ガンダムビルドモバイル Puzzle G/B 作:ウルトラゼロNEO
「ほぉ、兄上の為にガンプラを……」
「はいっ! まあでも私自身、あんまり詳しくないんですけどね」
ぶつかってしまったカナデに礼をしようと一緒に行動しているヒマリ。何気なく談笑していれば話題は何故、あれ程急いでいたのかに移る。
「そうか……。ならば私も協力させてもらえないか?」
「えっ!?ガンプラに詳しいんですか!?」
「人並みだがね。私の知識が通用するかは分からないが自身の趣味に関することだ。協力できることはしたい」
思いがけない提案だった。
まさか偶然出会った、もっと言えば今まで出会ったことがない程、麗人のようなスマートな印象を受ける目の前の女性がガンプラを趣味にしているとは思ってもみなかった。
とはいえ無知な自分が何も知らないで模型店に入っても迷ってしまうだけだろう。少しでも知識を持っている人がいるのは心強いと喜んで快諾する。
・・・
「うわぁ……。前に来た時は気にしなかったけど、一杯あるんだなぁー……」
模型店に足を踏み入れ、ガンプラコーナーに向かうと所狭しに陳列されたガンプラの数々に圧倒されてしまう。如何せん40年以上の歴史を持つシリーズともなれば、ラインナップも富んでおり、これでもまだ全ての機体が商品化された訳ではないのが驚くべき所だ。
「ふむ、私の知識も活かせそうだな」
圧倒されてるヒマリを他所にガンプラコーナーをぐるりと回ったカナデは合点がいったように何やら一人で頷いている。
「おっ、確かアヤトの妹の!」
「マトイ・ヒマリです! えーっと……店員さん!」
「店長や」
平日も手伝ってか、今は客足も緩やかなようでヒマリに気づいたオノが早速声をかけてくれた。最もオノと関り合いもなく、アヤトからも特に聞いていないのか、呼び方に困ったヒマリの呼び名に即座にツッコミが入る。
「アヤトは今日は休みやろ。それよりも隣のお嬢ちゃんもここら辺じゃ見ない顔やな」
「この人はキサラギ・カナデさん! さっき知り合ってガンプラについて教えてくれる事になったんです」
どうやら足早に学校からいなくなったアヤトはこの場にはいないようだ。元々顔馴染みのアヤトの妹であり、一回会っただけでもヒマリについてはすぐ思い出せたようだが、如何せんカナデに関する情報はなく、ヒマリの友達と言うには大学生辺りに見え、姉と言うにはそもそも似ていない。だがヒマリの説明に納得したようで忽ち笑みを見せる。
「そーかそーか。嬢ちゃんもガンプラをやっとるんなら今後もウチを贔屓してなっ!」
「うむ、その時はよろしく頼みたいと思いますっ!」
元々お互いに快活で言いたい事を言うタイプである為、まだ出会ったばかりで打ち解けるとまでいかないまでも悪い人間でない事は短い会話で伝わったのだろう。声量のある通った声のカナデに満足したように頷きながら「何かあったら気軽に声かけてなー」とオノは自身の仕事に戻っていく。
オノとの会話も程々に改めて二人はガンプラコーナーに視線を戻す。以前に結局どれも同じに見えると言っていたヒマリだが、流石に所狭しと並べられたガンプラに改めて感心しているとふと何かに気付いたのか、口を開く。
「さっきから思ってたんですけど、ただでさえ色んなロボットがプラモデルになってるのに何か同じロボットでも色んな種類がありません?」
「そうだな、ガンプラと一口に言ってもその実、多種多様だ」
そう、例えばガンダムだけに絞っても種類がある。箱の大きさもまちまちだし、何ならリアルなタイプだけではなくデフォルメされたようなガンプラさえある。アヤトがガンプラを作っていてもその辺に関しては知らなかったようでそんなヒマリにカナデは説明を始める。
「大まかにアニメに出てくるようなMS……まあロボットだな。この辺りはHG、MG、RGというブランドが。デフォルメされたキャラを主軸にしたBB戦士、メカではなくキャラクターを組み立てるFigure-rise Standard……。まあ他にもRE/100やEXモデル、ベストメカ・コレクション等、先程挙げた以外にもブランドは様々で正直に言って全てを説明すれば長くなるので……」
「へえ」
「うむ、割愛しよう」
大雑把にガンプラで展開しているブランドを説明するものの、やはりいきなり多くを説明されても理解が追い付かないだろうと確認がてらにヒマリを見ればその生返事のような相槌に手早く話を切り上げる。
「さて、一先ずの君の目的はガンプラの購入、と言うことで良いかな?」
「はい! あっ、でも作りやすいのが良いかも。私、初心者だし」
改めて模型店でのヒマリの目的を確認する。とはいえまだ彼女はまともにガンプラを触れたことのないような素人。どうせなら作りやすい方が良い。
「ふむ、ならばこれなんてどうだろう」
ヒマリの要望を取り入れつつ、カナデが手に取ったのは見渡す限り存在する大小様々なガンプラの箱ではなくパッケージされた袋だった。
