アズールレーンT   作:BREAKERZ

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これにて、第一部が終了します!


【希望】我らは一つ!

ートレギアsideー

 

『ぐ・・・・! ぐぅっ・・・・!』

 

トレギアは、全身を火傷したかのように痛みに悶えていた。セイレーン上位個体達は、そんなトレギアに目を向けず、新たな姿となった光の戦士達をーーーー“イレギュラーの存在”を見据えていた。

 

 

 

ーアズールレーンsideー

 

新たな姿となった『ウルトラマンタイガ・トライストリウム』を、その場にいた全艦船<KAN-SEN>達が目を見開いて見ていた。

 

「ウルトラマンタイガ、トライストリウム・・・・!」

 

エンタープライズが。

 

「ご主人様と皆様が、一つとなられました!」

 

ベルファストが。

 

「す、凄い! 凄過ぎる! 凄過ぎます!!」

 

「勝利確信(グッ)」

 

「あれが、ウルトラマンの新たな姿・・・・!」

 

ジャベリンとラフィー、そしてニーミが。

 

「指揮官様が、あのウルトラマンに」

 

「ええそうです姉様、アイツが、指揮官かあの者達と共に、我々を守っていてくれていたんです」

 

赤城と加賀が。

 

「指揮官・・・・行け・・・・行くです! ウルトラマンタイガ!! トライスクワットーーーー!!!」

 

『シュァッ!!』

 

綾波が叫ぶと同時に、トライストリウムは飛び出すように駆け出した。

 

 

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

『ヒィエエエエッ!!』

 

先ずはナイトファングが両手の鞭を伸ばして攻撃する。

 

『ハッ! シャァ!』

 

が、トライストリウムがトライブレードを振り、その鞭を切り捨てながら突き進む。

 

『グアァッ!?』

 

『ゴロッ!?』

 

『ーーーー!』

 

ヘルベロス、ゴロサンダー、ギガデロスが立ち塞がろうとするが、トライストリウムは三体を突き抜けてナイトファングに肉薄すると。

 

『ハァアッ!!』

 

『ッ!?』

 

トライブレードを振り下ろし、ナイトファングを一刀両断した。

 

『ヒィィィィエエエエエエエエエエッ!!』

 

ーーーードカァァァァァァァァァァンッ!!

 

ナイトファングがその場で倒れ爆散し、『ナイトファングリング』がタイガの中に入り、カイン指揮官の手に収まった。

 

 

 

ーレッドアクシズsideー

 

「あの怪獣を一撃で!?」

 

「凄まじいな・・・・!」

 

愛宕と高雄が驚きの表情を浮かべ、他の重桜艦隊と鉄血艦隊もトライストリウムな戦いを見ていた。

 

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

トライストリウムは次にヘルベロスに視線を向けた。

 

『グアァァァァァッ!』

 

ヘルベロスが背中の棘を発射し、腕から真っ赤な回転刃を生み出すとトライストリウムに向かって放った。

 

『シャァッ! ハァッ!!』

 

が、全てトライブレードを振ると全てその場で爆発した。

 

『「行くぞ、タイガ!」』

 

『ああ!』

 

その一瞬の間に、カイン指揮官はトライブレードのスイッチを一回押すと、トライブレードを持ったタイガの幻影が現れ、共に回転盤を回すと、赤い火花が飛び散る。

 

『「タイガ!」』

 

『シャッ!』

 

トライブレードに炎が燃え上がりトリガーを引くと、刀身を左手で撫でると、刀身に深紅の炎を宿し、トライブレードを突き出しながらトライストリウムの全身に炎を纏って、ヘルベロスに突撃する。

 

『グワァァァァァァッ!!』

 

ヘルベロスは近づかせないように棘と刃を放ち続けるが、トライストリウムを止まらず、その勢いも遮れず、トライブレードが突き刺さり、内部から深紅の炎を噴き出し、その身体が爆発した。

 

『『「『タイガブラストアタック』!!」』』

 

『グワアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

ーーーードカァァァァァァァァァァンッ!!

 

『ゴロロロロロロロッ!!』

 

ヘルベロスが爆発すると、『ヘルベロスリング』を回収し、次にゴロサンダーが棍棒を振り回しながら迫る。

が、トライストリウムはその棍棒を片手で受け止めた。

 

『ゴロッ!?』

 

『・・・・ハァッ!』

 

『ゴロォォォォォォッ!?』

 

トライストリウムがトライブレードを持った手で殴ると、ゴロサンダーはその巨体を吹き飛んで倒れる。

 

『「やるぞ、タイタス!」』

 

『うむ!』

 

今度はトライブレードのスイッチを二回押すと、トライブレードを持ったタイタスの幻影が現れ、回転盤を回すと黄色い火花が飛び散る。

 

『「タイタス!」』

 

『ムン!』

 

トリガーを引くと黄色い光が伸び、剣先に黄色い火球が現れる。

 

『ゴ、ゴロロロロ・・・・!』

 

起き上がったゴロサンダーは、火球を見て顔を青ざめた様子で棍棒から稲妻を放つが。

 

『『「『タイタスバーニングハンマー』!!」』』

 

ハンマー投げの要領で振り回して発射すると、稲妻を吸収する。

 

『ゴロロロロロッ!!』

 

ゴロサンダーは棍棒で打ち返そうとした。

 

ーーーーバキッ!

 

『ゴロロゥッ!?』

 

ゴロサンダーは棍棒が折れ、それを見て、「折れたぁっ!?」と、言わんばかりの声をあげると、稲妻を纏った火球が全身に叩き込まれた。

 

『ゴロアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

ーーーードカァァァァァァァァァァンッ!!

