綺麗なお姉様が真っ赤な顔してプルプルするの最高だよね   作:きつね雨

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お姉様、先生になる

 

 

 

「コレはココ、あとソレはあっちの棚を使ったらいいよ」

 

 タオルや、その他衛生用品は洗面脱衣所、シャワールームから近い方が良いだろう。まあ、生活しながらゆっくりとターニャちゃん色に変えて行けばいい。

 

「服……沢山有りますけど、どうしたら」

 

 パルメさんの店で手に入れた服達は、山の様にベッドに積み上げられている。可愛い下着類も有り、目に眩しい。先程袋から取り出したが、置き場所に困ってベッドの上に避難した結果だ。

 

「ターニャちゃん、昨日部屋の中探検しなかったの?」

 

 前世の餓鬼の頃は、新しい家やホテルに行ったらあちこちドアを開いたものだがなぁ……意味も無く。

 

「昨日は直ぐに寝ちゃいました。このベッド、寝心地が凄く良いですね」

 

「そう? それなら良かったわ。服はコッチね」

 

 洗面室の隣にあるドアを開ければ、其処は衣装部屋になっている。ウォークインクローゼットとは違い、鏡や簡単な化粧台も備えた部屋と思った方が良いだろう。

 

 左右に衣装掛けやハンガー、小物や衣服を入れる棚が並ぶ。広さとしては多分12から15畳位だろうか、この世界に畳など無いけれど。

 

「……コレ、一人用ですか?」

 

「うん。ターニャちゃん用だけど、足りなかったら言ってね?」

 

「お姉様……足りない、じゃなく広過ぎでは?」

 

「私の部屋も同じくらいだけど少し足りないよ? 装備類は別の部屋にあるし、段々と増えていくから……」

 

 女の子の荷物の多さを馬鹿にしてはいけません! はっきり言って男の比じゃないから。それに、これからもどんどん買いますから、俺が! 着せ替え人形になって貰うぜ‼︎ 着せ替え人形はお前だって? ははは、まさか。

 

 溜息をついたターニャちゃんは、一着ずつ丁寧に掛けて行く。俺もグヘへと内心、外面はキリリと締まった顔をしながら下着を棚に入れていく。

 

「……早く私も働きたいです。このままじゃ堕落しそうで怖いから」

 

「えー? ターニャちゃんはお家で待ってくれてたら良いと思うけど? ほら、ご飯作ったり忙しいよ?」

 

「ご飯やお家の事は頑張ります。でも色々経験するのも大事ですから」

 

 この子ホントに中学生なんだろうか……? もしかして見た目は子供、中身はナントカってやつなのでは?

 

「変な言い方してゴメンね? 御飯とかは作りたい時に作ればいいし、お家の事は偶に外注……えっとお願いしてる人がいるから気にしないでね」

 

 またも溜息をつくターニャちゃん……どしたの?

 

 俺はターニャちゃんに家政婦をさせる為に連れて来たのでは無いのだ。まだイベントは残ってるし、沢山ターニャちゃんと遊びたい!

 

「それに、先ずはお勉強しないとダメ!」

 

「お勉強……ですか?」

 

 少しだけ嫌そうな顔をするターニャちゃん。流石のターニャちゃんも勉強は苦手とみえる。何となく嬉しくなってしまった俺は調子に乗るしかない。

 

「そうよ? ターニャちゃんには悪いけど凄く怖い先生を呼ぼうかな?」

 

 益々嫌な顔をするのを見て、ついニヤニヤしてしまった。

 

「……何を学べば?」

 

 ふっふっふ……そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ? 先生は優しくて綺麗で頭も良くて、しかも有名人なんだから!

 

「それはね……ま・ほ・う、そう魔法です! 先生は勿論この私、ジル先生でーす!」

 

 ターニャちゃんはポカンと口を開け、その意味を理解したのか嬉しそうな顔に変わった。可愛い!

 

 そして恥ずかったのか、直ぐに表情を戻しコホンと態とらしい咳をする。それも可愛い!

 

「アレー? 何か勘違いしてたのかなぁ? 顔が紅いよ?」

 

 くくく……これだよコレ! 昨日迄の俺はもう居ない! 今日からはターニャちゃんで遊ぶぞ!

 

「……そんな事はありません。お姉様、よろしくお願いします」

 

 うむうむ、お姉さんに任せなさい!

