アズールレーンT   作:BREAKERZ

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【悪意】青い影は不気味に踊る

ーカインsideー

 

「(タイガ、あれも怪獣か?)」

 

≪ああ! あれは『宇宙怪獣ベムラー』! 凶暴な宇宙の怪獣だ!≫

 

タイガの話を聞いて、カインは一瞬苦虫を噛んだような顔になるが気持ちを切り替えて、クリーブランドに目を向ける。

 

「・・・・・・・・クリーブランド。ホーネット達を僕の船に収容し終えたら、すぐにエンタープライズを拾って来てくれ」

 

「拾うって、指揮官、言い方が酷いんじゃ・・・・」

 

「待機命令違反。自分のコンディションと艤装の整備を疎かにして自壊。そんなドアホにはこういう扱いで十分だ」

 

「で、でもさ、エンタープライズは妹のホーネットの事が心配だったからで・・・・」

 

「それでエンタープライズが轟沈してしまったら、元も子もないだろう。エンタープライズが沈んで、悲しむ子達がいない訳じゃ無いんだからな」

 

「おっしゃる通りです・・・・」

 

自分もエンタープライズを焚き付けた手前、それ以上言えなくなったクリーブランドは、他の艦船<KAN-SEN>を連れて、指揮官の量産型に避難させる。

カインは、綾波とZ23<ニーミ>を見据える。

 

「レッドアクシズ。これ以上の戦闘行為を無意味だ。君たちもすぐに退避しろ」

 

「・・・・・・・・」

 

Z23がチラッとプリンツ・オイゲンを一瞥するとーーーー。

 

「・・・・確かに。こんな事態では潮時ね。引くわよニーミ。綾波って子もよ」

 

「・・・・了解。いいですか! 次に会うときはそのいい加減な態度! 反省してもらいますからね!」

 

「むにゃ・・・・ふわぁ~・・・・」

 

「~~~~~~っ! 行きますよ綾波っ!!」

 

肩をすくめてそう言ったオイゲンに従うニーミは、ラフィーを指差して言うが、ラフィーはマイペースに欠伸をしうつらうつらと頭を揺らしていた。ニーミは肩を怒らせて綾波を連れて去ろうとするが、綾波は悲しそうな眼差しでカインを真っ直ぐに見つめていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・また会おうな、綾波」

 

「綾波。バイバイ、またね」

 

「っ・・・・!」

 

カインとラフィーの言葉に、綾波は少し顔を俯かせて、ニーミと共に去っていった。

 

「あ・・・・」

 

ジャベリンは綾波に何か言いたそうな顔をしていたが・・・・。

 

『ギュァアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

「あっ!!」

 

ベムラーの雄叫びで現実に戻ると、ベムラーが口から青い熱線を空に向けて放出していた。

 

「ジャベリン! ラフィー! すぐに退避しろ!」

 

「り、了解!」

 

「了解~・・・・」

 

「ふつうに運ぶのだ~・・・・」

 

倒れた姿勢で、ラフィーに腕を引っ張られながら運ばれるハムマンが文句を言うが、ラフィーは気にせず運んでいった。

クリーブランド達がホーネット達を収容するのを確認したカインは、通信インカムで連絡をする。

 

 

 

 

ーベルファストsideー

 

ベルファストも〈ノブレス・ドライブ〉状態のまま、眼前に現れた山のように巨大な生命体、怪獣を見上げた。

 

《ベル》

 

「はい、ご主人様」

 

《すまないが、エンタープライズを収容する為に、クリーブランドとジャベリンをそっちに向かわせる。レッドアクシズも撤退するようだが、それまでの時間稼ぎを任せたい。・・・・できるかい?》

 

「お任せください」

 

《・・・・いつもありがとう。ベルには苦労を掛けるよ》

 

「ウフフ、ご主人様のご命令を遂行するのは、メイドとして至極当たり前の事ですわ」

 

《そうか。それでも、もう一度言わせてくれ、ありがとうベル》

 

