ガンダムビルドモバイル Puzzle G/B 作:ウルトラゼロNEO
「よーしっ、張り切っていくよっ!」
ゲリラバトル大会に参加したタツヤとサナの二人は早速、参加者達とのバトルに臨んでいた。
地球連邦軍総司令部ジャブローを彷彿とさせる熱帯林のステージであった。周囲を確認しながらサナの操るガンプラが木々を抜けて姿を現す。
それは機動新世紀ガンダムXに登場するガンダムX ディバイダーをベースに白と鮮やかなピンク色を基調に塗装されたディアンサスの名を持つガンダムであった。
「あの羽のガンダムも凄かったけど、流石、アヤトだな」
一方、その隣ではアヤトに託されたソラーレ・ロッソがその姿を現す。
出来栄えがパラメーターとして加算されるガンプラバトルに製作技術は一つの要だ。調子を見ようと軽く動かしたソラーレRの不自由のない動きにタツヤは自分の弟ながら感心してしまう。
そうこうしているうちにソラーレRとディアンサスのセンサーに反応がある。相手にロックオンされたのだろう。確認してみれば、砂漠・熱帯用の機体として改良されたドム・トローペンと、徹底的な軽量化によって誕生した高機動強襲機であるケンプファーであった。
「あんなにずんぐりむっくりなのに……!」
どちらもホバー走行による機動力を活かした戦いを主とする機体だ。その事はガンダムを知っている者からすれば当然のことではあるがそうではないタツヤからすればケンプファーは兎も角、ドム・トローペンの機動力は外見から想像できなかったようで早くも翻弄されてしまっている。
ラケーテンバズによる砲弾の直撃を受けたソラーレRは近くの通信施設に倒れこみ、施設は無惨にも倒壊しまう。瓦礫の上に倒れこんでしまったソラーレRにドム・トローペンは畳み掛けるように近づき、ヒートサーベルを引き抜いて上段に振り下ろそうとする。
この状況下でなにが出来るのか、そもそもガンダム作品を知らなければ、ソラーレRでさえ自分で作成していないため、アヤトから説明された内容でしか把握していない半人前。しかしそれでも負けたくない、勝ちたいと強く思う気持ちは人一倍なのだ。
「このォっ……!」
ヒートソードを振り下ろした刹那、タツヤの瞳は紅蓮の炎の如く強い意志を宿したと同時にソラーレRの腰アーマーに装備されている回転軸が設けられたホルダーを回転させ、ビームサーベルを発生させてドム・トローペンの左肩に突き刺すと、それが動揺となったのか動きが鈍ったドム・トローペンをそのまま蹴り飛ばす。
「凄い……!」
ケンプファーを相手にしつついつでもタツヤのサポートが出来るようにと気を配っていたサナだが一連の動きを見て、純粋にタツヤのバトルセンスに感心してしまう。彼の腕は直にバトルをして分かっていたが、まさか反射的にあんな行動を起こせるとまでは思っていなかったのだ。
一方でソラーレRはバーニアを利用して起き上がると倒れた衝撃で手放した武装を拾おうともせず、そのままマニピュレータで殴り掛かっていた。
「負けるッ……かァッ!」
ドム・トローペンがその巨体をよろめかせている隙に何とソラーレRは近くに倒壊していた通信施設の折れた鉄塔を持ってそのまま叩きつける。それは戦術など何もない。ただただ本能的に我武者羅なまでの行動であった。
アヤトが作成したソラーレRはアヤト自身のスキルもあってか、バトルフィールド上にデータとして投影された時点からその作りこみはある種の美しさがあった。しかしそれがタツヤが操る今となっては地面に転がり、泥を被り、負った損傷も相まって痛ましさがあった。
「……タツヤはやっぱり見所があるっ!」
しかしいくら泥を舐めようとタツヤはただ負けたくない、それだけの一心で立ち向かっているのだ。そのどこまでも負けず嫌いな性分にサナは自分の見る目は間違っていなかったのだと相手のケンプファーを何とか撃破しながら強く実感する。
「もらったァッ!」
一方、ソラーレRは頭部アンテナも折れ、損傷も目立つなか、ビームサーベルを引き抜き、ヒートソードを構えるドム・トローペンとすれ違いざまに切り結ぶ。ソラーレRの左腕が切断されるなか、ドム・トローペンの機体を一刀両断にし、このバトルをタツヤとサナのコンビの勝利で収めるのであった。
・・・
「やったぁ、勝ったぁあっ!!」
