ガンダムビルドモバイル Puzzle G/B 作:ウルトラゼロNEO
「今のが最後の協力者のようですね。それでは、これでガンプラ部の部活紹介を終わります」
「入部希望者は放課後、ガンプラ部の部室まで! よろしくです」
タツヤとトウマのバトルを切っ掛けに協力者を呼び掛けて参加型にした部活紹介は勢いを乗せたまま終え、トウマはサナと共にガンプラ部の紹介を締めつつ手伝ってくれた全ての生徒に感謝を伝える。
「あ、最後にひとつ」
これはタツヤに続いて新たな部員も入部してくれるかもしれない。手応えを感じていたサナだったが不意に隣のトウマがピッと手を挙げ、眼鏡の位置を正しながら……。
「求めているのは本気で全国を目指して共に戦ってくれる人だけなので、悪しからず」
半ば突き放すようにそう言い放ったのだ。
これには先程まで何気なく聞いていた生徒の中の何人かは眉を潜めてしまっている。
「はい、ガンプラ部の皆さん、ありがとう。続きましては──」
これにはサナとしても予想外だったのだろう。
部員の獲得を目的だったからだ。思わずトウマに詰め寄ろうとするものの司会の教師の進行によって叶わず、タツヤ、アヤト、トウマ、サナの四人は舞台袖へ向かっていく。
「ちょっとトウマ。あんなにハードル上げちゃったら誰も来てくれないよ?」
続いて次の部活紹介が始まるなか、舞台袖に掃けたサナは先程のトウマの発言を咎めるように口を開く。
ここは勧誘の為の部活紹介の場だ。部員が増えることこそ喜ばしいが、先程のトウマの発言ではそれが遠のいてしまうと思ったからだ。
「その時はその時だ。去年の二の舞よりはずっといい。それにもう既に十分な収穫があっただろ」
「まぁ、全体的に盛り上がってたし最後の方で参加してくれた生徒達が来てくれるなら……」
「そうじゃない」
とはいえ、トウマは特に気にした様子はなく、彼は彼なりに強い手応えを感じているようだ。
ガンプラ部の部活紹介は生徒たちの反応からしても上々であろう。最終的には我も我もとバトルに名乗り出て参加してくれる生徒達もいたぐらいだ。
あれをきっかけに彼らが入部してくれるなら結果も万々歳だろうと考えていたタツヤだが目の前にいたトウマはキッパリと否定してタツヤを見据える。
「遊び気分の百人よりずっと価値のある一人が入部してくれたんだから」
「んー……まあ、それもそっか。タツヤがいてくれたら何とかなるよね。もっと言えばアヤトもいれば敵なしだけど……」
それこそ途中で参加してくれた生徒達全員が入部するよりもタツヤの入部の方が価値があると考えていたのだ。
それに関してはサナも意見が同じなのか、少しずつ納得した様子を見せながらタツヤの隣にいるアヤトを一瞥する。
タツヤは確かにそのセンスは素晴らしいモノを持っている。だがそれはアヤトの完成度の高いガンプラと共にカッチリとした相性の元に発揮されるのだ。
「随分と期待されちゃったな……。ところで、去年の二の舞って?」
「……聞いたって面白い話じゃないよ」
最も当のアヤトはサナの視線から逃げるように顔を逸らしてしまっているわけだが。
そんな弟の隣で自分にかかっている期待の大きさに苦笑しながらふと何気なく先程のトウマの言葉について触れる。一年の頃は学業と店の手伝いに専念していた為、部活に関する情報を得ていなかったせいもあってアヤトが所属するガンプラ部で何があったのか知らなかったのだ。
しかしその事について触れたくないと言わんばかりのアヤトの言葉と共に周囲を見てみれば去年もガンプラ部に所属していた面々の表情はどこか暗いものだった。
「タツ兄、アヤ兄ーっ! 恰好良かったよーっ!」
