綺麗なお姉様が真っ赤な顔してプルプルするの最高だよね   作:きつね雨

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暫く日常生活が続きます。


お姉様、日常を楽しむ

 

 

 

「パルメさーん」

 

 漸く時間が取れたよ。アーレのお土産はターニャちゃんが渡したから構わないんだけど、やっぱり顔は見たいしね。

 

 アートリスに帰ると先ずはギルドに報告して、予定が延びた理由を説明したり、そのあと急ぎの依頼を済ませたり……意外と疲れました。

 

 なので綺麗系お姉さん枠のパルメさんに癒されようと訪れたのだ。

 

「はいはーい」

 

 いつもと同じ様に、お店の奥から人影が現れる。相変わらず出るとこ出てるな、素晴らしいです。

 

「あれ? わあ、髪を切ったんですか?」

 

 レイヤーボブだ。長めだった銀髪が随分と短くなってる。つまり長さに長短を持たせて段差(レイヤー)による動きが軽やかな髪型だね。前髪は長めに残してて大人っぽい空気もちゃんとある。色気はバッチリなのだ。

 

「ジル! リタから帰ったのは聞いてたけど、漸く顔を見せてくれた。髪は気分転換よ。似合うかな?」

 

 もう少しだけ近づいて、じっくりと眺める。香水とも違う優しい香りが鼻をくすぐってドキリとしちゃった。

 

「素敵です、少しウェッティなのも。何だか何時もより明るい感じかな。凄く可愛い」

 

「ふふ、ジルに褒められると何だか嬉しいわ。貴女の髪は相変わらずね。宝石を集めて糸に紡いだみたいだもの」

 

「煽ても何も出ませんよ? 今日はアーレで破れた服を直して貰いたくて」

 

「バカね、お世辞なんかじゃないわ。ホント、何度見ても信じられない艶……やっぱり魔力のおかげ?」

 

 魔力銀の服が入った袋を受け取りながら嬉しい事を言ってくれる。でも、パルメさんだって綺麗だよ? 初めて会ってから随分経つけど、最初から好きだもんね。

 

「特別な事は……心当たりは魔力強化くらいですね。前も言いましたけど」

 

「はぁ……魔力強化かぁ。魔剣の専売特許だから真似も出来ないじゃない。ジルって生き物として反則!」

 

 ガサガサと袋を開けるパルメさんから視線を外し、店内を改めて観察する。彩りどりの衣服、壁に掛けられているのは新作かな。態と向きを変えてる棚にも綺麗に並んでて、すっごくお洒落な感じ。こう言うのってやっぱりセンスだよなぁ。もしかして何か才能(タレント)とかあったりして。

 

 全体的に白がメインの店づくりだけど、ワンポイントでパステルカラーを配してる。小物が所々に飾ってあって、少しカフェっぽい。

 

「……何これ。一体どうしたら……ううん、それより怪我は⁉︎」

 

 魔力銀糸で編まれた俺の装備は簡単に破れたりしない。デザインの変化を確認するためにパルメさんの前で何度も魔力強化を行ったから、その常識を超えた強度を知ってるのだ。だからこそ、斜めに斬られた服を見て驚いたんだろう。でも怪我を心配してくれるのは嬉しいな。

 

 脇腹やお腹に優しく手を這わせて確認してきた。

 

「ひゃっ! パ、パルメさん、くすぐったいです!」

 

「……大丈夫なの?」

 

 本気で心配してる。

 

「怪我は無いですから。ちょっと変わった相手だったので油断しました。そもそも敵とか悪い人ではないです」

 

 今回の再会で、クソ真面目からクソ真面目な変態へと降格したサンデルの馬鹿の仕業だ。あの巫山戯た剣を没収し忘れたのが悔やまれるよね! 今度会ったら問答無用で奪ってやるぜ。

 

「……吃驚させないでよ。でも考えてみたらターニャちゃんだって何も言ってなかったか」

 

「はい。心配してくれてありがとうございます」

 

 肩から力が抜けたのが分かった。やっぱり好きです、パルメさん。

 

「此れは時間掛かるよ? そもそも私じゃ魔力銀を修繕出来ないし。いつものところに頼むけどいい?」

 

「勿論です。私が身に付けるモノはパルメさんにお任せするって決めてますから。あとターニャちゃんの分も!」

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁ。お土産も貰ったし何か御礼をしないとね!」

 

 御礼か……出来るならハーレムに、いやせめてお風呂に。まあ言えないけど。

 

「それじゃターニャちゃんの下着を何枚かお願い出来ますか? お安くしてください」

 

 お高いのを買うと少しだけ怒られるのだ。しっかり者のターニャちゃん、最高です。

 

