アズールレーンT   作:BREAKERZ

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今回は『夕映えの戦士』から流用。


【出会】ふとしてできた友人

ー???sideー

 

ーーーードクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン・・・・。

 

『ぐ、うぅぅぅぅ・・・・!』

 

『っ!』

 

暗くした廃工場の片隅に、『卵のような何か』が、鼓動でもするような音を鳴らし、それを眺めていた一人の異形が足元に落ちているーーーー『ウルトラマンの事が書かれた新聞』に目を向けると、またも唸り声を上げ、その異形を背中から抱きしめる異形がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーカイン指揮官sideー

 

〈鉄血〉との騒動が終わってから暫くが経った頃。

その間、カイン指揮官は『ウルトラマンオーブダーク』こと、『精神寄生体チェレーザ』によって傷つけられた、世論に対するウルトラマンの名誉と評価を回復させる為に奔走していた。

あのオーブダークによるマッチポンプのせいで世間から、『今までの怪獣騒動はウルトラマンの自作自演』、『ウルトラマンは我々を騙しているペテン師』、『実は信頼を売って侵略活動をしている』等と言った根も葉もない憶測がネット上に飛び交い、軍上層部の〈大本営〉ですら、『ウルトラマンは〈セイレーン〉に匹敵する脅威なのか?』、『ウルトラマンを排除すべき存在なのか?』と、度々議題が出ている程だ。

カイン指揮官や艦船‹KAN-SEN›達(特に元凶の片棒を担いでしまった鉄血陣営)は自分達とタイガ達の関係を悟られずに、何とかソレらを抑え、信頼を回復させているが、カイン指揮官の抱えている問題はソレだけではない。

〈ロイヤル〉、〈ユニオン〉、〈重桜〉、〈鉄血〉と『四大国家』が集まり、さらに〈サディア〉に〈アイリス・ヴィシア〉も加わって、一気に大所帯となってしまったアズールレーン。

それはつまりーーーーカイン指揮官の仕事が恐ろしく多くなると言う事で。

 

「ーーーー指揮官。もうすぐ〈北方連合〉とのリモート会談の時間だ」

 

「ーーーーご主人様。〈アイリス・ヴィシア〉でお茶会を開くので、ご主人様も是非にと招待状が届きました」

 

「ーーーー指揮か〜ん! Q・エリザベス女王陛下が、各国のスイーツをもっと増やしなさいって言ってます!」

 

「ーーーー指揮官。〈東煌〉の皆さんが料理に必要な調味料がそろそろ無くなってきたと言ってるです」

 

「・・・・指揮官、〈ユニオン〉で今度、各国の皆を招いてスポーツ大会やりたいって」

 

「ーーーー指揮官すみません。新たに来た〈サディア〉の皆さんが、親交を深める為にオペラを開催したいと言っていて」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!! 忙しぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

エンタープライズ、ベルファスト、ジャベリン、綾波、ラフィー、ニーミからの報告を受けて、あれやこれやと忙しなく過ごすカイン・オーシャン指揮官は、毎日を多忙に過ごしているのだった。

 

『兄ちゃん、死に物狂いだな・・・・』

 

『成る程。これが修羅場か・・・・』

 

『地獄だな、トモユキ・・・・』

 

トライスクワッドの面々も、憐憫の眼差しでカイン指揮官を見据えていた。特に、ウルトラマン関連の問題にも取り組んで貰っているのに、何もできない自分達が不甲斐ない気持ちになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、かと言って怪獣騒動と〈セイレーン〉がいなくなる訳ではないので。

〈セイレーン〉の艦隊が現れれば、艦船‹KAN-SEN›達が戦い。

 

「綾波ちゃん!」

 

「はいです!」

 

「・・・・ニーミ、後よろしく」

 

「ちょっとラフィー! まだ敵はいるんですよ! 終わりそうだからって休まない!」

 

「グレイゴースト! 私の方が多く倒す!」

 

「ーーーー競争をしている訳ではないのだが・・・・」

 

「あ~ら、まさか貴方と共闘するとはね、ベルファスト?」

 

「そうですね、プリンツ・オイゲン」

 

各国の艦船‹KAN-SEN›達も、他国の艦船‹KAN-SEN›達と連携が上手く取れるようになっていった。

そして怪獣との戦闘でも、タイガ、タイタス、フーマは活躍していった。

 

『『トライブレード』!』

 

『トライブレード』で『騒音怪獣ノイズラー』を斬り捨てる『ウルトラマンタイガ・トライスクワッド』。

 

『『ギガントニウムバスター』!』

 

『透明怪獣ネロンガ』を粉砕する『ウルトラマンタイタス・ファイティングノヴァ』。

 

『『旋風大回転』!』

 

『超古代竜メルバ』を斬り刻む『ウルトラマンフーマ・ゲイルセイバー』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー死にそうだ・・・・もう、駄目だ・・・・」

 

何とか諸々の終わらせたカイン指揮官は、夕暮れのアズールレーン母港の『民間の出店』が並ぶ区画に来て、ベンチでグッタリしていた。

母港には『購買部』があるが、民間の出店も並び、購買部で販売されない物品や食べ物が売られているのだ。

いつものカイン指揮官であれば、真っ先にベルファストの至高のお膝による膝枕で横になって癒されている所だが、その話を聞きつけ、仕事が終わるとベルファストの周りで、赤城や愛宕や大鳳や隼鷹、さらには何故かローンまで待ち構えており、下手な事をすればその場で戦争が勃発する危険性があるのでここに避難したのだ。

が、ここに来たのはソレだけではない。

 

「ーーーーよっ、指揮官殿!」

 