「エントリーグレード……? さっき挙げてたのには無かった奴ですね」
「割愛したからな。その特徴はこの低価格とシールなしにも関わらず驚異の色分けと抑えられたパーツ数によってストレスなく組むことが出来る。そのパーツもBB戦士などに一部に採用されていたタッチゲートと呼ばれる製法によって手で取り外し可能な為、工具も必要ないとまさに簡単にガンプラの雰囲気に触れる事が出来る入門向けのシリーズだ」
生返事ながら一応、話は聞いていたようで奏が挙げたエントリーグレードのガンプラに首を傾げる。そもそもアヤトの近くにいるだけあってガンプラに触れた事のないヒマリでもガンプラは箱に入って売られているイメージがあるのだろう。そんな疑問に説明によって答える。
「ガンダムに詳しくないヒマリでもこのガンダムは知ってるから、これにしとこうかな」
「ありきたりな言葉だが結局、自分が気になったガンプラを買ってみるのが一番だ! 君が言っていた作りやすさという点も最新作であればあるほど、その技術力に唸らされる、……まあ中には過去に発売したガンプラをベースに流用したせいで凄まじいものも稀に出てくるのだが」
いくらガンダムシリーズを知らないといえど、シリーズの顔だけあってRX-78-2 ガンダムを選ぶのは左程、抵抗感がなかったようで早速購入の意思を見せるヒマリにカナデは満足げに頷きながらもどこか遠い目で視界の端に映るガンプラを見やりながら呟く。まあ、なにを指しているのかはカナデしか分からないが。
「けど、ガンプラってこんなに種類があるなんて思わなかったなぁ」
「うむ、それだけの歴史があり、それぞれに思い出がある。君とガンプラの時間が良いものである事を祈ろう」
購入するプラモを選び終えて、改めて陳列されたガンプラの数々を見ていると穏やかな口調でカナデは語り掛ける。確かにいくら何でも短期間に次々に商品を出すことは難しいだろう。自分の目の前に存在する所狭しと並んだガンプラ、それが歴史を物語るのかと思うと感心してしまう。
「あっ」
「……む、あぁすまない、つい。私には妹のような存在がいてな。昔はよく頭を撫でていたので、思わずやってしまったようだ」
不意に頭を優しく撫でられた。誰かと思えばカナデであり、先程の言葉を言い終えると同時に妹に接するようにヒマリの頭を撫でてしまったようだ。しかし頭を撫でたのは無意識のものであったようで非礼を詫びながら手を引っ込める
(……変わった雰囲気の人だけど、温かくて面倒見の良い人だなぁ。お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな)
いえ、気にしないでくださいとカナデに気を遣いつつ、改めてカナデという人物の印象を抱く。あまり馴染みのない口調やどこか大人びて超然とした雰囲気すらあるもの、かと思えば子供のようにコロコロと表情を変える……。今まで出会った事のない存在である為、もっと知りたいとすら思えてしまう。
「そうだ、もう一個! もう一個、買います!」
「ふむ、君がそうしたいならそうすると良い」
店内をグルリと見渡したヒマリはやがて何を思ったのか、もう一個、ガンプラを購入すると言ったのだ。
とはいえ、それは個人の自由だ。カナデが関与する事ではない為、ヒマリの好きなようにさせる。
「自分が気になったガンプラを買ってみるのが一番って言ってたもんね」
どうやらカナデに勧められたガンプラだけではなく、自分のセンスで選んだガンプラを買おうとしているようだ。
今の自分の財布事情で購入できるのはBB戦士か、HGシリーズだ。最近知ったF91などを見つけながらBB戦士とHGのコーナーをグルグルと回る。
「あっ、これにしよっかな。何か可愛いし」
BB戦士のデフォルメされた可愛さとリアルタイプのHGの格好良さ。どちらを取ろうと悩んでいたヒマリだが、やがて一つのガンプラを手に取った。
「コアガンダム……。合体してアースリィガンダムか」
それが誰にも左右されない。ヒマリ自身の直感で選び取ったガンプラの名前だった。
エントリーグレードはライトパッケージとウルトラマンゼロしか持ってないんです。
こっちの更新がおざなりになっていて申し訳ございません。最近、ガンブレ3小説のアニバーサリー辺りからpixivをメインにしていた為、遅れました……。
関係ない話なんですけど、pixivさんの方でウルトラマン擬人化娘を描いていて、現在でウルトラマンリブット、グレート、パワードを描いたのですが、特にパワードが反響があったというか、Twitter、pixiv問わずリブットとパワードは海外と思われる方々から反応があったんですよね。やはり海外製作だけあって向こうにも認知度はあるんだと再認識しました。
そんなウルトラマン擬人化娘ですが、第四弾は最新作ウルトラマントリガーでして、まだまだ未完成ですが簡単に色を塗ったトリガー娘をTwitterに投稿したので興味がありましたら覗いてみてください。