ー???sideー
ソコは、『アズールレーン母港』から少し離れた島にある小さなビルの一室。壁に掛けられ額縁には『美蘭道』と書かれ、同じく『美蘭道』と書かれたポスターが貼られ、神棚まで置かれている。まるで暴力団の事務所のような一室。
少し窓の外を眺めれば、海の向こうにアズールレーン母港が見える位置にあるビルの一室には幾つものホワイトボードが並べられ、ソコに『この星の言語』ではない文字が書かれ、更にウルトラマンタイガとウルトラマンタイタスとウルトラマンフーマ、『トライスクワッド』の似顔絵や写真が貼られていた。
『ーーーー兎に角! ウルトラマンタイガをなんとかせねば!』
『いや、今や俺達〈ヴィラン・ギルド〉の『商売』の邪魔しているのはタイガ達だけじゃない』
ノッソリとした体躯に両手はハサミのような形をした『反重力宇宙人 ゴドラ星人』が、トライスクワッドに関する資料が書かれた紙に埋め尽くされた自分の机を叩いて声を荒げる。
ソレを聞いて昆虫のような頭部に鋏のような形状のブレードが付いた両腕と、胸には車のライトを思わせる発光体を持った『高速宇宙人 スラン星人』が、孫の手で自分の背を掻いていると、別の壁に貼られていたトレギアや、トレギア関連の怪獣達の資料を指した。
この異星人こそ、悪名高き〈ヴィラン・ギルド〉・・・・の、この星の支部を任せられている構成員達である。
『トレギアァ・・・・! アイツ、〈ヴィラン・ギルド‹俺達›〉なんか眼中に無いって感じで、好き放題やりやがって!』
『いっそ、ウルトラマン全員を一掃できればなぁ・・・・!』
『おっ! ソレ駄洒落ですか?』
『違ぇよ! 全然違ぇよ!!』
彼等こそ、かつてマグマ星人もマーキンド星人が所属していた、宇宙の犯罪組織〈ヴィラン・ギルド〉であった。
この星に来て、『怪獣オークション』等の『商売』が、ウルトラマン達によって悉く潰されてしまい、〈ヴィラン・ギルド〉の面子はほぼ潰れてしまっていたのだ。
『ーーーーそれじゃぁ、僕が『変身』しようか? 偽タイガにぃ〜♪』
シュレッダーで不必要になった資料を処分していたのは、人間のような体躯だが、ツリ眼と星形の口が特徴で、頭部と胴体が一体となっている『凶悪宇宙人 ザラブ星人』である。
ザラブ星人には変身能力があり、ソレを使ってウルトラマンの信用を落とそうと言い出す。
『一人でタイガやトレギアの二人と戦って、勝てると思ってんのか?』
『あっ、ソレは・・・・』
『ソレに! アイツらを消そうとして、『光の国』の連中に目をつけられたらどうするんだ!?』
別の平行世界に存在する『光の国』の『宇宙警備隊』。ウルトラマンタイガはその『光の国』で英雄である『ウルトラ六兄弟』の1人、『ウルトラマンタロウ』の息子であり、タロウの父であり、『宇宙警備隊大隊長 ウルトラの父』の孫でもあるのだ。
『宇宙警備隊』や、タロウとウルトラの父の勇名は〈ヴィラン・ギルド〉にも響き渡っている。〈ヴィラン・ギルド〉の保有する戦力で『宇宙警備隊』に喧嘩を売るなど、竹縄を武器にして怪獣と戦った方がまだ勝機があるってものだ。
『ーーーー大丈夫だ!』
が、ゴドラ星人がスラン星人にそう言うと、椅子から立ち上がる。
『ウルトラマンタイガ達は置いて、トレギアは『光の国』も恐れる存在だ! アイツを倒せば奴らもそう簡単には手出しはできない筈だ!』
『あぁっ! いっそ、トレギアをVIP待遇するってのはどうかな?好きな食べ物とか調べてさぁ。『光の国』の人って、何食べるのかなぁ?』
『ザラブ! お前は話にならん! 許可が出るまで声を発するな!』
トンチキな台詞を言うザラブ星人に、ゴドラ星人は怒声をあげながら詰め寄る。
『まぁまぁ・・・・先ずは色々アイデアを出してるだけじゃないか』
