ガンダムビルドモバイル Puzzle G/B   作:ウルトラゼロNEO

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紅蓮の炎

「おう、アヤトやないかい。ジェントル・チャップマンを知っとるなんて相変わらず見所ある奴やなぁ!」

 

 タツヤの弟であるマトイ・アヤト。少なくとも先程のオノの言葉は何かの真似だったらしく、それを言い当てたアヤトに上機嫌で笑い、対してアヤトもまあねーと軽く流しながら手を振っている様子を見る限り、二人は知り合いなのだろうか?

 

「アヤトも大会に来てたんだねっ」

「あー……まあね」

 

 知り合いはオノだけではなかったらしく、サナもアヤトに反応している。

 しかし出会えて嬉しそうなサナとは対照的にどこか気まずそうに目を逸らしながら答える。

 

「あれ、待てよ……。アヤト、お前確かガンプラ部にいたよな」

 

 模型店を切り盛りするオノと奏海高校のガンプラ部に所属するサナ。そしてその二人と知り合いと見られるアヤト。この三人を繋ぐものを考えれば、自ずと出てきたのはガンプラであった。その事でアヤトも奏海高校のガンプラ部に所属していた事を思い出したタツヤはその事を切り出す。

 

「だったら俺よりお前が出た方が良いんじゃないか? 俺、この娘に誘われたんだけどずっとガンプラを作ってるお前の方がよっぽど詳しいだろ」

「……タツ兄、悪いんだけどさ。俺は別にバトルに参加しに来たんじゃないんだ。バトルを見に来ただけで……」

 

 であれば少なくとも自分よりも経験者かつサナとも知り合いなアヤトが出た方が良いだろう。

 そう考えていたタツヤだが、アヤトはその首を縦に振ることはなかった。しかもガンプラに関してなにかあったのか、どこか陰を見せている。

 

「ミヤマさんもごめん。俺……バトルは……」

「……ううん、良いんだよ。寧ろアヤトがまだちゃんとガンプラを作ってるって事が嬉しいんだ」

 

 アヤトはガンプラ部でなにかあったのだろうか?

 タツヤの何気ない言葉をきっかけにアヤトもサナも何とも言えない面持ちで話す。しかしサナの言葉は紛れもない本心なのだろう。寂しそうながら笑顔を見せるサナにだからこそなのかアヤトは俯いて顔を背けてしまう。

 

「っていうか、タツ兄って言ってたよね? 二人ってもしかして……」

「ああ。兄弟なんだ」

 

 暗くなった空気を変えようとサナは先程、気になったタツ兄という言葉を話題に出すとタツヤはいまだに俯いているアヤトの隣に立つ。髪色にこそ差はあるが流石兄弟というべきかその柔らかな顔立ちは瓜二つであり、これにはサナも感嘆の声を漏らす。

 

「まあ、その辺にしとき。それよりもエントリーシートや。名前とガンプラを登録するんや」

 

 オノもその一人ではあったが、時間は有限だ。

 このままでは大会にエントリー出来なくなると項目欄の記された用紙をレジ下の引き出しから一枚、取り出してタツヤとサナにエントリーを促す。

 

「マトイ・タツヤ……か。学年章からすると同学年みたいだし学校でもよろしくねっ!」

「ってぇ、兄ちゃんはガンプラ持っとらんのか」

 

 手早く項目を埋めながらサナはタツヤの名とその学年章から同学年であると知って改めて挨拶をしているとふとガンプラの項目でスラスラと走らせていたペンを止めたタツヤにもしかしてガンプラを持っていないのではと察したオノの言葉にタツヤは苦笑気味に頷く。それもそうだ、こうしてサナに連れてこられただけでタツヤはガンプラに詳しくなく、日ごろからガンプラを持ち歩いているわけでもない。

 

「……だったら俺が作ったガンプラ使いなよ」

 