ベルファストが少し頬を染めてカインの言葉を耳に浸透させると、すぐに気持ちを切り替えて、ベムラーに向けて艤装の砲口を向けた。

すると、近くにいた瑞鶴が翔鶴に支えられながらベルファストに向けて口を開く。

 

「あ、アンタ、まさか、戦うつもり?!」

 

「ご主人様から、時間を稼げとご命令を受けましたので。レッドアクシズの皆様も、すぐに撤退をおすすめ致します。この怪獣は私が・・・・」

 

『ギュァアアアアアッ!!』

 

言い終わる前にベムラーがベルファストに向けて熱線を吐き出し、ベルファストの姿が熱線に呑まれ、海面は沸騰されて小さな水蒸気爆発が起こった。

 

「あ・・・・っ!」

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

エンタープライズと瑞鶴と翔鶴が、爆発によって生まれた波に揺られる。上空にいたプリンツ・オイゲンも、ベルファストが蒸発したか、と一瞬考えたが、その考えはすぐに消えた。なぜならーーーー。

 

「こちらの会話の途中に攻撃を仕掛けたくるとは、少々お行儀が良くないですね」

 

なんと、ベムラーの真横にいつの間にかベルファストが悠然と立っていた。

 

「では、失礼します!」

 

ベルファストは艤装の砲口から火を吹かせ、ベムラーの身体に砲撃を叩き込む。〈ノブレス・ドライブ〉状態となったベルファストの砲撃は金色のエネルギー弾となり、ベムラーの身体を押し飛ばす。

 

『ギュワァアアアアアアアッ!?』

 

ベムラーは思いもがけない攻撃に身体をぐらつかせるが、身体の体制を元に戻すと、金色に輝きながら鋭い視線で自分を見上げるベルファストを見下ろして睨んだ。

先ほどの攻撃は、足元にいるこの生き物がやった、と本能が告げた。

 

『ギュァアアアアアアアッ!!』

 

それを理解したベムラーは、標的をベルファストに定めて、青い火炎弾を連続で放った。

 

「っ!」

 

が、ベルファストを残像が残るほどの高速の動きで火炎弾を回避すると、ベムラーに向けて再度砲撃を放った。

 

『ギュゥゥゥゥゥゥゥッ!!』

 

砲撃がベムラーの身体に当たると、痛みをこらえるような声を上げるベムラーはさらに火炎弾を放ち続ける。

 

「当たりません・・・・!」

 

通常の状態では回避する事が難しいが、ベルファストは現在〈ノブレス・ドライブ〉状態。ベムラーの攻撃は口からの熱線と火炎弾と尻尾による攻撃と見抜いているようで、冷静にベムラーに対処していた。

 

 

 

ー瑞鶴sideー

 

「す、すごい・・・・」

 

「・・・・プリンツ・オイゲンさん。ロイヤルのメイドさんはあんな能力を持っていたのかしら?」

 

「いいえ、私が知っている限り、ベルファストにあんな能力はなかった筈よ」

 

瑞鶴達は、自分達の十数倍の大きさの怪獣と渡り合っているベルファストの戦いぶりに目を奪われていた。

 

「翔鶴さん、瑞鶴さん・・・・」

 

「あ、ニーミ。綾波も無事だったのね」

 

「はい・・・・。それにしても、あれが異常進化生命体、『怪獣』ですか。鉄血もその存在は知っていましたが、こうして間近で見ることになるまで半信半疑でした」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ニーミがベルファストと交戦しているベムラーを見て、戦慄したように呟き、他の艦船<KAN-SEN>達も怪獣やベルファストの光輝く姿を見つめるが、そんな中、綾波だけはアズールレーンの方にいるカインとジャベリンとラフィーの方をチラッと見ていた。

 

 

 

ーエンタープライズsideー

 

「エンタープライズ!!」

 

「エンタープライズさん!」

 

ヨロヨロと立ち上がるエンタープライズに、クリーブランドとジャベリンが駆け寄り肩を貸す。

 

