綺麗なお姉様が真っ赤な顔してプルプルするの最高だよね   作:きつね雨

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お姉様、飛び降りる

 

 

 

 

 冒険者ギルドに指定された小屋の中、結構楽しい時間を過ごす事が出来た。子供達に色々教える寺子屋みたいな感じかな。内容は冒険者と言っても魔法とかより一般常識が多い。計算や読み書きも学ぶからね。

 

 今日の依頼は、その先生役だ。

 

 そう! ジル先生再び、なのだ!

 

 

「分かりましたか〜?」

 

「「「はーい!」」」

 

 元の世界で言う小学一年生から四年生くらいの男の子達が元気よく返事をしてくれた。この頃の子供達は男女に関係なく可愛い。笑顔が眩しくてこっちまで幸せな気持ちにさせてくれるのだ。なんであんなに瞳が綺麗なんだろう。

 

 高学年から中学生くらいだと生意気な野郎が現れ始めるし反抗期とか面倒そう。経験あり。

 

 何よりエロに目覚めるから、俺みたいな超絶美人だと将来に禍根を残すだろう。変な趣味に目覚めたりしたら大変だ。そう、例えばクロみたいに。その辺はリタも分かってるのか、年齢層に気を配ってくれてる。

 

「ジルせんせーい」

 

「何かな〜?」

 

「次の授業はあるの?」

 

「んー、あるにはあるけど、私が先生とは限らないかな。ほら、さっき教えたギルドが決めるからね」

 

「「「ええー⁉︎ ジル先生がいい‼︎」」

 

 うむ、可愛い! それに、やっぱり先生って楽しいな!

 

「そっかぁ。私も皆んなにまた会いたいから、お願いはしておくね。でも、他の先生達も楽しい人ばかりだよ? 格好良い先生も、凄く頭の良い先生だっているんだから」

 

「そうかなー?」

 

「そうそう。うーん、そうだ! 授業は終わったけど、まだ少し時間あるし……何かお話する?」

 

 冒険者は危険な仕事だから強くお勧めはしていない。他にも沢山あるし、才能(タレント)の有無で左右されやすい理不尽さもあるからね。でも、男の子なら気になるだろう。剣とか魔法とか! 勿論経験あり。

 

「お話?」

 

「何か質問とか、なんでもいいよ」

 

「何でも? いいの?」

 

「大丈夫、約束する」

 

 魔法見せてとか、冒険談とか、やっぱ見たり聞いたりしたいじゃん? わーいと嬉しそうにすると、皆が集まりコショコショと内緒話を始めたようだ。意見を集めてるのかな? そんな仕草も可愛いな。

 

 どうやら一番の年長者であるミトくんが質問する様だ。結構頭が良くて、クラスに一人はいた秀才タイプだね。綺麗な顔してるし将来イケメンになりそう。

 

「最初の質問です」

 

 キリリと引き締めた顔、なかなか決まってます。

 

「はい、どうぞ」

 

 負けない様に、格好良く答えるぞ!

 

「彼氏はいますか?」

 

 ん? いやいや、餓鬼んちょがそんな訳……

 

「ごめん、もう一回お願い出来るかな?」

 

「彼氏はいますか?」

 

「……えっと」

 

「さっき何でも質問して良いって言いました」

 

 言ったけども! 魔法とか剣とか、どこにいったん?

 

「い、いないかな」

 

 すると、再び集まりコソコソと話し合いが始まる。おかしい……さっきまでの可愛い感じが消えてないか?

 

「では次の質問です」

 

「うん」

 

「オッパイは沢山揉んだり、触ったりすると大きくなるってパパが言ってました。先生の胸が大きいのはやっぱり沢山モミモミされたからですか?」

 

 パパさーん! 何を教えてるのかな⁉︎

 

「こ、此れは、先生のお母さんと似たからだと思います」

 

 無難な返しだが嘘じゃないぞ! お母様はバンバルボアの女神として有名だし。中身は別だけど!

 

 ホントにー?って疑う様な視線やめてくれるかな?