 

「じゃあ、早く片付けを終わらせてご飯を食べましょう。少し休憩したら魔法教室を始めるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が家の庭、いや庭園にも随分拘った。

 

 イメージはアンダルシア地方にあるフリヒリアナ。スペインで最も美しい村に選ばれた事もある場所だ。

 

 真っ白な壁、青い扉、モザイク模様の石畳、階段と坂道が入り組む町並み、色鮮やかな花々。

 

 あくまでイメージなので勿論そのままではない。と言うか行った事も無い。相手は村なので庭と相容れないところもあった。それでも前世で写真を見て、いつか行ってみたいと思っていたのだ。

 

 職人さんに頑張って伝えて、かなりの立体感を持たせた自慢の庭園。夜は魔力を応用した明かりが各所に灯り、御伽噺の世界が目の前に広がる。また、色が映える様に花々は別の専門家に任せていたりもする。

 

 まあ、金持ちになった俺の道楽だな。

 

「凄いですね……昨日は直ぐに寝たので気付きませんでした。あっ、あの小さな小屋可愛いですね」

 

 あれは庭作業の道具を収めた小屋だが、外見は正しくフリヒリアナの家達を真似している。他にも休憩や食事を取る為の場所もあり、似た作りにしてある。

 

「気に入った? あっちに見える高くなったところ……そうそう、あそこで朝食を取るのが好きなの。周りは壁だけど、花とか草木が綺麗で素敵なんだよ?」

 

「ああ、朝食を外で食べるの憧れます」

 

 声こそ平坦な返しだが、ターニャちゃんの目はキラキラしていて感動を隠せてない。

 

「今日は慌てて済ませたけど、今度は外で食べましょう。夜も幻想的だから散歩するといいよ?」

 

「はい、是非」

 

 気に入って貰えたかな? またゆっくりと案内しよう。今は目的があるからね。

 

 庭いじりしていいですか?と可愛い質問を受けながら、少し歩いて訓練場へ向かう。勿論良いけど、庭師の人に聞いてからね?と返す。庭師の人はなかなか煩い人なのだ。因みに大変珍しい女性の庭師だ。

 

「はい、到着!」

 

 白壁に隔てられた先、青い扉を開けると訓練場が見えてくる。殺風景な場所なので、庭から視覚的に見えない様にしているのだ。

 

 全体は石畳と踏み固められた土、一部は芝が植えられている。模擬剣が何本か並べてあるが使った事は無い。何となくあったら格好良いかな、と。

 

 あとは定番のカカシくん達が立っている。一見只の木材に見えるが、材料はかなり希少なモノをつかっている。少々の衝撃や魔法では折れはしないし、それでいて多少の柔軟性を持つ。まあ、異世界トンデモ物質だね。

 

 因みに俺の戦闘レベルには耐えられず、使ったのは最初の一回だけ。え?じゃあ何で作ったのかって? 勿論ロマンですよ! 剣!魔法!訓練場! ロマンじゃないですか! 違う?

 

「先ずは座学からね。あそこに座って待っててくれる? 準備して来るから見学してても良いよ。但し、剣や道具には触っては駄目。危ないからね」

 

「はい、少しだけ見てみます」

 

 コクリと頷くターニャちゃんはやはり興奮を隠せない様だ。そりゃそうだよなー……中学生の男の子が剣や魔法に触れるのだから我慢なんて出来ないよね! 分かるよ、うん。

 

「直ぐに戻るからね」

 

 話しながらも魔力強化を行なっていた俺は、残像すら残さずにその場から消える。準備は大切だからね!

 

 ムフフ、漸くアレの出番だな! ついさっき思い付いたのだ。

 

 待っててターニャちゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉様……いえ、ジル先生。その格好は?」

 

 何かを察してくれたのか、ターニャちゃんは俺の呼び方を変えてくれた。

 

 ふっ……数ある衣装の中でもレア中のレア! 自分以外には初お披露目です。

 

 特注で作らせた黒のレディーススーツに身を包んだ俺にターニャちゃんは困惑の色を隠せない。

 

 スカートは膝上まで切り上げ、僅かにスリットが入っている。座った時にちょいエロなのだ。シャツは勿論真っ白で、ボタンは胸元まで閉じて無い。ヒールは高めでやはり黒だ、因みにハイヒールは怖くて履けないよ。

 

 髪はお団子にして低めで纏めた。清楚で知的な雰囲気を出すのはコレかなと思ったのだ。髪留めは勿論飾りも無い地味なモノだ。白金の髪では逆に目立つが、コレも外せない。

 

 そして! 最重要は眼鏡! 薄いフレームは鈍い金属光を放ち、キラリと輝いている。細い指先でクィッと上げれば完璧でしょう!

 

「とある国の先生の制服よ。生徒に教える時は必ず着ないと駄目なの」

 

 勿論嘘だ。美人女教師……わかるだろ?

 

「そうなんですか? 眼鏡も制服の一部なんでしょうか?」

 

「……此れは、趣味よ」

 

 ……眼鏡の言い訳は考えて無かった。もうこうなったら勢いだ。

 

「……この人、もう隠す気なく無い?」

 

 ターニャちゃんはボソボソと呟くが、眼鏡に対するツッコミに動揺していた俺は聞き逃してしまった。

 

「では始めます! ほらっ授業が始まるよ!みんな座って!」

 

「もう、座ってますが。生徒も私一人です」

 

「静かに! 先生の言う事はちゃんと聞きなさい」

 

「……はい」

 

 なんかヤベェのが始まった……そんな顔をするターニャちゃん。

 

 いいじゃん! 学校の先生したかったんだから!