 

そのまま空高く飛んでいき、空中で爆散し、『ゴロサンダーリング』が落ちてきて回収した。

 

「たーまやー! にゃっ!」

 

明石が爆散したゴロサンダーを見上げてそう言った。

 

『ーーーー!!』

 

ギガデロスが高速の動きでトライストリウムの周りを飛びながら攻撃するが、トライストリウムはその攻撃をトライブレードで防ぐ。

 

『「ぶっちぎるぞ、フーマ!」』

 

『おうよ!』

 

トライブレードのスイッチを三回押すと、トライブレードを持ったフーマの幻影が現れ、共に回転盤を回す。

 

『「フーマ!」』

 

『セイヤッ!』

 

トリガーを引き、青い火花が飛び散るトライブレードを逆手に持つトライストリウム。

 

『ーーーー!!』

 

ギガデロスは高速に動き、トライストリウムの技から逃れようとするが。

 

『テメエのスピードはーーーー『『「既に見切ったぁ!」』』』

 

フーマの言葉に、タイガ、タイタス、カイン指揮官の声が重なり、トライストリウムも加速して、海上、空中でギガデロスと高速戦を繰り広げる。

 

「は、速い、速すぎる・・・・!」

 

「〈ノブレス・ドライブ〉している私達でも、追い付けない・・・・!」

 

スピードにこだわりがあるウォースパイトとシェフィールドを始めとする艦船<KAN-SEN>達も、驚愕に目を見開く。

 

『ーーーー!!』

 

と、ソコでギガデロスがボロボロの状態になり動きを止めた。

 

『『「『風真烈火斬』!!」』』

 

そして、トライストリウムが少し離れた位置から、トライブレードを切り上げると、大きな青い炎の光輪が飛ばされた。

 

『っ! 吸収しろ! ギガデロス!!』

 

倒れた状態で上体を起こしたトレギアが叫ぶと、ギガデロスは吸収しようと構え、光輪を受け止めた。

が、逆にギガデロスの身体から火花を噴射する。

 

『ーーーーーーーー!!』

 

『ま、まさか! ギガデロスの吸収能力を上回っているっ!?』

 

トレギアが驚愕すると同時に、ギガデロスの身体が真っ二つになる。

 

ーーーードカァァァァァァァァァァンッ!!

 

ギガデロスは悲鳴をあげる事も出来ず爆散し、『ギガデロスリング』を回収した。

 

『「後はーーーー」』

 

カイン指揮官は、退却しようとするセイレーン艦隊と、メガオロチに視線を向けた。

 

 

 

 

 

ーオロチsideー

 

ギガデロスが倒される直前、オブザーバーがメガオロチの頭頂部に集まったピュリファイアーとテスター、そしてオロチに向けて口を開く。

 

『ここまで、ね・・・・全艦、退却よ』

 

『えぇ~、逃げるのぉ?』

 

『戦況は完全に私達に不利よ。艦隊も8割以上を失い、赤城も取り返された。これ以上ここに留まっていても意味はないわ。それに、イレギュラーをじっくり観察できた事だし、ね』

 

オブザーバーはギガデロスを撃破したウルトラマンタイガ トライストリウムを見据える。

 

『・・・・・・・・』

 

が、そんな中、オロチはメガオロチを操作し、トライストリウムと対峙する。

 

『オロチ・・・・』

 

『私が、やるわ・・・・』

 

『では、アズールレーンとレッドアクシズは私が・・・・』

 

テスターβはテスターの軍団を率いて、メガオロチの周囲を飛びながら二大艦隊を迎え撃つ。

 

『そうーーーー任せるわ』

 

『トレギアはどうする?』

 

ワナワナと怒りに震えているトレギアを指差して、ピュリファイアーがそう言った。

 

『好きにさせましょう』

 

オブザーバーはそう言うと、宙を浮いて、その場から離脱しようとした。

 

 

 

 

ー綾波sideー

 

「ああ! セイレーンが逃げようとしてるのだ!」

 

雪風が指差すと、ほぼ壊滅状態になったセイレーン艦隊がこの場から離脱しようとしている。

 

「ガルルルル! 逃がすかぁ!」

 

夕立が唸り声をあげながら追撃しようとするが。

 

「っ! 夕立! 駄目です!」

 

「うわっ!」

 

綾波が夕立の首根っこを掴んで止めさせると、夕立は進もうとする先に、レーザーが横切った。あのまま進んでいたら夕立は蒸発していただろう。

 

「わ、わぅぅぅぅ~・・・・!」

 

夕立が涙目になって青ざめる。綾波はレーザーの放たれた先を睨むと、身体の至る所からレーザー砲台が現れたメガオロチだった。

 

『さぁ、終わらせましょう・・・・』

 

『ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』

 

メガオロチが雄叫びをあげると、全てのレーザーの矛先をトライストリウムに向けると、一斉に放った。

 

「ウルトラマン!」

 

「綾波ちゃん! 気をつけて!」

 

「っ!」

 

綾波がジャベリンの声に反応すると、自分に向けてレーザーが迫るが、綾波は夕立を連れて加速して避ける。

 

「! テスター!?」

 

『お久しぶり、あなたに付けられた傷が疼くわぁ・・・・!』

 

テスターβは、自分の身体に付けられた切られた傷をなぞりながら、綾波を見据え、自分の部隊を、ジャベリン達へと向かわせた。

 

 

 

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

トライストリウムはタイガトライブレードに炎を纏わせ、回転しながらメガオロチに突撃する。

 

『『バーニングスピンチャージ』!』

 

回転するトライストリウムがメガオロチの装甲に包まれた身体を押し出す。

 

『ヒギャァァァァッ!!』

 

『シュァッ!』

 

ーーーーバリバリバリバリバリバリバリバリ!!