「任せなさい。昨日店に来た時に計り直したからね。胸が随分大きくなってるから、近々買いに来る様に言ってたのよ?」

 

 や、やっぱりか! 何となく気付いてたんだけど、恥ずかしくて言えなかったんだよ! ムフフ、少しずつ大人になっていくターニャちゃん。正式な恋人同士になるのも遠く無いな、うん。

 

「凄く可愛いのを頼みます」

 

 だが、サイズが変わったのを相談されてない。もっと距離を縮める必要があるな……アーレは大変だったし、二人でピクニックや小旅行とかどうだろう? アートリスの近場にも素敵な場所が沢山あるし。

 

「はいはい。相変わらずの姉馬鹿ね」

 

「だって、ターニャちゃん可愛いから」

 

「ふふふ! ほんと仲の良い姉妹! 昨日ターニャちゃんは貴女を綺麗だって褒めてたからね。目が離せなくなる時があるってさ」

 

「え⁉︎ ホ、ホントですか⁉︎」

 

 ターニャちゃんなら好きなだけ見てくれていいのに!

 

「なに驚いてるのよ……しかも嬉しそうだし。ジルって変わってる……って聞いてないか」

 

 おお……やっぱりターニャちゃんデレたのか⁉︎ 今夜こそお風呂に入れるかも! ヤバい、嬉しい!

 

「その顔、男に見せちゃダメよ? はぁ……ダメだ、やっぱり聞いてない。仕方ない、下着を用意しよ」

 

 やったぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リタ、おはよ」

 

「おはよ……ジル、顔が赤いよ?」

 

「そ、そう? 今日あったかいから」

 

 この間冷やかされて、リタの事を意識してしまうのだ。くっ、ターニャちゃんに必ず反撃しなければ!

 

「ふーん。あっ、そう言えば王都のお土産ありがと。お礼ちゃんとしてなくて」

 

 小声だ。特に問題はないけれど、ギルド職員と冒険者の個人的な繋がりが心配なのかな。賄賂じゃないけど、特別な便宜ってなると色々と問題だろう。

 

 まあ実際はリタを口説きたい男どもが貢いでいるのを知ってるが。しかも上手く遇らいながら、ブラックホールの様にプレゼントが吸い込まれて行くらしい。

 

 可愛いもんね、リタって。ソバカスが幼げに魅せて守ってあげたくなるのだ。

 

 ところでお土産だが、ウラスロの爺様にもターニャちゃんから納品済みだ。随分と喜んだって聞いたし、リタの心配なんて考え過ぎなんだけど。

 

「気にしないで。いつも助けて貰ってるから」

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁ。偶にジルって男前だよね。はぁ、貴女が男なら良かったのに……ううん、そうなるとライバルが多すぎるか」

 

 何やら意味深なこと言ってるけど、俺は構いませんよ? 此処は押してみるか?

 

「リタ。あ、あのね」

 

「あ、ごめんごめん。要件は何だった?」

 

 うぅ、やっぱり無理だぁ……

 

 またの機会にしよう。

 

「今日から暫く仕事を休もうと思って。ほら、前の事があるからギルド長から報告しろって言われたでしょ?」

 

 ニートの件ね。ある意味黒歴史になってしまったし、ミケルにつけ込まれた理由にもなったから。もうあんな事はゴメンだよ、うん。まあ直接の原因はパルメさんに嵌められた事だけど! 服のモデルは二度としないのだ。

 

「どしたの? 体調でも悪いとか?」

 

 パルメさんと同じ、心配そうな瞳の色。リタも好きだよ!

 

「体調は大丈夫だよ。時間を作ってターニャちゃんと近場を回ろうかなって。アートリスとアーレ以外、余り案内出来てないし。ほら、好奇心強いから、実は」

 

「おおー、いいね。確かにターニャちゃん好奇心旺盛だよね。研究熱心で頭だって良いし。まあ一番の研究対象はジルだけど」

 

「えっ? リタ、最後聞こえなかった」

 

 研究対象って?