 

「では、ターニャさん。今日の授業は何をするか分かりますか?」

 

「魔法です」

 

「予習はして来ましたか?」

 

「……いえ」

 

 アンタとは昨日会ったばかりだし、何言ってんの?って顔してる!? もう、ノリが悪いなぁ。

 

「では、基本からいきますよ。魔法とは何か? そこから始めましょう」

 

 ここで眼鏡をクイッ。

 

「あの、お姉様? これ続けるんですか?」

 

「こら! ターニャさん、学校では先生と呼ぶように言いましたよね? あとで職員し……先生の部屋に来なさい」

 

 マジかよ……って絶望感を覚える顔のターニャちゃん。やってる方も辛くなってきた……

 

「……ターニャちゃん、普通にしよっか……」

 

「そうして下さい、お姉様。授業中は先生と呼びますから」

 

「うぅ、ありがとうターニャちゃん」

 

 撫で撫でされるの気持ち良いなぁー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法は略称なの。正式には、[()力或いは魔素に依る元素、空間等への作用及び結果とその()則]が正しい名称よ」

 

「長いですね。覚えた方が良いでしょうか?」

 

「堅苦しいと思うけど、魔法発動の方法を端的に表しているから知ってると良いかな」

 

「分かりました。あの、ノートってありますか?」

 

「はい、どうぞ。此れはペンね」

 

 いそいそと書き始めたターニャちゃんは困惑した表情を隠せない。見れば日本語では無くツェツエの公用語になっているようだ。最初は混乱するよね。まあ、異世界転生のお約束と割り切るしかないよ?

 

「ターニャちゃん、大丈夫?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 たった一回聞いただけで一言一句間違えて無い。やっぱり頭良いんだなぁ。

 

「魔法には大別して、属性魔法と汎用魔法があるわ。どちらも魔力を利用する点では変わらないけど、作用させる対象物が違うのが特徴ね。勿論例外はあるけど……ターニャちゃんは魔法にどんな印象を持ってるかしら?」

 

「そうですね。子供染みてるかもしれませんが……火や水を打ち出したり、怪我を癒したり、でしょうか?」

 

「ターニャちゃん……正解です!」

 

 ビクッて肩を揺らすターニャちゃん。可愛い。

 

「正解、ですか?」

 

 ふっふっふ……この世界の魔法は、正に()()なのだよ! 日本で広く知られていたファンタジー其の物がココにある!

 

「元素や空間に作用させる属性魔法なら、炎や氷、風や岩を打ち出して魔物を攻撃出来ます。汎用魔法には治癒や生活魔法も含む生物に作用するモノが多いのよ」

 

「成る程、対象物の違いですか」

 

 ノートに書き写しながらターニャちゃんはふむふむと納得顔。うん、可愛い。

 

「普通は属性魔法を頑張って発動させる修行が基本なんだけど……」

 

「? なんだけど?」

 

「私、ジルはそんな事しません! 属性魔法?そんなモノは後回しよ! この魔力偏重主義の世界に革命を齎らしたのが、この[魔剣]ジルなのだ!」

 

 ドヤッ!

 

 パチパチパチパチ……お付き合いで拍手をしてくれるターニャちゃん。ちっちゃな手が可愛い!!

 

「ターニャちゃん、昨日の夜に話したと思うけど、この家は魔力銀を利用した装置が多いって」

 

「はい、確かに」

 

「使うのは魔力なんだけど、重要なのは其処じゃないの。何か分かるかな?」

 

 少しだけ考えたターニャちゃんは見事な答えを返してくれる。

 

「魔素、魔素の操作でしょうか?」

 

 やっぱり頭良い!!

 

「その通りよ! 凄いわターニャちゃん! あの魔力馬鹿に聞かせてやりたい!」

 

 聞いたか[魔狂い]の馬鹿野郎! ターニャちゃんの方が凄いもんね! ふん!

 

「魔力馬鹿って……以前話に出ていた超級の魔狂いさんですか?」

 

「そう! あのジジィったら何度言っても聞かないんだから……大体あのバ……アイツの事はいいわ、話を続けます」

 

 コホンと先生らしい態度に戻る俺と、呆れた顔をするターニャちゃん。

 

「と、とにかく。ターニャちゃんには最初、魔素の感知と操作を学んで貰います。魔素を知れば属性魔法も汎用魔法も幾らでも応用が効くからね」

 

「はい、先生」

 

 ターニャちゃん、良い子や……

 

 

 

 

 

 

 

 




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