何とか手にした勝利に喜ぶサナ。やはり自分が見込んだとはいえ、バトル初心者を連れてのバトルは彼女自身にも大きな緊張があったのだろう。だからこそこの勝利の反動は大きい。
「か、勝てた……」
それはタツヤとて同じことだろう。ギリギリだったとはいえ、だからこそ勝利を勝ち取ったことにいまだ実感が湧かないようだ。
「よっしっ!」
だがそれもスマートフォンの高々と記されているYou Win!の文字で強い実感となったのだろう。両拳をギュッと握り、ガッツポーズをとる。確かにギリギリではあったが、だからこそ勝利の喜びはひとしおだ。
「なあ、サナ! 次行こうっ! はやくはやくっ」
「タ、タツヤ!?」
相手チームと別れながら調子が出てきたタツヤはすぐにでも次のバトルを咄嗟にサナの手を取って走り出す。
いくら顔立ちが柔らかいとはいえ、タツヤは男性だ。異性に手を引っ張られる状況にサナが頬を赤く染めるが、夢中になって「早くバトルしたいな」と声を弾ませるタツヤの笑顔を見て、釣られるように「うんっ」とサナも笑顔で頷くのであった。
・・・
《──タイムアップです。バトル結果を集計いたしますので、しばらくそのままでお待ちください》
それからおよそ一時間後、サイレンと共にゲリラバトル大会の制限時間を知らせるアナウンスが一帯に響き渡った。
「ど、どうなのかな。悪くない戦績だったと思うんけど……」
「で、でも負けたりもしてるしなぁ……っ」
集計している最中、タツヤとサナはハラハラと固唾を呑んで待っている。タツヤの言うようにその後のバトルで勝った負けたりの繰り返しだ。もしかしたら自分達よりも戦績の良いチームがいるのかもしれない。
《お待たせ致しました、結果を発表します。優勝は─……マトイ・タツヤ&ミヤマ・サナペアです!》
全身が震えた感覚を味わった。正直、どこかで優勝を諦めていたところもあったのかもしれない。しかし事実として確かにアナウンスされた内容に二人はわなわなと顔を見合わせ、思わず喜びを体現するように飛びついて抱きしめ合う。
「キャーっ! やったよ、タツヤぁっ! 私達が優勝だってぇ!」
「ゆ、ゆゆゆ夢じゃないよなぁ!? あぁでもこの感触は本物だもんな!? 実物を触った事ないから分からんけどもぉっ!」
抱きしめ合ったままぴょんぴょんと飛んでいるタツヤとサナ。喜んでいることに夢中なサナと同じように喜んでいるものの何やら異性であるサナに抱き着かれているタツヤの思考は別の方向へ飛んでいこうとしている。
「おーおー、見せつけてくれんのはええけど、先に大会本部に行って表彰されてこいや」
「「はーいっ」」
そんな二人を冷やかすようにオノが声をかけてきた。二人とも喜びに夢中だったとはいえ、異性に抱き着いていたことを半ば思い出さないように敬礼しながらそそくさと大会本部へ向かうのであった。
・・・
「思ったより盛大に表彰されちゃったね。大会に優勝するの初めてだから賞状の受け取り方、分かんなかったよ。その点、タツヤは妙に慣れてたけど……」
「えっ、あっいや、まあな……」
それから数十分後、オノのガンプラ屋にタツヤとサナの姿があった。表彰式を思い出して、浮ついた様子のサナはふとこなれた様子だったタツヤに話を振ると、彼は何とも言えない面持ちで視線を逸らす。
「で、お目当てのガンプラはどうやった?」
「へへー、勿論ゲットしたよ。ペアで一つしかもらえなかったけどタツヤが譲ってくれたんだ」
「まあ、大会が目的だったのはサナだし」
別に表彰に慣れていた事自体、寧ろ普段のタツヤが凄いのではと考えていたが微妙な面持ちを見せた為、怪訝そうにしているとオノが話を振ってきた。その事で話題が移り変わり、じゃーんと景品のオリジナルガンプラを見せるサナにタツヤも異論はないのか、微笑交じりに頷く。
「今日はホントにありがと、タツヤ! 滅茶苦茶感謝してるっ。良かったら……またペア組んでほしいな」
「おいおい、トウマって人がいるんだろ? それに俺、ガンプラ部じゃないし」
「今は、ね。ふっふっふっ……」
改めてタツヤに感謝を伝える。彼をスカウト出来なければ大会に出場することすら危うかった。それにタツヤとバトルをする束の間の時間の充実感は素晴らしいものであった。それ故、ペアを申し出るとタツヤに苦笑されてしまうが、完全に目を付けたのだろう。非常に怪しい笑みを浮かべている。
「──タツ兄ーっ!」