 店のガンプラを貸したるかと気前よく提言していたオノだが、今まで黙っていたアヤトがボソッと口を開く。

 一同がアヤトに視線を向けると彼は持っていた鞄からゴソゴソと一つのケースを取り出すとタツヤに差し出した。

 

「ガンダムソラーレ・ロッソ。中距離戦を主にした万能機だから、ガンプラバトルに殆ど触ったことがないタツ兄でも扱いやすいと思うよ」

 

 アヤトとケースを交互に見ながら受け取ったケースを開け、その中に眠るガンプラが姿を現す。

 それはビルドストライクガンダムをベースに赤と白を基調にしたカラーリングとバックパックとなる背部にガンダムF91の二門のヴェスパーを装備したガンダムであった。常日頃からガンプラを作成し、ガンプラ部に所属していたアヤトが手掛けただけあって基本のゲート処理に留まらず、ディテールアップや全塗装など今のタツヤには決して真似できない完成度を誇っていた。

 

「まあ、選ぶのはタツ兄だから別にこれを使わなくたってオノさんにガンプラを借りても……」

「何言ってんだ。お前が作ってくれたガンプラを使うに決まってるだろ。それに母さんが言ってたろ。一人じゃ無理でも二人なら……兄弟なら何でも出来るって」

 

 とは言え素直にとはいかないのか、自分の出がけたガンダムソラーレをまじまじと見つめるタツヤから視線を逸らして頬をかくアヤトに言葉通り何を言っているんだとあっけらかんとした様子を見せ。幼少期から聞かされていた母親であるアキの言葉を口にしながら……。

 

「んっ」

 

 アヤトに手を差し向けたのだ。一体、どういう意図なのか、サナとオノが顔を見合わせて首をかしげるなか、ただ一人、その行動の意味を知っているアヤトは今までの暗い表情から少しずつ口元に笑みを見せ、タツヤに一歩踏み出した。

 

【挿絵表示】

 

 そして二人は両手をそれぞれリズミカルに交差するようにパンッパンッと小気味良く打ち鳴らしながら最後にグッと拳を打ち合わせる。これは二人で何かする際の合図、もしくは癖なのだろうか。しかしタツヤもアヤトもその表情は晴々としている。

 

「なんかまさに兄弟って感じで良いねっ! アヤトが作ってタツヤが戦う……。セイとレイジみたいっ」

「まぁ、アヤトに参加する気がないんやったらセコンド式は無理なんやけどな」

「分かってるよー。でもアヤトはモデラーとしてもスジが良いし、タツヤはバトルのセンスがあるっ! 私達が組めば優勝待ったなしっ! 優勝賞品のオリジナルガンプラは貰ったも同然だねっ!」

 

 そんな二人の様子にうんうんと満足げに頷いているサナはオノのツッコミを受けながらも改めてマトイ兄弟の実力を認めながら優勝への意欲を燃やす。

 

 《ガンプラゲリラバトル大会のエントリー受付は終了しました。ただいまより、大会を開始いたします。制限時間は2時間です。大会ルールをご存じでない方は協力店舗かホームページをご確認ください》

 

 ふとショッピングモール全体にアナウンスが流れる。賑やかなやり取りをしているうちにエントリー受付時刻を過ぎてしまったようだ。すると途端に先ほどまで意気揚々としていたサナの表情が僅かに強張る。

 

「いよいよ始まったね! うー……震えてきた」

「ここまで来たらやるしかないか……!」

 

 緊張するサナを尻目にタツヤはスマートフォンを取り出す。

 こうして連れてこられたはいいもののそもそも大会のルールを知らない。であればとアナウンス通り大会ホームページを検索し、そこに載っているルールを参照する。

 

 どうやら今大会はガンプラ普及を目的にガンプラ制作会社主催のバトル大会のようだ。それぞれに散っている大会参加者達とバトルして制限時間内の勝利数で競い、優勝を決めるようだ。

 