 

押し出されたメガオロチは体制を整え、トライストリウムに向けて口から電撃光線『メガ迅雷』を放とうとするが、トライストリウムが上空に飛ぶと、メガオロチは照準をトライストリウムに向けたまま『メガ迅雷』を放つが、トライストリウムが回避し、そのまま雲を突き抜け、空の彼方まで伸びていった。

 

『ヒギャァァァッ!!』

 

『ふっ! はぁ!』

 

着地したトライストリウムに尻尾で攻撃するが、トライブレードで防がれ、肉弾戦となる。

しかし、突如頭頂部の角を光らせると、ソコから巨大な弾頭が競り上がってきた。

 

『っ! あれは・・・・!』

 

『「島を破壊したミサイルかっ!?」』

 

「ーーーー兵器とは・・・・」

 

驚愕するトライストリウムを、メガオロチの頭頂部に立つオロチが見下ろしながら、その場にいる艦船<KAN-SEN>達にも聞こえるような声で伝える。

 

「より遠くから、一方的に敵を倒す。兵器の真価とはそう言う物。海を越えて、敵の本陣その物を殲滅する力」

 

『しかし! そんなボタン一つで決着の着く戦いを繰り広げていれば、戦いから人間性が失われ! 勝利も敗北もない、不毛の殺戮が繰り広げられる!』

 

『そんなの、ゲームと同じだろうがっ!』

 

カイン指揮官の隣に現れたタイタスとフーマが、オロチの言葉を否定する。

 

「それこそが、戦いの行き着く先。人間性、心などと言う不完全な物があるから、ウルトラマンタイガ、あなたも、彼女達も悩み、迷い、苦しみ続けるのです」

 

『・・・・・・・・確かに、心があるから苦しむ事もいっぱいある。それは事実だ。・・・・だがな! 心があるからこそ! 俺は限界を越えられる事ができたんだ!!』

 

『「彼女達も、新たな可能性を見いだせるんだっ!」』

 

トライストリウムがトライブレードを構え、弾幕を張るメガオロチと交戦を再開すると、艦船<KAN-SEN>達も動き始める。

 

 

 

 

ー綾波sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

綾波とテスターβ、因縁深い二人お互いを真っ直ぐに見据える。

 

「綾波ちゃん・・・・!」

 

「大丈夫です」

 

綾波は対艦刀を正眼に構え、テスターの部隊と戦うジャベリンにそう言い、真っ直ぐにテスターβに向かう。

 

『っ!!』

 

テスターβは綾波に攻撃を仕掛けるが、綾波はそれらを全て回避し、テスターβの肉薄する。

 

『っ!』

 

「っ!」

 

テスターβは貫手にすると手が妖しく光り、綾波を貫こうと突き立て、綾波も対艦刀で振った。

 

ーーーー!!

 

一瞬の閃きの後、綾波とテスターβは、お互いに背中を向けたまま佇み。

 

「・・・・・・・・・・・・うっ」

 

綾波が脇腹を抑えて片膝を付いた。

 

『綾波(ちゃん)!!』

 

部隊を倒したジャベリン達が声を張り上げる。

しかしーーーー。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・ぐうぅっ!!』

 

テスターβの艤装が斬られ、テスターβ自身も片腕を抑えながら離脱すると、艤装が爆発した。

 

「・・・・!」

 

綾波が浅い傷ができた脇腹を抑えて、艤装を失ったテスターβを睨む。

 

『くっ! 次こそ、決着を着けてやるっ!』

 

『キャハハハハハハハハハ!!』

 

飛んできたピュリファイアーの手を掴んで、テスターβは離脱した。

 

「綾波ちゃん!」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫です、早くあれを止めましょう」

 

綾波は、メガオロチが今まさに発射しようとしている弾頭を睨んでそう言った。

 

 

 

 

 

 

ー明石sideー

 

「さぁいよいよ大詰めにゃ! 明石も本気出すにゃ!」

 

アズールレーン艦隊とレッドアクシズ艦隊、セイレーンとの戦いで艤装が少し損傷した艦船<KAN-SEN>達に、艤装を付けた明石が元気よくそう言った。

 

「いや大詰めなのは分かるけど明石の本気って?」

 

「明石にも戦う理由があるにゃ! 平和にならにゃいと兵装でしか商売ができにゃいし、夕張と一緒に面白い発明ができないにゃ! 商売繁盛! 千客万来! 満員御礼! これこそ明石のーーーー」

 

瑞鶴の言葉に明石は平坦な胸を張って両手を上げてそう言った瞬間、明石の身体から金色のオーラが立ち上がり、アズールレーンが目を見開き、レッドアクシズもまさか、と思ったその時。

 

「気高さにゃっ! 〈ノブレス・ドライブ〉!!」

 

何と、明石も〈ノブレス・ドライブ〉を発現させた。

 

『ええぇぇぇぇ~~~っ!?』

 

自分達があれだけ苦労した〈ノブレス・ドライブ〉を、いとも簡単に発現させた明石に、アズールレーン艦隊は驚きの声を上げた。

 

「では、始めるにゃ!」

 

明石の両手の袖から、プラスにマイナスのドライバー、ペンチ、レンチ、ノコギリ、ハンマー、ドリルといった工作道具が飛び出し、明石が高速で動きながら、艦船<KAN-SEN>達の艤装を修理する。

 

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃっっっ!!!!」

 

まさにあっという間に、損傷した艤装が新品同然にピカピカに修理された。瑞鶴と翔鶴が唖然となる。

 

