アズールレーンT   作:BREAKERZ

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【教導】その輝きは己の内に

ーカインsideー

 

『鉄血』のプリンツ・オイゲンとZ23<ニーミ>、『重桜』の翔鶴と瑞鶴、そして綾波。レッドアクシズとの交戦を終え、突如現れた『宇宙怪獣ベムラー』と交戦している最中に現れた青い巨人ーーーー。

 

ウルトラマントレギア。

 

あまりにも異質な不気味さを漂わせた存在。

そしてカインの『海守トモユキとしての記憶を失った元凶』だと後でタイガに聞いた。

カインはトレギアに警戒心を持ったが、母港に戻ると『ユニオン』と『ロイヤル』の増援部隊の着任手続き。負傷した『ユニオン』の艦船<KAN-SEN>達の治療。損傷した艤装の修理。怪獣とウルトラマントレギアとの遭遇やらの報告書作成と仕事に追われ、トレギアの事は頭の片隅に一時置いておいた。

ようやくそれらの作業を終わらせた翌日。

 

「(・・・・ツ、ツラい・・・・っ!!)」

 

≪耐えろ! 耐えるんだトモユキ!!≫

 

カインは自制心をフルに使い、タイガが声援を送っていた。

それと言うのも、ロイヤルの寮に向かう為に車に乗り込んだカインに、ウェールズとイラストリアスもカインを挟んで後部座席に座ってついてきたのだ。

 

「(・・・・これは、かなり刺激的過ぎる・・・・!!!)」

 

左を見れば、ウェールズの凛々しい美貌と軍服に包まれた凶暴な胸部装甲と白いニーソに包まれた美脚とミニスカートが織り成す絶対領域が目に入り。

右を見れば、女神のように麗しい美貌のイラストリアスの暴力的な胸部装甲が薄いワンピースに包まれ、その白く深い谷まで見える上に、豊麗なプロポーションが目と鼻の先にあった。

カイン(年齢おそらく20歳前後)に、ウェールズもイラストリアスも20歳前後の容姿。そんな三人が車の後部座席に横に並んでいるのだから、身体はほぼ密着状態となる。

しかも、車が僅かに揺れるだけで、左右の狂暴的な胸部がカインの腕に当たり、フニョン、ムニュン、と音を立つような幻聴と、ウェールズの跳ね返すような弾力とイラストリアスの包み込むような柔らかさでカインの自制心はクライマックス状態だった。

 

「指揮官・・・・」

 

「な、なんだい?」

 

声を発したウェールズに、カインは内心の動悸を悟られないようにするが、ウェールズが続けて言った言葉に、瞬時に感情が冷静になった。

 

「基地に続き、ホーネットの艦隊も救われました。エンタープライズの力は疑いようもないと思いますが」

 

「だが、あまりにも軽率だ。ベルファストが駆けつけるのが僅かでも遅れていたら、彼女は撃破されていただろう」

 

「・・・・このまま、彼女が戦いですり減っていくのを見たくありません・・・・」

 

イラストリアスの悲痛な顔に、ウェールズも同意するように頷いた。

 

「あぁ、コレで何もしないようでは、私の信条にも反するからな」

 

「だからこそ、掛け合うんだーーーー『ロイヤル』のちょっとワガママな女王陛下様に、ね」

 

 

 

 

 

カインとウェールズとイラストリアス、寮について合流したユニコーンを連れて、アズールレーン新設基地内にあるロイヤル庭園で女王陛下達とお茶会をしながら話を始めた。

 

女王陛下と呼ばれるのは、小さな王冠を頭に乗せた幼い容姿に長い金髪をしたお嬢様風の艦船<KAN-SEN>は、ロイヤル艦隊の旗艦、『ロイヤル所属 戦艦クイーン・エリザベス』。

 

獣耳のように金髪の髪をセットし、まるで騎士のような衣装を着て、下半身がスカートを着用していない(?!)少女、『ロイヤル所属 戦艦ウォースパイト』。

 

そして穏やかな淑女という風格が全身から漏れ出ているロイヤルレディ、『ロイヤル所属 巡洋艦フッド』。

 

ケーキを一口食べたエリザベスが、美味しそうに顔をほころばせると、顔を戻して、『下僕』と呼んでいるカインに顔を向けた。

 

