐに重桜に参りましょう」
「なんだと・・・・?」
「あなたの本当の居場所は、アズールレーンなどではありません。そう、私達のーーーー」
「指揮官!!」
カインと赤城の間に割って入るように、ウェールズ達が赤城と加賀に攻撃するが、2人はカインから離れる。
「無事ですか、指揮官様」
「あ、ああ。イラストリアス・・・・」
イラストリアスと話しているカインを見て、赤城は不愉快そうに眉根を動かすと、艦載機を取り出そうとするが、その手を止めた。
「姉様?」
「ここまでね、狙われているわ」
赤城が視線を向ける先を加賀は見ると、エンタープライズが艤装のアーチェリーを引き絞って赤城と加賀を狙っていた。
「っ! グレイゴースト・・・・!」
「・・・・・・・・・・・」
加賀はエンタープライズに鋭い視線を向け、赤城も一瞥すると『黒いメンタルキューブ』を取り出した。
「今日のところはここまでにしておきましょう。“目的”も概ね果たせたしね。多少の予想外の出来事はあったけど、思わぬ収穫もあり上々の戦果よ」
「はい。姉様がそう仰るなら・・・・」
「(なんだ? あの『黒いメンタルキューブ』は?)」
『メンタルキューブ』。KAN-SEN達の誕生の関わる物体で、彼女達の艤装もこのメンタルキューブによって構築されているのだ。
「逃がすと思うか?」
エンタープライズがアーチェリーを構えたままそう言うが、赤城はーーーー。
「あ~ら恐い恐い♪ そんな目で見られたら、私どうにかなってしまいそう♪」
「・・・・・・・・」
「エンタープライズ。ここまでだ、武器を下げろ」
「しかし指揮官・・・・」
「下げろと言っている。これ以上の戦闘は無意味だ。それに、早く腕を下げないと、危険だぞ」
「・・・・・・・・???」
僅かに目を細めたエンタープライズのアーチェリーを構えた腕に、紅色の紙飛行機が当たり、海面に落ちると火を上げて燃えた。
「どうやら、新手がいるようだな」
カインが視線を向けると、『セイレーン』艦隊の向こうの空母に、長髪の茶髪を束ね、袖部分が鶴をイメージしたような衣装の着物に身を包み、得物として刀を持っている少女が、紙飛行機を投げたフォームで立っていた。
「重桜空母の、『瑞鶴』か・・・・」
≪(瑞鶴、お前までもかよ・・・・!)≫
『瑞鶴』と呼ばれた少女が、カインを一目見ると、驚愕したように目を見開いた。
「・・・・・・・・指揮官?」
「???」
瑞鶴の言葉に首を傾げるカイン。瑞鶴はかぶりを振るとエンタープライズを一瞥して、赤城達に向けて声を発する。
「先輩達、時間です・・・・」
「ええ、お暇しましょう。だけど覚えておきなさいアズールレーン。指揮官さまは必ず返して貰うわ・・・・!」
赤城はそう言って、加賀と共に空を飛んでいく。
ー綾波sideー
「っ・・・・・・・・」
「あ・・・・!」
ジャベリン達といた綾波も、この場を離れようとし、ジャベリンとはその背中を追う事ができず、ラフィーとユニコーンはジッと綾波の背を見つめ、綾波はそのまま去って行こうとすると、カインと目が合った。
「・・・・・・・・」
「・・・・指揮官・・・・!」
綾波は締め付けられる胸の痛みを振り切るように、赤城達と合流しようとした。
ーカインsideー
カイン達は、空母に降り立った赤城達を見据えると、赤城と加賀が宣言する。
「これは宣戦布告よ、アズールレーン」
「これより重桜は『鉄血』と共に、お前達の欺瞞を打ち砕く」
「未来とは強者に委ねられる物、天命は、この力で大洋を統べる我々にありーーーー我らは、赤き血の同盟、『レッドアクシズ』なりーーーー」
そう言って、重桜は桜吹雪の中に消えていった。
「逃げられましたね」
「ああ」
「指揮官。エンタープライズをどう思います?」
「・・・・このままでは、危険だな」
「ええ、なんて痛々しいのでしょう・・・・」
カインの言葉に、イラストリアスが同意するように頷いた。
「ロイヤルとユニオン。重桜と鉄血。『四大国家』が二分してしまった、か・・・・」
≪何で、何でこうなっちまうんだよ・・・・!!≫
カインの隣に、赤いオーラを纏ったタイガの思念体が、押し殺したような声を上げた。
「(戦いの次に、また戦い、か・・・・)」
カインは知らなかった、今自分が思った事を、エンタープライズも思っていたことを。
『光の勇者 ウルトラマンタイガ』はまだ知らない。『青き悪意』もまた、この碧<アズール>の大海原に渦巻いている事をーーーー。
対立してしまった四大国家。どうなる次回?!