「う、うっそぉ~・・・・」

 

「これが、明石の本気?」

 

「ふっふ~ん。明石が本気を出せばざっとこんなものにゃ」

 

「普段からそれくらい働いて欲しいですねこの大ウツケ」

 

「にゃっ!!?? 不知火<ぬいぬい>っ!」

 

ドヤ顔になる明石の背後から不知火がニュッ、と出てきて、明石が顔を青くした。

 

「姉ちゃん! 行こうよ!」

 

「エンタープライズ!」

 

「ホーネット、皆・・・・」

 

エンタープライズの前に、〈ノブレス・ドライブ〉を発動させたホーネットとクリープランド達が声を上げる。エンタープライズは顔を上げて、メガオロチを見据える。

 

「あれが、あんな物が、兵器の真価と、兵器の行き着く先などと、認める訳にはいかない! アレはーーーーあってはいけない力だっ!」

 

エンタープライズの身体に、金色のオーラが立ち上げる。

 

「私達艦船<KAN-SEN>の力は、未来を守り、未来を掴む為のーーーー守る力だっ!」

 

エンタープライズの輝きが増し、そしてーーーー。

 

「〈ノブレス・ドライブ〉!!」

 

〈ノブレス・ドライブ〉を発現させた。

 

「エンタープライズ様・・・・!」

 

ベルファストとアズールレーン艦隊に笑みが浮かぶ。

 

「行くぞ皆!」

 

『おー!』

 

エンタープライズに続くように、ユニオン艦隊が動く。

 

「皆! 私達も行こう!」

 

「あぁ。これは重桜の失態! 我らがやらない訳にはいかん!」

 

瑞鶴と高雄の言葉に、多くの重桜艦船<KAN-SEN>も頷いた。

そして、重桜艦船<KAN-SEN>達の身体からも、金色のオーラが立ち上げる。

 

「皆! 行くです!」

 

『〈ノブレス・ドライブ〉!!』

 

綾波の言葉に続き、重桜艦船<KAN-SEN>達も〈ノブレス・ドライブ〉を発現させた。

 

 

 

ー赤城sideー

 

「・・・・・・・・」

 

「姉様・・・・」

 

「私に、重桜の為に戦う資格はない。でも、ここで何もしない方がもっとイヤ」

 

「そうですね」

 

二人はメガオロチを、自分達の暴走で産み出してしまった怪物を見上げた。

 

「行きましょう加賀。私達で二人で」

 

「はい!」

 

二人から金色のオーラが立ち上る。

 

「っ、これは・・・・!」

 

「ロイヤルの真似をするようで不本意だけど、これで少しでも、指揮官様のお役に立てるのであれば!」

 

二人が意を決して声を発した。

 

「「〈ノブレス・ドライブ〉!!」」

 

赤城と加賀も、〈ノブレス・ドライブ〉を発現させた。

 

 

 

 

 

ー長門sideー

 

「ユニオンも続々と覚醒したわね。ロイヤルが乗り遅れる訳にはいかないわ。そして、あなた達もよ、重桜」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

駆けつけた長門達重桜艦隊も、〈ノブレス・ドライブ〉を見て驚く。

 

「ロイヤル女王よ」

 

「何、重桜旗艦殿?」

 

「あの力、我らも使えるのか?」

 

「ふん。あなた達にもあるでしょう? 下僕・・・・指揮官との『絆』が、自分の『戦う理由』が」

 

「・・・・・・・・うむ」

 

長門は真っ直ぐにメガオロチと戦うウルトラマンタイガ・トライストリウムを、指揮官の姿を見据えた。

 

「我にもある。大切な妹や仲間達、重桜の皆を守るのが、この長門のーーーー気高さである!」

 

長門の身体に金色のオーラが上がる。

 

「〈ノブレス・ドライブ〉!」

 

そして、長門も〈ノブレス・ドライブ〉を発現した。

 

「わぁ! 長門姉ぇスゴい! よぉ~し! 私も! 〈ノブレス・ドライブ〉!!」

 

長門に続くように、陸奥も発現させた。

さらに続くように、増援に来た重桜艦隊の何人かも、発現させていく。

 

「陛下。見通していたのですか?」

 

「ふん。下僕と共に過ごしてきた日だけなら、彼女達の方が長いからね。これで発現できない筈がないでしょう?」

 

「流石です、陛下」

 

ウォースパイトが手を打って讃えると、Q・エリザベスは胸を張って直ぐに顔を引き締める。

 

「さぁ! 私達ロイヤルの威光を示すわよ! 〈ノブレス・ドライブ〉!」

 

『〈ノブレス・ドライブ〉!』

 

女王陛下が輝き、それに従いウォースパイト達も光りだし、メガオロチと戦うトライストリウムに加勢する。

 

 

 

 

ー鉄血sideー

 

「重桜艦船<KAN-SEN>達まで、あの光を・・・・!」

 

「一体何なのよ、あれは・・・・?」

 

「アイツらばっかりパワーアップして、何かズルいぞ!」

 

ニーミとヒッパーが〈ノブレス・ドライブ〉を発現させた重桜艦船<KAN-SEN>達に驚愕の目をし、レーベは悔しそうに海面を踏んだ。

 

「まさかあれが、あの指揮官との『絆』が生み出す力なの?」

 

オイゲンは、〈ノブレス・ドライブ〉に対して、自分なりの分析をしていた。

 

「オイゲンさん。私達鉄血はどうします?」

 

「・・・・勝負は決したけど、ニーミは行きたいみたいね?」

 

「えっ! まぁ、はい」

 

ニーミは気まずそうに肯定した。

 

「ま。私達も援護くらいはしましょうか、行くわよ!」

 

「はい!」

 

「ええ!」

 

「おお!」

 

オイゲンに続いて、鉄血艦隊も動いた。

 

 

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

『おおおおおおおおおおっ!!!』

 

トライストリウムはメガオロチの全身から伸びた砲身から放たれるレーザーを防いでいた。

レーザーの雨を防ぐトライストリウムの足元やメガオロチの頭上から、声が響く。

 

『『共鳴<ハウリング>』!!』

 

ーーーードシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュッ!!!