「話は分かったわ下僕。けれど・・・・それって、ユニオンの問題ではなくって? 私達が口を挟む事ではないでしょう?」

 

「ーーーーっ陛下、それは・・・・」

 

ウェールズが身を乗り出そうとすると、カインが手を上げて止め、ウェールズも黙って座り直す。

 

「陛下。彼女、エンタープライズはユニオンのエースです。それゆえ彼女の存在はユニオンの艦船<KAN-SEN>達の士気にも関わる上に、戦力的にも彼女をこのままにしておくのはあまりにも勿体無いと考えております」

 

「随分彼女を買っているのですね、指揮官?」

 

フッドがそう言うと、カインはフッと笑みを浮かべた次の発言に、エリザベス達はピクリ、と肩を揺らした。

 

「この母港に来てほぼ数日だけど、“ある程度の兆しを見せている子達もいるからね”」

 

「・・・・“兆し”、って事は、〈ノブレス・ドライブ〉を発動させる事ができそうな艦がいるの?」

 

「ええ。ロイヤルだけでなく、すでにユニオンの中にも“兆し”を見せている子達がいます。エンタープライズもその一人です。・・・・ただ、彼女は自分をかえり見なさすぎる節があります。このままでは彼女は、“扉を開く前に自分で自分を潰してしまいます”。・・・・“僕もこれから行かなければならないので、それまで彼女の『お目付け役』を決めておきたいのです”」

 

「『お目付け役』、ね・・・・」

 

カインの発言にエリザベスは渋面を浮かべ、ウェールズとイラストリアスにも目を向ける。

 

「ウェールズ。イラストリアス。貴女達はどう思う? 下僕の意見に賛成?」

 

「はい陛下。私も指揮官様と同じ意見ですわ。彼女の力はきっとこれからの戦いで必要になります。異常進化生命体・『怪獣』、この星に潜んでいる異星人、そして先の戦闘で現れた青いウルトラマン<トレギア、エンタープライズ様はここで終わっていい方ではありません」

 

「確かに理にかなっているけど、他に理由を聞いても?」

 

フッドが聞くと、イラストリアスはニッコリと微笑みながら、その豊満な胸元の前で祈るように手を握って口を開いた。

 

「聖なる光の導きですわ♪」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

イラストリアスの言葉に、場の空気が少し停止した。

 

「・・・・貴女はいっつもソレねぇ・・・・」

 

「けれど、彼女の勘はこれでなかなか侮れませんわ」

 

「光と言えば、『光の守護者』とも呼ばれている『ウルトラマンタイガ』なる存在も現れています。『セイレーン』ならびに『レッドアクシズ』の問題もある以上、エンタープライズはこれからの戦力的にもこの基地の主力となる船です。彼女の抱える問題を見過ごすわけにはいきません!」

 

≪いや、俺は『光の守護者』じゃなくて、『光の勇者』・・・・≫

 

「(タイガ。ここは黙っててくれ)・・・・陛下。お願いします」

 

カインがエリザベスに僅かに頭を下げると、エリザベスも口元をハンカチで拭うと、自分の剣であり、右腕とも言える艦船<KAN-SEN>に目を向ける。

 

「ウォースパイト。貴女はどう思う?」

 

「ーーーー陛下の判断を信じます」

 

「・・・・下僕」

 

「はい」

 

「“この間の頼みも含んで、これは貸しよ”♪」

 

「重々承知しています」

 

カインがそう返事すると、エリザベスは頷いて見せる。

 

「・・・・そこまで言うなら見定めてあげるわ! エンタープライズ。彼女がどんな艦なのかをね!」

 

エリザベスがそう宣言すると、カインは左右の席に座るウェールズとイラストリアスと顔を合わせて笑みを浮かべる。

そしてエリザベスは後ろに控える『ロイヤルメイド隊・メイド長』に声をかける。

 

「ベル!」

 

「畏まりました陛下」

 

「よし。エンタープライズの事はこれで良いだろう。それじゃウェールズ。ロイヤルとユニオンの艦船<KAN-SEN>達を集めてくれ、〈ノブレスドライブ〉について教える」

 

「了解しました」

 

「では、すぐに戻りましょう指揮官様」

 