『そうだよ! 何か食べるのは大切だよ! あぁ、今夜は何食べようかなぁ?』
『お前の晩飯なんてどうでもいいんだよ!!』
『アアアアッ! 暴力反対!!』
『まぁまぁまぁまぁ!』
スラン星人がフォローするが、さらにマヌケな台詞を言うザラブ星人に、ゴドラ星人が怒ってザラブ星人の頭を掴んで喧嘩を始め、スラン星人が必殺にゴドラ星人を宥める。
シッチャカメッチャカな会議を繰り広げる
すると、事務所にあった映像通信用のプロジェクターが独りでに動き出し、映像と音声を発した。
『ーーーー私に考えがあります』
突然響いた声に、ゴドラ星人とスラン星人とザラブ星人が喧嘩を止めた。
『っ!?』
『何々!?』
『その声はもしや・・・・!!』
驚く3人を余所に、プロジェクターから1体の異星人の姿がホログラムとして映し出された。
タコやイカ等の頭足類に似ているが足は3本。体の体積の半分以上を占める程の銀色の巨大な頭部をし、大きなタラコ唇をしている『頭脳星人 チブル星人マブゼ』であった。彼は『この宇宙』で名が売れているマッドサイエンティストである。
『『光の国』を恐れさせるのに、1番『相応しい存在』があります!』
『『???』』
『『相応しい存在』・・・・?』
ゴドラ星人とザラブ星人が首を傾げ、スラン星人が聞き返すと、チブル星人マブゼはそのタラコ唇をニンマリと大きく口角を上げて声を発する。
『ーーーー『ウルトラマンベリアル』です!』
『『『!?!?!?!?!?』』』
その名を聞いた瞬間、ゴドラ星人もスラン星人もザラブ星人も、身体を硬直させ、戦慄したように震わせた。
ーーーー『ウルトラマンベリアル』。
かつて、『光の国』を壊滅寸前にまで追い詰め、別の『平行宇宙』にて『ベリアル銀河帝国』にて一大帝国を築き上げ、更に『別の平行宇宙』を滅ぼした『クライシス・インパクト』を引き起こし、『光の国』の『宇宙警備隊』に屈辱的大敗を与え、その名は『マルチバース』の異星人達にとって、伝説的に響き渡っている『最恐最悪のウルトラマン』である。
『じ、冗談じゃないよ! ウルトラマンベリアルなんておっかなさ過ぎる存在を使うなんて!』
『俺達も危険じゃねえか! 巫山戯るな!!』
『ソレに! ウルトラマンベリアルは『ウルトラマンジード』に倒されたじゃあねえか!!』
『取っておきの『秘策』があるのです。私のこの優秀な頭脳を以てすれば、ウルトラマンベリアルを自由に扱い、アナタ方に勝利をお約束致しましょう。どうですか?』
『『『・・・・・・・・・・・・』』』
ウルトラマンベリアルの恐ろしさを知っているゴドラ星人達は拒否するが、チブル星人マブゼは自分達の勝利を約束すると言い、ゴドラ星人達はお互いの顔を見合わせる。
『このままウルトラマンタイガ達トライスクワッドやトレギアから逃げ隠れしながら、出来もしない無駄な作戦会議を延々と続けるか、私の『秘策』に乗るか、ど・う・し・ま・す・か?』
『『『・・・・・・・・・・・・』』』
確かにこのまま無駄な作戦会議を続けても、事態は好転しないのは火を見るよりも明らか。ゴドラ星人達は悩みながら再びお互いの顔を見合わせる。
ーカイン指揮官sideー
そしてその頃、カイン・オーシャン指揮官はと言うと。
「暑い・・・・」
昼近くの執務室にて、足元に氷水の入った桶にスボンの裾を折り畳んで靴下も脱いだ素足を突っ込み、片手に団扇を持って自身を扇いでいた。
「暑すぎる・・・・。こんな日に限って執務室のクーラーがぶっ壊れるとはな・・・・」
《確かにちょっと暑いよなぁ・・・・》
《フンッ! フンッ! フンッ! 気温は28度! 鍛えるには! 丁度いい! 水分補給は! コマメに! 行うのだ!》
