Memory of the starlit sky   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。

大変お待たせしました。先週は忙しくて投稿出来ませんでしたが、今週は投稿出来ました.......が、今回の話はちょっと短いです。(私にさよひな氷河期は無理だ.......)

なのでご了承ください。

それでは、第十六話をどうぞ!!



第十六話 回想と才能

───あたし、多分.......ううん、おねーちゃんに嫌われてたんだ。

 

日菜は前置きにそう言って語り始めた。

 

──────────────────────

 

あたしとおねーちゃんが小さい時はね、現在(いま)みたいに壁を感じることはなかったんだ。何処にでもいるような姉妹.......いや、それ以上に仲良しだったかも。

 

いつもね、あたしがおねーちゃんの後ろを追いかけてたんだ。

それとね、おねーちゃんはね、何でもこなすことが出来て、あたしが人参をいらないって言ったらおねーちゃんが代わりに食べてくれて、おねーちゃんがやることをあたしが真似をしても、すぐに上達はするんだけど.......おねーちゃんみたいには出来なくて、だから.......憧れてたんだー。

 

.......だけどね、中学生の頃くらいかな、そんなおねーちゃんとの関係が変わりだしたのは。

 

──────────────────────

 

「.......ただいま」

 

リビングで過ごしていると、ガチャっと音が玄関から聞こえ、おねーちゃんがリビングへの扉を開け、部屋と入ってくる。

 

「あ、おねーちゃん、おかえり!!」

 

ドアが開けられた瞬間に、ドアの方へ振り返り、おねーちゃんの方へと近寄る。そしておねーちゃんの後ろに近寄って、今日学校であったことや、昨日見た星空がどうだとか、とにかくおねーちゃんに小さい頃みたいに話し掛ける。

 

だけどおねーちゃんは、そんなあたしを振り切るように、キッチンへと行き、冷蔵庫に入ってる水をコップで飲み、おねーちゃんは.......。

 

「.......はぁ」

 

「.......!!ご、ごめんなさい.......うるさかったかな」

 

大きなため息をつかれた。

慌てておねーちゃんに謝ると、おねーちゃんはそのまま自分の部屋へと入って行き、あたしはその場で立ち尽くしていた。

 

『.....こんな感じでね、中学生の頃からおねーちゃんとの仲に溝が入ってね、家に居ても必要最低限位の会話になっちゃったんだ.......そうなった原因は、多分あたしなんだけどね......それとね、あともう一つ中学の頃から変わった事があってね、それは.......おねーちゃんがギターを始めたんだ』

 

── ── ──♪

 

 

(あ、まただ.......)

 

 

おねーちゃんが自分は部屋へと戻ると、その部屋からギターの音色が聞こえてくる。ここ最近はずっとこんな感じで、おねーちゃんが家から帰ると自分の部屋へと籠り、ご飯や風呂の時以外ずーっとギターを弾いている。

でもその音色は、全然るんっ♪って感じではなく.......、

 

(.......おねーちゃんの音、悲しい感じがする.......)

 

絶望、悲しい、悲壮感、どう言い表したらいいのか分からないけどそんな感じのギターの音をおねーちゃんは、毎日のように奏でいた。

そしてその音を聞く度に、あたしの心は締め付けられていた。そんな音を奏でさせる原因となったのはあたし.......だと思うから。

 

 

『そんな生活が三年間ほど続いたんだけどね、.......つい一ヶ月ほど前のことだったかな?』

 

いつものようにおねーちゃんは、あたしに話し掛けられてもあたしを避け、部屋に籠った。

 

(.......今日も弾くのかな?)

 

最近あたしは、おねーちゃんがギターを弾いている時は、アロマオイルを作っている。今日はどんな香りのするアロマオイルを作ろうかと悩んでいると、おねーちゃんの部屋からギターの音色が聞こえてきた。

 

(.......あれ?今日の音.......なんか違う?)

 

思わずおねーちゃんの部屋の方を見つめる。

 

おねーちゃんが最近新しいバンドを組んでいたのは知っていた、だけどおねーちゃんはそのバンドの前にも、バンドを組んでいてその時はこんな感じの音はしていなかった。なんというのだろうか?この音は.......そう、前までは、苦しいって感じの音だったが今の音はそんな感じの音じゃなくて、

 

楽しい.......

 

るんっ♪ってくるそんな音に今日は感じたんだ。

 

「ねー、リサちー。うちのおねーちゃんとバンド組んだってほんとー?」

 

「えっ、お姉ちゃんって.......あ、そっか、ヒナって双子なんだっけ。.......ってあれ?紗夜の名字ってたしか.......」

 

「そー、氷川紗夜。あたしのお姉ちゃん。あたしには何も話してくれないから.......いろいろ教えてほしーなって」

 

後から分かったことだけど、おねーちゃんの入ったバンドはRoseliaというバンドだった。Roseliaに入ってからおねーちゃんのギターの音色は中学の頃と比べてすごく変わった。

.......きっとおねーちゃんはそんな自分の音の変化に気づいてないだろうけど。

 

『.......そしてこの頃にね。あたし、「Pastel*Palettes」のギターオーディション受けたんだー、ギターを弾くおねーちゃんに憧れたから.......そしてそんなある日ね.......』

 

そんなある日、あたしが学校から帰ると玄関に珍しくおねーちゃんの靴があった。

 

(あれ?珍しーな、おねーちゃんがこんな時間に帰ってるの)

 

そんなことを思いながら自分の部屋へと向かうとその隣、おねーちゃんの部屋の扉が開いていた。そしてそこから洩れるのはギターの音。

その音色は、最近聞く事がなかったギターの音だった。

 

(.......おねーちゃん?)

