世話焼き男子とガールズバンド 作:れれれれ
マイケル2525様、葦名一寸様、エネ様、武大563様、評価ありがとうございます!
今回は短めです。
新プロジェクト、始動!乞うご期待!
❐ 4 ↩ 41 ♥ 103 <
「ほう、楽しみだな」
放課後、委員会明けのため既にかなり日が傾いてしまっている今日。商店街の隅でボーッとChanterのTLを眺めていると、ちょうど今しがた投稿されたのかパスパレ公式アカウントのツイートが流れてきた。
もちろん即ふぁぼりつ(死語)。
「今まで番組やらドラマやらの出演予定はちょこちょこツイートしてたけど、なんだかんだで新プロジェクトとか銘打ってるのは初めてだな」
某エ○ァンゲリヲンの映画予告染みた特報ムービーを見ながらつぶやく俺。
冠番組を持つことになったときですら、こんな『新プロジェクト』と大々的に発表することはなかった。
あのときは最初から『冠番組決定!イェーイ!!』という感じに中身は特に伏せていなかった上、なぜか文章が大変にはっちゃけていた。案の定あのツイートは日菜ちゃんの仕業だった。
それはさておいて、だからこそパスパレ史上初の発表に俺は大きな期待を抱いているのである。
ちなみにパスパレメンバーはChanterのアカウントを各々持っており、全員フォロワーは10万人を超えている。パスパレ公式垢に至っては20万人だ。
みんな日頃から頻繁にツイートを重ねており、ファンはとりあえずChanterを始めてそれら6つを全てフォローしておけばホクホクできるのが素晴らしいところ。
「パスパレ公式垢だと舞台裏の風景とかほとんどツイートしてないんだよな〜。そういうのめっちゃ好きなんだけどもっと軽率に流してくれんかな。無理か、コンプラ的に」
とはいえ言うだけタダとか言うしな。なんとなしにちょろっとさっき言ったことをツイートしておいたところで、微妙な空腹感を覚えた俺はたまたま近くにあった店へと足を運ぶ。
「おっちゃん、いつものコロッケくれや」
「はいよ…って昌太じゃねえか、ご無沙汰だな。山吹さんとか羽沢さんのとこには顔出してたのにウチにはなかなか来てくれないって娘が拗ねてたぞ」
「いやぁすみません、なかなか機会がなくて」
やってきたのは北沢精肉店。やたら品質のいい肉をやたら安い価格で叩き売りしているそこらのスーパーも真っ青なヤベー店で、いつもいろいろとお世話になっている。
ついでに言うとコロッケがばかみたいに美味い。どれくらいかというと、やたら辛口な評価が付きがちなG○○gleマップの口コミで星5つが煌々と輝いているほど。しかも投票者3ケタいるのに。ヤバい。
「今はぐはいないんですか?」
「おぉ、ここ最近なにやら忙しそうでな。今まで以上に家にいる時間も減ってるぞ」
「ほーん…やっぱソフトボールが忙しいんすかね」
「そこまで深くは聞いてねぇが…例年この時期は試合あるしなぁ。そうかもしれん」
北沢はぐみ。ここの精肉店の娘さんだ。
最後に会ったときから変わりなければだが、彼女は紅葉みたいな橙のベリーショートに同じ色の瞳。そしていつ見ても頭には二対のアホ毛をたくわえていた。
ここらのソフトボールチームでエースって言われるくらいには運動神経が良い。はぐの体力無限にあるんじゃねえかって未だに思ってるくらい。
「ほい、ご注文の品な。またはぐみがいるときにでも来いよ」
「ありがとさん、そうしますわ」
アッづぁッ!脊髄反射でコロッケ手放しそうになった、危ねえ。適当な壁に寄りかかってまたTL眺めながら食うか。
…ん?『Pastel✽Palettes Officialさんがあなたのツイートをリツイートしました』?
えっ?
◇◆◇
「マヤさん、何を見ているんですか?」
「Chanterっす!今ちょうどパスパレでエゴサしてみたら気になるツイートが出てきまして」
「えっ、私それ見たかな?」
「どれどれ!?…あー、これついさっきだから見てないんじゃない?」
「彩ちゃんはパスパレ関連のツイートはだいたい把握してるものね」
「さすがにそれは頭パンクしちゃうよ!?」
ここは都内にある事務所保有のレッスンルームの一室。マヤと呼ばれた少女を取り囲むようにChanterを各々眺め談笑しているのは、かの有名な新進気鋭、Pastel✽Palettesの面々である。
現在はその始動が発表されたばかりの『新プロジェクト』に向けた練習の最中だ。
公式垢を通してエゴサをしている、赤ぶちのメガネをかけた少女は大和麻弥。茶髪のボブにオリーブ色の瞳を持ち、普段はキャスケットに白のタンクトップ、オーバーオールのサロペットといったラフな格好をしている。
高いビジュアルを持ちながら見た目に無頓着なところがあり、しばしば千聖に怒られているというのはファンの間では有名な話である。
「『もっとパスパレの練習風景とか見たいナー(チラッチラッ)』…だって。確かにみんな個人のアカウントでしかそういうのやってないよねー」
「同感です!公式でも私たちのオフショットをツイートすればもっと人口に膾炙できるのではないかと!」
「か、かいしゃ?」
「広く知れ渡るって意味よ、彩ちゃん」
「…ぁ、あーっ!知ってる知ってる、なますだよね!」
「知らない人の反応かと思ったけど本当に知ってたんだね」
「私だってやればできるもん!」
「みんな知ってるわよ」
「んにゅっ」
現在パスパレは日本の若年層を中心に支持されていて、その姿はテレビで多く見られる。