「すぐにここから退避するよ」

 

「待って、くれ・・・・」

 

「エンタープライズさん?」

 

エンタープライズは、怪獣と交戦するベルファストを、いや、正確にはベルファストが起こした〈ノブレス・ドライブ〉と言う状態を目に焼き付けていようとしていた。

 

 

 

ーカインsideー

 

ホーネット達を船頭の甲板に座らせ、ベルファストとベムラーの交戦を見ていたカインは、通信インカムでベルファストに連絡する。

 

「ベル。クリーブランドとジャベリンがエンタープライズを確保した。切りの良いところで離脱してくれ」

 

《了解しましたご主人様》

 

「それで、〈ノブレス・ドライブ〉で怪獣との戦闘はどうだ?」

 

《何とか戦えていますが、正直〈ノブレス・ドライブ〉状態でも私一人では牽制が限界です。・・・・間もなく『陛下』達も到着しますが》

 

「いや、『陛下』達が来ても怪獣と交戦する事はない。あくまで僕達はホーネット達の救援が目的なんだ。わざわざ怪獣と戦う必要はないよ」

 

《しかし、このまま怪獣を放置しておくのは危険と具申します》

 

「・・・・分かった。しかし無茶はするなよ」

 

《承知しました》

 

ベルファストとの通信を終えると、カインは『量産型』の船橋に足を向ける。

 

「指揮官、どこに行くの?」

 

「船橋に行って、エンタープライズ達が戻ったら、機を見てベルファストを回収して離脱する準備をしておく。ホーネット達は休んでてくれ」

 

「う、うん・・・・」

 

「指揮官・・・・」

 

「ん?」

 

「気を付けてね」

 

「あ、ああ」

 

小さく手を振るラフィーの言葉に、苦笑いを浮かべたカインは船橋へと向かった。

 

 

 

 

≪なぁ、もしかしてラフィーって気づいているのか?≫

 

「さぁね。それよりもタイガ、行くよ!」

 

≪ああ!≫

 

カインは『タイガスパーク』を起動させた。

 

[カモン!]

 

腰につけた『タイガキーホルダー』を左手に掴むと、宇宙のようなインナースペースが広がっていた。

 

「光の勇者! タイガ!!」

 

カインは左手に持った『タイガキーホルダー』を突き出すと、右掌に翳すように持ってくると、タイガキーホルダー』の中心の水晶から、赤いエネルギーが右掌を通して、手甲の水晶に吸収されると、水晶が赤く輝き、『タイガキーホルダー』を握る。

 

「バディィィィィィィゴーーーーーー!!」

 

[ウルトラマンタイガ!]

 

『ーーーーシュアッ!!』

 

ザパァァァァァァァァァァァァンンッ!!

 

光の勇者、ウルトラマンタイガがベムラーとベルファストの間に入った。

 

 

 

ーホーネットideー

 

「な、なななな、なんなのだぁ! あの巨人はっ!?」

 

「あれはウルトラマンタイガ・・・・」

 

「あれが、宇宙からやって来た光の戦士?!」

 

すでに前回のヘルベロスとの戦闘を聞いていたホーネット達も、初めて見るウルトラマンの姿に、驚嘆したような声を上げていた。

 

 

ーベルファストsideー

 

「あれはーーーー」

 

《ベル。ウルトラマンが現れた。すぐに離脱するんだ》

 

「ご主人様・・・・」

 

《それに、“もうそろそろ時間切れだろう”?》

 

「・・・・・・・・承知致しました」

 

少し不満気味だが、ベルファストは〈ノブレスドライブ〉を解除し、通常の姿に戻ると、疲労感から小さいが長い吐息も漏らした。

 

《君のお陰でアズールレーンの仲間達だけじゃない。レッドアクシズの艦船<KAN-SEN>達の離脱する距離と時間を稼げたんだ。流石はベルファストだ》

 

「・・・・ありがとうございます。ご主人様」

 

