ーカインsideー
カイン指揮官は綾波、ジャベリン、ラフィー、ニーミを連れて調査をしていると、『探査デバイス』が反応を検知した。
「指揮官! 反応がありました! ここから六百キロの西の島です!」
「よし行こう!」
カイン指揮官は『指揮官専用艦』を、ニーミが報告した西の島へと向かわせた。
ー霧崎sideー
「ーーーー黙れ! 俺はそんな事を願っちゃいない!」
「だったらどうして! この『ブラックキングの卵』を持っている!?」
否定する小田の旦那さん、否、オデッサの言葉をさらに否定するように、霧崎は指をパチンと鳴らした。
その瞬間、旦那さんが持っていた画材がその手を離れ、宙を舞いながら今まで描いていた『絵』を地面にばら撒いた。
そして地面に落ちたその一枚の中に、夕暮れに照らされたーーーー『本当の姿をした自分』と、『相棒の怪獣』の絵が目に入ってしまった。
「ーーーーっっ!!」
「ブラックキングと共に銀河に名を馳せた最強の暗殺者。それがこんな星で隠遁生活とは余りに惜しい。ーーーー昔のあなたは本当に輝いていた・・・・」
「ーーーーやめてっ!!」
「『アデル』!」
「っーーーー」
小田の奥さん、アデルが光線銃を引き金を引いて、霧崎の脳や心臓にレーザーを何発も撃つ。
撃たれた霧崎は、そのまま大きく仰け反りながら地面に倒れーーーーる寸前、まるで映像を一時停止したようにピタッと止まると、そのまま巻き戻しのように起き上がると、レーザーのエネルギーが、自分に当たる寸前で止まって、停止していた。
「「っ!?」」
「ふふっ・・・・」
霧崎が手を振ると、エネルギーが霧散した。
そして自分達にゆっくりと近づいてくる霧崎に、オデッサは口を開く。
「・・・・俺はな・・・・! 戦いはもう沢山なんだ!」
「・・・・聞こえるだろ? ブラックキングの鼓動が」
『ブラックキングの卵』の点滅が、一層激しくなる。
「あなた自身の本能の叫びがっ!!」
「・・・・・・・・」
「ーーーーあなた! こんな奴の言葉に惑わされないで!」
「ーーーーうるさい」
アデルが止めようとするが、霧崎が掌をアデルに向けると、衝撃波が放たれた。
「ーーーーあぁっ!!」
「っ! アデル!!」
衝撃波で吹き飛ばされ、地面を転がるアデルに、オデッサはすぐに駆け寄ろうとするが、その手を霧崎が掴んだ。
「くっ・・・・!」
「さぁーーーー自分の本能に従いましょう」
そうして、オデッサの『ブラックキングの卵』へと導いた。
ーカインsideー
カイン指揮官達が、宿泊施設の近くにある廃れた倉庫に到着すると、
ーーーーグゥゥゥゥ・・・・。
何やら辺りに、不気味な音が響き渡っていた。
「・・・・何でしょうこれは?」
「・・・・何かの唸り声?」
《ーーーーこれは、怪獣のうめき声?》
『えっ!?』
ニーミとラフィーの言葉に、カイン指揮官の肩に現れたは
タイガ(思念体)がそう言った。
ーオデッサsideー
そしてオデッサは、『ブラックキングの卵』に触れようとしている自分の腕を、もう片方の腕で掴んで抑えていた。
そんなオデッサに、霧崎が囁くように呟く。
「・・・・『光の巨人』と戦いたんだろう?」
地面に落ちた『絵』ね中に、タイガともタイタスともフーマとも違う姿をした、夕陽をバックにした『光の巨人』、ウルトラマンの姿が描かれていた。
「さぁ本心はどうなんだ? お前の『戦士』を出すかぁ!?」
「ーーーーっ!!」
霧崎の言葉に、オデッサはグッと目を固く閉じた。
と、その時ーーーー。
ーーーーズバン! ドン!