「気負わずに頑張ってね、タツヤ! みんなブッ飛ばして優勝すればいいだけだから」

「あー……とりあえずなるようになれってな。それはそうと生まれたての小鹿みたいだぞ」

「はっ、足がガクガクしてるっ!?」

 

 力んだ様子でタツヤの手を握り、捲し立ててくるサナだがその力加減や様子からしても一番に緊張しているのはサナであろう。逆にあまりのサナの様子に緊張が解れたタツヤは苦笑交じりに指摘すると何とかサナは手で抑えてでも震える足を何とかしようとする。

 

「本番ってのは固くなるもんや。ムリに緊張を解そうとせず、とにかく全力でぶち当たってこいや」

「りょーかいっ! 行こう、タツヤっ!」

 

 そんなサナを見かねてオノは彼女の背中を後押しするように優しく叩き、快活な笑みを浮かべる。オノの気配りに少しは緊張も解れたのだろう。ビシッと敬礼をしたサナはタツヤの手を取って走り始める。

 

「しっかし、よくもまああんなガンプラ持っとったな。アヤトのガンプラは海みたいな色のガンプラやったろっ!」

「あれは……お守りみたいなもんですよ」

 

 サナとタツヤの姿を見送りながらふとオノはアヤトにソラーレ・ロッソについて尋ねる。オノが記憶している限り、あのガンプラは初めて見たのだ。するとアヤトは鞄を再び漁ってまた新しいケースを取り出し、白と“紺碧の海”のようなカラーリングのガンプラを取り出す。

 

「“一人じゃ無理でも二人なら、兄弟なら何でも出来る”……。あのガンプラはタツ兄を意識して作ったんですよ。タツ兄はガンプラバトルをやらないけど、少しでも自分を鼓舞できるように……。兄弟だっていつまでも一緒にはいられませんしね。でも……日の目を見る事が出来て良かった」

 

 その瞳に寂しさを宿しながらアヤトは自身のガンプラと去っていくタツヤの後ろ姿を見ながら呟く。とはいえソラーレがバトルを出来ること自体には喜んでいるようだ。

 オノはアヤトに兄がいたことは今日初めて知ったが、アヤトの中でタツヤという存在がどれほど大きいのか、すぐに分かってしまった。

 

「それじゃ俺は妹を迎えに行ってきます。タツ兄に制服を見せたいって行って一回帰りましたから。そろそろこっちに来てる頃でしょ」

 

 オノが何と声をかけようかとしている間にスマートフォンに入った着信を見て、アヤトはオノに別れを告げてガンプラ屋を去っていく。しかしそれを見送るオノにはアヤトの後ろ姿に重い陰が差しているように見えて仕方がなかった。

 

 ・・・

 

「それじゃあ行くよ、タツヤ!」

 

 一方、タツヤとサナは早速、大会参加者達とバトルの時を迎えようとしていた。

 サナの手解きで専用のアプリとデータスキャンを終えたタツヤはスマートフォンを筐体に接続して、マッチング終了を合図にモニターがカタパルト画面に切り替わったのを確認する。

 

「よしっ、行くかっ」

 

 アヤトが託したソラーレはデータとして構築されるが、その出来栄えは遺憾なく発揮され、パラメータに加算される。頼もしい弟の存在を感じながら、タツヤはガンダムソラーレと共に初陣を迎えるのであった。




ガンプラ名 ガンダムソラーレ・ロッソ
元にしたガンプラ ビルドストライクガンダム

WEAPON 強化ビームライフル
WEAPON ビームサーベル
HEAD ビルドストライクガンダム
BODY ビルドストライクガンダム
ARMS フリーダムガンダム
LEGS ビルドストライクガンダム
BACKPACK ガンダムF91
SHIELD ラミネートアンチシールド(フリーダム)
AI PILOT シーブック・アノー

詳しい外観は活動報告の【ガンブレ小説の俺ガンダム】に某画像投稿サイトへのリンクがありますので、興味がありましたらそちらを参照して下さい。
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