不満気味だった心が、指揮官であるカインの言葉で少し晴れたのを感じたベルファストは、そんな自分を少しおかしく思ったのか薄く笑みを浮かべると、離脱しようとしているエンタープライズ達と合流した。

 

 

 

ー綾波sideー

 

「っ! ウルトラマン・・・・!」

 

「えっ!? あれがウルトラマンなんですか?!」

 

「「・・・・・・・・」」

 

「へぇ~、あれが・・・・」

 

綾波がタイガを見て呟き、ニーミや翔鶴と瑞鶴がタイガを見上げ、プリンツ・オイゲンが興味深そうにタイガを見ていた。

 

 

 

ータイガsideー

 

『ギュワアアアアアアアアアアッ!!』

 

『ハァッ!』

 

ベムラーはタイガに向けて青い火炎弾を連続で放つ。

だが、タイガはその攻撃を跳んで回避した。

回避された火炎弾はタイガの後方で爆発する。

 

『『タイガキック』!!』

 

跳んだタイガはベムラーに向けてキックを放つ。

 

「ギュウウッ・・・ギュガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

怯んだベムラーは火炎弾を乱射してタイガに放つ。

 

『『スワローバレット』!』

 

しかしタイガは『スワローバレット』を放ち、火炎弾を打ち消していった。

 

『ギュアアアアアッ!』

 

『ハァッ! シュワッ! テヤッ!』

 

迫ってきたベムラーに、膝蹴りと肘打ちや回し蹴りを繰り出し、ベムラーを怯ませた。

 

『ギュゥゥアアアアアアアアッ!!』

 

ベムラーは渾身の力を込めてティガに火炎波をぶつけようとする。

 

『(カイン! この間手に入れた『怪獣リング』を使ってみようぜ!)』

 

『「・・・・ふん!」』

 

インナースペースにいるカインは、難しい顔をしながら左手の握り拳を上げると、中指に『ヘルベロスリング』を召喚すると、禍々しいオーラを放つリングを見て渋面を作る。

 

『「・・・・何か、禍々しいオーラが見えるんだが」』

 

『(でも、使ってみないとどんな力なのか分からないぜ?)』

 

『「・・・・仕方ないか」』

 

[カモン! ヘルベロスリング! エンゲージ!]

 

インナースペースにいるカインの隣にヘルベロスの幻影を浮かぶと、タイガの腕から赤黒い光刃が現れる。

 

『ふっ! 『ヘルスラッシュ』!!』

 

『グゥワアアアアアアアアアアアッ!!』

 

『へルスラッシュ』を浴びたベムラーは吹き飛び、海面に倒れた。

 

 

 

 

ー???sideー

 

「・・・・・・・・」

 

海面の上に立っていた青年は、離れた場所で倒れるベムラーを見て、ニヤ~と不気味な笑みを浮かべると、懐から折り畳まれた形状のマスクを取り出し、それが覆面マスクのように展開し、眼鏡のように当てると、グリップのように持ってボタンを押した。

その時、黒い靄のようなオーラが青年を包み込みーーーー。

 

 

 

ーカインsideー

 

『っ! この気配はっ!?』

 

タイガが倒れるベムラーから目をそらすと、ソコ現れた青い巨人を見て驚愕した。

青い身体に胸の水晶には×印のプロテクターに身体には鎧を身に付け、全身に拘束具を付けたような姿。

顔には仮面のようなものを被り、額にクリスタルをつけた仮面の瞳は血のように真っ赤になっており、足のつま先の先端が反り返るような形状をしている。顔の輪郭や耳の形は鋭く伸び、道化師のようにも見える巨人。

 

『トレギアッッ!!!!』

 

〈ウルトラマントレギア〉。

 

『久しぶりだね。まさかこんな形で再会するとは思わなかったよ』

 

トレギアのその慇懃無礼な不気味さは、艦船<KAN-SEN>達も気味悪そうにしていた。

 

 

ーラフィーsideー

 

「ま、また巨人が現れたのだっ!」

 