気がつくと、あたしはおねーちゃんの部屋へと入っていた。

 

「.......あれ、やめちゃうの?」

 

あたしの言葉に、ギターの手を止めたおねーちゃんがこちらへと振り向く。その顔は、とても苦しそうな表情をしていた。

 

「.......っ、日菜。勝手に入ってこないでって言ってるでしょ」

 

「入ってないよ。ほら、ドアが開いてたから.......ねえ、おねーちゃんの音、また何か変わった?」

 

「.......何かってなによ、あなたの言葉は分かりづらいの」

 

「.......おねーちゃんの音、中学の頃みたいに戻ってるんだよ」

 

「.......中学の頃?」

 

おねーちゃんがあたしの言葉に、首を傾げる。

 

「うん、最近まではおねーちゃんの音、楽しそうだったのに、今の音は.......苦しんでる」

 

「......!!」

 

おねーちゃんにそう告げると、少しだけおねーちゃんはハッとしたような顔になる。

(.....やっぱり、自分で音が変わったことに気づいてなかったんだ.......)

 

そんなことを思っていると、おねーちゃんの携帯から何かの通知音が鳴った。おねーちゃんは黙ってそれに目を通す。そのおねーちゃんの顔はまた驚いたような顔をする。そして、あたしに向かって一言告げる。

 

「.......なによ、それ。私の音は、ずっと同じよ。はやく出て行って。忙しいんだから」

 

「ん?.......うん?」

 

そう言うと、あたしはおねーちゃんの部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......ありがとう、日菜」

 

 

 

 

 

『その日のおねーちゃんは、ちょっとだけ優しかったんだ〜。いつもは、全然あたしと話してくれないんだけど、その日は結構話してくれて嬉しかった。.......でもね、嬉しかったのはそれだけじゃなかったんだ』

 

──────────────────────

 

日菜はそこまで言うと、シェイクを一口、口に含んだ。

俺もそれにつられて、コーヒーシェイクを口に含む。

そしてこれまでの話を聞いていて、昨日の紗夜さんの話を思い出す。

 

───もしあなたよりギターの才能がある人が、あなたを目標にして.......そして、その才能のある人に追い抜かれそうになったら、あなたはギターを続けられますか?

 

おそらく、その才能のある人は日菜のことだろう。日菜の話が本当なら、ギターを始めたのは一ヶ月ほど前ということになる。そしてあのギターの腕前の紗夜さんが、そこまで言うのだから日菜のギターの才能は.......。

 

「ねー、連音くん、聞いてる?」

 

「.......あ、悪い、考え事してた」

 

「もう、ちゃんと聞いてよ〜」

 

「悪い悪い、でなにが嬉しかったんだっけ?」

 

「ん〜、疲れちゃたから、また今度ね!!」

 

日菜は笑いながらそう言う。

 

「なんだよ、それ」

 

対する俺も笑いながらそう言う。

とここで、俺は本来の目的を思い出す。

 

「ところで、日菜。結局俺の高校のこと誰から教えて貰ったんだ?」

 

「ん〜とね、リサちーから教えて貰ったんだ」

 

「リサちー.......リサさんの事か?」

 

「うん、そうだよ!! 最近おねーちゃんが、男の子とギターのセッションしたって言ってたからどんな人かな〜と思ってね。それで、リサちーなら、何か知ってるかなって思ったんだ〜」

 

その様子を見て、もう一つあることを確信する。

それは日菜の冒頭の発言、

 

───おねーちゃんに嫌われてたんだ。

 

.......日菜は紗夜さんに嫌われてないと思う。だって、嫌われてるんならこんな楽しそうに紗夜さんの事を話さない筈だから。

 

「あ、そうそう連音くん!! 明日、暇?」

 

ポテトを食べていた日菜が、ふと思い出したかように聞いてくる。

 

「ん、一応暇だけど?」

 

そう言うと、日菜が俺の目の前に自分の顔を寄せてくる。

 

「じゃあ明日、流星群見に行こうよ!!」

 

「.......へ?」

こうして明日の天体観測は、アイドルと見に行く事になりました。




この話を書くにあたって色々調べたのですが、さよひな氷河期の日菜視点の資料が少なくて、挫折しかけましたよ、ほんと。
少しでも、さよひな氷河期の雰囲気が伝わっているといいな.......

さて分かる人には分かると思いますが、実はこの日菜邂逅編とあるイベントを元に進めていくので、よろしくお願いします

それでは今回もお読み頂きありがとうございました。
また、次の話でお会いしましょう。

(実はこの小説、11/27に全体ランキング26位にランクインしました!!これも皆さんのおかげです。ありがとうございます!!)

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