 

突然の攻撃に、メガオロチがその巨体を後退させ、身体中の砲台も破壊されていく。

 

『ヒギャァァァァァァァァッ!!』

 

『っ! 皆っ!』

 

トライストリウムが顔を向けると、艦載機に乗ったエンタープライズやホーネット、赤城に加賀、翔鶴に瑞鶴といった空母達が〈ノブレス・ドライブ〉状態で攻撃し、足元には綾波達が攻撃していた。

つい先日まで敵対していた二つの陣営が、今正に一つとなって戦っている。

一種の感動すら覚えるカイン指揮官はメガオロチへと視線を戻す。

 

『トモユキ! 次はお前だ!』

 

『「良しーーーーはぁっ!」』

 

カイン指揮官はトライブレードのスイッチを五回押すと、トライブレードの回転盤を回すと、碧の火花が飛び散る。

 

『行くぜトモユキ!』

 

『オロチを止めるぞ!』

 

『やろうぜ兄ちゃん!』

 

『「あぁ!」』

 

トライブレードに炎が燃え上がりトリガーを引くと、刀身に緑色の炎が燃え上がり、トライブレードを振ると、緑色の光がまるで星屑のようにキラキラと輝く。

 

『ハァッ!』

 

トライストリウムがトライブレードを海底に突き刺した瞬間、緑色の線が真っ直ぐにメガオロチの足元へと伸びていき、メガオロチを囲うように円を描くとーーーー。

 

『『『『「『ヒーリングボルケーノ』!!」』』』』

 

円の中を緑色の炎が、まるで火山噴火のように立ち上がり、メガオロチの巨体を包み込んだ。

 

『ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・!!』

 

メガオロチは、その炎に包まれるが、その雄叫びは悲鳴ではなく、まるで癒されるかのようなやすらぎに満ちた声をあげながら、徐々にその身体が崩れ落ちていく。

 

「これで・・・・終わるのね・・・・」

 

メガオロチの登頂部に立つオロチが、炎に包まれながらゆっくりと瞼を下ろそうとした瞬間、

 

『「すまない・・・・」』

 

「・・・・え?」

 

オロチがトライストリウムを見ると、その奥にいる、カイン指揮官がーーーー頬に涙を一筋流していた。

 

『「すまない、オロチ。もしかしたら、君も俺達の仲間として、共に肩を並べて戦っていたかも知れないのに・・・・勝手に生み出して、勝手に滅ぼして・・・・本当に、すまない・・・・!」』

 

「(私の為に・・・・泣いてくれる、の?)」

 

カイン指揮官を見つめながら、オロチは自嘲気味に笑みを浮かべる。

 

「・・・・さようならーーーー指揮官、様・・・・」

 

トライストリウムの中にいるカイン指揮官にのみ別れの挨拶をして、オロチは炎の中に消え、『マガオロチリング』も、炎に包まれて消滅した。

 

 

 

ー赤城sideー

 

艦載機に乗り、消滅していくメガオロチとオロチを見下ろしながら、赤城と加賀は複雑そうな顔をしていた。

 

「・・・・・・・・」

 

「去らばだオロチ・・・・私達の、妄執が生み出した、哀れな子よ・・・・」

 

まるで冥福を祈るように、赤城と加賀は静かに瞑目した。

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

カイン指揮官も、どうかやすらかにと言わんばかりに、メガオロチに瞑目した。

 

『「・・・・オロチ」』

 

『~~~~~~!! ふざけるなぁっ!!』

 

『トレギア!』

 

トレギアが怒号を上げながら、トライストリウムに迫るが、トライブレードでそれを防ぎ、更に突き出された拳を受け止める。

 

『今のお前では、俺達の『絆』にも、艦船<KAN-SEN>の皆の『光』にも勝てない!』

 

『まだ『絆』だとか『光』だとかを語るのか! 反吐が出るっ!!』

 

『何故そこまで『絆』と『光』を否定するんだ!』

 

『黙れっ!!』

 

トレギアが怒涛の攻撃を繰り出すが、トライストリウムはその全てを防ぎと、トライブレードで攻撃し、トレギアが回避すると、回し蹴りを打ち付けた。

 

『へァッ!』

 

『グゥアッ!!ーーーー弱者が! 貴様らが『宇宙の番人』だと! 誰が決めたぁっ!!』

 

トレギアが全身のエネルギーを両腕に集め、必殺の『トレラアルティカイザー』を放とうとする。

 

『お前は負けるんだ! 俺達のーーーー『『「光に」』』!!』

 

四人の声が重なると、カイン指揮官がスイッチを四回押すと、トライストリウムの幻影と共に、回転盤を回す。

 

『「トライスクワット!!」』

 

『ハァッ!!』

 

トライブレードの刀身の炎が燃え上がり、登頂の水晶が光り輝く。

カイン指揮官がトリガーを引くと、トライブレードを一回、二回、三回と振ると、青と黄色と赤の光が舞い、天に突き立てると、赤い光が目映く輝く。

トライストリウムはトライブレードをトレギアに向けて剣先を突き出すと、三色の光線が発射される。

 

『『『「『トライストリウムバースト』!!」』』』

 

トライストリウムバーストが、トレラアルティカイザーと拮抗する。

 

 

 

 

ー艦船<KAN-SEN>sideー

 

「行け・・・・!」

 

「行け!」

 

『行けぇ!ウルトラマンタイガーーーー!!!』

 

艦船<KAN-SEN>達の声に応えるように、『トライストリウムバースト』が、トレギアの光線を押し返していく。

 

 

 

ートライストリウムsideー

 

『ぐぐぐぐぐぐぐぐ!! き、貴様らに! 私の何が分かるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!』

 

ーーーーチュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッッ!!!!