イラストリアスの言葉に頷くが、またこの二人に挟まれるのかと思うと気が重いと思うと、ユニコーンがカインの袖を引っ張り、カインが目を向けると。

 

「お兄ちゃん。ユニコーンも一緒に行ってもいい?」

 

「ああ良いけど。車の中は狭いよ?」

 

「お兄ちゃんの膝に乗せて・・・・」

 

「えっ・・・・?」

 

「ダメ?」

 

ユニコーンが瞳を潤わせて言うから、カインは了承するしかなかった。

帰り道は来たときよりも胆力を使う事になると、カインはさらに気が重くなった。

 

≪がんばれトモユキ・・・・!!≫

 

タイガの鼓舞に苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

 

ーホーネットsideー

 

ホーネットとハムマンは、新しく着任したロイヤル艦船<KAN-SEN>を出迎えた。

身体のラインが出ている修道士のようなナース服を身に纏い、青い瞳をもち、紫がかった長い銀髪がフワッと広がった髪型をしている。看護師のような雰囲気のある少女、『ユニオン所属 工作艦 ヴェスタル』。

ホーネットはヴェスタルの着任に喜び、歓迎するように抱きしめ、ヴェスタルも苦笑いしながら、よしよしと背中を撫でた。

ふとハムマンを見るとモジモジしているのを見て、声をかけた。

 

「・・・・“『ヨークタウン姉さん』は元気?”」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

沈んだ顔で無言になるヴェスタルを見て、ハムマンとホーネットは察した。

 

「あーっと・・・・相変わらずってとこかなー?」

 

「・・・・えぇ」

 

「・・・・そう・・・・」

 

“『ユニオン』のリーダーポジション”の状態に沈んだ気持ちになるハムマン。ホーネットはポリポリと頬を掻くと、ハムマンの後ろに回るとスカートに手をかけ・・・・。

 

「ムゥン」

 

「きゃああああぁあぁっ!?」

 

おもいっきりハムマンのスカートを捲った。

 

「なっ何をするのだーっ!!」

 

「私の姉ちゃんだぜ? 心配すんなって!」

 

ホーネットはニィッと笑みを浮かべると、ハムマンとヴェスタルもようやく笑みを浮かべた。

 

「それで、エンタープライズちゃんはどうしてます?」

 

ヴェスタルの言葉で場の空気が止まった。

 

 

 

 

それからヴェスタルを半壊されたエンタープライズの船に連れていくと。

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

ヴェスタルがプルプルと怒りに振るえ、ホーネットとハムマンはヴェスタルの様子にプルプルと恐怖に振るえる。

 

「・・・・フゥーーーーーー・・・・わかっていたことですもの。あの子は必ず一番に戦場へ飛び出してーーーー自身の事なんてちっとも考えてくれやしない。言いたい事は沢山あります。傷ついたときーーーー傍についていてあげられなかった事・・・・でもーーーーちゃんと帰って来てくれて、本当に良かった・・・・」

 

ヴェスタルの笑顔を見て、ホーネット達も笑みを浮かべるが。

 

「なので、エンタープライズちゃんの目が覚めたら、たっぷり“お話”しなくちゃいけませんね♪」

 

ウフフ・・・・と、暗い笑みを浮かべるヴェスタルにまたも恐怖に震えた。

 

「ハハ・・・・姉ちゃん。今はゆっくり休んどけ・・・・」

 

「そうそう。こちらの指揮官にもちゃんと、エンタープライズちゃんが無茶をやらないように見て欲しいって言っておかないと・・・・!」

 

「ああ、指揮官ね。これから指揮官がみんなを集めて話しておきたい事が有るんだって!」

 

「それってなに?」

 

「多分、あれなのだ! 『ロイヤル』のベルファストが見せた、ピカーって光ったあれなのだ!!」

 

「ピカーって、何?」

 

「たしか、〈ノブレス・ドライブ〉って言ってたっけ・・・・?」

 

ヴェスタルを連れて、ホーネット達は艦船<KAN-SEN>達が集まっている場所に向かった。

 

 

 

ーカインsideー

 

両隣にウェールズとイラストリアス。膝の上にユニコーンを乗せて母港の港についたカインは、精神的にかなりの負担がかかっているが、集まってきた『ユニオン』と『ロイヤル』の艦船<KAN-SEN>達を見渡せる壇上の上に立つ。