《だぁぁぁぁ! 旦那! 良い加減トレーニングはやめてくれ! 暑苦し過ぎでたまんねぇぜ!!》
ここ数日、母校の気温は高く、執務室のクーラーは連日稼働で故障してしまった。明石と従業員であるマーキンド星人とマグマ星人が修理をしているが、まだまだ時間が掛かりそうだ。
「・・・・駄目だ! もう執務室にいるより別の場所で涼む! ベル! 取り敢えず修理が終わったら明石達に冷たい飲み物をやってくれ!」
「かしこまりました」
ベルファストに任せ、カイン指揮官は外に出た。
すると、障害物競走でトップに走っている右側にあみこみを入れた茶髪ショートカットの少女、『ユニオン所属 重巡洋艦 ボルチモア』である。
いつものお腹と下乳の見えるSFチックが特徴的な服装ではなく、女子高生のような制服姿、ソレも半袖Yシャツのネクタイを緩め、上のボタンを開けて豊満な谷間を見せ、スカートから伸びるスラリと長く肉付きの良いお御足を晒した格好である。
「う~ん、ボルチモアってば何て眩しい。しかし、皆こんな日差しで良く『部活』をするなぁ・・・・」
そう。このアズールレーン母港では、他国の艦船‹KAN-SEN›達が集まり、色々な『部活』をしている。因みに明石は『科学部』であり、日夜新兵装や新武装を製作しているのだ。
「あぁ、指揮か~ん・・・・」
「ん? 綾波ってうぉ!? どうした綾波にラフィー!? 今にも溶けそうなアイスのようになってるぞ!?」
カイン指揮官の目の前には、噴水に足を入れていた綾波が倒れ、ラフィーも噴水の水に両膝をついた。完全に熱中症である。
「2人共! しっかりしてぇ!」
「落ち着いてジャベリン! すぐにハンカチを水に浸して、2人の額に乗せて!」
近くにいたジャベリンとニーミがお互いのハンカチを噴水の水に浸してから絞り、綾波とラフィーの額に乗せた。
「皆、すぐに陽射しの当たらない場所に移動して、2人の身体を緩めて涼ませながら水分と塩分補給をしよう。ラフィーはニーミとジャベリンが運んで、綾波は私が運ぶよ」
「「はい!」」
カイン指揮官が綾波を背負い、ジャベリンとニーミがラフィーを左右から担いで木陰へと移動し、ニーミが保冷剤を、ジャベリンがアイスとスポーツドリンクを持ってきて、綾波とラフィーに飲ませ、ジャベリンとニーミ、カイン指揮官もアイスとスポーツドリンクを口にして体温を冷やした。
「あぁ〜・・・・冷え冷え・・・・♪」
「でも、コレでも一時しのぎにしか過ぎませんね。保冷剤ももう数個しかありませんし。・・・・指揮官、何か『対策』を検討しませんと。ソレか、皆に『気晴らし』になるような事ができれば、暑さも忘れられると思うのですが・・・・」
「う~む・・・・」
《皆で水泳大会なんてどうだ!? 身体を動かせるし、水に入れるしで一石二鳥だろう!?》
《競技も悪くないが、もう少し皆が楽しめる催し物が良いだろう》
《・・・・『祭り』、なんてどうだ?》
ニーミの意見を聞いて、どうするべきか悩んでいるカイン指揮官に、トライスクワッドの面々もアイデアを出し、タイガは『祭り』を提案した。
「『祭り』か・・・・良いかもな!」
「『お祭り』ですか!? 楽しそう!」
「色々な国も集まっていますし、出店も期待でしそうですね」
「美味しい物食べれる・・・・?」
「綾波も楽しみたいです」
「よしっ! ソレじゃ今から・・・・お祭りだ!!」
ー綾波sideー
カイン指揮官が突如始めようと言った『仮装学園祭』だが、他の艦船‹KAN-SEN›達も、前回の『ナックル星人オデッサ』との戦いで重い空気になっていた気晴らしが欲しいと思っていたのか、思いの外スムーズに進み、昼を少し過ぎた頃には各国の出店が並んでいった。
「うわぁ〜! 皆楽しそうですね♪」
「お祭りなんて始めてだし、皆『気晴らし』が欲しいと思っていたようね」