どこか暗い雰囲気のままサナ達と共に自分達がいた二年の場所へ戻ろうとするなか、一年の方から聞き覚えのある溌溂な声が聞こえてくる。タツヤとアヤトが顔を見合わせて思わず笑みを交わすなか、ヒマリはぴょんぴょんと二人の兄に感激の言葉を送っていた。
・・・
一波乱の部活紹介から放課後。学生達が思い思いの行動を起こすなか、体を伸ばし軽くほぐしたタツヤは起き上がって鞄を手に取って帰り支度を始める。
「やっほー、迎えに来たよっ。さあ、ガンプラのデータ持って部室にGO……って、何で帰る気満々なの!?」
そんな矢先、別クラスのサナとトウマの二人がタツヤのもとへやって来たではないか。二人ともこのままタツヤとガンプラ部に向かおうとしているのだろう。しかし今まさに帰ろうとしているタツヤにサナは目を丸くさせる。
「あー……ごめんな。俺の家、喫茶店でたまに店の手伝いしてるんだ」
「そうなんだ……。でも今日じゃなくても……」
「本当にごめんな! 今日はアレだけど今後は都合を合わせられるようにするから!」
ガンプラ部への入部は決めたもののタツヤにはタツヤなりの予定があるのだろう。サナもそれは理解しているのか、強くは言えないものの引き留めようとするがパンと手を合わせたまま申し訳なさそうにタツヤは急いで教室を後にしてしまう。
「……残念だけど今日は仕方ないか。無理な勧誘をしちゃったしね」
「そうだな。それにタツヤも今後は都合を合わせてくれると言っていたんだ。今日は諦めるとしよう」
半ば強引な入部に関してタツヤに負い目を感じる部分はあるのだろう。サナとトウマは諦めて二人で部室へ向かおうとするなか、ふとサナが足を止めて一人の生徒を見やる。
「アヤトは良いの?」
「……」
「あっ、もしかして部活に顔を出さなくなったのってお家の都合もあったり……」
そう、タツヤが慌てて帰ったのとは対照的にアヤトはマイペースに帰り支度を進めているのだ。店の手伝いの為に帰ったタツヤもアヤトを気にした様子もないため、ふと何気なく気になったサナは声をかけるもアヤトは特に反応する事なく、サナはサナで一人で何を思ったのか話を進めてしまっている。
『……タツ兄……。その……俺も店、手伝うよ』
家の都合、その言葉にアヤトの脳裏には過去の出来事が過る。自分にとってもよく覚えている、自分が、家を取り巻く環境があまりにも酷かった時期の話だ。
『大丈夫だ。兄ちゃんに任せろ』
あの頃の自分はせめてと思って目の前で一人、絆創膏を巻いた指で仕込み作業を行っているタツヤに言ったのだ。しかし振り返って返ってきたのは儚いまでの優しい笑顔だった。その笑顔はまさに自分を安心させるためのものであることは双子の弟であるアヤトが誰よりも理解していた。
「……そうじゃないよ。そうじゃないんだ」
それは何に対しての言葉なのか、付き合いのあるサナとトウマからしてもアヤトの様子にお互いに顔を見合わせてしまうなか、不意にアヤトは顔を上げる。
「……あの、さ。タツ兄はこれからガンプラバトルをするんだよね」
「ガンプラ部への入部はそう言うことだ。君も分かっているだろう」
ふとガンプラ部からしてみればわざわざ答えなくても当然の質問をされる。しかもそれが他ならぬガンプラ部にいたアヤトからだ。思わずその内容にトウマが怪訝そうにするなか……。
「アイゼンは確かいくつかバイトしてたよね。義理がないのは分かった上でだけど少しお願いしたいことがあるんだ」
アヤト自身も聞かなくても分かる愚問だった為、「そうだよね……」と自嘲するなかトウマに何やら話を持ち掛ける。サナが当人であるトウマに顔を向けるなか、彼は話を続けろとばかりに答える代わりにアヤトを見据えるのであった。
・・・