だがパスパレとしてのオフショットは意外に少ない。日菜が漏らしていたように個人垢では積極的にツイートしているが、それはあくまで個々人の日常。
先程パスパレに関知されたファンのようにパスパレの日常をもっと見てニコニコしたいという声が多いのは事実だ。
「あははっ、変な声ー。ねー麻弥ちゃん、さっきからすごい集中してるけどどうしたの?」
「えっ、あぁいや。この人どこかで見覚えがあるなあと思って、不躾ながらツイートを遡らせてもらってたんです」
「あー、SHOWTさん?エゴサしてよく出てくる人だから名前覚えちゃったんだよね」
「この人フォロワー多いわね…5万人…」
「一紙半銭、ですね!」
「それ逆だよ、イヴちゃん…」
「この人は以前にギターを弾いてる映像をツイートしてすごいバズってたんすよね。ジブンもそのときに拝見しましたがつい見入ってしまいましたね」
「へぇーっ。あっ、この人Roseliaも追ってるんだ!おねーちゃんのこと知ってるかな!?」
「さすがにそれはどうかしらね…。ほとんどの人は情報伏せられてるから」
「そうっすね〜。とりあえずさっきのツイートはリツイートしておいてと…」
「それじゃさっそくなんか撮る!?さすがにここだとネタバレしちゃうからちょっと移動してさ。私撮るよ!」
「行こ行こー!」
◆◇◆
「えぇ、もうツイートされてんじゃん…まだコロッケ食い終わってないんだけど」
俺が何となくツイートことが数分で現実になった件について。
今まで公式に捕捉されたことなんてなかったんだけどなぁ、まぁ言ってみるもんだな。
リツイートの直後に日菜ちゃんによる超ハイテンションなツイートが公式垢で流れてきて、それから数分経って写真が上がった。
それいいねーーーーーーー!!!!!!!!!(ひな)
❐ 31 ↩ 509 ♥ 1,512 <
上がった写真はどっかの室内にある自販機の前で撮られたもので、自撮りしている彩さんとイヴちゃんの後ろに、スゲー冷たそうなポ○リを携えた日菜ちゃんが忍び寄っている図だ。日菜ちゃんめっちゃ悪そうな顔してる。
正直喜びよりは困惑のほうがでかいが、それでも俺らはこういうのを求めてた。現にその写真ツイートはもう5,000リツイート行ったし。
あと一口分となったコロッケを口に放り込みながら、日菜ちゃんと写真とをリツイートしてこの急転直下な展開にツイートを残しておく。
それいいねーーーーーーー!!!!!!!!!(しょー)
❐ 189 ↩ 153 ♥ 631 <
なんで20秒で200弱もリプ来てんだよと思ったけど全部フォロワーの同志からだった。
どれどれ…。『よくやった』『英雄じゃん』『素晴らしい功績だ』『おまえ神かよ』『SHEROWT』『SHGODWT』…
ハンネといえど仮にも人の名前で遊ぶんじゃねえよ。『SHEROWT』はまだしも『SHGODWT』とかなんて読むんだよこれ。
このアカウントのフォロワー数は現在5万人ほどいるが、6〜7割は過去にしたとあるツイートの恩恵である。
受験勉強中に気分転換にギターを弾き撮りしたやつをろくな編集もせずにChanterに放り投げたら、気づいたら5万くらいリツイートされてた。
むろん当時の俺はたまげにたまげまくって文字通り魂がゴートゥーヘヴンしかけた。
では残りはというとほとんどがそれにくっついてきた同志たちだ。一度バズったことで名前も若干知名度が上がって、興味本位で俺の垢を見に来たパスパレやRoseliaファンがフォローに来たのだ。
それまでもちょこちょこそれ絡みで変なこと言ってちょっとツイート伸びたことあったし、同じファンたちにはもしかしたらすでに知られてたかもしれんけど。
ニコ○コとかY○uTubeとかやってないのにフォロワー数5万とはこれ如何に。
…久々にギター弾き撮りしようかな、最近仕事漬けだし気分転換にでも。
◇◆◇
「冷たっ!って、あーーっ!!何もコメントせずにツイートしちゃった!!!」
「あっはっはっはは、ごめんごめん」
「何してるのよ日菜ちゃん…上がった写真がただの喜劇みたいになっちゃってるわよ」
「ですがコメントなしでもすごい伸びですね。見たことない伸びです」
「SHOWTさんが即座にリツイートしてくれましたからねー。確かあの人のフォロワーはジブンたちのファンも多いって言ってた覚えがあります」
リツイート数はあっという間に5,000を突破。Chanterのトレンドにも入るくらいの恐ろしい速度だ。全員ちょっとした気まぐれのようなものだったため、ここまでとは思っていなかったのだ。
レッスンルームに戻る傍らで、思わぬニーズの多さやその伸びに各々驚きを隠せないでいた。
「でも、そっか…こういうオフショットでもファンのみんなへの感謝のひとつになるんだね。ちゃんとこういうのもノートに書いとかなきゃ…ってあれ、もう全部のページ使っちゃったの忘れてた…。とりあえず携帯のメモ帳に書いとこ」
「いつも思ってたんだけどさ、いつも挟んでるそのルーズリーフは使っちゃだめなの?結構余白あるけど」
「あー、これ?これはちょっと、
「ふーん?そうなんだ」
「これだけ待ってくれている人たちがいる以上、早くこれをモノにしなければいけませんね。これからも練習頑張りましょう!」
「はいっす!…って、千聖さん?どうかしたんすか?」
「いえ、待ってくれている人で思い出したことがあって。スタッフさんが噂話くらいで話していたのだけど──」
「この新プロジェクトが、弦巻さんの耳に入ったって話」
こんなに設定盛って大丈夫かなぁ…(白目)