 

「じゃあ、王子様の女って聞いてますが事実ですか?」

 

「……」

 

 その女って言い方、おかしくない⁉︎ コイツら思い切りマセたエロガキばっかりじゃねーか! さっきまでのほのぼの感を返してくれ! 大体小さな子もいるのに……いや、全員キラキラした目で見てますね。しかもグヘヘと聞こえて来そうな。

 

「な、内緒で」

 

 とにかくイエスともノーとも答えては駄目なやつだ。何とか逃げないと……

 

「街で噂が流れています。超級冒険者魔剣のジル、実はキスすらした事がない初心な女性だと。まさか、処女……」

 

「わー‼︎ もうこんな時間だー! 先生次の用事があるから行かないと!」

 

「あっ、逃げたぞ! 追うんだ!」

「待てー!」

「せめてオッパイ触らせて!」

「僕はお尻がいい!」

「よく分からないけど、待ってぇ!」

 

 背後からとんでもない台詞が聞こえて背筋が凍った。最後の子だけがオアシスだよ、うん。その純粋な心を忘れないで……

 

 おかしいぞ、俺が小学生の時ってあんなじゃなかったよな? テレビのヒーローとかアニメに興奮して、将来はサッカー選手になる!みたいな……いや、運動神経が壊滅的だったから無理だったけど。それともアートリスの餓鬼共が特別なんだろうか。そう願いたい、切実に。

 

「うぅ、先生って大変なんだな……」

 

 俺を見失ったエロガキ達を見送りながら、先生の苦労が分かった気がした日でした、まる。

 

 

 

 

 

 

 

 ○ ○ ○

 

 

 

 

「ターニャちゃん?」

 

 仕事が早めに終わったからリタに報告して急いで帰って来た。この時間なら大体御飯の良い匂いがしたり、お庭でハーブを摘んだりしてる筈なんだけど……

 

 因みにエロガキのことを相談したら、真面目に相手するからだよと呆れられた。解せない。

 

「ターニャちゃん、帰ったよー?」

 

 こっちにも居ない。あ、ももももしかしてお風呂かな⁉︎ た、大変だ、急いで確認しないと!

 

「……いないか」

 

 残念じゃないよ? ホントだよ?

 

 でも、おかしいな……

 

「まさか……」

 

 可愛い服を着て街を歩くターニャちゃんの姿が思い浮かぶ。まだ確証は無かったけど、年上で銀髪の男と一緒だったらしい。それに最近何か言ってたよな、確か会長の許可が無いと駄目とか……悪い人じゃないって聞いたけど、そんなの分からないし。あんな可愛い娘を前にしたら大抵の男は堕ちるはずだ。当然此れも経験済み。しかも頭だって良くて、料理も家事もプロ級。性格は一見冷たい感じだけど、本当は優しくて可愛い一面もある。つまり、最高なのだ。元の世界の俺ならば緊張して喋れないし、そもそも近づく事だって不可能です。遠くから指を咥えて眺めるのが精々だよね。

 

「大変だ……ど、どうしよう」

 

 もし、もし誰かと付き合ったりしてたら……至高の美少女がモテない訳がないのに、考えて無かった。

 

「いやいや落ち着け。ターニャちゃんはそんな子じゃない。内緒でなんておかしいだろう? 今朝だって信じてって言ってた、きっと大丈夫」

 

 そうだ、パルメさんの店に行ってて話し込んでるとか? まだ少し時間が早いから俺が帰ったこと知らないよね。あとマリシュカさんの井戸端会議から脱出不可能になってるのかも! 

 

「迎えに行こっと」

 

 まだ魔力銀の服のままだけど構わないか。先生役だったから余り派手な感じじゃないし。

 

 一応鏡で確認してと。

 

 コンセプトは山ガールかな。ツルツルした質感のジャケットはツートンのウインドブレーカー。厚手のレギンスの上に濃い緑のショートパンツを合わせた。これで大きめのリュックでも背負えば近いかも。まあ全部がそう見えるだけの擬き(もどき)だけどね。

 

「先ずはマリシュカさんのとこに行ってみよ」

 

 何となく魔力強化したのは偶然です。

 

 

 

 

 

 

「ターニャかい? 来てないねぇ」

 

「そうですか……」

 

 じゃあやっぱりパルメさんかな。

 

「何だい、ターニャが姉馬鹿に嫌気がさして家出でもしたのかい?」

 

「そ、そそんな訳ないですよ」

 

 変な冗談はやめてくれぇ……冗談だよね?

 

「まだ夕方じゃないか。あの子だってやりたい事や会いたい人もいるだろうさ。あんまり縛り付けるもんじゃないよ」

 

 ヤリたい事⁉︎ 会いたい人だって⁉︎

 

「マリシュカさん!」

 

「デカい声出すんじゃないよ!」

 

「そんな事より最近聞いたんですけど! ターニャちゃんが可愛い服を着て」

 

「アンタが無理矢理着せてる服の事かい?」

 

「そうじゃなくて……ん、無理矢理? え、ターニャちゃん嫌なの? うぅ、今はそれよりも……年上の男性と歩いてたって本当なんですか⁉︎」

 

 アートリス最高の情報機関、マリシュカならば知っている筈だ。

 

「……ああ、変装したパル……じゃなくって。確かに聞いた事あるけど、悪い奴じゃないさ。そこは安心おしって、ジル! 何処に行くんだい⁉︎」

 

 大変だ!