廃倉庫のドアが外から斬られ、さらに蹴り破られると、対艦刀を持った綾波と槍を携えたジャベリンが突撃すると、それに続くようにニーミとラフィーも砲塔を向けながら入っていき、最後にカイン指揮官が入ってきた。
五人は懐中電灯で辺りを照らすと、中には何も無く、がらんどうとしていた。
「・・・・ニーミ、確かに此処なんだよね?」
「はい、その筈で・・・・っ! 指揮官! 反応がどんどん消えていきます!」
ーアデルsideー
「・・・・あ、あんた・・・・!」
漸く目を覚ましたアデルが目を向けると、霧崎の姿はなく、『ブラックキングの卵』に触れそうになるーーーー。
「〜〜〜〜!! あぁっ!・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
オデッサはその手を引っ込め、その場に両膝をついて呼吸を荒くしていた。
「ーーーーあんた・・・・!」
アデルは何とか起き上がり、背中からオデッサを抱きしめたのであった。
ーカインsideー
カイン指揮官達は倉庫の見張りを憲兵に任せ、一旦母港に戻っていた。
「ーーーーそれで、その倉庫の中には何もなかったのか?」
「でも確かに地鳴り、いや、タイガ曰くの怪獣のうめき声を聞こえていた」
エンタープライズの問いに、先生はそう答えると、分析していた明石が口を開く。
「にゃにゃ!? 指揮官、これ見るにゃ! 地鳴り、いにゃ、怪獣のうめき発生時刻の、数分前の映像にゃ!」
明石がタブレットを見せると、宿泊施設の監視カメラが廃倉庫の映像を映していた。
そしてそこに、小田夫婦の姿があった。
「っ!」
「この二人って、最近指揮官が仲良くしている露店エリアのクレープ屋さん!?」
「何故、こんな所に!?」
カイン指揮官、ジャベリンとニーミが目を見開く。
「明石、この二人がどうしたです?」
「見るにゃ」
明石が映像を再生させると、倉庫に入った瞬間、小田夫婦の姿がユラリと揺れて消えた。
「倉庫に入った時に、一瞬で消えてたにゃ。マグマとマーキンドは、“別空間を作っているじゃにゃいか”、って言ってたにゃ」
ー小田sideー
そして、倉庫の中でまたも空間が揺れると、そこからオデッサに肩を貸したアデルが現れた。
二人はゆっくりと歩き、倉庫の外に出た。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
夫婦の間に会話は無く、重苦しい沈黙だけがそこにあった。
「カイン指揮官さん・・・・?」
「どうして、ここに・・・・?」
声がした方に顔を向けるとソコには、カイン・オーシャン指揮官が立っていた。
◇
「どうぞ」
「ありがとう」
「(ペコリ)」
倉庫の壁に寄りかかったオデッサとアデルに、カイン指揮官は缶コーヒーを手渡した。
「・・・・小田さん、何か私に、隠していませんか?」
「っ・・・・何だよいきなり」
「この倉庫から、地鳴りが確認されたんだ。あれはーーーー“怪獣のものじゃないですよね”?」
「・・・・怪獣!? はっはははははは! こりゃ傑作だ! 世界中ね怪獣か!?」
カイン指揮官の言葉に、オデッサは笑い、アデルはぎこちなく笑みを作っていた。
「・・・・監視カメラに映っていたんだよ。あなた達が、この倉庫で消えたのが・・・・」
「えっ・・・・」
「っ!」
夫婦の顔から、笑みが消える。
「このまま隠し通せる訳がない。ーーーー俺はこの母港の指揮官だ。できる事があるなら、言ってくれ」
「・・・・怪獣なんて知らないよ! 話はここまでだ!」
そう言って、オデッサはアデルと共にその場から離れようとする。
「あっ、待ってくれ!」
カイン指揮官が、オデッサの肩を掴んだ。
「っっ!! うるさい! 離せ!!」
自肩を掴んだ手を払いのけると、オデッサの身体が赤く発光し、その姿が異形の形へと一瞬変貌した。
「っ! 今の姿は・・・・!?」
《トモユキ! この人は人間じゃない!》
「小田、さん・・・・!」
驚くカイン指揮官だが、オデッサも戸惑いがちに声を発する。
「ーーーー今の、声・・・・っっ!!」
「っ! あんた!」
オデッサの身体がビクンッと揺れると、アデルは声を上げた。
ー霧崎sideー
ーーーードクン・・・・ドクン・・・・ドクン・・・・!
オデッサの身体が揺れると同時に、『ブラックキングの卵』が再び胎動し、それに顔を近づけれる霧崎。
「さぁ! 開演の時間だ!! あっははははははははは!!」
霧崎が声を張り上げて笑いながら、トレギアアイを使ってトレギアに変身し、外に出た。
『アッハハハハハハハハ!!』
外に出たトレギアは、カイン指揮官達のいる倉庫に黒い稲津を落とし破壊し、降り立った。
ーカインsideー
ーーーードゴォオオオオン!!
「っ! トレギア!?」
『ーーーーやぁ』
『指揮官!!』
別の場所に隠れていた綾波達が駆け寄る。
「綾波、ジャベリン、ラフィー、ニーミ。小田さん達を頼む!」
カイン指揮官がそう指示すると、四人は頷き、それを確認してから、トレギアの元へと走る。
「カイン指揮官!」
小田・夫の声を背に浴びながら、カイン指揮官は宿泊施設に向けて攻撃するトレギアを見据える。
「行くぞタイガ!」
《応!》
[カモン!]
タイガスパークを起動させたカイン指揮官は、腰にある『タイガキーホルダー』を掴むと、タイガの象徴たる赤いインナースペースが展開される。
「光の勇者! タイガ!!」
『ハァァァァァ・・・・ハァッ!!』
「バディィィィゴーーーー!!」
[ウルトラマンタイガ!]
『シュアッ!!』
光の勇者、ウルトラマンタイガへと変身した。
『フッ・・・・ハァ!』
ウルトラマンタイガが地面に降り立った。
ーアデルsideー
「っ・・・・ウルトラマン・・・・!」
オデッサがウルトラマンタイガを見て、驚愕に目を見開く。
「・・・・・・・・」
そんな夫の姿を見て、アデルは辛そうに顔を伏せた。
ウルトラマンを見て、奥さんはどうするのか?