 

トレギアが怨みの声を上げながら、トライストリウムバーストを受けて、三色の光に包まれて爆発した。

 

『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

艦船<KAN-SEN>達の声が上がると、トライストリウムはゆっくりと皆を見下ろすと、静かに頷き。

 

『・・・・・・・・シュアッ!!』

 

トライブレードを太陽に突き立てるように天に掲げた。

 

ーーーーワァァァァァァァァァァァァ!!

 

そして、艦船<KAN-SEN>達は、勝利を喜ぶように声を上げた。

 

 

 

ー鉄血sideー

 

「・・・・ん? 『ビスマルク』?」

 

ニーミもヒッパーもレーベも、勝利を喜んでいる中、オイゲンの通信インカムから、『鉄血旗艦』からの通信が入った。

 

 

 

 

ーカインsideー

 

カイン指揮官が専用船に戻ると同時に、多くの艦船<KAN-SEN>達が集まり、長門と陸奥、翔鶴と瑞鶴、高雄と愛宕が、赤城と加賀をカイン指揮官の元へと連れてきた。

 

「・・・・赤城・・・・加賀・・・・」

 

「指揮官! 赤城先輩達は、セイレーンに利用されていただけで・・・・!」

 

「瑞鶴。沙汰は指揮官殿が決める」

 

瑞鶴が二人を擁護しようとするが、高雄が止めた。高雄も二人を庇いたいが、これだけの事をしたのだ。無罪放免と言う訳にはいかない。

 

「赤城。加賀。何か言いたい事はあるか?」

 

「・・・・何も、ありません。ですが、全ては私、赤城による暴走か招いた事。全ての責はこの赤城にあります。妹の加賀、そして重桜艦隊は何も知りません。どうか、私一人の命でーーーー」

 

「姉様! セイレーンに癒着していたのは、私も同罪です! 私達一航戦が責を追う! だから、重桜の皆にはーーーー」

 

「ま、待ってよ赤城先輩! 加賀先輩! だったら私達だって! 二人にだけ重い物を背負わせた責任があるよ!」

 

「黙りなさい加賀。五航戦。全ての責は私よ」

 

「あのですねぇ、そうやって全部自分が背負えばカッコいいとでも思ってるんですかぁ?」

 

「・・・・何ですって?」

 

赤城が全ての責任を負おうとするのを加賀が止め、その加賀を瑞鶴が止めて、赤城がそれでも自分一人が責を背負うとするが、翔鶴が毒舌混じりに止める。

長門と高雄と愛宕が苦笑いを浮かべ、陸奥は困ったようにオロオロすると、カイン指揮官が、パンパンと手を叩いた。その瞬間、言い争いを止めた。

 

「・・・・皆。盛り上がっている所で悪いが、報せがある。重桜上層部は、この事件は全て赤城と加賀による暴走行為であると言い出したんだ」

 

『っ!』

 

重桜艦隊は驚愕したが、一部はやはりと言わんばかりだった。

トモユキ指揮官が行方不明になってからこれまで、母港の運営から作戦まで、全部艦船<KAN-SEN>達に丸投げにしていた上層部だ。問題が起こったら蜥蜴の尻尾切りのように切り捨てられるのは分かっていた。

あまりの上層部のやり口に、艦船<KAN-SEN>達は渋面を作るが、カイン指揮官は冷静に声を発する。

 

「だが、こんな大事件をたった二人の艦船<KAN-SEN>だけのせいにするのか? と聞いたら、上層部は連帯責任で他の皆にも責任だと言い出した。だから、俺はこう言った。この事件の責任者としてーーーーこの海域にいる重桜艦船<KAN-SEN>を捕虜として捕らえる! てね」

 

「え? どういう事?」

 

瑞鶴が首を傾げると、カイン指揮官は同じ事を言った。

 

「“この海域にいる重桜所属の艦船<KAN-SEN>達を、捕虜としてアズールレーン母港に迎え入れる”って言ったの。当然、向こうから来る皆もな!」

 

カイン指揮官が指差すと、艦船に乗った重桜の皆が、この海域に近づいていた。

 

「『三笠』大先輩!? それに、幼年の皆も!」

 

「これって・・・・!」

 

「今言ったろ? この海域にいる重桜艦船<KAN-SEN>を、捕虜にするって」

 

「そ、それって・・・・!」

 

つまり、重桜母港いる艦船<KAN-SEN>達全員を、アズールレーンに迎え入れると言う事である。

 

「で、ですが指揮官様! これでは重桜の護りが・・・・!」

 

「ああそうだなぁ、重桜はこれからセイレーンの脅威や怪獣を艦船<KAN-SEN>達抜きでどうにかしなければならないなぁ。あ、でもレッドアクシズが・・・・あ駄目か、鉄血は同盟を破棄するようだし」

 

『えっ!?』

 

「先ほど、その通信が入ってきたようだからね」

 

『えぇっ!?』

 