 

 とにかくパルメさんの店に……!

 

 ぶつかったら危ないから建物の屋根に上がる。そのまま魔力強化を全開にしたら数分も掛からず到着だ。屋根を使わせて貰って御免なさい!

 

「パルメさん!」

 

「あ、ジルさん、いらっしゃい」

 

 何回か見たアルバイトの人が店内に居た。名前は覚えてないけど……

 

「あの、パルメさん居ますか? それとターニャちゃんは……」

 

「それがもう時間が過ぎてるのに店長が帰って来ないんですよー。まあ偶にある事だから心配は……あれ? ジルさん?」

 

 パルメさんも居ない? 何かおかしいぞ。

 

 思い出せ。ターニャちゃんと朝に話をした筈だ。

 

 

 私だって何も考えずにやってる訳じゃ

 色々と手伝って貰って

 凄く良い人

 私を信用して下さい、大丈夫ですから

 

 

 そんな風に言ってた。考えてみればデートの話と思えない。何かをしようとしてる? もしかして……そもそもの不安はあの不穏な視線だろう? 魔素感知から逃れる腕を持つ誰かがターニャちゃんに近づいたなら……それにパルメさんだって巻き込まれたかも。

 

「誰かがターニャちゃん達を……」

 

 アーレに続いて悪い奴が現れたのか?

 

 そんな奴がいたら、絶対に許せない。

 

 気付くと、いつの間にか再び高い建物の上に立っていた。しかも全力で、精細な魔素感知も終えている。魔力に敏感な人が居たら何かを感じただろうけど、今は許して欲しい。

 

「……あっち」

 

 此処からは随分離れているけど、おかしな反応がある。

 

「此れは……妨害か? ボヤけてるし、周りにも変な奴が居る。多分組織的な連中……アートリスの正規軍じゃ絶対に無い。囲んでる、多分だけど」

 

 あの感じ、かなり上等な妨害の魔法だ。俺も使うから分かる。昔ルオパシャちゃんに使った時より更に強力だな。認識阻害、いや看破阻止? 何にしても、街中で普通の人が使う技術じゃない。つまり犯罪者の可能性がある。焦ったな……さっきの魔素感知、気付かれたかも。急がないと……

 

「確証は無いけど……近くに行けば分かる。パターンはしっかり覚えてるから」

 

 虱潰しにして見つけ出すんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○ ○ ○

 

 

 

「いた」

 

 三人。

 

 間違いない。一人はターニャちゃんだ。他は誰だろう? 隣はパルメさんかな……最後の一人が魔法を使ってる。此れは相当な奴だな。魔力の澄み具合が桁違いだし、何よりも操作が尋常じゃない。随分近くに来たのに分からないなんて。あんな奴がアートリスに居るって聞いた事ないぞ。魔狂いでもあるまいし。

 

 俺も新型の隠蔽魔法を使ってるから、周りに居る不審者達には気付かれた様子はないな。

 

 遥か下、視界にはアートリスの街中がある。丁度近くに高い物見の塔があった。小さな屋根の上、その天辺に立って観察すれば大体の陣容が分かる。一人ずつ倒して行くのが常套手段だけど、あの凄腕なら気付かれる可能性が高い。二人を人質に取られたら目も当てられないな。

 

「……13、14、15人か。全員がかなりの腕。気配を断つのも上手い。範囲が広いし相手にするのも面倒」

 

 それなら答えは一つ。

 

「あの凄腕を一気にやっつけて二人を守ればいい。あの喫茶店は死角も多かった筈だし、まさか大騒ぎなんて出来ないだろう。直ぐにツェツエの、アートリスの人達が駆け付けるからな」

 

 魔力強化で一気に近づく。きっと直ぐには気付かない。

 

「ルートは……」

 

 念の為にルートも慎重に選んでおこう。万が一の可能性も許せないから。

 

「よし、行くか」

 

 塔からフワリと身体を踊らせると、風を切る音と共に地面が迫る。着地する頃には魔力強化も終えた。

 

 

 

 

 

 

 




次回、いよいよご対面
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