「(クンクン・・・・)イイ匂いがする」
「楽しみです」
まだ準備中の出店を見て回ると、バニースーツを着たノースカロライナから、仮装を勧められて、仮装の衣装が置かれている更衣室へと向かった。
ーカイン指揮官sideー
「いや〜。マーベラスだねぇ、ベルもエンタープライズも似合っているぞ♪」
「ありがとうございますご主人様♪」
「少し、気恥ずかしいな・・・・」
カイン指揮官と共に祭り会場を見て回る2人の姿はいつもと違っていた。
ベルファストはロイヤルネイビーの名の通り、ネイビーカラーの優雅なドレスを着込んだ、優雅にして高貴な雰囲気溢れる姿。
エンタープライズは、黒い優雅なドレスを着流し、肩にマントを羽織り、頭には白い羽根の髪飾りを付けた凛々しくも優雅な姿であった。
そして、更衣室の前に来ると、綾波達が現れた。まるで女子高生のような制服姿で。
「あっ! 指揮官!」
「おぉ皆! よく似合っているぞ!」
「えへへ! そうですか? じゃ~ん!」
「イエーイ」
「ピッタリです」
「ちょっと恥ずかしいですが・・・・」
《へぇ~、皆結構似合ってるぜ!》
《応! 馬子にも衣装だな!(コンッ)アタッ!?》
《フーマ。ソレは褒め言葉ではないぞ。エンタープライズ嬢とベルファスト嬢のドレス姿も美しいが、綾波くん達は可愛らしいな》
「ああ。似合っているな」
「皆様、とても素敵ですよ」
「ありがとうございます! エンタープライズさんも、ベルファストさんも素敵です! まるでお姫様みたいですよ!」
ジャベリン達も、エンタープライズとベルファストのドレス姿を称賛すると、更衣室の扉から別の艦船‹KAN-SEN›が顔を出してきた。
「し、指揮官・・・・!? 何でここに!?」
ホノルルであった。
「お、ホノルル? どうしたんだ?」
「早く来てホノルル」
「セントルイスさんから貰った浴衣姿、指揮官に見せてあげるです」
「あっ、ちょっと!」
ラフィーと綾波が手を引いて出てくると、青の生地に桜の花の模様が描かれたショート丈の浴衣を着込み、短い丈から伸びる長く肉付きの良い脚を白いニーハイソックスを履いたホノルルが現れた。
「おおっ! いつもは引っ込み系のホノルルが、なんて刺激的で素晴らしい浴衣姿を!!」
カイン指揮官は若干興奮しながら言った。
「へ、変じゃない? 指揮官?」
「全然全く!」
「とてもよく似合ってますよ」
「うんうん」
「バッチグー」
「可愛いです!」
「素敵ですよホノルル様」
「重桜の浴衣を見事に着込んでいるな」
《大胆な衣装だなぁ!》
《ホノルル嬢。とても似合っている》
《セクシーだぜ!》
カイン指揮官を筆頭に、全員が称賛した。しかし、ホノルルはベルファスト級の豊満な胸元に手を置く。
「でも、胸が目立っちゃうし・・・・どうすれば・・・・」
「胸を抑える浴衣用の下着があるです」
「えぇっ!? ソレ早く教えてよ! 今から着替えてくる!」
「早く行く・・・・」
更衣室に戻ろうとするホノルルを引き留めようとしたラフィーの手が、浴衣の帯を引っ張ってしまい。
「ちょっとラフィー!?」
そして、帯が外れてしまい、ホノルルの浴衣がはばけてしまった。
「はあぁっ!? もぉ~!!」
「あっベル! 何で目を塞ぐの!? 折角のホノルルのダイナマイトがぁぁぁぁっ!?」
「ご主人様。『ケッコン』前の艦船‹KAN-SEN›の柔肌を簡単に見てはいけません」
「お前達も後ろを振り向いておけ」
ホノルルがそのグラマラスな肢体を晒してしまいそうになり、ベルファストがすぐにカイン指揮官の視界を塞ぎ、エンタープライズが視線を向けると、トライスクワッドの面々も後ろを向いていた。
今回、『びそくぜんしんっ!』から少し抜粋しました。