カイン指揮官の言葉に、重桜艦隊は驚き、さらなる言葉に今度はアズールレーン艦隊も含んで鉄血陣営を見た。

ソコには、いつも通りの笑みを浮かべるオイゲンと、居心地悪そうなニーミ達が近づき、カイン指揮官に向けてオイゲンが肩をすくめながら口を開く。

 

「世論的にも、こんな事件を引き起こした重桜と手を組んでいられないわ。悪いけど、鉄血は重桜との同盟は破棄させて貰う、ってウチの上層部が言い出したのよ」

 

「と言う事は、重桜は孤立してしまうなぁ。東煌はウチで預かっている平海と寧海を通して、既にアズールレーンに入っているしぃ。このままでは重桜が危険だなぁ。重桜がアズールレーンに戻ってきてくれれば、我々も同盟相手を護る為に軍を動かせるんだけどなぁ」

 

≪≪≪し、白々しい・・・・≫≫≫

 

意地の悪い言葉を並べる指揮官に、トライスクワッドだけでなく、艦船<KAN-SEN>達も苦笑いを浮かべ、頬に汗を垂らす。

長門がコホンと咳払いをしてから言葉を発する。

 

「指揮官よ。重桜上層部から、その言葉に対する伝言がある」

 

「ほぅほぅ」

 

「重桜を再び、アズールレーンの一員として迎え入れて欲しい・・・・とな」

 

「ふぅん。良いよ。こっちもとっくにロイヤル上層部とユニオン上層部とも話を通してるし」

 

「(いつの間にそこまで話を進めていたんだ?)」

 

「(遊んでいるようで、ご主人様は手を打って置いたのですよ)」

 

エンタープライズとベルファストがこっそりと会話していた。

カイン指揮官は赤城と加賀に真剣な顔と目を向ける。

 

「さて、赤城。加賀」

 

「「っ」」

 

「重桜はアズールレーンに戻る。が、これからさらに忙しくなるだろう。重桜は暫くは白い目で見られるかも知れない。そんな大変な状況で、有能な君達二人を失う訳にも、暇を与えるつもりもないぞ」

 

「「えっ!?」」

 

「それは甘いんじゃないの指揮官? こんな事やらかしたのに無罪放免だなんて」

 

「いや翔鶴。やり方は兎も角、二人が重桜を思っての行動だと言う事は分っている。大切なのは、犯した事をどう償っていくかだ」

 

カイン指揮官は海面に降りると、トライスクワッドにウルトラ念力で浮かせて貰い、赤城と加賀の二人に両手を差し出す。

 

「赤城。加賀。辛い思いや苦しい思いをさせて、本当にゴメン。でもーーーーまた俺達と共に歩んで欲しい。俺には、君達が必要なんだ」

 

「「ーーーー!!」」

 

赤城と加賀はカイン指揮官の手に自分の手でそれぞれ触れ、両膝を突き、涙を浮かべながら声を発する。

 

「「私達の力、今一度、今度こそ! 重桜とこの世界と、あなたの為に・・・・!」」

 

それはまるで、王に絶対の忠誠を誓う騎士の様であった。

カイン指揮官は優しい笑みを浮かべ、赤城と加賀を見た後、重桜艦船<KAN-SEN>全員に顔を向けた。

 

「ああ。ただいま。赤城、加賀・・・・皆! ただいまっ!」

 

『~~~~!!! 指揮かーーーーん!!!』

 

重桜艦船<KAN-SEN>達が、堪えていた涙を溢れさせながら、カイン指揮官に近づき、抱き付いていった。

 

 

 

ーニーミsideー

 

「・・・・さ、私達は帰るわよ」

 

一瞬涙を浮かべそうになったオイゲンが、感動しているニーミ達を引き連れ、この場を去ろうとしていた。

 

「ニーミ!」

 

「っ! 綾波・・・・」

 

綾波がニーミを呼び止め、ニーミも止まって、涙を拭って綾波に方を向く。

 

「・・・・私達は、敵同士になりました。もう馴れ馴れしく「関係ないです」えっ?」

 

「綾波とニーミは、生まれた国も考え方も違うです。でも、進む道が違っても、目指すモノは同じです。だから、もしかしたら、ニーミ達鉄血の皆さんと、手を取り合える日が来るです。綾波は、そう信じるです」

 

「私もそう思う!」

 

「ゆ、ユニコーンも・・・・」

 

「ラフィーも・・・・くぅ・・・・」

 

「って、寝ないで下さい!」

 

ニーミが思わずラフィーにツッコミをいれた。一度咳払いするニーミが、綾波に向き直る。

 

「もし、そんな日が来たら、良いですね」

 

そう言って、ニーミは名残惜しそうに、オイゲン達と共に去っていった。

 

 

ー綾波sideー

 

「ニーミ・・・・」

 

「きっと、手を取り合える」

 

「指揮官」

 

綾波に近づいたのは、睦月達や夕立達に抱きつかれたカイン指揮官だった。

 

「だろ?」

 

「・・・・はいです」

 

綾波とカイン指揮官達は、ニーミ達が去っていった方角を見据えた。いつか、手を取り合う日を信じて。

 

 

 

 

 

 

ーカインsideー

 

それから数日が経ち、重桜の桜を何本かアズールレーン母港に植え直し、饅頭達が桜並木を作り、花見を楽しんでいるユニオン、ロイヤル、重桜艦船<KAN-SEN>を見ていたカイン指揮官の隣に、タイガの思念体がカイン指揮官と同じ大きさで立っていた。

 

≪これから益々騒がしくなりそうだな?≫

 

「ああ。でも、悪くない光景だ。・・・・これからも宜しく頼むぜ、“相棒”」

 

≪・・・・“相棒”、か。悪くないな!≫

 

「フッ」

 