サナの笑みに悪寒を感じていると溌溂とした声と共にタツヤは背後から突進じみた勢いで抱き着かれる。サナとオノが啞然とするなか、何とか踏ん張って受け止めたタツヤが振り返ると……。
「アナウンス、聞いてたよっ! 優勝おめでとーっ!」
そこにいたのはタツヤと同じ翡翠色のクリッとした無邪気な瞳と赤いリボン装飾が施されたカチューシャをつけた少女であった。その服装はタツヤやサナと同じように奏海高校のものであり、同じ学校の生徒だろうか。
「あっ、もしかしてタツ兄とペアを組んでたサナさん!?」
「そ、そうだけど……。アナタは?」
まさに天真爛漫と言った様子の少女に若干押され気味のサナは少女に尋ねる。
タツ兄と呼ぶことからアヤトのように血縁者なのかもしれない。最もこの少女は顔立ちこそタツヤやアヤトに似ているものの出るところはしっかりと出ているので実は男性……ということはないようだが。
「おい、ヒマリ。いきなり飛び出すなよー」
「……そうだぞ、ヒマリ。誰かにぶつかってからじゃ遅いんだって何度言ったら分かるんだ」
そうこうしていると後からアヤトが飄々と顔を出し、少女と思われる名前を口にすると何とか抱き着いてきたヒマリと呼ばれた少女を踏ん張って受け止めたタツヤは注意しながら彼女を背中から降ろす。
「改めましてマトイ・ヒマリですっ! ハッピーなこと大好きなマトイ家の末っ子ですっ!」
「ごめんねー」と二人に謝りながら親指と小指を立てて軽く振りながらサナとオノに自己紹介をしながら自身がお気に入りのキャンディーをそのまま配る。
「っていうかタツ兄もガンプラやってたの!? アヤ兄だけじゃなくて? 珍しいねー。ねえねえタツ兄のガンプラ見せてよー! っていうかここめっちゃガンプラあるねっ。あっ、アレはヒマリも知ってるよ。シャー専用ザクだよね「シャ“ア”専用ね。少し静かにしてようか、ヒマリ」はーい」
「……今日は楽しかったよ。それじゃあ俺達はこの辺で……」
「うんっ、次は学校でねっ!」
マシンガントークを繰り広げるヒマリとそれを宥めるアヤトを横目にタツヤは改めてサナに良い機会をくれたと感謝していると二人を引き連れて帰っていくタツヤをサナとオノは見送るのであった。
・・・
「ねえ、タツ兄? どぉ? 制服似合ってるー?」
「ああ。ヒマリの入学が楽しみだな」
ガンプラ屋を出てタツヤによりかかるように抱き着きながら歩くヒマリは上機嫌で自身の制服姿について尋ねると上機嫌な妹の姿に苦笑しながら頷くとふと隣を歩いているアヤトを見やる。
「なあ、アヤト。少しバトルしないか?」
「……は?」
「ちょっと寄り道だよ。まだバトルの熱が冷めてないしな。お前がタッグなら俺も心強いし」
ふと何を思ったのか、アヤトをバトルに誘い、当のアヤトは面喰っている。それをおお構いなしに話すと僅かに迷った結果、「……仕方ないなー」とタツヤの申し出を受け入れて三人はゲームセンター内の筐体に向かう。
「……タツ兄に気を遣わせたかな」
背後で声援を送るヒマリの声を聞きながらアヤトは自身のスマホを接続しながら、チラリと隣のタツヤを見やる。
自分は大会に参加する気はない、その気持ちは嘘ではなかった。しかしバトルがしたくないというわけではないというのも嘘ではなかった。
では何故大会には出なかったのか、それはサナとのやり取りに関係があるのだろうか。とはいえ、今は兄の気遣いに内心感謝しながら自身のガンプラを取り出し、ジッと見つめる。
「ガンダムルーナ・ブル、マトイ・アヤト行きますっ!」
それはタツヤに託したソラーレRとは対照的な白と“紺碧の海”のような青いカラーリングのガンプラであった。
ルーナ・ブルを近くに置き、そのデータをスマホ越しに筐体に投影しながらアヤトはタツヤと出撃するのであった。
ガンプラ名 ガンダムルーナ・ブル
元にしたガンプラ フォースインパルスガンダム
WEAPON ビームライフル(ライトニングガンダム)
WEAPON ビームサーベル
HEAD ガンダム試作一号機 ゼフィランサス
BODY フォースインパルスガンダム
ARMS ライトニングガンダム
LEGS ストライクノワール
BACKPACK フォースインパルスガンダム
SHIELD 機動防盾
AIPILOT コウ・ウラキ
詳しい外観は活動報告の【ガンブレ小説の俺ガンダム】にリンクがありますので、そちらを参照して下さい。