 

「料理って言ったの。()()()()()()()()()()()()()だからね。プルプルするのが特に」

 

 成る程です。うん、ターニャちゃんの料理は最高だから! プルプルってプリンとかかな。

 

「じゃあ、ギルド長には私から言っておくねー」

 

「お願い。それと、ま、また遊ぼうね」

 

 よし、自然に言えた筈だ! ちょっとだけ吃ったけど。

 

「うん!」

 

 手をフリフリしながらギルドから出る。最後に振り返るとリタが何やら呟いてるのが見えた。遠くて聞こえないけど、楽しそうだし大丈夫かな。

 

 

 

 

「ふふふ……ジルってやっぱり可愛いなぁ。もうサイコー」

 

 

 

 

 

 

 

 ○ ○ ○

 

 

 

 

「もう……強引過ぎますよ、マリシュカさん」

 

「なんだい、いいじゃないかお茶くらい」

 

 これからの予定を考えながら歩いていたら、いきなり腕を掴まれて連れ込まれたのだ。

 

 生活雑貨を扱うマリシュカの店にはよくお世話になってるよ? 偶にだけど、珍しい他国の品とかも並ぶから飽きないのだ。一体どんな伝手があるんだろう。この前なんてバンバルボアの品まで手に入れてたし……

 

 店の奥に鎮座してるテーブルと椅子。日々凡ゆる人が訪れて、膨大な情報交換が行われるアートリスのインテリジェンス中枢だ。まあ別名おばちゃんの井戸端会議とも呼ぶけど。

 

「いつもターニャちゃんがお世話になってるみたいで、ありがとうございます」

 

「よしておくれ。世話になってるのは私の方さ。あの子の目利きは本物だからね。一体何処で学んだんだろうねぇ。ジルといい、謎多き姉妹ってヤツだよ」

 

「謎多き姉妹って……何だか不思議な響きです」

 

「ははは! 事実じゃないか! 似ても似つかない二人なのに、まるで本物の姉妹さね」

 

 膨よかな身体を揺らしながら、店中に届く笑い声を轟かせる。声もデカイ。

 

「本物の……そう見えますか?」

 

 何だか嬉しい。

 

「私はお世辞なんて言わないよ。最近ターニャはアンタに益々心を開いたね。何かあったのかい?」

 

「うーん……確かに最近距離を縮めてくれたみたいなんです。理由はよく分からないんですけど」

 

 お早うのチューが最たる例だ、うむ。

 

「やっぱり旅は人を成長させるのさ。アーレへ行ったのが良かったのかもねぇ」

 

 おお、旅か。確かにそうかもしれない。ならば旅にもっと連れて行ってあげたら更なる進展があるかも? ほ、ほら、ほっぺだけじゃなく、唇に……

 

「アンタなんて顔してるんだい……街の男どもに見せちゃダメなヤツだからね? 全く、ターニャは成長してるのにジルは相変わらずだよ」

 

 うぐっ……否定出来ないのが辛い……此処は話題転換だ!

 

「しょ、小旅行でもしようかと。アートリスの周辺を案内してあげたくて……マリシュカさん、お勧めとかありますか?」

 

「そうだねぇ、旅の安全はジルが居るから大丈夫となると……ノールブレフツとかどうだい? 丁度マルースが花をつけ始める時期だから、景色も花の香りだって楽しいだろうさ。それに、あの子が最近嘆いていたからね。良い品が手に入らないって」

 

「ノールブレフツですか。確かに頑張れば日帰りも可能ですね!」

 

 全力の魔力強化で走れば半日も掛からない。まあターニャちゃんを抱えてなら全速は不可能だけど、方法は幾つかあるし。何より、もう一つ重要なメリットがある筈だ。それは……

 

 お姫様抱っこ! 

 

 そう、可愛さ限界突破美少女ターニャちゃんを懐に抱きながら旅をする。何たる至高、何たる至福。しかも下心をバッチリ隠しながら誘えるのだ。

 

「また変な顔して……アンタの頭の中が心配だよ。大体日帰りって、馬車で二日はかかるよ?」

 

「べべべ別に変な事考えてなんかないですよ⁉︎ 魔力強化を使えば時間が少なく済むかなって……」

 

 揺れが大変と思うかもしれないけど、飛ぶ様に駆ける事も出来るし、そもそも殆ど揺らさない様に移動するのも戦闘には重要な技術だからね。沢山練習したのだ。ましてや全力だとターニャちゃんが耐えられないから、ゆっくり行く訳で。

 

「気になったところに寄り道しながら目指すのも楽しいかも。マリシュカさん、ありがとうございます。ターニャちゃん誘ってみますね」

 

 ノールブレフツは元の世界で言えばスイスみたい感じかな。長閑で標高も高目だから涼しいし。何処かクリスマスっぽくて、サンタクロースとか住んでそうなメルヘンな雰囲気もあった。まあ雪は降らないけど。ツェツエは温暖な土地だもん。

 

「ああ、そうしな。きっと喜ぶさ。毎日アンタの世話で疲れてるし、労ってあげなよ?」

 

「はーい」

 

 うぅ、やっぱり反論出来ません!

 

 

 




物語が動き出すのは少し先……
今日の夜にもう一話投稿予定です。
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