≪それは、私もなのか?≫

 

≪俺もか?≫

 

タイガの隣に、タイタスとタイタスの肩に肩肘を掛けたフーマが現れてそう聞くと、カイン指揮官は笑みを笑みを浮かべる。

 

「当然、だろ? お前達は、俺の最強で、最高の、“相棒”達だ」

 

≪あぁっ!≫

 

≪ウム!≫

 

≪へっ!≫

 

カイン指揮官とウルトラマン達が笑い合っていると、急に艦船<KAN-SEN>達が宴を止めて、カイン指揮官を見ていた。

 

「・・・・ん? どうした皆?」

 

「あの~指揮官・・・・」

 

ジャベリンが、代表して手をあげた。

 

「ん? 何ジャベリン?」

 

「あのですね・・・・重桜の皆さんも入った事ですし、そろそろ私達にもーーーーソコにいるウルトラマンさんの事、紹介してくれませんか?」

 

ジャベリンがタイガとタイタスとフーマを指差してそう言った。

 

≪≪≪「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」≫≫≫

 

ジャベリンだけでなく、その場にいる艦船<KAN-SEN>達の視線に気づいた。

四人は戸惑いの声を上げると、カイン指揮官はタイガを、タイガは自分を、タイタスはフーマを、フーマはタイタスを指差して声を発する。

 

「もしかして皆ーーーー」

 

≪≪≪「見えてるの?」≫≫≫

 

「クッキリ見えてるです」

 

「ハッキリ声も聞こえる」

 

「あの、メガオロチとの戦いから、ね」

 

≪≪≪「・・・・・・・・・・・・・・・・えぇえええええええええええええええええぇええええええええええええええええっっ!!!??」≫≫≫

 

トライスクワッドの叫びが、アズールレーン母港の空へと響き渡っていった。

 

 

 

~第一部 完~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーユニオン某所ー

 

そしてその頃。

広い国土のユニオン本国の、荒野が広がる某所にて、先日宇宙から落下してきた隕石により、巨大なクレーターが広がり、その周りにユニオンの軍や研究機関が集まっていた。

そして中心部に、卵のような隕石が少し煙を上げながらソコにあった。

 

 

 

 

ー鉄血sideー

 

そして一方、鉄血本国に戻ったオイゲン達は、長い金髪に軍帽を被った凛々しい顔立ちと青い瞳、そして長身にキッチリと着た軍服の開けた胸元から見える豊満な胸と、軍服越しでも分かる豊麗なプロポーションをした大人の女性、鉄血の旗艦である『鉄血所属 戦艦 ビスマルク』と、『鉄血の総統閣下』に、トライスクワッドの戦いを報告していた。

 

「そうか。怪獣や宇宙人の事は各方面で報告を聞いたが、最早そこまで発展していたか」

 

「どうするの? 四大陣営の三国や東煌もアズールレーンに入ったわ。それに、怪獣の存在や噂の〈ヴィラン・ギルド〉、それにトレギアってヤバいヤツもいるわ。鉄血だけでーーーー「心配は無用だ」・・・・総統」

 

それまで黙っていた『総統閣下』が声を発すると、ヒッパーとレーベとニーミは、少しウンザリしたような顔となり、オイゲンとビスマルクも顔には出さないが霹靂とした顔になる。

 

「所詮ロイヤルもユニオンも重桜もーーーー騙されているのだ」

 

「“騙されている”?」

 

「その通り。あの“偽者ウルトラマン達”に、な」

 

「“偽者ウルトラマン”?」

 

ニーミが訝しそうに聞くと、『鉄血総統』はバッと立ち上がり、両手を広げて、まるで宣言するかのように声を張り上げる。

 

「そう! いずれ現れるだろう『真のウルトラマン』! 彼が現れた時、『出来損ない』に、『汚れた血』、そして『紛い者』を討ち倒し! この星に真の希望と正義を示す、『本物のウルトラマン』が降臨する! そしてその『本物のウルトラマン』と共に正義を成すのは! 我ら愛と善意を伝導する鉄血艦隊だぁっ! あっははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっ!!!」

 

『鉄血総統』であるその男は高笑いをあげ、その言葉の意味が分からず、ビスマルクにオイゲン、そしてニーミ達は首を傾げるだけだった。

 

ーーーー鉄血総統『アイゼーン・マコットラー』総統の言葉を

 

 

 

 

 

ー霧島sideー

 

ソコはアズールレーン母港から遠く離れた、何処か分からない小さな孤島。

不気味な黒い雲に覆われたソコには、ボロボロになった霧崎が顔を俯かせて立ち尽くしていた。

 

「・・・・・・・・っ・・・・! っっ・・・・!!」

 

霧崎は啜り泣くような声を漏らしていたが、次の瞬間。

 

「ーーーーあっはははははははははははははははははははははははははははっっ!!! あーはっはははははははははははははははははははははははははははっっ!!!!」

 

突然狂ったように笑い出し、虚空に向けて手を伸ばした。

 

「・・・・海守、トモユキ・・・・! カイン・オーシャン・・・・!!」

 

その目には、この孤島から遠く離れた場所で、アズールレーン艦隊と重桜艦隊、忌々しき光の戦士達と勝利を喜び合っているカイン指揮官の名を呟き、拳をゆっくりと握った。

 

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっ!!! あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっっ!!!!」

 

霧崎の、トレギアの狂笑が曇り空に覆われた孤島に、響き渡っていった。

 




ー『ヒーリングボルケーノ』ー

カイン(トモユキ)指揮官がトライブレードを回す事で発動。荒ぶる怪獣や、邪悪に染まった者を浄化する。

次回から第二部が始まります。
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