「うわぉっ!・・・・って、何だ『小田さん』か。奥さんもどうも」

 

「こんにちはカイン指揮官さん」

 

カイン指揮官に話しかけていたのは、この『民間の出店』でクレープを売っている小田夫妻の旦那と奥さんが、にこやかに挨拶した。

最近知り合ったのだが、妙に旦那さんと話が合い、友人関係を築いていた。

 

「どうした? 別嬪さんばかりの艦船‹KAN-SEN›ちゃん達に囲まれて、両手に花どころか全方位が花の羨ましすぎる生活している癖に? ハハハ!」

 

「・・・・そんな良いものばかりじゃないですよ。他国の艦船‹KAN-SEN›達との色々な話を聞いたりして、結構大変なんですから・・・・」

 

「ーーーーまぁそうね。皆性格は勿論、育った文化とか風習とか、色々違う所があるから、そこから妙な軋轢が生まれるのは仕方ないわね。ーーーーさ、疲れた時は甘い物よ。指揮官さんが好きなバナナチョコよ」

 

「あ、ありがとうございます! いただきます!」

 

奥さんからクレープを貰って頬張っていると、旦那さんが画材を出して、夕焼けの絵を描いていた。

 

「ーーーーこの絵、中々完成しないんだよねぇ」

 

「そう言えば、いつもそれ描いてますね?」

 

「うん・・・・絵って面白いもんだよなぁ。昨日は良いと思って塗った色が、今日はまた違った色が良いんじゃないかと思ってな。それでまた塗り直して、何度も繰り返してそして、自分なりの『答え』を探しているんだ・・・・」

 

「自分なりの・・・・『答え』」

 

「うん・・・・ま。カイン指揮官も、この書きかけの絵と同じだ! 大変だろうけど、失敗する事もあるだろうけど、何度も何度もやり直せば良いんだよ」

 

旦那さんの言葉に、カイン指揮官は少し肩の荷が楽になった気がした。

 

「ーーーーなんか、肩の力が少しは抜けました」

 

カイン指揮官の言葉に、旦那さんは笑みを浮かべて頷くと、再び風景に目を向けた。

 

「・・・・おっと。また空の色が変わったなぁ。こりゃまた塗り直しだ。三歩進んで重桜ザルってヤツだな!(コン!)あてっ!」

 

「それを言うなら、三歩進んで二歩下がる、よ」

 

「フフフ」

 

そんな夫婦漫才を見ながら、カイン指揮官は笑みを浮かべるのであった。

 

「それにしても、ウルトラマンの評判ガタ落ちだなぁ。あのーーーーなんて言ってたかな? ウルトラマン、オーブなんちゃらってヤツのせいだな!」

 

「『ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ』、でしょう?」

 

「無駄に長いんだよなぁその名前。もう略してーーーー『ウルトラマンオダブツ』なんてどうだい?」

 

「ぷっ! お陀仏って・・・・!」

 

あまりの酷い略しに、思わず笑ってしまうカイン指揮官であった。

 

 

 

 

 

ー小田sideー

 

そして、アズールレーン母港から離れた小島にある宿泊施設に向かう為の定期船に乗った小田夫妻。そして夫は、カイン指揮官の事を考えていた。

 

「あの指揮官さんの事・・・・?」

 

「うん、まあな。お前も随分気に入ったようじゃないか?」

 

そう言うと、妻は夫の前髪を撫でた。

 

「若い頃のアナタにそっくりよ。あれだけの艦船‹KAN-SEN›達が惚れるのも、分からなくはないわね」

 

妻の言葉に、夫は小さく口角を上げて笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

ーカイン指揮官sideー

 

そしてその翌日。執務室にて。

 

「ーーーー指揮官。最近夜中に地鳴りがしていると報告が、各国の艦船‹KAN-SEN›達からあがっている」

 

「ふむ。明石」

 

「にゃにゃ」

 

エンタープライズの報告を聞いたカイン指揮官が、執務室に来ていた明石に目を向けると、明石は長袖の中から『小さな装置』を取り出した。

 

「マグマとマーキンドの協力で、『強力探査デバイス』が完成したにゃ♪ これでどんな異常も検知できるにゃ♪」

 

「良し。それじゃあ探索にでよう。私にそれとーーーー」

 

 

 

 

 

ー霧崎sideー

 

霧崎は、アズールレーン母港の近くにある複数の小島、宿泊施設のある島の中にある廃倉庫にやってくると、その片隅に置かれた『卵』のような物に近づく。

 

「・・・・ふぅ~ん、中々いい趣味だ」

 

顎に手を当てながら興味深そうに『卵』を見据える霧崎。

 

「ーーーーここで何をしている?」

 

と、そんな霧崎に話しかけてきたのは、仕事から戻って来た小田夫妻であった。

霧崎はニンマリと笑みを浮かべて、小田夫妻に向けて振り向く。

 

「お会いできて光栄です。ーーーー『ナックル星人オデッサ』」

 

そう言って、恭しく小田に向けて礼をする。

 

「「っ!」」

 

小田の夫は驚き、妻は懐から光線銃を取り出し、躊躇なく霧崎に向けて銃口を向けた。

 

「なぜそれを? お前何者だ!?」

 

「ーーーーそんな事はどうでも良い。私はアナタの『願い』を叶えに来た」

 

「『願い』・・・・?」

 

「っ・・・・!」

 

妻の光線銃を握る手に力が入る。が、霧崎は構わず続けた。

 

「ーーーー“相棒の『ブラックキング』と共にまた戦いに身を捧げる”。それがあなたのーーーー『願い』!」

 

ーーーードクン・・・・!

 

『卵』が霧崎の言葉に呼応するように胎動して、光を発した。

 

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