 

『ええっと、皆さん。はじめましての子達もいるからはじめまして。この母港の責任者で、君達の指揮官となったカイン・オーシャン特務中佐だ。よろしく頼む』

 

『よろしくお願いします!!』

 

マイクで話すカインに、艦船<KAN-SEN>達の多くが好意的に返事した。

 

『さて、先ずみんなに言っておくことがある』

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

カイン指揮官の言葉を、艦船<KAN-SEN>達が静聴する。

 

『僕は、なるべくなら、君達艦船<KAN-SEN>達を誰も犠牲にしたくない』

 

ザワ・・・・ザワ・・・・。

 

『甘いとは分かっている。僕は指揮官である立場上、冷酷な判断をしなければならないと言うのは重々承知している。・・・・しかしそれでも、君達を1人として、無駄死にさせるつもりはない。全員揃って、無事に帰還させたい。その為にも、君達の力を貸して欲しいと思っている』

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

カインの言葉に、多くの艦船<KAN-SEN>達は少し戸惑っているような態度だった。

 

『もちろん。その為の力を、君達に見せる。・・・・ウェールズ! イラストリアス!』

 

カインが目を向けると、艤装を装備したウェールズとイラストリアスが距離をおいて向かい合っていた。

 

『二人とも。模擬戦を始めてくれ!』

 

「「〈ノブレス・ドライブ〉!!」」

 

二人が叫ぶと同時に、多くの艦船<KAN-SEN>達が驚愕した。

ウェールズとイラストリアスの身体が金色に輝くと、残像が残るほどの超スピードで移動し、艤装の砲口から金色のエネルギー弾を放ち、海面に当たると水飛沫をはね上がった。

 

ザワザワ・・・・。ザワザワ・・・・。

 

ウェールズ達の姿に『ユニオン』のほぼ全員と、エリザベス達や『メイド隊』以外の『ロイヤル』の艦船<KAN-SEN>達は目が釘付けになり、カインが口を開いた。

 

『今のは〈ノブレス・ドライブ〉。見ての通り君達艦船<KAN-SEN>達の攻撃力とスピード、さらに防御力も時間制限ではあるが爆発的に強化する事ができる。今はまだロイヤル艦船<KAN-SEN>達の一部だけが発動する事ができるが、ユニオンや他のロイヤルの君達にも、〈ノブレス・ドライブ〉を発動させる事ができる!』

 

カインの言葉に多くの艦船<KAN-SEN>達が、ウェールズやイラストリアスが今見せている力を発動できると知り、再びざわめき出した。

そんな中、クリーブランドが挙手して声を発する。

 

「指揮官! あの力が私達にも使えるなら、どうすれば良いのっ!!?」

 

ざわついていた艦船<KAN-SEN>達も、カインの言葉を聞こうとし、ウェールズとイラストリアスも模擬戦を止めてカインの言葉に耳を傾けた。

 

『それは、“常に自分に問いかけろ”。“自分は何故戦うのか?” “どうして戦うのか?” “何のために、誰のために戦うのか?” その答えを常に自分自身に問いかけろ。言っておくことが、“自分達が艦船<KAN-SEN>だから”。“その為に生まれた存在だから”。そんな教科書通りの回答なんて何の意味も無い』

 

「何の意味も無いって・・・・」

 

『良いか。その理屈は“兵器”なら通じるかもしれない。だが、君達艦船<KAN-SEN>は、“兵器”じゃない』

 

カインの言葉に、艦船<KAN-SEN>達が戸惑うようなざわめきが生まれ、カインはマイクを置いて、艦船<KAN-SEN>達に向けて声を発する。

 

「君達艦船<KAN-SEN>達には、大きな『可能性』と、光り輝く『気高き心』がある。それを自分自身に見つけるんだ。他の誰の物でもない。自分だけの『気高さ』を見つけたその時、君達に金色の輝きを得ることができる。僕は、君たち艦船<KAN-SEN>の『可能性』と『気高さ』を・・・・!!」

 

決して大きな声で言っている訳ではない。

だが、カインの言葉は、その場にいた全艦船<KAN-SEN>達の耳に入り、心に染みたーーーー。

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