模型店、ここでは今日も連日のように賑わうなか、トウマとサナの姿があった。しかし二人とも今日はガンプラが目的ではないのだろう。一目散にレジの方へ向かい、この店の店主であるオノの元へ向かうと彼もトウマ達に気付く。
「おう、いらっしゃい。待っとったよ! トウマ、新しいバイト君を紹介してくれるんやって?」
少年のような活気のある笑顔で出迎えてくれるオノにはトウマもサナも自然と表情がほころぶ。
今日はどうやらトウマを仲介にバイトを希望する者を連れてきたようでオノはどこやどこやと周囲を見渡す。するとトウマとサナは道を譲るように二手に分かれるとその間からアヤトが顔を出す。
「どうも、オノさん。俺がアイゼンにお願いしたいんです」
「おお、アヤトやないか! なんやお前なら試験はいらんわ。文句なしに採用!」
どうやら放課後にトウマに頼んだのはバイト先の紹介だったようだ。その結果に紹介されたこの模型店はアヤトにとってもなまじ通っている分、勝手は知っている部分もあるのだろう。軽く会釈をするアヤトに気を良くしたように一発採用を決める。
「──そういうところですよ、オノさん。敗軍の将はいつだって楽観で状況を見誤るんです」
紹介をした貰った手前、一発採用は喜ばしいがそれはそれで良いのかとアヤトが苦笑を見せるなか、待ったをかけた人物がいた。
無精ひげを生やしたオノと同じエプロンをつけた人物だ。ニコニコと笑顔を絶やさない姿は何とも表情が読めず、中々食わせ者のような印象を受けるがアヤトはこの人物を知っている。ニシ・カツノリというこの店の副店長であり、オノの後輩だ。
「わ、わあってるよ、ニシ。悪いな、アヤト。やっぱり試験ありや」
「勿論。筆記ですか?」
すると先程まで勢いに乗っていたオノもすぐにタジタジになって前言撤回するなか、流石にそこまでとんとん拍子に進まないとは思っていたアヤトは寧ろ望むところだと言わんばかりで鞄からペンケースを取り出そうとする。
「ちゃうちゃう。俺とこいつ──ニシとバトルをして勝てたら採用ってこと!」
何と採用試験の内容はガンプラバトルだったようだ。ニシも異論はないのだろう。店内のシミュレーターの準備を行うために手早く行動を始める。
「アヤトのパートナーは俺が務めよう。知っての通り、あの二人はガンプラ部のOBで手強い。引き締めていくぞ」
「こちらこそ頼むね」
模型店の店長と副店長によるバトルが行われるということもあってか、にわかに店内もざわつくなかトウマがアヤトの隣に立って自身のスマートフォンを取り出しながら声をかけるとアヤトも鞄からガンプラが収められたケースを取り出す。
「タツ兄……」
そこからソラーレを取り出したアヤトはそこにタツヤの姿を重ねるかのように目を閉じて祈るとソラーレからロッソパックのみを外してルーナに換装するとスキャンを始める。
スキャンが完了すればアプリ内のデータ一覧にまた一つ新しいガンプラのデータが登録される。それはロッソパックに換装したルーナだった。同時にシミュレーターの設定を終えたニシが声をかけると四人はスマートフォンをシミュレーターに繋げる。
「ガンダムルーナ・ロッソはマトイ・アヤトで行きます!」
カタパルト画面が表示されるなか、ジョイスティックを握りこんだアヤトは勇ましく叫んでトウマのカイゼル・バスターと共にバトルフィールドへ出撃していくのであった。
ガンプラ名 ガンダムルーナ・ロッソ
WEAPON 強化ビームライフル
WEAPON ビームサーベル
HEAD ガンダム試作一号機 ゼフィランサス
BODY フォースインパルスガンダム
ARMS フリーダムガンダム
LEGS ストライクノワール
BACKPACK ガンダムF91
SHIELD ラミネートアンチシールド(フリーダム)
AI PILOT シーブック・アノー