「ウルトラマンみたいな見た目だね・・・・」

 

「・・・・・・・・ちがう」

 

「ラフィー??」

 

タイガの戦闘を見ていたハムマンとノーザンプトンがトレギアを見て驚き、他の艦船<KAN-SEN>達も見ていたが、ラフィーだけがいつもの眠そうな眼を心無しか鋭くしたような視線でトレギアを睨み、ホーネットがそれに気づいて首を傾げた。

 

「・・・・あの大きいの、たぶん敵」

 

いつもの抑揚の無い声に僅かに緊張をはらんだように呟いた。

 

 

ージャベリンsideー

 

「あ、あの、ウルトラマンさんって、タイガってウルトラマンさんの仲間なんですか?」

 

「いや、何か違うようだけど」

 

「「・・・・・・・・」」

 

エンタープライズとベルファストは、トレギアを訝しそうに見ていた。

 

 

ー綾波sideー

 

綾波は他の艦船<KAN-SEN>達と同じようにトレギアを見ていた。

恐ろしいほどに不気味なトレギアに、一筋の汗を流した。

 

 

ーカインsideー

 

『「・・・・・・・・コイツは・・・・」』

 

カインの脳裏に、見覚えの無い光景が過った。

 

ーーーー腹を貫かれた“友達”。

 

ーーーー“友達”の腹を貫く不気味な腕。

 

ーーーーそして、腕に付いた“友達”の血を振り払う、“目の前のトレギア”・・・・。

 

 

『「あ、あぁ・・・・!!」』

 

『トレギア・・・・!!』

 

『『「うぉああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」』』

 

カインとタイガの声が重なり、トレギアに接近すると次々と拳を繰り出すが、トレギアはその拳を受け流し、タイガの拳を掴むと後ろに回り込んだ。

 

『おや、ずいぶん気が立っているな? どうした海守トモユキ指揮官? いや、今はカイン・オーシャン指揮官だったかな』

 

『「・・・・分からない。でも、お前を見ていると、無性に怒りが混み上がってくる・・・・!!!」』

 

『フフフ。この世界は矛盾に満ちている。戦いを終わらせると言いながら、戦いを終わらせる事ができず、すぐに新たな戦いを続ける。宇宙には、昼も夜も、善も悪も無いのだよ。あるのはただ『真空』。底知れぬ『虚無』・・・・』

 

『「っ! 黙れっ!!」』

 

トレギアはタイガの正面に回ると、掌底打ちをタイガに叩きつけた。

 

『フッ!』

 

『『「ぐぁっ!!」』』

 

叩きつけられたタイガは水飛沫を上げながら倒れる。

 

『その人間もお前と同じでまだまだ未熟だな。『ウルトラマンタロウの息子』よ?』

 

『ぐぅぅ! 俺は、タイガだっ!! 『ストリウムブラスター』!!』

 

『フッ!!』

 

タイガの『ストリウムブラスター』を、トレギアは両手に集めた黒い稲妻で押し返した。

 

『何っ!? ぐぁあああっ!!』

 

再びタイガは海面に倒れた。

 

『くぅっ、カイン! 『ロッソレット』を、使え・・・・!!』

 

『「よしっ!」』

 

[カモン!]

 

カインの左手首に、赤いブレスレット、『ロッソレット』を召喚し、タイガスパークに読み込ませた。

 

[ロッソレット! コネクトオン!!]

 

『ロッソレット』から3筋の赤い色の光がタイガスパークの中心に集まった。

赤いエネルギーに包まれたタイガの身体が、『兄弟ウルトラマンの兄・ウルトラマンロッソ・フレイム』と重なった。

 

『フッ! 『フレイムブラスター』!!』

 

タイガは炎を纏った『フレイムブラスター』を放った。

 

『おっと』

 

するとトレギアは、当たる瞬間、手から黒い稲妻をヨロヨロと立ち上がろうとしたベムラーに向けて放つと、ベムラーの身体は宙を浮いて、『フレイムブラスター』を受けてしまった。

 

『ギュァアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

『なんだとっ!!』

 

『「アイツっ!!」』

 

ベムラーは断末魔の雄叫びを上げて、そのまま爆散した。

 

ージャベリンsideー

 

「か、怪獣を盾にしたっ!?」

 

先ほど戦っていた相手だが、こんな酷いやり方に、ジャベリンだけでなく、アズールレーン、レッドアクシズ、双方の陣営の艦船<KAN-SEN>達は、トレギアに鋭い視線を送った。

 

 

ータイガsideー

 

ピコン! ピコン! ピコン!・・・・。

 

タイガのカラータイマーが鳴り初め、爆発が止むとその場にトレギアの姿はなかった。

 

ーーーーフフフフ・・・・!

 

『『「なっ!!?」』』

 

上空からの声に反応すると、トレギアが空に浮き、その頭上に黒い靄の渦が現れ、その中に魔法陣が展開していた。

 

『中々骨のあった攻撃だったよ。流石はあの『兄弟ウルトラマンの兄』の方の力だね。これからが楽しみだ。・・・・では、この世の地獄でまた会おう』

 

トレギアが魔法陣をくぐると、渦もまた消滅した。

 

『くぅっ! トレギアーーーーーーーーッ!』

 

タイガはトレギアの名前を叫ぶと、赤い粒子となってその場から消えた。

 

 

 

ー綾波sideー

 

「あ・・・・」

 

「なんなの、あの青い仮面の巨人・・・・」

 

「・・・・ニーミ。あの巨人達の戦いは?」

 

「き、記録しておきました」

 

ニーミは戦闘記録を記すために、事前に持っていたカメラを取り出した。

 

「そう、『重桜』の皆さん。この場は引くわよ。そろそろ厄介な奴等も集まって来たしね・・・・」

 

プリンツ・オイゲンの視線を追う綾波達は、この場に向かってくる艦船<KAN-SEN>達の姿が映った。

 

「『ロイヤルの主力艦隊』よ。このままいたらこっちが危ないわ」

 

プリンツ・オイゲンがニーミを連れて去ろうとし、綾波達も急いで後を追った。

 

 

 

ーベルファストsideー

 

「あれは、いっ、たい・・・・!」

 

「「エンタープライズ(さん)!!」」

 

遂に力尽きたのか、エンタープライズは気を失った。

 

「クリーブランド様。ジャベリン様。エンタープライズ様をすぐにご主人様の船に」

 

ベルファストが冷静にそう言うと、二人も頷いて『指揮官専用』に向かった。

 

 

ーカインsideー

 

船に戻ったカインは難しい顔を浮かべていた。

トレギアを見た瞬間に過った光景、あれはおそらく『海守トモユキ指揮官としての記憶』であると察したからだ。

 

「タイガ・・・・アイツは・・・・」

 

≪ヤツは『悪に堕ちたウルトラマン』、ウルトラマントレギアだ≫

 

「・・・・どうやら、『セイレーン』や、『レッドアクシズ』と同じか、それ以上に厄介な事が動いているようだな・・・・」

 

カインは船頭に戻ると、エンタープライズを運んでくるベルファスト達。

そして『ロイヤルの主力艦隊』がこちらに向かってくるのが見えた。

『ロイヤル所属 戦艦 Q<クイーン>・エリザベス』。

『ロイヤル所属 戦艦 ウォースパイト』。

『ロイヤル所属 戦艦 フッド』。

『ロイヤル所属 軽巡 シェフィールド』。

『ロイヤル所属 軽巡 エディンバラ』。

 

「・・・・陛下達も来た。これでアズールレーンがようやく始動か。・・・・だが」

 

カインの思考は、あまりにもタイミング良く現れたベムラーと、不気味な雰囲気が漂うトレギアの存在が、どうしても危険だと警鐘を鳴らしていた。

 

「(・・・・やっぱり、行ってみるしかないな。『重桜』に)」

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